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2015年6月定例会 代表質問 本田朋議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年9月7日更新

本田朋議員 

議員本田朋
所属会派(質問日現在)ふくしま未来ネットワーク
定例会平成27年6月
質問等代表質問
質問日6月18日(木曜日)

46番(本田 朋君)ふくしま未来ネットワークの本田朋であります。
ふくしま未来ネットワーク会派を代表し、質問をいたします。

 2006年、平成18年の2月定例会一般質問で初登壇をさせていただいて以来、きょうが通算16回目の本会議での質問でございます。どうぞ最後までよろしくお願い申し上げます。

 さて、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、私たち福島県民に未来に伝えていくべき大きな教訓と課題を残しました。

 今、被災地に対する関心の風化が懸念されていますが、復興への道筋を形骸化させてはいけません。未来の審判にたえ得るような県民主体の復興を実現するために、次年度以降、長期的な復興計画のフェーズに入りますが、我々にとっても重要な時期を迎えます。

 今年度は、東日本大震災からの集中復興期間としては最後の年度となりました。次年度以降の復興財源について、政府は本県を初め被災自治体の地元負担を導入する方針を明らかにしましたが、本県は人類史上類のない規模の原子力災害に見舞われ、いまだに11万人を超える被災者の方々が住みなれたふるさとを追われ生活をしていることに加えて、避難地域の復興という課題、そして汚染水流出問題などまだまだ予断を許さない原発の廃炉作業が続いており、復興は道半ばであると思います。

 明白かつ現在の危険、危機からの短期的な復旧から復興への中長期的なフェーズへと、福島県の完全復興にはまだまだ時間がかかる中、向こう5年間の本県の復興事業費については3.57兆円が見込まれ、地方公共団体を取り巻く厳しい財政運営が続く一方で、政府もまた世界に類のない巨額の財政赤字を抱え、歳出抑制は喫緊の課題であると言える状況で、復興費用の地元負担についてどのような調整が政府と行われるのか、私たち県民は県当局、とりわけ知事の姿勢に注目をしています。

 内堀知事は旧自治省の御出身であります。総務省はもちろん中央官界に深いかかわりがございます。ある意味、政府、総務省はみずからの出身母体でございますから、みずからの出身母体にどこまではっきりと物が言えるのか、ここも県民は深く注視していると思います。

 そこで、平成28年度以降の復興財源確保に向けた知事の決意をお尋ねいたします。

 次に、避難者支援についてであります。

 災害救助法に基づく仮設住宅は、あくまで仮設の住居であるわけですが、地震、津波、原子力災害から被害を受けた福島県の被災者は、それぞれが複雑な個別の事情を抱えています。避難は今後長期化が見込まれます。そのような中、みずからの生活の見通しを今後どのように立てていくのか、重要な時期に差しかかっていると思いますが、こうした中、県は先日、災害救助法に基づく仮設・借り上げ住宅の供与期間等の取り扱いを発表したとの報道がありました。仮設・借り上げ住宅の供与期間の延長と新たな支援策を行うとしたところであるとの報道があったわけでございますが、被災をされた一人一人の県民の心に寄り添うぬくもりのある支援策を期待申し上げる次第でございます。

 そこで、県が仮設・借り上げ住宅の供与期間の延長と新たな支援策を行うことについて、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、フューチャーセンターについてであります。

 人口減少と高齢化、そして逼迫する財政状況と積み上がる地方債、地方自治体を取り巻く環境は厳しいものがあります。一方で、義務的経費である医療、福祉の分野、そして人類共通の課題とも言えるエネルギーや環境の問題、地方創生にかかわるまちづくりや次世代を担う人材育成、教育問題など、既存の思考フレームやセクターを超えたクリエーティブな行政が今求められております。

 さらに加えて、本県においてはIT化やグローバル化の進展といった時代背景に加えて、大震災と原子力災害という要素が絡み、住民ニーズがますます複雑化、多様化、高度化していく中で、市民、県民と行政が未来志向のパートナーシップを構築し、復興を推進していくことが求められております。

 そこで、フューチャーセンターあるいはその場における対話、フューチャーセッションという手法を紹介したいと思います。

 フューチャーセンターはもともと北欧などの国において、企業などが知的資本概念のさらなる活用を図る目的で、知的資本経営効率化やナレッジワーカー育成という考え方から生まれた、その名のとおり未来の価値を生み出す場所として注目を集めています。

 欧州を中心として公的機関に広がり、中長期的な課題解決や複雑化する問題解決のために、専門家やステークホルダーに限らず、多様な人材がオープンに未来志向の対話をさまざまな主体と積み重ねていくことによって、創造性の高いアウトプットが期待できる場としてこれまで発展してまいりました。

 日本においても、民間企業や大学などのオープン・イノベーションの場として、また、公的機関においては未来に向けた市民参加のまちづくりの対話の場として、集合知結集の場所として期待が高まっています。

 そこで、県政運営に住民参加の新たな形態としてフューチャーセンターの手法を取り入れるべきではないかと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、自治体における政策法務についてであります。

 課題の解決や政策実現を図るために、法律、条例などを地域の実情に即して適切に解釈、運用、制定するには、政策法務の充実と自治体職員の政策法務能力向上が重要な課題であります。

 地方分権一括法による機関委任事務の廃止、そして法令による義務づけの撤廃と緩和、そして地方への条例制定権拡大など、自治体がみずから政策を立案し、運営していく必要性はこの10年間でとみに高まっていたところでありますが、より透明で公正な手続や行政判断への説明責任が問われる時代になったとも言えると思います。

 このような流れの中、行政判断が訴訟によって違法性の有無を司法判断される機会が増加してきているという背景があり、本県においてもこれまでふくしま自治研修センターにおける政策法務研修などにおいて成果を上げてきたところでありますが、大震災という有事を経て、このふくしま自治研修センターにおける政策法務の選択研修が縮小されたと聞いています。

 私は、有事が続いている本県においても、職員が自主的に政策法務能力を勉強する機会をふやしていくことは大事だと思いますし、県内市町村の法務担当職員が行政指導や処分などの手続を行う上では、法規の正しい理解と実践が必要だと思います。

 そこで、県は政策法務に関するこれまでの取り組みを踏まえ、県内自治体の政策法務をどのように充実させていくのかお尋ねをいたします。

 次に、職員採用候補者試験についてであります。

 時代の変遷と県民ニーズの複雑化、そして本県では震災前への単なる復旧にとどまらない県の新しい形を示す復興が求められている中で、行政事務職員に求められているスキルや能力も多様化していると思います。

 私は、民間企業やほかの地方公共団体、あるいはNGOやNPOなどさまざまな背景と経験を持った人材を本県復興を担う即戦力として県職員として採用すべきと思います。

 そこで、県職員採用候補者試験における受験者の年齢要件を撤廃すべきと思いますが、県人事委員会の考えをお尋ねいたします。

 次に、海外への情報発信についてであります。

 福島県は、人類史上に残る原発事故と放射線災害によって、世界中にその名がとどろいてしまいました。内堀知事は昨年の知事選当選の折、「世界に福島県の復興を発信したい。」とおっしゃっておられたと報道にありました。私も国際コミュニティーへの効果的な情報発信の必要性を感じています。

 私は昨年、アメリカ東海岸の大学において、福島県の復興について英語で講義を行い、現地の大学生と意見交換をしてまいりました。その後、シアトルで行われたエネルギー問題のカンファレンスで、原発事故や再生可能エネルギー普及について福島県の取り組みを英語でプレゼンテーションしてまいりました。また、パネリストとして福島県の脱原発の立場を発信してきました。

 また、ことしカリフォルニア大学ロサンゼルス校ラスキン公共政策大学院の福島県視察団に通訳として2日間同行させていただいたことを初め、イギリスやドイツのボランティア団体、フランスの企業幹部やコンサルタント、韓国、台湾、中国などのNGOや調査団などの福島県視察にそれぞれ通訳として受け入れをさせていただく機会に恵まれました。

 私なりに精いっぱい、これからも福島県の復興に立ち向かう姿を世界に伝える努力を続けてまいりたいと考えています。

 原発事故から5年目になりますが、世界はまだまだ福島県に注目し続けています。さまざまな国の方々から、ぜひ福島県を訪問したい、現場の思いを共有したい、復興についてもっとよく知りたいという要望が私のもとに寄せられます。

 そこで、県は本県の復興の現状を海外へどのように発信していくのかお尋ねをいたします。

 さて、これら海外の調査団や訪問団を受け入れる際、私は復興について、英文資料を県からいただいて説明に使用したり、あるいはみずから県議会として原発事故発生時どのような対応をしたのか、あるいはまた私個人としてどのような対応をしたのかということを英文のスライドにまとめて、それを用いてディスカッションをしていますが、決まって海外の方々から聞かれるのは、原発事故の初動対応について、地方の政府である福島県当局はどういった対応をしたのかという質問を頻繁に受けます。この初動対応を時系列にまとめた英文の資料をつくることによって、またいつか、もしかしたら世界のどこかで発生するかもしれない原発事故対応の教訓マニュアルとして役立てていただけるものと確信しています。

 そこで、原発事故発生当時の初動対応について英文の資料を作成し、世界に向けて発信すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、新たなリスクへの対応についてであります。

 地方公共団体をめぐって発生するさまざまな危機の内容は変化しています。自然災害やバイオハザード、感染症やテロなど、県民の安全・安心を脅かす危機はどんな形態でやってくるか予想がつきません。

 我が会派としても、今春新設された危機管理部として、今後発生の可能性があるリスクの洗い出しをする部門を新設すべきだと要望したところであります。県民の命と安全を守るという行政の基本的かつ根源的な責務を果たすために、あらゆる危機に対応できる体制を充実強化することが求められているという背景があります。

 危機管理という言葉には、今起きている、発生している危機に対応しつつ、平時の思考にとらわれず新しい判断基準による対応が求められるクライシスマネジメントと、もう一つ、「目的に対する不確かさの影響」と定義されていますが、ある事態が望ましくない方向性に向かう不確実性をどれだけ未然に想定できるか、これから発生するかもしれない危険に事前に対応していくことが求められております。

 そこで、県は想定していない新たなリスクにどのように対応していくのかお尋ねをいたします。

 次に、地方創生についてであります。

 地方創生元年と言われていますが、地方公共団体の多くが危機的な財政運営をしている中、継続的な人口減少と経済規模の減少が地域コミュニティーに大きな危機をもたらしています。

 また、それぞれの地方の歴史、文化、特色が失われ、地方都市のコモディティー化が進展している状況の中、福島ならではの緑豊かな自然や住環境、豊富な水や食資源などの福島県独自の魅力を地方創生にどう生かしていくか、他県に模倣されにくい差別化という視点が重要であると考えます。

 そこで、県独自の魅力を地方創生にどのように生かしていくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 また、人口が東京に一極集中しているという現実がありますが、民間有識者などで構成する日本創成会議が関東1都3県で介護施設が向こう10年間で13万人分不足するとの推計結果をまとめ、施設や人材面で医療介護の受け入れ体制が整備されている地方41都市を移住先の候補地として提案しました。残念ながら福島県内の都市は入っていませんでしたが、NPO法人ふるさと回帰支援センターがことし発表した2014年田舎暮らし希望地域ランキングで、山梨県、長野県、岡山県に続き、本県が4位にランクインし、東北地方では唯一のトップテン入りを果たしています。

 そこで、本県の特性を生かした定住・二地域居住の推進に取り組むべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、イノベーション・コースト構想におけるロボット産業についてであります。

 県が経産省などと進めている福島浜通りロボット実証区域事業などを通じて、災害用救援ロボットなどの開発を被災地で進める計画が進展しています。実際の被災地をこうしたロボット開発の実践の場とすることは世界でも珍しい取り組みとのことであり、期待をするところであります。

 例えば神奈川県でも既にさがみロボット産業特区を進めており、大学や企業の連携とオープンイノベーションによる取り組みに着手しており、神奈川県産業技術センターによる支援や実証実験の環境整備など、生活支援ロボットを中心とした技術の実用化と普及に取り組んでいます。

 しかし、一方で世界のロボット開発競争に目を向けると、本分野の先進国であるアメリカのロボット工学、開発産業は、グーグルやインテルといったIT企業が新分野として既に参入しており、情報通信分野とロボティクスの融合が進む中、今月カリフォルニア州で開催された災害ロボットコンテストで日本勢が敗れるなど、日本のロボット産業は後塵を拝しているとの評価もあるところです。福島の復興の象徴的プロジェクトの一つである本県へのロボット産業集積は極めて重要でありますが、こうしたグローバルな資本、技術、人材も積極的に取り込むべきと感じます。

 また、ロボット産業の一つであるドローンについても、過日の首相官邸におけるドローン墜落事件以降、法律や各地で条例による規制の方向に傾いているようですが、私は個人的には何でも規制すればいいという風潮には、特定秘密保護法や集団的自衛権の解釈変更と同じぐらいのレベルの危険な兆候を感じています。この一連の動きが過剰規制となり、ドローンやロボット技術開発のポテンシャル抑制、新技術のもたらすイノベーションの芽を潰してしまうような事態につながらぬよう慎重な対応を政府に望むところであります。

 そこで、県はロボット産業の集積に向けて必要な規制緩和にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、農業の生産効率向上についてであります。

 長野県は今年度より、農業の生産効率の向上を目指すため、富士通の農業クラウド「Akisai」なるサービスを活用することとしました。長野県内の農業法人と共同で県、企業、生産者や農業法人がプロジェクトチームを結成し、品種、面積、天候、作業時間などの各データをクラウドに蓄積することによって、生産コストや労務量を可視化し、生産最適地を探っていく取り組みであります。その分析結果に基づいて、これまでは農業生産者の勘と経験に頼りがちだった農業を、クラウドサービスで企業的経営として進化させる取り組みとして注目が高まっています。

 本県農業も風評被害による競争力低下が課題として挙げられていますが、ポテンシャルの高い本県農産物のブランド化戦略とクラウドサービスは極めて親和性が高いと私は思います。

 そこで、県は農業生産におけるIT活用をどのように進めていくのかお尋ねをいたします。

 次に、教職員のパワーハラスメント防止についてであります。

 教職員を取り巻く環境が多様化、複雑化する中で、メンタルヘルスなどの問題によって休職を余儀なくされるケースが多発していると聞いています。また、教職員の現場におけるパワーハラスメントは、県に相談体制はあるものの相談がしにくかったり、実効性ある解決方法を提供できていないとの声があるとも聞いております。

 そこで、県教育委員会はパワーハラスメントの防止にどのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。

 最後に、警察行政についてであります。

 県警察によると、自転車の利用者が関係する交通事故は年々減少傾向にあるとのことですが、それでも、昨年1年間に発生した交通事故のうち、自転車を利用し事故に遭われた方は約800人もおられるとのことであり、憂慮すべき状況だと思います。

 自転車は大変身近な乗り物で、若い方からお年寄りまで多くの方が利用していますが、中にはイヤホンをつけて周りの音が聞こえない状態で自転車を運転している方や、一時停止をしないで交差点に入るなど非常に危険な運転をしている方も目につきます。

 6月1日から道路交通法の改正が施行され、自転車で違反行為を繰り返した人には安全講習が義務づけられましたが、自転車利用者に対する交通安全教育を行い、自転車の交通ルールが守られるよう安全意識を高めていくことが極めて重要だと考えています。

 そこで、県警察における自転車利用者に対する交通安全教育への取り組みについてお尋ねをいたします。

 質問を閉じるに当たり、少々お時間をいただいて、本田朋、最後の挨拶を申し上げたいと思います。

 2005年、平成17年の県議会議員補欠選挙で当選させていただいて以来、3期足かけ10年間にわたり、多くの二本松市民、福島県民の皆さん、そして震災後は全国や海外の皆様方からのたくさんの御指導と御支援をいただき、これまで県議会議員としての職責を務めることができました。

 福島県の復興はいまだ道半ばという状況ですが、長期総合計画の改定、復興計画も策定されて、昨年11月には内堀新知事も誕生して、大震災と原発事故から5年目、福島県の復興も復旧段階から中期的な復興ステージに入ったことや、みずからのキャリアなどを踏まえて、10年を一区切りとして今期で県議会議員の職を退任させていただくこととしました。

 思い返せば、3期10年と一口に申しましても、県発注工事をめぐる汚職事件や東日本大震災、そして人類史に残る原子力事故など福島県は激動の時代でありました。今、この瞬間も10年間の県政でのさまざまな思い出や場面が胸に去来し、万感胸に迫る思いがあります。

 日本初の民会と言われる歴史と伝統ある福島県議会に参画できたことは私自身の人生において大きな意味をなし、誇りであります。そして、何よりこれまで支えていただいた多くの市民、県民の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 また、先輩・同僚県議会議員の皆様、皆様にお会いできたこと、そして同じ議会で一緒に仕事ができたことは、私にとりまして至上の喜びでありました。

 今、地方議会に対する期待も大きい一方で、注文も多くなっている時代です。しかし、この議場におられる、党派を問わず、先輩・同僚議員の皆様の福島県の復興にかける思い、ふるさと再生への情熱に日々触れさせていただき、必ずや皆さんであれば、この福島県議会であれば、県民の期待に応え、未来の審判にたえ得る歴史的復興をなし遂げることができると私は確信しています。本当に今日までやってこれたのは、先輩・同僚議員皆様方の御指導のおかげです。ありがとうございました。

 今後は一人の民間人として福島県の復興を応援しながら、福島県の完全復活を世界中に発信する活動などに取り組んでまいりたいと考えております。

 最後でございますが、先輩・同僚議員皆様の御健勝と福島県議会の発展を心から御祈念申し上げまして私の質問といたします。本当に長い間大変お世話になりました。

 県当局の積極果敢な答弁を期待しつつ、私の最後の質問を終わります。

議長(斎藤勝利君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)本田議員の御質問にお答えいたします。

 復興財源の確保についてであります。

 現在、国の策定作業が大詰めを迎えている来年度以降5年間の復興財源のあり方については、復興の基幹的事業や原子力災害由来の事業が引き続き全額国費負担とされる一方、一部の公共事業等への地方負担導入や復興特別会計から一般会計へ移行する事業、さらには本年度限りで終了する事業などが検討されております。

 本県は廃炉・汚染水対策、除染、被災者の生活再建や事業再建、インフラ復旧、風評被害など県全域で原子力災害が継続中であり、かつ、復興が長期に及ぶことが想定されます。

 私は、こうした福島県の特殊性を踏まえ、将来の財政悪化を招かぬよう、今後5年間における負担の極小化について復興推進委員会などあらゆる機会を捉え、復興大臣を初め国に対して強く訴えてまいりました。

 その結果、これまで緊急雇用創出事業として実施をしてきた見守りや避難指示区域内の警備等については、来年度以降も雇用支援とは別の形で支援するとされたほか、応援職員や復興支援員の人件費、地方税等の減収補填」、風評被害対策等については震災復興特別交付税による全額国費負担の方向性が示されるなど、国と本県との考え方の距離は相当近づいてきたと実感をしております。

 近日中にも、来年度以降5年間の復興支援の枠組みが示される見込みでありますが、引き続き公共事業における一部負担導入への対応も含め、本県復興に必要な財源が確実に措置されるよう全力を傾けてまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。

総務部長(藤島初男君)お答えいたします。

 フューチャーセンターにつきましては、さまざまな立場の参加者が課題解決に向けて対等に対話できる場として一部民間企業等で設置されておりますが、県におきましては計画策定過程やまちづくり等において多様な主体の参加のもと、ワークショップの開催等によりさまざまな意見を取り入れてまいりました。

 きめ細かな施策の展開や地域課題の解決においては、多様な意見の反映が重要であることから、今後ともあらゆる主体が行政に参画できるよう、その手法も工夫しながら行政運営に取り組んでまいる考えであります。

 次に、県内自治体の政策法務につきましては、これまで自治体職員を対象とした研修や関連情報の提供などにより、その能力向上に取り組んでまいりました。

 震災後、県内自治体が法的課題に直面する中、県は円滑かつ迅速な復興に向けた環境影響評価条例の改正、仮設住宅への医療従事者等の入居を可能とする要件緩和、市町村への原子力損害賠償に関する助言など、法令等を適切に解釈、運用、制定することで、さまざまな課題に対応してまいりました。

 今後、自治体職員が研修等で得た知識と震災対応で培った経験を十分に生かしつつ、政策法務能力を一層発揮することができるよう、弁護士資格を有する職員を活用した相談支援、研修内容の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、海外への情報発信につきましては、ことしに入り、日本駐在の外交団等に対するセミナーや国連防災世界会議、太平洋・島サミットなどにおいて、海外の要人等に対し本県の現状や復興に向けた取り組み、農林水産物や観光の魅力などを知事みずから発信してきたところであります。

 今後も県内在住の外国人から見た福島の今を伝える記事をふやすなど、県公式フェイスブックの充実や在外県人会等との連携による海外イベントでの情報発信を行うとともに、知事就任後初の海外訪問となる欧州訪問、ミラノ国際博覧会における本県の食文化や食の安全確保の取り組みの出展などさまざまな機会を通して復興の現状がより効果的に伝わるよう取り組んでまいります。

危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。

 原発事故発生時の初動対応につきましては、本県が経験した当時の状況を広く世界の人々に伝えることは、このような事故を二度と繰り返さないため、さらには原子力災害を風化させないために重要なことであることから、県や関係機関の初動対応の状況について英文の資料を作成し、各種会議で資料として配付するとともに、県のホームページなどで発信してまいりたいと考えております。

 次に、新たなリスクへの対応につきましては、東日本大震災及び原子力災害の教訓を踏まえ、安全に係る総合的な調整機能と災害対応に係る実務機能を統合するとともに、危機管理監を設置するなどさまざまな危機事象に対応するための体制を整備したところであります。

 想定していない新たな危機事象が発生した場合には、危機管理部長が兼務する危機管理監が知事の命を受け、危機管理に関して全庁を統括するとともに、緊急的対応に関する事務について他部局を指揮監督し、速やかに初動対応に当たるなど、県民の安全・安心を確保してまいります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 地方創生につきましては、福島の持つ強みを生かし、豊かな自然、多様な伝統文化等、地域の宝を再確認し、さらに磨き上げていくとともに、首都圏に隣接しているという地理的条件を十分に生かしていくことが重要であると認識しております。

 そのため、今年度から国の交付金を活用し、二本松市の伝統的和紙づくりへの地域おこし協力隊の導入や天栄村における定住・二地域居住のモデル事業などを先行的に始めるところでありますが、本年秋ごろを目途とする総合戦略の策定過程の中で、本県の魅力や強みを生かした効果的な事業をさらに検討してまいります。

商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。

 災害対応ロボット産業集積に係る規制緩和につきましては、本年4月から取り組みを開始した福島浜通りロボット実証区域において、本県の災害対応ロボット開発地域としての優位性を一層高めるため、電波法や航空法などの関連規制の緩和を内容とする国家戦略特区の提案を今月行ったところであります。

 災害対応ロボット産業の集積に向けては、すぐれた研究開発環境の提供が重要であることから、今後ともイノベーション・コースト構想におけるロボット・テストフィールドの整備とあわせて、必要な規制緩和の実現を国に積極的に働きかけてまいります。

農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。

 農業生産におけるIT活用につきましては、作業効率や品質の向上等を通じて、生産性向上に寄与するものと考えております。このため、野菜ハウスでの土壌水分と養分の自動制御や牛の分娩監視通報システムを昨年度から3カ年計画で農家に導入し実証しているほか、今年度は水田管理作業の効率化に向け、水の深さや水温等の自動計測システムの実証にも取り組むこととしております。

 今後はこれらの実証の成果を現地検討会や展示会の開催、普及指導員の活動を通じて農業者への普及に努め、収益性の高い農業経営の構築を目指してまいる考えであります。

避難地域復興局長(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 仮設・借り上げ住宅の供与期間につきましては、避難指示の解除はもとより、復興公営住宅の整備や市町村の復興状況等を踏まえて検討し、国との協議を重ねてきた結果、現在供与対象の54市町村全てにおいて、さらに1年延長することといたしました。

 平成29年4月以降の対応については、避難指示区域は今後判断することとし、避難指示区域以外については除染の進捗、食品の安全性の確保等生活環境が整いつつある中、応急救助という災害救助法の基本的な考え方からこれ以上の延長は困難と判断し、地震・津波被災者への特定延長を除き、災害救助法による住宅の供与から県による新たな支援策に移行することといたしました。今後も避難者の思いを尊重しながら、きめ細かな支援に取り組んでまいります。

観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。

 定住・二地域居住の推進につきましては、これまで豊かな自然や温かな県民性等の本県の魅力を広く発信するとともに、移住を希望される方々に寄り添い、きめ細かく対応してまいりました。

 今後はさらに、福島の復興を支えたいという熱い思いで移住した方々や本県を活動の場に選んだ地域おこし協力隊員等との連携を深めながら、復興に向けチャレンジし続ける本県の姿を福島ならではの新たな魅力として全国に発信し、定住・二地域居住を推進してまいる考えであります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 パワーハラスメントにつきましては、被害者の人格を傷つける悪質な人権侵害であり、正常な教育活動に支障を来すものであることから、管理職に対しては研修会等においてその具体的な行為や職場にもたらす損失等を示しながら、その防止に関する指導を徹底するとともに、教職員に対してもチェックシートに取り組ませるなど意識の醸成を図っているところであります。

 また、教職員からの苦情等に対応する相談窓口を県教育委員会内に設け、その周知に努めているところであり、今後ともパワーハラスメントのない風通しのよい職場環境づくりに取り組んでまいります。

人事委員会委員長(平 雄一君)お答えいたします。

 職員採用候補者試験における受験者の年齢要件につきましては、長期勤務による人材育成や能力開発を図る観点から一定の上限を設定しておりますが、平成23年度には民間企業等での職務経験者を対象とし、上限年齢が59歳未満の試験を新設したほか、平成25年度から大学卒程度試験の上限年齢を6歳引き上げ、35歳未満といたしました。

 今後これら試験見直しの成果を検証しながら、本県の復興・再生を担う熱意と使命感を持った人材を確保するため、各任命権者の意向や国、他の自治体の状況等を踏まえ、試験制度の必要な見直しに取り組んでまいります。

警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。

 自転車利用者に対する交通安全教育の取り組みにつきましては、交通事故の怖さや交通ルールを守ることの重要性が実感として体験できるよう、スタントマンによる事故危険場面の実演や自転車シミュレーターを活用した参加体験型の自転車安全教室の開催のほか、各種講習会や街頭キャンペーン等において自転車の正しい乗り方を示した自転車安全利用五則を活用し、その周知徹底を図っているところであります。

 県警察といたしましては、引き続き関係機関等と連携し、講習機会の拡大や街頭指導の強化等により自転車利用者の安全意識の高揚に努めてまいる考えであります。

議長(斎藤勝利君)これをもって、本田朋君の質問を終わります。

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