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2014年12月定例会 一般質問 先崎温容議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年2月18日更新
先崎温容議員 
議員

先崎温容議員

所属会派(質問日現在)

自由民主党

定例会平成26年12月
質問等一般質問
質問日12月12日(金曜日)

2番(先崎温容君)本県にその身を尽くされんとする志士であります同志の木田議員をお迎えいたし、議席番号2番となりました自由民主党の先崎温容であります。

 冒頭に、東日本大震災及び原子力災害という未曽有の事態に直面し、その前後を大変な重責の中、職務を全うされました佐藤雄平前知事への御尽力に心からの感謝を申し上げます。並びに今般の知事選におきまして、確かな覚悟のもと、知事職をいただかれました内堀雅雄知事に深甚なる敬意を表する次第であります。

 内堀知事におかれましては、今般の選挙を通していただかれた名誉は、有史以来の複合災害を本県が被災した事実とこれよりの輝かしい復興を目指すための使命が相存するわけであります。平時の知事職としての名誉よりもさらに重いところは必至、厳然たる責任の帰するところとなると存じます。

 我々議会と執行部は両輪といえども、言うまでもなく、本県における政の中心としての真中(ミナカ)は内堀知事であり、知事を支えていく、または進言を申し上げる我々は臣(オミ)となります。そして、我々議員が酌み上げてまいる民(タミ)の声を知事に届け、並びにただすことこそが本議場における最もたるありようとなります。4度目の登壇となる今般もその根本を外れることなく、以下質問に入らせていただきます。

 最初の項目は、私自身これまでも総括においても確認してまいりました震災後の記録や記憶を形に残すためのアーカイブ拠点施設についてであります。

 平成23年3月11日に起きた地震、そして津波、さらには原子力災害と、我が国にとって有史以来の、また世界でも初めてと言える深刻な事態に直面し、私たちは甚大な被害をこうむり、深い悲しみを経験してきました。

 人類が同様の悲劇を再び経験することがないようにしなければならないという確かな思いは、災害を経験し、復興に向けて歩む私たち全ての願いでもあり、災害の経験やそこから得た教訓、さらには当時の私たちの思いを後世に伝え、国内はもとより世界に向けて発信していくことは、極めて重要であると考えます。

 そのためには、福島において、その被災と復興を人類の歴史にしかと刻み込み、多くの人々に伝える施設を整備することが必要であると考えます。

 県議会においては、昨年10月に国に対して「災害記録や教訓を収集・保存・研究し継承・発信するためのアーカイブ拠点施設の設置を求める意見書」を提出し、アーカイブ拠点施設を国の責任において本県に設置することを強く要望したところであります。

 今般イノベーション・コースト構想の中でアーカイブ拠点施設設置の論議がようやく議論のテーブルにのりましたが、いまだ見通しが示されていない現状でもあります。県においては、これまで記録や記憶の収集や整理をしてきているにせよ、子供たちへの教育や風評払拭という点からも、教訓を伝える環境整備を常設も含め、県独自で取り組むことが重要であると考えます。

 そこで、震災及び原子力災害の記録と教訓を継承・発信する拠点施設の設置に向けた県の取り組みについてお尋ねします。

 2点目は、情報発信の強化についてであります。

 震災以降、避難者の方々を初め県民一体感の醸成を図るため、また、風評対策のため、県においては情報発信の強化に努めてきました。発信者側としての改善に努められていることには十分に理解を示しながらも、情報発信については、いかに受信者側のニーズに対応していくのか、すなわち声なき声を聞き、見えない姿に思いをはせるための視点を大切に、よりきめ細やかに、さらに工夫を重ねていく必要があると考えます。

 年代層を問わず、多くの方々が確かに情報を受け取ってもらえるよう、情報の受け手の立場に立ち、受け手のニーズを考えた多様で魅力的である情報発信を目指すことが大切であります。従来のメディアや広報誌による発信のみならず、例えば中若年層にはなじみやすいアプリの活用など新しい手法も含め、より多様化した方法で各年齢層それぞれに届きやすい発信を工夫するべきであると考えます。

 そこで、情報の受け手である県民の立場に立った発信について、県はどのように強化していくのかお尋ねします。

 次に、自然災害に対する減災について、ハード面の再検証と当該住民への周知が重要という観点から質問します。

 地球温暖化に伴う気候変動により、全国各地で何十年に一度または過去に経験のないような異常気象が頻繁に生じてきています。ことし8月には、広島市で発生した土砂災害、1時間に約120ミリの猛烈な雨が引き起こしたものであり、多くのとうとい命が失われたのは記憶に新しいところであります。また、県内でも昨年8月に二本松市において、集中豪雨による家屋の浸水や土砂崩れが発生するなど、いつどこで自然災害に見舞われても不思議ではない状況になってきていると言えます。

 このように自然災害のリスクが増大している中、ハード対策としての施設整備を推進することはもちろん、想定を超えるような事態が発生した際に、住民がみずからの命を守り、被害を最小限に食いとめるための減災対策が必要と考えております。

 そのためには、日ごろから自分の住んでいる地域の災害発生リスクの把握や県民一人一人の危機管理意識の向上を図るための取り組みを進め、いざというときにみずから適切な行動がとれるよう備えることが重要であり、その主体となる市町村を水害や土砂災害に関する専門的見地から支援する立場として、県は大きな役割を担っていると考えます。そのためにも、より厳格な基準なども踏まえた上で市町村との災害想定を図っていくことも大事であります。

 そこで、集中豪雨による水害や土砂災害などに対する減災について市町村とどのように連携していくのか、県の考えをお尋ねします。

 次に、前述と関連し、学校教育における危機管理について質問いたします。

 あの忌まわしい東日本大震災と原子力災害を経験した本県の子供たちにとって、防災や減災についての正しい知識を身につけていくこと、状況に応じ的確に判断することを学ばせていくことが大切です。幼き自分であっても、自分の身は自分で守るとともに、高学年の児童が低学年の児童を守るなど、子供たちが常に危機管理意識を持って自己責任のもとで行動することができるようにする学びが、これまで以上に学校教育現場において重要になってきています。

 さらに、校内における避難訓練はもとより、地域ぐるみの本格的な防災活動に参加し、有事の際に携わるさまざまな業種の方々が行う防災活動を児童生徒が直接見ることによって、学校教育の場において将来の職業選択にも結びつくような意識づけとなる防災教育が推進できるものと考えています。昨年度から本格的になった放射線教育もその一端ではありますが、今年度も数校のモデル校を選定し、推進している防災教育、生き抜く力を育む教育をより一層県内へと広めていくべきと考えます。

 そこで、県教育委員会は公立小中学校における防災教育にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。

 続いて、公助と自助を連携、また、牽引する共助体制として大事な自主防災について質問します。

 東日本大震災直後、多くの自主防災組織が中心となり、活動が展開され、住民相互の助け合いが大きな役割を果たすことが改めて認識させられました。自主防災組織は、県内において認められるところでも2,400以上に上り、それぞれが市町村、消防や警察、さらには地元消防団などと結びついています。

 震災以降は、それぞれが独自に地域実情に則した防災訓練を実施しているところもあります。しかしながら、地域間の災害対策に対する意識の格差や、それぞれが対象とする地域や住民を全てがカバーできているわけではなく、有事の際の体制としては万全とは言い切れません。

 当然ながら、ひとたび大規模な災害が発生したときに被害の拡大を防ぐため、まずは家族や自分の身をみずからで守るとともに、普段から顔を合わせている地域や近隣の人々が集まって、互いに協力し合いながら、防災と減災活動に組織的に取り組むことが重要であるため、何よりも自主防災組織は大きな役割を担っているわけであります。

 しかるに、自主防災組織がしっかりと活動できているかどうかが有事の際の共助体制における重要なポイントとなってきます。災害時において、基本的には市町村が自主防災組織と連携を図ることにはなりますが、自主防災組織がしっかりと機能していけるようにするためにも、定期的な訓練や講習会などが重要となってきます。

 例を挙げますと、私の地元では、老人保健施設と連携して、要介護者の救助や避難支援を年に一度実施し、参加者は200名以上に上ります。この訓練を通して、救助体制、避難誘導、炊き出しなど、各組織の連携や役割を確認することができ、その都度、課題改善に努めています。

 県内における2,400を超える自主防災組織が地域密着型の訓練により地域住民との信頼が深まる活動は望ましいことであり、全ての組織が年一度の訓練をするだけでも、少なく見積もっても30万人以上の県民が参加することになるかと思われます。これらを通して、それぞれの地域力の強化にもつながっていくため、県としても市町村と連携しながら、より一層の自主防災活動の推進を目指すべきと考えます。

 そこで、自主防災組織への支援について、県の考えをお尋ねします。

 引き続き、県として公助をつかさどる総合的な観点からの災害対策について質問します。

 未曽有の複合災害を経験した本県は、震災以降、防災・減災を強くうたってきました。しかしながら、これまでの間、県においては復旧事業への行政運営と復興への道筋を確かに示すための県政に重きを置かざるを得なかったわけで、浜地域の津波対策における防波堤など整備に向けて進んでいるものの、県内全域における災害対策に対するより密着した施策を県民に広げていくことは今後の課題となっています。

 有事における災害対策といえば、私が先ほどより申し上げてきましたハード面からのより厳格な基準も含めた検証の上、当該市町村とその地域住民への意識啓蒙、災害弱者となりやすい子供たちへの教育、自助をカバーしていくための共助である自主防災組織のあり方、また、消防、警察を初め企業や団体、福祉施設や医療機関との協力体制の確認などが不可欠です。それぞれがより円滑に連携を図るためには、日ごろから有事のシミュレーションの上、県においては広域自治体の責務として、市町村と連携し、共助体制の充実と自助に対する啓蒙が重要であると考えます。

 災害多発国である我が国の自然的特性に鑑み、災害の発生を想定外ではなく幅を持たせながら、公における防災強化、災害が発生した場合における被害を最小化とする共における減災体制の確認及びその迅速な回復を図るための公共の連携が重要であり、続発する豪雨や地震などの自然災害から県民を守るために、県においては日ごろから災害に対するさまざまな観点からの総合的な備えを行うことが重要であります。

 そこで、災害対策の強化について、県の考えをお尋ねします。

 今回の結びといたしまして、内堀知事へ質問いたします。

 昨年の9月、本年の2月定例会、引き続きとなりますが、福島の復興を力強く牽引していけると信じる東京オリンピックについてであります。

 この件につきましては、定例会ごとに質問があり、今後としては、来年1月、オリンピック合宿誘致に関する要綱の発表が予定されています。まだまだどのようにオリンピックへ参加していけばよいかと姿を捉えられない状況が続き、もどかしさがあった中、先日の12月8日、モナコで開かれたIOC国際オリンピック委員会の臨時総会において、中長期改革案「五輪アジェンダ2020」が審議され、満場一致の承認により、オリンピック開催都市の組織委員会がその一大会に限り実施種目の追加を提案できることとなり、メディアでも話題に上がってきているのが野球、ソフトボール競技の復活などであります。またあわせて、開催都市以外での競技の一部または競技全体の実施も可能となったことも画期的でありました。

 改革案「五輪アジェンダ2020」承認を受けて、翌9日、組織委員会の森喜朗会長が東京以外の会場について「福島と岩手に何かの予選を持っていくのも悪いことじゃない。」との発言があり、さらには、舛添要一東京都知事も「東京五輪は、ここまで復興したという日本を見せる大会であるべきだ。」と、一部の競技を東日本大震災被災地で開催することに意欲を示しました。まことにありがたいことと受けとめています。

 福島の真の復興を目指すためには、さまざまな課題が山積しようとも、それらに確固たる覚悟を持って対峙し、解決を目指すためにひたすらあらん限りの力を傾注することがまずは第一であります。しかしながら、自助努力もさることながら、周囲からの強い後押しも必要であります。

 そんな中、今般の国際的な最大の祭典であるオリンピックに本県が一翼または一つの核として参加していくことがかなえば、県民は確かに励まされ、より充実した本県復興の道しるべが示されることは明白となってきます。

 確かな牽引力と決断においてその職につかれた内堀知事においては、本県に光が当てられている今般の機を逃すことなく、県民一丸となった国際祭典であるオリンピックの隆盛を目指すべきであります。その先に福島の真の復興をなし遂げていくためにも、本県の存在感を確固たるものとして示していくべきであります。

 そこで、知事は2020年東京オリンピックにおいて本県に競技を誘致する考えがあるのかお尋ねします。

 組み組みの結びといたし、私たちは我が国有史以来の災害に直面していても、ともに懸命に生きていくことにより新しい時代を築き、後世へ受け継いでいく確かな責務を必ずやなし遂げる。あろうことかの大震災と原子力災害を経て、それぞれにこの経験を確かに生かし、よりよき教訓として次世代へ確実に引き継いでいく。

 真の復興を目指しながら、将来における世界への貢献につなげるために、今こそ本県がなすべき使命は重大であり、それを見据え、気づいたとき、政に携わっている我々はみずからの重責に身を引き締める。誠ある政をもって、その本懐を全うするために、事に臨んでは「泰然自若」でありながらも、猛々しく「進取果敢」であり続ける。

 以上で質問を閉じます。御清聴ありがとうございました。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)先崎議員の御質問にお答えをいたします。

 東京オリンピックについてであります。

 私は、東京オリンピックが開催される2020年までに世界から注目されるような復興を着実に推し進め、国の内外に福島の力強い再生の姿を発信していきたいと考えております。

 このため、既に大会組織委員会との間で聖火リレーや事前合宿等の関連事業の推進に連携して取り組むことなどを内容とした共同文書の取り交わし等を進めてきたところであります。

 そうした中、IOC臨時総会における改革承認案を受け、大会組織委員会の森会長や舛添東京都知事から、被災地における一部種目の開催可能性に言及があったことは、復興五輪の実現に向けた強い意思表示であると心強く受けとめております。

 私は、世界のトッププレーを間近で見ることは未来を担う子供たちの夢を育むことにつながると考えており、また、世界中から来県される多くの観客や選手に対し、復興へ向け着実に歩む「ふくしま」の姿や心からの感謝の気持ち「ありがとう」を発信していくことは本県の使命でもあると考えております。

 このため、市町村や競技団体と連携し、福島県への競技誘致を目指すこととし、今後競技を実施する施設等の状況も踏まえながら、競技誘致が復興のさらなる加速化につながるよう取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。

直轄理事兼安全管理監(藤島初男君)お答えいたします。

 受け手の立場に立った発信につきましては、ニーズ調査に基づき、県政広報テレビ番組の放送時間帯の見直しや県ホームページのスマートフォン対応など、「伝わる」発信に取り組んでまいりました。

 今後はこれらの取り組みに加えて、復興に関する情報をよりわかりやすく伝える新たな復興ポータルサイトの開設や速報性が高いツイッターでの道路通行どめ情報等の発信など、多くの県民に届く情報発信を強化してまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 自主防災組織につきましては、災害時に地域住民が協力し合う共助の観点から、初期消火や住民避難誘導などの防災活動において重要な役割を果たしていると認識しております。

 県といたしましては、市町村と連携して、防災出前講座や講演会の開催等による意識の啓発や、自主防災組織リーダー研修や防災士養成研修の実施による人材の育成を図るとともに、県の総合防災訓練や要支援者避難訓練への参画を通じて自主防災組織が充実強化されるよう、今後とも積極的に支援してまいる考えであります。

 次に、災害対策の強化につきましては、自助、共助、公助の観点から万全の備えを講じることが重要であることから、東日本大震災等の教訓を踏まえ、広報等を通じ県民の防災意識の高揚を図るとともに、自主防災組織の充実など地域防災力の向上に取り組んできたところであり、また、災害時の物資の確保や応援協定の推進など初動対応の強化に取り組んでまいりました。

 今年度は2月の大雪を踏まえた雪害対策や火山災害対策等の強化に取り組んでおり、来年度は危機管理部を設置し、危機管理体制の充実を図るなど災害対策を強化し、県民の安全・安心の確保に取り組んでまいる考えであります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 減災に関する市町村との連携につきましては、近年頻発する集中豪雨等に対し、地域における減災体制の構築を目的に水災害対策協議会を平成21年度に設置し、市町村とともに地域住民を対象とする防災講習会の開催や土砂災害危険箇所の点検などに取り組んでおります。

 今後とも本協議会を積極的に活用し、市町村とより一層の連携を図り、水害や土砂災害に対する地域防災力の向上に努めてまいります。

文化スポーツ局長(鈴木千賀子君)お答えいたします。

 震災及び原子力災害の記録と教訓を継承・発信する拠点施設につきましては、イノベーション・コースト構想に位置づけられたところであり、今後は同構想の推進会議や個別検討会において、被災県の立場からその設置を国に求めてまいる考えであります。

 また、県といたしましても、資料の散逸や記憶の風化を防ぐため、震災写真の収集やパネル展などを行っているところでありますが、今後は教訓がより多くの方々に伝わるよう、常設的な展示等も検討してまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 公立小中学校での防災教育につきましては、児童生徒が主体的に考え、判断し、行動できる力を育成することが重要であると考えております。

 このため、今年度新たにモデル校による防災マップ作成などの実践例を掲載した本県独自の指導資料を作成・配布し、各学校の防災年間計画の充実を図るとともに、災害時における家庭の約束事を記入する防災個人カードを全小中学生に配布して親と子の防災意識の高揚に役立てるなど、防災教育のより一層の推進に努めてまいる考えであります。

副議長(青木 稔君)これをもって、先崎温容君の質問を終わります。

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