ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2015年9月定例会 代表質問 立原龍一議員

2015年9月定例会 代表質問 立原龍一議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月7日更新

立原龍一議員

議員

立原龍一

所属会派
(質問日現在)

民主・県民連合

定例会平成27年9月
質問等代表質問
質問日

9月15日(火曜日)

37番(立原龍一君)民主・県民連合会派の立原龍一でございます。

 このたびの集中豪雨により被災された方々や自宅を離れ避難を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げますとともに、各地での避難者誘導や水防活動に御尽力をいただいている消防団員の皆さんや消防署、警察署の皆さん方に改めて敬意と感謝を申し上げます。

 それでは、会派を代表して、通告に従い質問を行います。

 初めに、危機管理部の意義について伺います。

 県では東日本大震災及び原子力災害の教訓を踏まえ、これまでの知事直轄総合安全管理課、生活環境部の消防保安課、災害対策課、原子力安全対策課を、本年度から新たに危機管理部を設置してこれらを再編し、危機管理部として地震や津波、集中豪雨などによる土砂災害、火山災害などの自然災害に加え、大規模な爆発事故や新たな感染症などさまざまな危機事態が発生した際に的確に対応していくため、危機管理体制の整備はもとより、危機発生時にいかに職員が組織の中で危機への対応力を発揮できるかなど、初動体制のあり方や市町村との情報伝達、あるいは消防、警察、自衛隊などとの連携が的確に発揮できるのかが複合災害への対応として重要になってくると思われます。

 そこで、県の危機対応について、新たに危機管理部を設置した目的と職員の危機管理意識を向上させる取り組みについてお尋ねをいたします。

 次に、土砂災害防止法改正後の基礎調査についてお伺いします。

 土砂災害は毎年のように全国各地で発生しており、私たちの暮らしに大きな影響を与えております。昨年8月の広島市における大規模土砂災害は警戒区域外での発生で、多くの人命が失われました。

 国はこれを契機に昨年11月に土砂災害防止法を改正し、本年1月に施行された改正土砂災害防止法では、土砂災害のおそれがある区域を住民に速やかに知らせるため、土砂災害警戒区域等の指定を待たずに基礎調査の結果を公表することが義務づけられ、今後5年以内に基礎調査を完了させる目標が設定されたところであります。

 県では基礎調査をおおむね5年で完了すると聞いていますが、崖崩れ、土石流、地すべりなど基礎調査に基づく土砂災害の区域等を指定し、市町村と連携して危険区域を明らかにし、ハード対策とあわせてソフト対策を充実させ、人命や財産を守ることが大切であります。

 そこで、土砂災害防止法の改正により公表が義務づけられた基礎調査の実施の状況と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

 次に、復興・再生に向けた取り組みについて伺います。

 2016年度の予算編成に向けた主な省庁の概算要求が先月の28日に出そろい、一般会計の要求総額は102兆円と過去最高を更新する見込みとなりました。本県関係では、原子力災害からの復興・再生を加速するため、放射線量の測定や風評対策、産業支援など、本年度で終了する予定だった事業は新たな制度に切りかわり、復興庁は総額9,585億円を要求したところであります。

 また、各省庁とも地方創生に要望が集中し、人口減少対策に取り組む自治体に総額1,080億円を配分する新型交付金や地方創生を担う人材育成事業を要望したところであります。

 避難指示が出された12市町村の将来像や関連事業、あるいは12市町村の事業者の自立支援事業など、これから本格化する事業もある中で、今年度で集中復興期間が終了し、今後は人口減少対策や地方創生とあわせた新たなふくしまの復興・創生へと挑戦していかなければならないと思います。

 そこで、復興・創生期間において、知事は本県の復興にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。

 次に、復興の担い手である若者の育成についてお伺いをいたします。

 震災から4年6カ月がたちましたが、地震、津波、原子力事故から、いまだに11万人弱の県民が自宅を離れ避難しており、本県の若者や子供を取り巻く環境は依然として厳しい状態にあります。

 本県の復興・再生は長い道のりでありますが、このような厳しい環境の中にあっても、本県の若者たちはスポーツや文化、ボランティア活動などの分野でたくましくすばらしい活躍を見せてくれております。将来の復興の担い手である若者を育成支援していくことは現在の私たち大人に課せられた責務であり、福島県の子供たちが互いに助け合いながら県人として誇りを失うことなく、復興の担い手として育てていくことが必要であります。

 教育委員会では、今年度から「子どもがふみだすふくしま復興体験応援事業」を立ち上げ、さまざまな機会に子供たちが福島の今を伝える活動や復興に貢献する社会体験活動に対して手厚い補助事業を募集しているところでありますが、小中高等学校とも、これまで行ってきた他県での文化・スポーツ活動の延長ではなく、新たな事業をみずから考え、行動を起こすことが求められ、この事業のハードルはかなり高く、採択件数も20数件にしか満たない状況にあります。

 本県の小中高等学校での文化・スポーツ活動はレベルが高く、全国大会に出場する機会を得たスポーツ少年団や部活動に所属する多くの児童生徒がおります。このような選手がレセプションや交流会で福島の元気なメッセージを発信する機会は相当あり、こういった活動に県が幅広く支援を広げることで、復興の担い手となる若者の育成とあわせて福島県のアピールにつながるのではないかと思います。

 そこで、スポーツや文化で活躍する若者の育成にどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。

 次に、復興・再生に係る基金について伺います。

 国は、被災地に財源や人材を集中投入する復興集中期間は本年度で一旦終了し、来年度から5年間は復興・創生期間と位置づけたところであります。当初は、農地の放射性物質除去や低減技術開発、再生エネルギー次世代技術開発事業などは終了とする方針でありましたが、農林水産省は28年度、除染した農地の再汚染防止技術の確立を図ることや、経済産業省でも復興特別会計で藻バイオマス燃料などをエネルギー特会に切りかえ、引き続き研究開発に取り組む方針とされました。

 森林整備事業については森林再生事業として継続され、地域公共交通確保維持改善事業につきましては復興特別会計から一般会計などで対応するとされていますが、復興予算の確保には被災地の現状に合わせた継続への説得力や福島特措法をその都度見直すことが必要であり、また、来年度からの5年間の復興事業の枠組みについては総額6兆5千億円が見込まれたところであります。

 当初は道路整備を中心とし、県の負担額が410億円程度になると試算されましたが、内堀知事を初め執行部の皆様の粘り強い交渉などにより、本県の負担はおおよそ70億円程度に圧縮されたところであります。また、不測の事態に対応した財源の確保や県の単独事業で行ってきた復興事業は、発災以来造成してきた、そして積み増ししてきた除染基金など八基金の今後の運用の仕方に工夫が期待されるところであります。

 そこで、復興・再生に係る基金の活用状況と今後の見通しについてお尋ねをいたします。

 次に、廃炉に向けた取り組みについて伺います。

 廃炉とは、溶けた核燃料、いわゆるデブリの取り出しの終了を意味することと思います。東京電力福島第一原発1号機のデブリは圧力容器の中にはないことが宇宙線による測定などによりおぼろげながらわかってきました。しかし、その取り出しには30年から40年かかると言われ、現在では3号機からの使用済み燃料棒の取り出しなど、その前段である作業が続いています。

 汚染水対策もその一つであります。原子炉建屋周辺の井戸サブドレンからくみ上げた汚染地下水をタンクにため、放射性物質の除去装置を使って浄化し、国の放出基準よりも厳しく設定して海洋に放出するものであります。東電は建屋に流入する地下水の量が1日300トンから150トン減ると見積もっておりますが、福島第一原発の安定のためには、この地下水位が下がり過ぎて建屋の汚染水が漏れ出さないように慎重な作業が求められているところであります。

 これまでもフランジ型タンクの継ぎ目から汚染水が漏れ出す事故や3号機の瓦れき撤去による際の放射性物質の拡散、また、汚染雨水がK排水路を通じて港湾外の外洋に流出していたことなどが報道されるたびに、福島第一原発の安定性に対する疑問、それに伴う風評被害の拡大が再燃してきた経緯があります。

 今後行われる1号機のカバー撤去や3号機の使用済み燃料棒の取り出しなど、これらの廃炉に向けた作業におけるリスクの予見に対し、廃炉安全監視協議会と連携して福島第一原発の廃炉に向けた各種作業の安定に向け、事故が起きる前に、そこに潜む見えないリスクに対し積極的に向き合っていくべきと思います。

 そこで、県は福島第一原発の廃炉に向けた取り組みが安定して行われるようどのように対応していくのかお尋ねをいたします。

 次に、教育旅行の支援について伺います。

 昨年1年間の観光全体の入り込み数は4,689万人と震災前の82%まで回復しましたが、教育旅行は保護者や学校関係者の原発事故の影響への懸念が他県に定着しつつあるということもあり、教育旅行の回復はおくれていました。

 しかし、風評払拭のため、職員が県内への教育旅行を計画している他県の学校を積極的に訪問し、食の安全を確保する取り組みや放射線への正しい情報提供などにより、震災前に比べて昨年度は35万人程度が教育旅行で県内に宿泊し、前年度に比べ10%増となりました。

 また、本年度からバス代の一部を補助する制度が始まったことや合宿に対する補助を手厚くすることにより、教育旅行の期待が膨らんでおります。一方で、合宿補助の採択はその大半が大学生と高校生で占められております。中学生の合宿は少ないのが現状であります。

 教育旅行の補助制度は、中学生の部活は補助対象外とされていますが、既にスポーツ少年団や中学校の部活動では他県との交流試合などで本県を訪れているチームが相当数あると聞いております。他県の中学生が本県を訪れる機会をふやすことは、風評対策としても将来とも有効であると考えられるため、教育旅行の補助事業から中学生の部活動、クラブ活動を対象外とすべきではないと思います。

 そこで、県は部活動を含めた教育旅行の支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、過疎・中山間地域の振興について伺います。

 本県の過疎・中山間地域の振興に関する年次報告書(平成26年度)が今月になって取りまとめられましたが、過疎・中山間地域の範囲は県の面積の8割、人口の約3割、51市町村が該当し、65歳以上の高齢者比率の推移は、平成26年10月の時点で県平均の27.6%に対し、全域が過疎・中山間地域に該当する38市町村では31.4%、全域が過疎地域に該当する26市町村では34.6%と、依然としてその開きが進んでいる状態にあります。

 また、日常生活におけるコミュニティー活動などの面で重要な役割を果たしている集落につきましては、若年人口の減少により、集落が果たしてきた相互扶助的な機能の低下や空き家の増加、森林の荒廃、耕作放棄地の増加に伴う鳥獣害の増加など、集落維持の課題が深刻化してきております。

 そこで、県は過疎・中山間地域における集落の活性化にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次は、介護人材の確保と定着促進について伺います。

 東日本大震災及び福島第一原発の過酷事故により、本県では介護施設、事業所からの人材の流出が続き、県全体で人手不足の状況が深刻化しております。7月の介護職種の有効求人倍率も2.93倍と、県内の有効求人倍率の1.48倍を大きく上回り、また、今年度より介護職員の処遇加算改善策についても新しい算定区分加算1が追加され、介護職の賃金はならしで27,000円が加算されることになりました。しかし、県の調査によりますと、勤務年数3年未満の退職職員の割合が平成26年1月の時点では70.2%と高い状況にあります。

 介護職の離職が多い原因は、作業そのものがきつい、つらいなどがありますが、このキャリアパスの基本は初任者研修から介護福祉士、そして認定介護福祉士へとステップアップしていくことにあり、また離職防止のためには、それぞれの職位に求められる役割や仕事の種類を細分化し、各職位における権限と責任についても整理する必要があると思います。そうした取り組みが行われない場合には、責任、権限の範囲が大きくなりがちで、下位の者の不満がたまり、離職につながりやすくなるのではないかと思います。

 そこで、県は介護人材の確保と定着促進について、これまでの取り組みを踏まえどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 次に、放課後の子供の支援について伺います。

 人口の減少に伴い、各地で小学校の統合の動きが加速しております。統合された小学校への通学の足は必ずしも公共交通機関とは限らず、スクールバスで代行されることが多いと聞きます。

 一方で、地域には公共交通機関としての民間バスのほか、スクールバス、幼稚園バス、福祉バス、病院バス、買い物バスなどさまざまな交通機関が相互に乗り入れておりますが、お年寄りと子供が安心して一緒に乗れるスクールバスを運行しているケースはそう多くはありません。このため、放課後に統合小学校からスクールバス等で送られてくる子供たちが放課後をどのように過ごすのかは地域の課題となっております。

 現在、児童館や小学校の空き教室での放課後児童クラブは、保育に欠ける児童のみが対象とされておりますが、今や小学生の放課後の健全育成の観点からしても、共働き等の家庭の子供に限らず、全ての児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験活動を行うことができるようにすることは地域の重要課題であり、全ての児童を対象とした総合的な放課後児童対策を講じる必要があると思われます。

 そこで、放課後児童クラブと放課後子ども教室の連携について、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、若者の雇用対策について伺います。

 最近の雇用情勢については、先ほども申し上げましたが、県内の有効求人倍率は1.48倍となり、バブル期以来の求人率であります。しかし、地域によっては1.0を下回るところもあり、職業間でのミスマッチも生じているところであります。

 東日本大震災の際に失われた雇用は7万人とも言われましたが、緊急雇用対策で毎年3万人以上が雇用され、また、ふくしま産業復興企業立地補助金による雇用創出はことしの3月12日現在で433社が採択され4,987人、津波・原子力災害被災地雇用創出企業立地補助金では、4月24日現在で181社が採択され2,500人、合わせて7,092人の雇用が見込まれ、緊急雇用から産業雇用への創出に貢献をしているところであります。

 また、今春の新規高卒者の県内就職率は81.8%と8割を超えているものの、県内新規大学者等の県内就職率は53.5%という状況にあり、地方での採用は主に高卒者であり、大卒者は県内就職を希望しても首都圏に流出している状況にあります。このような複雑な雇用情勢の中、県内の若者の雇用は流動的な状況にあります。

 そこで、県は本県の復興を支える若者の雇用対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 次に、農業の振興について伺います。

 農業の再生につきましては、6月定例議会の当会派の西丸議員の代表質問に答え、「農村地域の活性化については、多面的機能を発揮するための地域政策と、農業を産業として強化していく産業政策を両立させることが重要な課題である。」との答弁をいただきました。

 本県の農業産出額は平成25年度で2,049億円まで回復しましたが、震災前の水準にはまだ戻っていません。このような中で、水田フル活用と米政策の見直しが行われ、飼料用米を初めとする戦略作物の直接払いが始まり、また、行政による生産数量目標の配分の見直しも行われた結果、26年産米の本県の概算払いは60キロ当たり7,200円、相対基準価格は12,586円となったことは周知のとおりであります。

 そしてまた、27年産米は飼料米の作付が各地で広がっている現状にあります。また、中間管理機構による集約化も始まったところでありますが、大規模化と言えるところまでには行っていないのが現状であります。また、中山間地域等直接払制度も第四期対策を迎え、集落活動への女性、若者等の参加促進や複数の集落が連携して行う体制づくり、超急傾斜地の農用地の保全等、高齢化する集落を将来にわたって維持するための強化策が打ち出されたところであります。

 そこで、第1点として、県は農業を産業として強化するため、どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 第2点として、県は中山間地域の農家経営の安定を支える地域政策にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 次は、間伐材の放射線検査体制について伺います。

 木材生産につきましては、ふくしま森林再生事業において山主の負担がないことや、間伐することで森林の空間線量が下がることが広く周知され、また、森林組合のみならず高性能機械を複数台所有する事業体がこの事業に参加することにより、今年度から各市町村での計画が本格的に始まりました。そして、百町単位での広がりを見せているところであります。また、市場での取引量も格段に多くなると思われますので、改めて間伐材の流通に係る放射性物質の検査体制のあり方を検討すべきではないかとの声があります。

 そこで、県はふくしま森林再生事業で搬出される間伐材の放射性物質に関する安全確認にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、公立小中学校における学力向上についてお尋ねをいたします。

 きのうの代表質問でもこの問題が取り上げられましたが、ここでは主に算数・数学の学力向上の観点から伺います。

 文部科学省は、小学6年と中学3年の全員を対象にした全国学力・学習状況調査の結果を過日公表しましたが、本県の公立小中学校の児童生徒の平均正答率は多くの科目において全国の平均正答率を下回ったことが報道されました。特に算数・数学においては全国との差が開いており、これまでも上位を維持する秋田県を参考に理数系教員の授業対策を導入していましたが、その効果がまだ発揮されていないことが明らかになったとも言えます。今後は、新しい産業創出や再生可能エネルギー、医療分野など本県の復興の担い手となる人材の育成の観点からも、学力向上の抜本的な対策が求められています。

 そこで、県教育委員会は公立小中学校における算数・数学の学力向上を図るため、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。

 次に、県立高等学校における主権者教育について伺います。

 この問題も昨日の代表質問で取り上げられましたが、国が作成する副教材を活用するとの答弁がございましたので、改めて質問をいたします。

 選挙権年齢が18歳に引き下げられる改正公職選挙法が成立しましたが、現実には同じ高等学校の中で選挙権を行使できる生徒と行使できない生徒が混在することになり、新聞報道によれば、副教材の概要として選挙の仕組みを教える解説編や身近な政策課題への提言の作成、有権者としての自覚を持たせた投票率の低下防止、模擬議会や国民投票の流れを記載した実践編などが示されております。

 このような中でいかに政治的な中立性を保って教育を行うか等さまざまな課題がありますが、選挙という手法をもって積極的に社会に参画する態度を育む主権者教育は、まさに自分たちの未来の課題解決に向け今後ますます重要になってくるものと思います。

 そこで、県立高等学校において主権者教育の充実を図るべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。

 最後に、警察行政について伺います。

 ことし8月16日に東京の池袋駅前で、歩道に乗り上げた乗用車が歩行者を次々とはね、5人が死傷するという悲惨な交通事故が発生したことは、まだ記憶に新しい出来事であります。また、新聞報道によれば、この運転者は記憶がないと話しているようでありますが、持病の発作により正常な運転ができない状態であった疑いがあると報道されております。

 また、このような事故は過去に何回となく繰り返されており、平成23年には栃木県鹿沼市においても、出勤直後の大型クレーン車が集団登校中の児童の列に衝突し、児童6人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。その後、運転者が意識障害を伴う持病を有することを申告せずに免許の取得、更新を行っていたことが報道により明らかになり、そのたびごとにその対応が問題となってきたところであります。

 そこで、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気等を有する運転者への県警察の対応についてお尋ねをいたします。

 以上で私の代表質問を終了します。御清聴ありがとうございました。

議長(斎藤勝利君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)立原議員の御質問にお答えします。

 復興の取り組みについてであります。

 震災から4年半が経過しましたが、廃炉・汚染水対策、除染、風評・風化対策、被災者の生活再建や事業再建、産業の復興、インフラ復旧等の課題が山積するなど、福島県の復興はいまだ途上であり、長期に及ぶものと認識しております。

 このため、復興・創生期間を通じた財源確保や当該期間の大事な第一歩である来年度予算の確保が重要となることから、総理大臣を初め関係閣僚への要望や先月開催されました福島復興再生協議会などあらゆる機会を捉え、複合災害に見舞われた本県の実情を国に強く訴えてまいりました。

 その結果、復興事業への地方負担導入では、避難地域12市町村内の事業や相馬福島道路の全額国庫負担など本県負担の極小化が図られ、また、国の来年度予算概算要求には、イノベーション・コースト構想の実現を初め復興のマンパワー不足に対応する事業や企業立地補助金の新たな制度など、本県独自の項目が盛り込まれたところであります。

 私は、これからの復興・創生期間において確かな財源を確保しながら、引き続き現場主義に基づき、市町村や国と力を合わせて復興を加速させるとともに、特に1年半後とされる避難指示の解除を見据えた避難地域の帰還環境整備や産業基盤など、福島を支えるシステムの再構築に向けて全力で取り組んでまいる考えであります。

 次に、スポーツや文化で活躍する若者の育成についてであります。

 本県の若者の活躍を見ますと、本年はバドミントンの国際大会で2度の優勝を飾った富岡高等学校の川上紗恵奈選手を初め中学生や高校生が全国大会において陸上競技や自転車競技などで優勝し、昨年は全日本合唱コンクールにおいて会津高等学校と郡山第五中学校が日本一に輝き、電卓競技では郡山商業高等学校が国内主要3大会全てで優勝するなどすばらしい成績をおさめております。

 私は、このような若者たちの活躍は県民を大いに勇気づけるとともに、「ふくしま」の元気を広く全国に発信するなど、本県復興を加速させる大きな原動力になっていると考えております。

 さらに、スポーツや文化を通して自分の限界まで挑戦する姿勢や表現力、創造性などを養うことで、若者たちが本県の未来を担う人材として立派に成長していくものと期待をしております。

 このため、東京オリンピックを目指すふくしま夢アスリートを初めとした若手選手の育成支援など、世界や全国で活躍できる環境づくりにより一層努めるとともに、誰もがスポーツや文化に親しむことができる機会の創出に努めるなど、スポーツや文化の振興を図り、若者たちが夢や希望を抱き、ふるさとを誇りに感じながら本県復興の担い手となるよう、スポーツや文化における若者の育成に積極的に取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせますので、御了承願います。

総務部長(藤島初男君)お答えいたします。

 復興・再生に係る基金につきましては、これまで県民の健康を守るための事業を初め除染や被災者の生活再建支援、雇用対策、風評・風化対策などの事業に1兆5,654億円を活用しており、現時点における平成27年度末の残高は5,212億円となる見込みであります。

 今後も見込まれる長期かつ膨大な復興事業に対応するためには、基金による安定的な財源の確保が重要であることから、資材価格の高騰や労務単価の上昇などの影響による必要な財源の不足といった課題も踏まえ、事業量に見合う十分な積み増しを国に要請しながら、引き続き基金の有効活用を図ってまいる考えであります。

危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。

 危機管理部につきましては、東日本大震災及び原子力災害の教訓を踏まえ、指揮命令系統の一元化や情報の集約、共有化を図り、危機に迅速かつ的確に対応する組織として設置いたしました。

 危機発生時には、全庁一丸となった迅速な初動対応が重要であり、そのためには職員一人一人が危機への感度を高めるとともに、組織として危機対応力を強化していくことが課題となることから、管理職員を対象とした危機管理セミナーなどの研修の実施や各種の訓練を通して職員の危機管理意識の向上を図り、有事の際に臨機応変に対応できる応用力の高い組織づくりに努めてまいります。

 次に、廃炉に向けた取り組みにつきましては、これまでに経験のない作業であり、県民の安全・安心の確保を最優先に、サブドレンの運用を初めとする汚染水対策や溶融燃料の取り出しなどの作業を安全かつ着実に進めることが重要であると考えております。

 このため、廃炉安全監視協議会の専門委員や県の原子力対策監、原子力専門員の専門的知見の活用に加え、課題に応じた専門家からの意見聴取を行うなどして、廃炉の取り組みにおいて想定されるさまざまなリスクへの対応が適切に行われ、廃炉に向けた取り組みが安全に安定して進められるよう引き続きしっかりと監視してまいります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 過疎・中山間地域につきましては、県土の8割を占めることから、本県の地域づくりを進める上でこれらの地域の活性化が極めて重要である一方、人口減少や高齢化の急速な進展など厳しい状況に直面しております。

 このため、これまでの取り組みに加え、今年度から新たに地域おこし協力隊や大学生など外部人材の活用による集落活性化の支援の充実強化、定住・2地域居住を促進するためのモデルケースの創出や地域における担い手の育成などに取り組んでおりますが、今後も引き続き地域創生に向けた総合戦略の策定を通じ、さらに集落の活性化に取り組んでまいります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 介護人材の確保と定着促進につきましては、新規就労者に対する就労支援金の支給や相双地域等の介護施設に県外から就職する方に対する就職準備金の貸与を行うとともに、職員の資質向上につながる人材育成制度の導入促進のため、事業者への補助や研修によるノウハウの提供などを行ってまいりました。

 今年度からは新たに、介護の仕事について若い世代に理解を深めてもらうための中高生等を対象にした介護現場の体験事業や、就職後3年目までの職員を対象に外部の専門家による技術面での指導を行う新任介護職員研修事業を実施しており、今後とも介護人材の確保と定着促進に積極的に取り組んでまいる考えであります。

商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。

 若者の雇用対策につきましては、これまで県内学校へ職業選択を支援するキャリアコンサルタントの派遣を行うとともに、東京都と福島市に設置したふるさと福島就職情報センターを拠点として、若者等への就職相談やマッチング支援、県内企業の情報発信等を行っております。

 また、個別カウンセリングの実施など就職後のフォローアップを強化し、若者の定着率の向上も図ってまいりました。

 今後はこれらの取り組みに加え、県内の大学はもとより、首都圏等の大学との就職支援協定の締結を進め、相互に連携を図りながら就職説明会や保護者向けのセミナー等を実施し、県内就職促進に積極的に取り組んでまいります。

農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。

 農業を産業として強化するための取り組みにつきましては、農業経営者がすぐれた経営感覚を持ち、みずからの判断で消費者ニーズの変化等に対応できるような経営環境を整えることが重要であると考えております。

 このため高い生産力と経営管理能力を有する経営体の育成や経営の安定・効率化のための法人化を進めるとともに、生産コストの低減に向けた圃場の大区画化や農地の利用集積・集約化、収益の向上に向けたICTなど先端技術を活用したスマート農業の導入や、地域特産品を活用した6次化商品の開発等を進めることで本県農業の産業としての競争力の強化に取り組んでまいります。

 次に、中山間地域における地域政策につきましては、平場に比較して条件が不利な農地での農業生産活動や地域資源を守る共同活動及び環境保全型農業生産への取り組みを総合的に支援する日本型直接支払制度を活用し、所得向上による農家経営の安定と集落機能の維持に努めております。

 さらに、自然豊かな農村地域と都市との交流を促進する拠点施設の整備への支援に加え、農家民宿等の新たな活用策として、企業が農業体験などの社員研修を行う取り組みや農業生産を維持しながら太陽光発電を行う営農型発電の取り組みなどをモデル的に進めており、中山間地域ならではの資源を有効に活用し、農村のにぎわい創出と農家経営の安定につなげてまいりたいと考えております。

 次に、間伐材の放射性物質に関する安全確認につきましては、ふくしま森林再生事業による営林活動の拡大を見越して、昨年12月に県独自の伐採木の搬出に関する指針を定め、森林内の空間放射線量率や樹皮の放射性セシウム濃度を検査するとともに、木材市場などでも抽出検査を行うよう指導しており、一定の基準値内のものを流通させることとしております。

 さらに、業界においても全ての製材工場で自主基準による検査に取り組んでいるほか、県による定期的な製材品の線量調査を行うなど、多段階にわたる安全の確認に努めてまいります。

土木部長(大河原聡君)お答えいたします。

 土砂災害防止法改正に基づく基礎調査につきましては、全体箇所数7,867カ所に対し、今年度約2,100カ所の実施を予定しており、前年度までに実施した3,659カ所と合わせて、進捗率は70%を超える見込みであります。

 今後は、県民の安全・安心を早期に確保するため、平成31年度までに基礎調査結果の公表が完了するよう、さらなる財源の確保に努めながら基礎調査の重点的な実施に取り組んでまいります。

こども未来局長(尾形淳一君)お答えいたします。

 放課後児童クラブと放課後子ども教室の連携につきましては、子供たちが安心して充実した放課後の時間を過ごす上で、共働き家庭の児童に適切な遊びと生活の場を提供する放課後児童クラブと希望する全ての児童に多様な体験の機会や学習の場を提供する放課後子ども教室を学校の余裕教室等を活用することにより一体的に実施することは有効な取り組みであることから、教育委員会とともに新たな児童の放課後の生活と学習の場のあり方や想定される効果、運用に当たっての課題などについて検討してまいります。

観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。

 部活動を含めた教育旅行の支援につきましては、これまで県外の中学校などが行う部活動等の合宿に対し、交通費や宿泊費などの助成を行ってきており、震災後は本県の教育旅行再生策の一つとして助成枠の拡大など事業の拡充に努めてまいりました。

 また、今年度からは県外の小中高等学校が行う修学旅行や林間学校などに対しても、貸し切りバス経費の一部助成を行っております。

 今後も教育旅行の一層の誘致に向け、これらの制度の周知に努めるとともに、学校関係者や旅行会社等の意見を踏まえながら、利用者がより使いやすい制度となるようさらなる改善に取り組んでまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 算数・数学の学力向上の取り組みにつきましては、全ての学校の算数・数学担当者を対象にした研修会を新たに開催して、各学校がそれぞれの課題を克服するために作成した演習問題について討議し、その質を高めていくことや、授業力にすぐれた優秀教員等を各学校に派遣する機会をふやすことで教員一人一人の指導力向上を図るとともに、児童生徒がつまずきを解消できるよう、算数・数学の指導事例集の見直しを行い、各学校の指導の充実に役立て授業の改善に生かすなど、児童生徒の算数・数学の学力向上に取り組んでまいる考えであります。

 次に、主権者教育につきましては、生徒一人一人の政治や選挙への関心を高めるとともに、教育の政治的中立性に配慮しながら主権者としての自覚や態度を育てることが大切であると考えております。

 このため現代社会や政治・経済などの授業において、新聞記事などの身近な資料を活用して政策や地域の課題などについて考察する学習を進めるとともに、生徒会活動における役員選挙や県選挙管理委員会と連携した模擬選挙の実施などを通して実践的な学習を進めているところであり、今後ともこうした取り組みを拡充し、主権者教育の充実に取り組んでまいります。

警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。

 自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気等を有する運転者への対応につきましては、運転免許取得時や更新時には一定の病気等の病状に関する質問表により病状等の聴取を実施しているところであります。

 この結果、必要と認めた場合は運転免許の返納や診断書の提出を促したり、免許の取り消し等の行政処分を行っております。

 また、家族からの相談や日常の警察活動でそうした運転者を発見する場合もありますので、引き続き医療機関や自動車教習所等と緊密な連携を図りながら、一定の病気等を有する運転者に対し適切に対応してまいりたいと考えております。

議長(斎藤勝利君)これをもって、立原龍一君の質問を終わります。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。