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2014年12月定例会 一般質問 紺野長人議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年2月18日更新
紺野長人議員 
議員

紺野長人

所属会派(質問日現在)

民主・県民連合

定例会平成26年12月
質問等一般質問
質問日12月12日(金曜日)

11番(紺野長人君)民主・県民連合会派の紺野長人です。通告により質問いたします。

 まず最初に、福島県の将来までを見据えた復興政策のあり方について知事に質問いたします。

 これまでは震災と原発事故からの復旧・復興に向けてがむしゃらに走ってきた3年9カ月だったと言えます。しかし、来年の3月11日をもって5年目を迎えることになり、これからはどのように福島の将来を形づくるのかを強く意識し、戦略を持って復興を推進しなければなりません。したがって、確実に進行する少子高齢化社会の中で継続・拡充すべき事業は何なのかといった視点で、一度落ちついて再点検を行うことが重要です。

 また、「現場主義」の観点からも、この3年9カ月の間、一般の県民と直接接してきた職員の意見を拾い上げるシステムをつくり、県民が求めている復興と県の施策にずれはないのかといった視点で検証することも重要です。

 そこで、震災から3年9カ月が経過した今、復興施策の再点検が必要と思いますが、知事の考えをお示しください。

 次に、長期的な財源確保の見通しについて質問します。

 県は、復旧・復興の一環として位置づけながら、従来の行政サービスの枠組みを超えた事業も展開してきました。しかし、行政サービスは導入・拡大するときは受け入れられやすく、縮小や廃止をするときは大変な困難を伴います。

 特に市場原理に委ねるべき企業活動に対し補助金等で過剰に誘導すれば、いずれ市場原理にさらされ、事業撤退による労働者の解雇など新たな課題を生み出すことになります。

 また、今年度の当初予算ベースでも、震災、原発事故前と比較し、通常事業枠は500億円程度減額されていることからも、復旧・復興に関する施策を優先する余り、本来県が行うべき医療や福祉、教育、農業といった施策の後退が懸念されます。

 その意味からも、中間貯蔵施設に関する経費を初めとして国の財政責任を曖昧にすることは許されません。真に県民が求める事業を継続的に推進するためには、国からの財政措置と県内経済を見据えた独自財源確保の両面から中長期的な視点で財政を確立する必要があります。

 そこで、継続性が求められる事業を実施するため、長期的な財源確保にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお示しください。

 次に、業務内容と県の組織のあり方について質問します。

 県は、震災、原発事故から経験したことのないさまざまな課題に対し、立ちどまることなく復旧・復興に全力を傾けてきました。当然に、当面する課題をどの部署が担当するかについても、その都度ごとのある意味では行き当たりばったりの判断だったとも言えます。

 しかし、3年9カ月を経過した今、業務内容と県の組織のあり方については一度立ちどまって再点検をする必要があります。意識のある職員からは「同じような仕事を複数の部署が担当していて非効率だ。」といった意見も聞かれています。迅速で的確な行政サービスと現場で働く職員が求める効率性の向上のためには、業務内容や業務量に適応した組織の再点検が必要です。

 そこで、県組織のあり方について、行政サービスの向上と業務の効率性の観点から点検すべきと思いますが、県の考えをお示しください。

 次に、本来の行政サービスを確保するための人員配置について質問します。

 国は、復興財源を確保する目的で国民に住民税や所得税の負担増を求め、さらに公務員や関連団体の職員からは本来支払うべき賃金を半ば強制的に吸い上げてきています。

 こうした貴重な財源が確実に復旧・復興に役立てられ、県民一人一人の生活再建に結びつけるためには、企業、団体等への膨大な補助金が支出先において正しく運用されていることをチェックする必要があります。しかし、現場の意識の高い職員からは「支出するのが精いっぱいで、点検する人員体制にない。書類審査にとどまっているが、その書類さえも山積みの状態だ。」といった責任を果たせない苦しみの声が聞かれています。

 また、「復旧・復興に人的パワーが割かれ、真に県民が求めている行政サービスが適切に行われていないのでは。」との声も聞かれます。したがって、貴重な財源を真に県民の生活と福祉の向上に結びつけるためには、人員と組織体制の見直しは欠かせません。

 そこで、行政サービスを確保するための人員配置について、県の考えをお示しください。

 次に、国による介護報酬の大幅削減への対応について質問します。

 安倍総理は、「アベノミクスに始まる社会の新たな好循環」と何の根拠もない期待を国民に持たせながら、消費増税と社会保障制度改革を断行するとしています。しかし、消費税は導入されてからの収入282兆円のうち255兆円は法人税減税に充当されており、国民から吸い上げた税を企業や株主といった資本の側に移しかえたにすぎません。

 よって、「社会保障と税の一体改革」はだまし文句にすぎず、医療や介護といった福祉政策は苦しむ国民の実情とは正反対に後退する一方です。それを象徴するように、財務省はことしの10月8日、介護報酬6%削減の方針を打ち出しました。これを強行した場合、介護福祉士300人規模の事業所で約10億円の減収になると試算されており、多くの事業者が介護事業から撤退することが危惧されます。

 もちろん新自由主義をひた走る安倍総理ですから、介護を必要とする人たちが福祉の手から排除されることに何の痛みも感じないのはよくわかります。しかし、家族介護のために既に30万人を超える労働者が退職に追い込まれているのです。

 要介護者を施設から追い出せば、特に女性は家族介護のために家庭に縛りつけられ、社会進出の大きな妨げとなります。今後さらに生産年齢人口が減少する中で、日本経済にまで重大な影を落とす愚策と言わざるを得ません。そして、福島復興の到達点は県民一人一人が穏やかで安心して暮らすことができる地域社会を実現することであり、そのことに照らしても、国の介護報酬6%削減は到底容認することはできません。

 そこで、国に対し介護報酬6%削減の方針を直ちに撤回するよう求めるべきと思いますが、県の考えをお示しください。

 次に、介護職員の賃金改善に向けた施策について質問します。

 かつて2007年に小泉構造改革において4.6%の介護報酬カットを行った際は、賃下げなどにより20万人の介護福祉士が職場から去ってしまいました。これは報酬引き下げによる減収を職員の賃金引き下げでしか吸収できないことを示しており、6%もの報酬カットを行えば介護職員の確保がさらに困難になることは明らかです。

 したがって、今仮に国による介護報酬削減が強行されたとしても、それを上回る施策を実施し、介護職員が誇りと喜びを持って働き続けられるような賃金体系をつくることは県政の緊急的最重要課題です。

 そこで、県は介護職員の人材確保に向けた独自の財政措置を行うべきと思いますが、考えをお示しください。

 次に、国の制度を上回る介護人材確保に向けた独自施策のためには、安定した財源の確保が避けて通れないことから、福島復興再生特別措置法の活用について質問します。

 措置法は、「福島の特殊な事情と原子力を推進してきた国の社会的責任を踏まえて福島県の復興再生を推進する。」と基本理念に明記するとともに、「福島の地方公共団体の自主性、独立性を尊重する。」としています。

 そもそも県内における介護サービスの後退は、原発事故による放射能汚染によって介護職員が県内の職場から去ってしまったことも原因の一つです。少なくとも福島復興再生協議会等の特別措置法にかかわる協議機関に課題を持ち込み、福島県独自の財源措置を検討するよう訴えるべきです。

 そこで、福島復興再生特別措置法のもとで介護職員確保に向けた処遇改善のための特別な財源措置を検討するよう国に要請すべきと思いますが、県の考えをお示しください。

 次に、介護・福祉人材の養成に向けた県の取り組みについて質問します。

 介護労働が過酷で低賃金であるというイメージが社会に浸透したこともあり、福祉の道を志す若者が減少し、養成機関における定員割れが深刻化しています。

 こうした中、京都府では、行政と福祉関係者等が連携して人材確保に取り組むため、京都府と福知山市、舞鶴市、宮津市が介護・福祉人材を地元で養成する京都府北部福祉養成システムを全国に先駆けてスタートさせるとしています。もはや行政が補助金等の支援にとどまっていたのでは、介護労働者の確保が立ちいかないと判断したためです。

 そこで、県は介護及び福祉人材の確保に向け、地域の実情に応じた体制づくりにどのように取り組んでいくのかお示しください。

 次に、来年にも示されようとしている国の新たな公立病院改革ガイドラインについて質問します。

 総務省は、2007年に「公立病院を立て直し、地域医療における適切な役割を果たしていく。」として、公立病院改革に関するガイドラインを全国の自治体に示しました。しかし、現実は地方交付税の算定基準等をちらつかせながら3年以内の経営黒字化を求め、公立病院を廃止や縮小、民間移譲へと誘導するものでした。

 現在県立宮下病院と南会津病院は僻地医療の拠点として、矢吹病院は精神医療に特化した医療機関として重要な役割を担っています。また、大野病院が休止状態にある中で、崩壊している双葉地域医療の再建に県立病院は役割を果たしてほしいとの声が大きくなっています。この声に今すぐに応えることは難しいとしても、ふるさとでの生活再建を夢見る避難者の希望をつなぎとめる施策の一つとなることを意識しなければなりません。

 国は公立病院の経営効率化を押しつけますが、地方においては僻地医療や救急医療といった不採算医療は自治体が責任を果たさない限り、住む地域によって命の重さの格差を今以上に広げることになります。したがって、県は国の言いなりになるのではなく、県内の医療実態を踏まえた自立した病院運営を進める必要があります。こうした中、総務省は骨太方針2014に基づき、来年にも新たな公立病院改革ガイドラインを各自治体に示すとしています。

 そこで、国から新たに示される予定の公立病院改革ガイドラインについて、県立病院においてはどのように対応していくのかお示しください。

 次に、再生可能エネルギーの推進について質問します。

 県は、再生可能エネルギーの飛躍的な発展を復興への中心政策に位置づけましたが、その推進のあり方は必ずしも大規模な風力発電やメガソーラーの導入に限る必要はありません。県民参加のもとでこの中心施策を推進するためには、各家庭における太陽光パネル設置が最も効果的です。

 そしてその推進のためにも、まずは公的機関がその姿勢を県民に示すことが重要であり、県有施設への太陽光パネル設置の拡充と市町村が導入を図る際の積極的支援に取り組むべきです。同時に、このことは災害時における公的機関や緊急避難所の電源確保の点からも急ぐべき課題と言えます。

 そこで、県有財産の活用等による再生可能エネルギーの導入推進について、県の考えをお示しください。

 最後に、復興に向けた公共土木建築事業における安全と品質の確保に向けた考え方について質問します。

 国土交通省は2013年2月、建設業法により定められている工事現場への主任技術者の専任要件を建設業者の人手不足に対応することを目的に緩和しました。しかし、建設業者からは、県外からの作業員や経験の少ない作業員が増加していることもあり、安全と品質確保の点で実態にそぐわないとの声も聞かれています。

 作業員不足が主な要因となって入札不調が続いている現状も踏まえると、震災、原発事故から3年9カ月を経過した今、全ての事業を同列に急ぐのではなく、避難者の生活再建や子供の安全対策など優先すべき順位を明確にし、安全と品質の確保を何よりも重視すべきです。

 そこで、復興に向けた公共土木建築事業について、県は工事の安全と品質の確保にどのように取り組んでいるのかお示しください。

 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)紺野議員の御質問にお答えをいたします。

 復興施策の再点検についてであります。

 本県の復興に向けた各種施策につきましては、毎年度、点検評価を実施し、その時々の状況に応じた適切かつ柔軟な進行管理を行いながら復興の土台を築いてまいりました。

 一方で、福島県の復興の道のりにはさらに克服しなければならない課題も多く、とりわけ最優先課題である避難地域の復興・再生につきましては、選挙期間中、県内をくまなく歩く中で、自治体や地域ごとに状況や課題が大きく異なることを改めて実感したところであります。

 震災から3年9カ月が経過した現在、複雑多様化するニーズや課題に的確に対応していくためには、私自身も含めた職員一人一人が現場主義の意識を強く持ち、復興・再生のためには何が必要なのか、何が最善の策なのか、常に見出していく必要があります。

 市町村や現場に足を運び、地域のさまざまな声を丁寧にお聞きしながら、予算編成や復興計画の見直しの過程の中で状況変化に対応したより効果的な施策や事業の追加、修正を行い、県民一人一人が実感できる復興に向け施策の構築に取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。

総務部長(鈴木正晃君)お答えいたします。

 長期的な財源確保につきましては、県民生活に密着した施策を着実に継続していくため、極めて重要な課題であると認識しております。

 県といたしましては、今年度中に策定する中期財政見通しを踏まえ、引き続き国に対し適時適切に財源の確保を求めていくとともに、産業創出による県内経済の活性化を通じた税源の涵養や県有財産の有効活用など、長期的かつ安定的な自主財源の確保に今後ともしっかりと努めてまいる考えであります。

 次に、組織につきましては、これまでも復興・再生を進める上で生じるさまざまな行政課題に対応した組織改正を行ってきたところであり、新年度に向けましては、危機管理部やこども未来局の新設を初め避難地域の復興支援や避難者支援等に係る施策をより一体的に推進するための組織体制の見直しなどを進めているところであります。

 今後とも不断に組織体制を点検しながら、効果的かつ効率的な組織運営に努めてまいる考えであります。

 次に、人員配置につきましては、増大する復興・再生業務に対応するため、既存事業の見直しや事務の簡素効率化、職員の再配置などに取り組むとともに、正規職員の増員や任期付職員の採用、さらには、他県等応援職員の受け入れなどにより、必要な人員の確保に努めてきたところであります。

 今後とも業務執行体制の効率化等に取り組みながら、県民の視点に立った行政サービスを提供してまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 県有財産の活用等による再生可能エネルギーの導入につきましては、その先駆けの地を目指す本県においては、県がみずから率先して導入を進めることが重要と考えております。

 このため、復興公営住宅や大笹生学園の屋根を活用した太陽光発電の導入、県有ダムを活用した小水力発電の整備、さらには市町村の防災拠点施設等への導入支援などを行っているところであり、今後とも県有財産の有効活用等に積極的に取り組んでまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 介護報酬につきましては、現在国において改定に向けた検討がなされておりますが、良質な介護サービスを維持するためにも、介護報酬を一律に減額するのではなく、職員の処遇改善を介護報酬本体において適正に評価するなど、介護人材の確保につながる処遇改善の仕組みを構築するよう、知事を先頭に国に対して強く要望しているところであります。

 次に、介護職員の人材確保に向けた財政措置につきましては、介護職員の処遇改善に取り組む事業者を支援するため、処遇改善加算が介護報酬への加算措置として設けられているところです。

 現在国における介護報酬改定の動きの中で加算措置の拡充についても検討されており、県といたしましてはこの制度の運用により、処遇改善に取り組む事業者への支援を行ってまいります。

 次に、介護職員の処遇改善のための財政措置の国への要請につきましては、人材不足が特に深刻な浜通り地域などを対象に、特例措置として全額国庫による賃金手当制度の新設を求めているところであり、今後とも働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、介護及び福祉人材の確保につきましては、行政も含めた関係者が適切な役割分担のもとに連携して取り組むことが重要であると考えております。

 このため昨年度から、県、介護福祉士会など関係団体で構成する福島県福祉・介護人材育成確保対策会議を設置し、介護人材の定着や再就職など具体的な課題や施策の推進について協議を行っているところであります。

 今後は各保健福祉事務所においても市町村等と連携し、地域の実情に応じた対策が図れるよう体制づくりを進めてまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 復興に向けた公共土木建築工事の安全と品質の確保につきましては、労働基準監督署や建設関係団体と連携した現場における安全パトロールの実施や外部委託を活用した施工監理の強化とともに、適切な作業環境確保の前提となる現場条件を踏まえた設計や実勢単価を反映した工事費の算定、必要な工期の設定などに努めているところであります。

 今後とも工事の安全と品質の確保を図りながら、復旧・復興事業の早期完成に向け全力で取り組んでまいります。

病院局長(佐原輝一君)お答えいたします。

 新たな公立病院改革ガイドラインにつきましては、今回の医療介護総合確保推進法を踏まえた地域医療構想と一体的に公立病院の改革が進められるよう、今年度中の策定が予定されております。

 このガイドラインは、現在検討されている構想策定のための指針とあわせて示されると聞いていることから、これらの動向を注視するとともに、県立病院の役割や地域の状況等を考慮しながらしっかりと対応してまいる考えであります。

副議長(青木 稔君)これをもって、紺野長人君の質問を終わります。

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