ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2015年6月定例会 討論 宮本しづえ議員

2015年6月定例会 討論 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年9月7日更新
宮本しづえ議員 
議員宮本しづえ
所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成27年6月
質問等討論
質問日7月1日(水曜日)

13番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。
日本共産党県議団を代表して、知事提出議案、議員提出議案及び請願について討論を行います。

 最初に、知事提出議案について、第4号、15号、25号、26号、53号から56号について意見を述べます。

 まず、議案第4号福島県税条例等の一部を改正する条例についてです。

 この条例案は、地方税法の改正に伴うものです。住宅ローン減税等一部県民利益に合致する内容があるものの、改正の基本的内容は、資本金1億円を超す中規模の企業、本県では約1,800社に対し、法人事業税に導入されている外形標準課税を一律課税する付加価値割を0.48%から0.96%に2年間で2倍に拡大強化するものです。

 外形標準課税は事業所の従業員数等の規模にかかる税率で、赤字の企業にも大きな税負担を求めることとなります。昨年からの消費税増税により、小規模企業ほど経営は困難になったと言われています。一方、大企業には実効税率を引き下げ、2年間で1兆6千億円の減税を行うための財源に充てられようとしているのです。

 安倍政権が言う世界一企業が活躍しやすい国をつくる口実で、内部留保金をふやし続ける大企業には減税し、赤字の企業に税負担を強化することは、税の応能負担の原則にも反するとともに、経済政策としても全く逆立ちであり、容認できません。

 また、この条例案では2017年4月から消費税を10%に引き上げることを前提としています。さらなる消費税増税は実施すべきではないと国民の反対世論が根強い中で増税を既成事実のように扱うことは問題です。

 次に、議案第15号福島県個人情報保護条例の一部を改正する条例についてです。この議案は、いわゆるマイナンバー法の施行に伴い、県が管理する個人情報の扱いについて条例の改正を行うものです。

 マイナンバー制度は成立前から番号で国民を管理するとして反対が強い法案でした。しかも、5月、日本年金機構の個人情報100万件を超す大量流出が明らかになり、個人情報管理のあり方に国民の大きな関心と注目が集まっています。

 このたびの年金機構の個人情報漏えい事件を通して明らかになったことは、情報管理の専門家が国会で「情報漏えいを100%防止することは不可能」と指摘したように、ネット上に個人情報がアップされてしまえば、漏えいを防ぐことはできないこと、仮にそのシステムができたとしても、扱う人間が漏えいさせる意図を持って操作することは防止できないこと、一旦漏れた情報は取り返しがつかず、売買されてしまうこと、さらに情報量が大きくなればなるほどサイバー攻撃の危険が高まるということです。

 県民の個人情報を管理する県として、個人情報保護の立場に立つならば、マイナンバー制度の施行を前提とした本議案の提出は適切ではないと言わざるを得ません。

 次に、議案第25号及び第26号、県が行う建設事業等に対する市町村の負担についてです。

 原発事故から5年目に入っても、県民生活もなりわいももとに戻っておらず、市町村財政も厳しくなっています。地方財政法は、負担を求めることができるとするもので、義務ではないので撤廃する県もあります。県内市町村が置かれた特別な困難にも着目し、市町村負担はこの際撤廃すべきです。

 次に、議案第53号から56号についてです。これらの議案は、県営住宅入居者に退去、明け渡しの訴えを起こすものです。

 裁判に至るまでには、調停等の手続で使用料の納入を求めてきた経過があることは承知をしています。しかしながら、住宅の明け渡しを求め、住まいを奪うことは生存権の基本にかかわる重大な問題であり、行うべきではないと考えます。県には家賃の減免制度も設けられており、その周知徹底を図るなどより丁寧な対応が求められているのではないでしょうか。

 次に、議員提出議案及び請願について意見を述べます。

 まず、議案第364号から議案第366号まで、安全保障関連法案、いわゆる戦争法案の撤回及び慎重審議を求める意見書についてです。

 政府が提出した法案は、代表質問でも指摘したように、これまで行かないとしていた戦闘地域に派兵し、憲法が禁じる武力行使を可能にするもので、憲法違反は明瞭です。

 安倍首相を初めこの法案を推進する人たちは、アメリカ追随、日本が起こした侵略戦争を間違った戦争と認めない異常な歴史観を持つ靖国派と呼ばれる勢力です。時の政権の暴走を縛るのが憲法であり、これは立憲主義の近代憲法の大原則ですが、この立憲主義を否定する前近代的な思想の持ち主たちです。

 安倍政権は今国会での成立を狙い、通常国会の会期を3カ月以上も延期するなど異常な態度をとり続けています。しかし、この法案は議論すればするほど憲法違反の実態が明らかになり、自民・公明政権与党が推薦する憲法学者までが憲法違反との認識を示したことで世論の潮目が大きく変わりました。

 この間、大多数の憲法学者に加え、元自民党幹事長や閣僚経験者がそろって「違憲」との記者会見を行い、国会に招致された歴代内閣法制局長官が「憲法違反」と述べるなど、これまで自民党政権を支えてきた人たちからも憲法違反との指摘が相次いでいるのです。

 追い詰められた安倍政権と憲法破壊の推進勢力は、まともな議論に耐えらなくなると、マスコミを攻撃、言論抑圧の態度に出ています。これに対して「戦時体制下の言論統制を再燃させるかのような言動だ。」、「戦後の民主主義を信じてきた者にとって脅威の発言であり、国会議員がここまで反動化しているのかと背筋が寒くなった。」などの投書が載りました。

 また、自民党議員らの会合を批判する社説、論説を掲載した地方紙やブロック紙は29日までに全国26紙に上り、日本新聞協会も声明を発表しました。

 「子供や孫、恋人や夫を戦場に送ることは許さない。」、「憲法を壊すな。」「戦争する国づくりやめよ。」、「国会での強行は許さない。」との怒りの声が日本列島を覆い、全国の世論調査では今国会での成立は拙速とする意見が8割を超えています。

 6月29日発表の福島民報社と福島テレビが共同で行った県内世論調査でも、法案は「憲法違反ではない」が15.3%に対して「憲法違反」は54.3%、集団的自衛権行使容認に「賛成」が14.5%に対して「反対」が51.7%と、いずれも圧倒的県民がこの法案を支持しておりません。

 県民の多数が認めていないこの戦争法案のごり押しを許していいのか、我が県議会の良識が問われています。歴史に禍根を残さないためにも当然可決すべきものです。関連する請願336号から340号は採択すべきです。

 次に、議案第367号社会保障・税番号制度の実施の中止を求める意見書についてですが、これは知事提出議案第15号と同じくマイナンバー制度に関連するものであり、さきに述べた同様の理由でこの議案は可決すべきです。

 次に、議案第376号介護報酬の再改定を求める意見書についてです。

 ことし4月の介護法酬改定により全体の改定率は2.27%の大幅マイナスとなりました。ある事業者は、「4月分だけでも200万円から300万円の減収になる見込みで、年間に換算すれば10人を超す人件費に相当する。」と話しており、減収幅が大きい事業を今年度から廃止したという事業者もあるなど既に影響は明らかとなっています。本県介護事業を支えてきた事業者の経営が立ち行かなければ、介護の基盤が崩壊します。

 大震災と原発事故による避難者を中心に要介護者が増大しているもとで、介護事業が成り立たなければ県民の介護要求に対応できなくなる事態も生じかねません。事業者を廃業に追い込む介護報酬の引き下げは早期に是正すべきです。介護報酬を直ちにもとに戻すとともに、介護職員の処遇改善加算は利用者負担にならない交付金で行うべきです。よって、議案第376号は可決し、関連する請願第345号は採択すべきです。

 次に、議案第369号環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPP交渉状況に関する情報開示を求める意見書についてです。

 日本政府は、TPP交渉についての情報は原則秘密扱いされているとしてこの間の交渉内容を一切公表していません。ところが、相手国では情報開示されるため、外国から必要な情報が入ってくるという状況が生まれています。これは誰のためのTPP交渉かを示すもので、国民不在と言うしかありません。

 県内では、5月30日にJA新ふくしま主催で1,300人が参加する反対集会が開かれ、情勢報告の講演を行った鈴木宣弘東大教授は、TPPがアメリカの強い要求に基づくもので、日本を丸ごと売り渡すものだと痛烈に批判しました。

 また、6月21日にはJA県中央会主催で国会決議の遵守を求める2,000人の集会も開かれるなど、TPP反対の県民世論は依然として反対多数は明瞭です。国民に交渉内容を隠しながら、農業を初め日本経済に壊滅的打撃を与えるTPP交渉を継続することは許されず、本議案は当然可決すべきです。
 
 次に、請願346号介護予防・日常生活支援総合事業への移行に当たってサービス低下を招かないよう市町村を支援することを求める請願についてです。

 介護保険制度改定により、要支援1と2の要介護者のデイサービス、訪問介護事業が介護保険事業から切り離して市町村事業とされ、3年以内の実施が義務づけられました。しかし、県内でも今年度から実施するのは3市町にとどまるなど制度移行が進まない背景には、利用者に必要なサービスが本当に確保できるのか、そのための人材が確保できるのかなど不安要素が大きく、実際に従来どおりのサービスを継続しようとすれば市町村に相当の財政負担が生じることが予測され、自治体の財政事情で受けられるサービスに差が生じる可能性があるからです。

 請願では、県民がひとしく必要な介護が受けられるよう市町村への支援を求めています。一番の問題は介護保険法を改悪したことですから、法の見直しを求める必要があります。同時に、広域自治体として市町村を支援するのは当然必要なことであり、本請願は採択すべきです。

 以上、知事提出議案第4号、第15号、第25号、第26号、第53号から第56号は否決、議員提出議案第364号から第366号、第367号、第369号、第376号は可決、請願336号から340号、345号及び346号は採択すべきとの意見を述べて討論を終わります。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。