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2015年9月定例会 一般質問 長谷部淳議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月7日更新

 長谷部淳議員

議員長谷部淳
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成27年9月
質問等一般質問
質問日9月17日(木曜日)

26番(長谷部淳君)日本共産党の長谷部淳です。県政一般について質問いたします。

 最初に、福島第一原発廃炉作業にかかわって伺います。

 先月、県議会の全員協議会で、私は東電に対し、第一原発構内で作業する重機を含めた車両についてただしました。その中で、発災時から中に残っていて、これからも使う重機の定期的な点検が今弱いという話です。車両の整備不良による事故などを原因とした火事の危険も指摘されています。発電所構内で使用している重機を含めた車両の台数や点検整備の体制について県はどのように把握し、どのように監視しているのかお聞かせください。

 次に、イノシシ被害対策の具体化についてです。

 例えばいわき市では、有害捕獲数だけを見ても、震災前の2010年には333頭だったものが昨年は1,600頭とほぼ5倍です。農業被害も深刻ですが、人家の庭先などにも数頭でやってきて、家庭菜園の被害、家の近くの側溝近くを掘り起こされて側溝が土で埋まってしまう被害、明け方、夕方に高齢者が散歩中に出くわして身の危険にさらされる被害がそれぞれ頻発するなど、被害は甚大です。

 今年度からの新たなイノシシ管理計画に基づき、対策の実効ある推進が求められるところですが、県はイノシシ捕獲対策の現状と課題を踏まえ、今後どのように取り組むのかお聞かせください。

 次に、県の温暖化対策にかかわって伺います。

 最初に、震災後の2013年3月に改定した県地球温暖化対策推進計画において、1990年度の基準年度に対し、2020年度及び2040年度での温室効果ガスの排出削減の目標及び方法をどのように定めているかお示しください。

 また、京都メカニズムや森林吸収を勘案しない本県の温室効果ガスの排出総量及びその傾向をお示しください。

 県推進計画は、地球温暖化はその予想される影響の大きさから見て、人類の生存基盤にかかわる深刻な環境問題の一つであり、地球温暖化対策は待ったなしの課題だと強調しています。そうであれば、温暖化ガスの排出を増加させる石炭火力発電所の増設は避けなければなりません。石炭火力発電所が小規模であろうと、従来の発電法に比べて温室効果ガス削減効果があろうと、増設そのものが温室効果ガスの排出量をふやすことは理の当然です。

 そこで、例えば先月8月24日、いわきエネルギーパーク新設計画の環境影響評価の手続において、県はどのような意見を示したかお示しください。

 私は、県のあらゆる部署が再生可能エネルギー推進の県の基本方針である環境への負荷の少ない低炭素・循環型社会への転換を図る立場に立ち切るなら、温室効果ガス排出をふやす石炭火力発電所の新増設はあり得ないと考えますが、県の見解を伺います。

 次に、福祉型県づくり、特に全国に誇れる健康長寿県を目指す県の高齢者施策についてです。

 高齢者の生活をめぐっては、この間、年金の減額、介護保険や後期高齢者医療制度の保険料の引き上げ、病院での窓口負担の増加、消費税の増税など、高齢者の経済的生活状況の現実に合わない負担を強い、生活できない事態を生み出していることが現実です。

 無縁社会、孤独死、行方不明認知症高齢者、所在不明高齢者、老人漂流社会、老後破産といったテーマで高齢者の貧困と社会的孤立の現実を扱う報道がふえていることはそのあらわれであり、実際に深刻な実態や相談も寄せられているところです。行政による高齢者問題の把握力が低下していることを実感しています。

 老人福祉法は、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障される。」とし、市町村に対し、「老人の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。」としています。

 そこで伺います。原発震災から5年目を迎えた本県における高齢者の実情、さらには社会経済的現実をどう捉え、どういう視点に立ち、全国に誇れる健康長寿県を目指し、高齢者施策にどのように取り組むのか、県の考えをお聞かせください。

 その上で幾つか伺います。

 介護保険を利用していない高齢者の生活実態について、持ち家など住宅の種類、経済的状況、社会参加の有無などを含めて県はどのように把握しているのかお聞かせください。

 私は、市町村と民生委員の力をかりて、まずはひとり暮らし高齢者と75歳以上の高齢者を含む2人世帯の悉皆調査の実施、その上で介護保険や福祉サービスを全く利用していないひとり暮らし高齢者、75歳以上の高齢者を含む2人世帯を対象として、市町村が何らかのサービスにつなげるような活動ができる県としての支援の仕組みを創設することが喫緊の課題と認識しています。

 そこで、市町村が高齢者世帯の調査を実施し、個別のニーズに応じたサービスを提供できるよう支援すべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。

 次に、市町村事業とされる地域包括ケアシステム構築へ向けた地域支援事業で位置づけられた4つの事業について伺います。

 まず、在宅医療・介護連携を推進するため、県は地域における在宅医療のあり方等を検討する協議会を設置して積極的に取り組むとのことですが、広域的な調整をどのように図っていくのかお聞かせください。

 また、医療については、県が医療計画などを所管することから、市町村には権限が少ない上、医療分野の知識や蓄積が不足しているのが現実です。各自治体とも医師会との連携のもとに進めることになりますが、市町村における在宅医療・介護連携の取り組みを促進するため県はどのように支援していくのかお示しください。

 2番目に、認知症施策の推進です。

 国は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指すとして、認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員の設置を進めるとしています。

 とはいえ、市町村が支援を要する全ての認知症の人々に手が行き届く実効ある取り組みとするためには、チーム設置や推進員について目標とする設置数や人数を明確にしなければ施策推進にはなりません。

 そこで、認知症初期集中支援チーム及び認知症地域支援推進員の設置目標について、県としての考えをお聞かせください。
 3番目に、地域ケア会議についてです。

 介護保険法に位置づけられた地域ケア会議は、地域包括支援センターが開催するとされます。この会議は以前からありましたが、全国の自治体の中では、この会議の場でケアマネジャーのケアプランについて不適切サービスとして抑制したり、要支援者、軽度者にサービスからの卒業を強要したりするようなことがあるといったことも漏れ聞きます。

 もちろん自治体によっては、この会議を政策形成機能を持つ場として位置づけています。この会議について、その位置づけや機能が市町村によってばらばらであってはなりません。

 私は、この会議の場をケアマネジャーの要請に基づき、ケアマネジャーだけでは解決できない支援困難事例の解決の場、また、多くの要介護者が抱える共通の困難や課題を整理し、市町村に対し解決策を提案する問題提起の場とすることが重要だと思います。

 そこで、地域ケア会議を要介護者の課題解決に向けて機能するよう支援すべきですが、県の見解をお聞かせください。

 4番目が生活支援サービスの充実強化です。

 厚労省は、多様な生活支援サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援するとして、生活支援サービスについて住民の互助を推進し、生活支援サービスコーディネーターの配置と協議体を設置して推進するとしています。しかし、生活支援サービスが住民だけでつくり出せるものではなく、行政が制度や事業として確立し、予算化しなければなりません。

 県としては、資源開発やネットワーク構築を行う生活支援コーディネーターの人材育成に努めるとのことです。私は、生活コーディネーターや協議体が必要な資源、施策を提起し、行政とのパイプ役としての役割を果たすことが重要だと思います。

 そこで、生活支援コーディネーターや協議体が地域課題を解決する役割を果たせるようにするため県はどのように取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。

 さて、昨年介護保険法が改定されるまでは、それまでの介護予防ケアマネジメント、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援の包括的支援事業は地域包括支援センターに一括して委託されていました。法改定により、今述べた新しい四つの事業がセンターに委託されれば、業務の種類は一気に2倍です。法改定では、これらを一括して委託しなくてもいいことになっています。

 そこで、包括的支援事業について県内市町村における地域包括支援センター以外の事業体への委託状況をお示しください。

 いずれにせよ、県自身が言うように、地域包括支援センターは地域包括ケアの拠点であり、その役割は増大しています。センターの量的整備、職員体制の抜本的拡充は不可欠です。その実現のため改めて地域包括支援センターへの財政支援の拡充を求めます。考えをお聞かせください。

 また、県はこのセンターに関し、市町村、地域住民、センターと連携する専門職の理解促進が県の重要な役割との認識を示されています。センターの役割について関係者の理解を深めるため、県はどのように取り組んでいるのかお示しください。

 次に、介護保険です。

 厚労省の調べによれば、重い負担の介護保険料が払えず滞納のペナルティーを受けた高齢者が2013年度で全国では12,849人になったとのことです。

 65歳以上介護保険料は、年金が年額18万円以上、すなわち月額1万5千円以上であれば有無を言わさず天引きされますから、ペナルティーの対象になるのは年金月額わずか1万5千円に満たない低所得の高齢者のみです。原発避難市町村の介護保険料が今年度からはね上がったこととあわせ、全く苛烈きわまりない制度であることが改めて明らかとなりました。

 そこで、県内での介護保険料の普通徴収における現年度分の収納率について、制度発足からの推移をお示しください。

 また、直近の時点で未収となっている人数をお示しください。

 滞納1年以上ではサービス利用時は全額自己負担となって、後で償還払いとなり、滞納1年半以上では滞納保険料を納めるまで保険給付が一時差しとめとなり、また、滞納2年以上では利用時自己負担が3割となるペナルティーを科されることになっています。保険料の滞納により給付削減を科された人数をお示しください。

 そして、県として介護保険料の収納率や未納者数の傾向からどのような対応が必要と考えるかお聞かせください。

 私は少なくとも市町村が取り組む保険料の独自軽減策を県として財政的に支援すべきと思いますが、見解を求めます。

 この介護保険制度は、住民が主体的に利用するサービスを選択できるということを基本に、それまでの高齢者福祉サービスの大部分を民間事業者に委ねる仕組みとして導入されて15年になります。65歳以上の高齢者の介護保険サービスを利用する人はどれほどの割合になるかお示しください。

 次に、(仮称)ふくしま総合戦略について伺います。

 この戦略は、県の自治事務として向こう5年間の施策について、安定した雇用や新たな「ひと」の流れをつくり、若者の希望をかなえるまちづくりを基本目標とするようです。

 一方で政府は、地方創生法によって自治体に対し、国の総合戦略を勘案して総合戦略を定めるように努めなければならないと努力義務を課しています。そして国の地方創生基本方針は、今年度を総合戦略策定の年、来年度を具体的事業を本格的に推進する段階へと位置づけています。それだけに県としての自治力の発揮が求められるのではないでしょうか。

 この戦略が原発震災被災県である本県の再生・復興と不可分一体のものであることは言うまでもありません。私はこの戦略により、県民の暮らしとなりわいの再建はもとより、誰もが住み続けたくなる県づくりへつながるようなものとすべきと考えます。

 そこで、知事はこの戦略を通し、本県の再生・創生をどのように実現しようとするのかお聞かせください。

 次に、教育行政にかかわって伺います。

 一昨年1月定例会総括審査会で県総合教育計画について議論した際、私は教員の子供の声を聞き取る専門性、希望を切り開く専門性の位置づけが明確でないことを指摘しました。

 教育長は「教員の教育への使命感、生徒の教育的ニーズに応える教育に触れつつ、教員の自立心、倫理観、専門性を高める。」と一般的、抽象的な答弁にとどまりました。

 これでは、学校で知識を獲得させれば子供は生きていけるようになる、子供をより上の順位に押し上げる学力向上が教員の専門性であると言うのと違いがわかりません。今月二日、全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの結果を受けて緊急学力向上対策会議を開いたことはその象徴のように私には思えます。

 文科省自身が、全国学力テストは学力の特定の一部分、学校における教育活動の一側面を示すだけと言いながら、現実にはどうやって学力テストの平均点を上げるかが至上命令で、県教委はその命令のもとに対策を考えさせられる構図です。

 本来学校のテストは、授業内容を子供たちが理解しているかを確かめ、それぞれの子供がつまずいている点を発見し、その後の学習指導に役立てるものです。ところが、全国学力テストはそうではなく、子供たちを点数が全てと点数競争に追い立て、心を傷つけ、ドリル代などの保護者負担を押し上げ、家計が苦しい家庭をより一層追い込んだりするなど大きな弊害を生み出しているのが現実です。

 国家予算の約60億円が使われるこの予算を少人数学級の拡充や実施などに回し、学習がおくれがちな子供への丁寧な支援ができるようにするなど、一人一人の子供に目が行き届く教育条件整備にこそお金をかけることを県教委としても国に強く求めるべきです。

 その立場に立って全国学力テストの廃止を求めるべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞かせください。

 また、子供の学力を高めるだけでは担えない、子供たちの希望を切り開く教員としての専門性をどのように考えているのかお聞かせください。

 さらに、教員のこうした専門性を磨くには教員教育が不可欠です。教員は生まれながらにして教員であるわけではなく、教育と学ぶことによって教員になることは言うまでもないことです。一人で学び成長することもありません。

 そこで、県教育委員会は教員と子供たちの心が通い合う教育を行うため、教員の資質の向上にどのように取り組んでいくのかお示しください。

 こうした教員教育と環境があって、教員が専門職として教材に関する調査研究活動を含めた学問の自由が保障され、教育内容についての教員の裁量が保障され、政治を自由に語り合える学校環境が保障されているならば、子供たちに対する主権者教育が実践されることは当然のように私には思われます。

 来年夏の参議院議員選挙から18歳選挙権が実現します。18歳選挙権は世界198カ国・地域の約9割の176の国・地域で実現しており、OECD加盟34カ国では日本が最後となりました。

 私は、現行憲法と子どもの権利条約に基づき、学校づくりへの子供たちの主体的参加を保障し、社会に対する健全な批判力を養い、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、学校での発達段階に即した主権者教育、市民教育の学校での実践が重要だと思います。

 そこで、公立小中高等学校において政治参加の意義を理解させる教育を行うべきと思いますが、県教育委員会に伺います。

 最後に、一言申し上げます。

 安保関連法、いわゆる戦争法案が憲法違反であることは決着がついています。首相が立法事実として示した邦人輸送中の米艦防護もホルムズ海峡の機雷掃海も政府みずから否定するに至り、完全に破綻です。審議が進むほど廃案を求める国民運動は空前の広がりを見せています。

 安倍独裁政権を倒して立憲主義と民主主義と平和主義を貫く新しい政治を国においても地方においてもつくる決意を表明いたしまして、私の質問を終わります。

◎議長(斎藤勝利君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)長谷部議員の御質問にお答えいたします。

 ふくしま総合戦略についてであります。

 未曽有の複合災害に見舞われた本県が人口減少問題を克服し、地域の活力を取り戻すためには、地域みずからが創意工夫を凝らし、進取果敢に取り組んでいく必要があると考えております。

 地域創生の有識者会議等においても、全国の先進事例として、空き家を活用し、ICT企業等の誘致に結びつけている徳島県神山町の取り組みや、生ごみ等地域の未利用資源を堆肥化し、地域ぐるみで地域循環システムを構築している栃木県茂木町の取り組み等について御議論いただいているところであります。

 私は、改めて地域にないものではなく、今あるものを掘り起こし、知恵と工夫によりしっかりと磨き上げ、地域の活性化に結びつけていくことが重要であるとの思いを強くいたしております。

 このため、今後策定する総合戦略を通して、「しごと」の創出や「ひと」の移転、結婚、出産、子育て支援などに取り組むとともに、地域資源の活用もしっかりと図りながら、福島に生まれたこと、住んでいることを誰もが誇りに思える「ふくしま」の復興・創生に向け全庁を挙げて取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁をさせます。

危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所構内の車両につきましては、重機を含め約9百台が使用されていることや整備士の確保の状況などの点検整備の体制について随時報告を受けております。

 現在大型車両の整備場の設置が進められているところであり、全ての車両について整備士による定期的な点検整備が行われるよう引き続き求めるとともに、現地駐在職員等により東京電力の取り組み状況を確認してまいります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 イノシシ捕獲対策につきましては、生息数の増加や生息域が拡大していること、また狩猟者の減少、高齢化も進んでいることから、捕獲の強化とともに新たな狩猟者の確保を図っていく必要があると考えております。

 このためイノシシ管理計画に基づき、地域ごとに関係機関との連携調整を図りながら、県による直接捕獲事業を新たに実施するなどさらなる捕獲の強化を図るとともに、新規狩猟免許取得者への支援を充実させるなど新たな狩猟者の確保に積極的に取り組んでまいります。

 次に、温室効果ガスの排出削減目標につきましては、県計画において、基準年度である1990年度と比較して2020年度に10%から15%の削減、2040年度には80%の削減を目指すこととしており、その目標の達成に向け、再生可能エネルギーのさらなる導入と地元消費の拡大、県民、企業の省エネルギー活動の継続などに県民総ぐるみで取り組むこととしております。

 次に、京都メカニズム等を勘案しない温室効果ガスの排出総量につきましては、直近のデータである2012年度では二酸化炭素換算で1,757万5千トンとなっております。その推移につきましては、2005年度に最大排出量となった後減少傾向にありましたが、2010年度からは増加傾向にあります。

 次に、いわきエネルギーパーク新設計画につきましては、福島県環境影響評価条例に基づき、最高効率の設備を導入することを初めバイオマス燃料の混焼や良質な石炭の選定などにより温室効果ガスを最大限削減するよう求めたほか、大気環境や生態系などについて環境保全の見地から意見を述べております。

 次に、石炭火力発電所につきましては、現在国において電力業界が本年7月に策定した低炭素社会の実現に向けた自主的枠組みに対して、その実効性を担保できる具体的な仕組み等を早急に定めるよう求めており、また、小規模石炭火力発電所に対する新たな規制等も検討されていることから、それらの動向を注視するとともに、引き続き環境影響評価手続を通じて温室効果ガス削減に最大限の措置を講ずるよう事業者に強く求めてまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 高齢者施策につきましては、うつくしま高齢者いきいきプランに基づき、これまで以上に高齢者の社会参加による生きがいづくりや健康増進活動による介護予防を推進するとともに、地域包括ケアシステムの構築により、高齢者が住みなれた地域で健やかに安心して生活ができるよう積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、介護保険を利用しない高齢者につきましては、市町村において介護保険事業計画策定時に高齢者全体として日常生活に関する調査を行っております。

 県といたしましては、市町村との情報共有を図りながら県の介護保険事業支援計画に反映させ、必要なサービスが適切に提供できるよう努めてまいります。

 次に、高齢者世帯への調査やニーズに応じたサービスの提供につきましては、新しい地域支援事業において、市町村が主体的に高齢者のニーズや地域資源を把握し、生活支援サービスの充実を図ることとされております。

 このため、県では市町村職員を対象にサービス提供体制の構築に向けた研修会の開催、担い手の育成や関係者間のネットワーク構築を担う生活支援コーディネーターの養成など積極的に市町村を支援してまいります。

 次に、在宅医療・介護連携の推進に向けた広域的な調整につきましては、ことし1月から医療・介護関係団体及び市町村を構成員とした在宅医療推進協議会を県及び方部別に開催しているところであります。

 今後この協議会において在宅医療に係る諸課題を共有するとともに、医療、介護のサービス資源が地域において有効に活用できるよう調整を図ってまいります。

 次に、在宅医療・介護連携の取り組みにつきましては、市町村が主体となって一体的に提供できる体制を構築することとされていることから、県内外の先進事例の紹介や多職種協働の取り組みを促進するための研修会を開催するとともに、市町村のモデル的な取り組みに補助しており、今後とも市町村の実情を踏まえた医療・介護の連携が図られるよう支援してまいります。

 次に、認知症初期集中支援チーム及び認知症地域支援推進員につきましては、国のいわゆる新オレンジプランに基づき、平成30年3月末までに全市町村において設置することとなっております。

 県といたしましては、認知症サポート医養成研修に対する補助などを行うことにより、市町村の取り組みが円滑に進むよう支援してまいります。

 次に、地域ケア会議につきましては、医療・介護の専門職と民生委員やボランティアなど、地域における支援者が連携して課題に取り組む必要があることから、県といたしましては、個別の事例検討に対して助言を行う社会福祉士や理学療法士を派遣するなど、要介護者の課題解決に向けた検討が効果的に行われるよう支援してまいる考えであります。

 次に、地域課題の解決支援につきましては、今年度生活支援コーディネーターの養成研修を実施するほか、NPO、ボランティア等多様な主体が情報を共有し連携する協議体の設置に向けて、市町村や地域包括支援センター等の関係職員による意見交換会を方部ごとに開催し、理解を深めることとしております。

 今後とも生活支援コーディネーターや協議体が地域の実情に応じたサービス提供体制を構築できるよう支援してまいります。

 次に、包括的支援事業の地域包括支援センター以外の事業体への委託状況につきましては、現在9市町村において認知症総合支援事業などの事業を医師会、医療機関、社会福祉協議会、NPO法人に委託しております。

 次に、地域包括支援センターへの財政支援につきましては、介護保険制度の改正により、今年度から包括的支援事業に位置づけられた在宅医療・介護連携の推進や認知症施策の推進など4事業に係る地域支援事業交付金が拡充されたところであり、県といたしましては、市町村が地域の実情に応じて設置している地域包括支援センターの運営について制度に沿って支援してまいる考えであります。

 次に、地域包括支援センターに対する理解を深める取り組みにつきましては、同センターが地域包括ケアシステムの拠点として重要な役割を担っていることから、トップセミナーを初めあらゆる機会を通じてその重要性を強調しているところであります。

 来月には市町村職員や医療・介護専門職を対象に地域包括支援センターにおけるネットワーク構築機能の強化に向けた研修会を県内3カ所で実施するなど、引き続き関係者の理解が深まるよう取り組んでまいります。

 次に、介護保険料の普通徴収における現年度分の収納率につきましては、介護保険制度が発足した平成12年度は95.5%であり、平成22年度には82.2%まで低下しております。その後収納率は上昇に転じ、平成25年度には87.3%となっております。

 次に、介護保険料の普通徴収における現年度分が未収となっている人数につきましては、平成25年度では9,178人となっております。

 次に、介護保険料の滞納により給付制限を受けた人数につきましては、平成25年度において償還払いとなった方が20人、保険給付の一時差しとめとなった方が3人、自己負担の割合が3割となった方が107人となっております。

 次に、介護保険料収納率等の傾向を踏まえた対応につきましては、介護給付費の増加に伴う保険料の上昇により、低所得者の保険料軽減を図る必要があるため、全国知事会を通して国に要望してまいりました。

 こうした中、今年度から制度が改正され、最も保険料の低い段階の被保険者を対象にさらに保険料が引き下げられたところであり、県といたしましては、今後とも必要な制度の改善について国に要望してまいる考えであります。

 次に、介護保険料の独自軽減策につきましては、市町村がみずからの判断により介護保険料財源の範囲内で行っているものであり、介護保険の費用は国、県、市町村の公費負担割合及び被保険者の保険料負担割合が法定されていることから、県による支援は想定しておりません。

 次に、65歳以上の高齢者における介護保険サービス利用者の割合につきましては、平成27年3月現在で16%となっております。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 全国学力・学習状況調査につきましては、義務教育における児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、その改善に役立てることを主な目的としております。本調査の実施主体は国であり、次年度以降の実施については国が適切に判断するものと考えております。

 次に、教員の専門性につきましては、子供たちが自分の夢や希望をかなえることができるよう、子供に対する教育的愛情と使命感を持ち、教えるプロとしての専門的知識と実践的指導力を身につけ、社会人として心身ともに健康で高い倫理観と自律心を備えていることが重要であり、子供や保護者から信頼され、常に学び続ける教員でなければならないと考えております。

 次に、心が通い合う教育につきましては、教員一人一人が教科等に関する専門的知識はもとより、児童生徒に対する教育的愛情と豊かな人間性や社会性などを備えることが重要であることから、初任者研修を初め経験年数や職務等に応じた研修において実践的な指導力や幅広い知見を養うとともに、各学校における校内研修などを充実させ、日々の教育活動において児童生徒の行動を理解し、能力を引き出すよう取り組んでいるところであり、今後ともさまざまな機会を捉え、教員の資質向上に努めてまいる考えであります。

 次に、政治参加の意義を理解させる教育につきましては、政治参加の重要性を自覚し、社会の形成に主体的に参画する態度を育成することが大切であることから、教育基本法や学習指導要領に基づき、社会科や公民科などの授業を中心に取り組んでいるところであり、今後は国が作成する副教材なども活用しながら主権者としての自覚と責任を育んでまいります。

26番(長谷部淳君)再質問させていただきます。

 最初に、今御答弁ありました教育長に、政治参加の意義のことについてお伺いをいたします。

 少し立ち入って考えをお伺いしたいのですけれども、政治や地域が抱える課題を学ぶとなると、政治的リテラシーという、与えられた材料から必要な情報を取り出して活用する能力といったリテラシーを養う市民教育内容が問われることになると思います。

 現在の教育基本法においても、良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重されなければならないとされています。この政治的教養というのは、本来実際の政治を教材として取り上げて、何が争点となっているかを学ぶということを意味しているはずなのです。

 そして、論争的問題には、争点がどこにあるのかということを深く考えるという側面と、その争点をめぐってどんな合意や調整の方法があるのかを考えるという側面があるはずなのです。こういった重層性があるはずなのです。ですから、実際の政治で何が争点になっているかを知ることで初めて政治的中立が確保されるはずです。

 そこで、そのことを前提に教育長に、政治的リテラシー向上のために何が必要と考えるのか、考えをお聞かせいただければと思います。

 生活環境部長に温暖化対策について伺いました。2012年度は1990年と比較し15.5%伸びているのですよね。いわきエネルギーパーク新設計画での火力発電所設置事業では、小規模火力とはいえ、年間の二酸化炭素排出量は77万7千トンというふうにされております。これは2012年度の温室効果ガス排出量の推定値から換算すると自家用自動車38万5千台分で、県内の自家用車数が33%以上増加する勘定なのです。温暖化ガスを減らす計画のもとで排出をふやす石炭火力ができていくことはいかにも理不尽だと思うのです。

 削減計画に沿った県としてのエネルギー供給社会のためにやはり何らかの工夫が必要ではないか。温暖化ガス排出がふえることがわかっている事業への規制であるとか、あるいは逆に再生可能エネルギーは地域の資源であって、地域の主体が地域の発展に資するように努めるといった趣旨の条例をつくって、再生可能エネルギーを推進することによって石炭火力発電を抑制するとか、そういった具体的手段を講じる必要があると思うのですれども、部長の考えをお聞かせください。

 保健福祉部長に高齢者にかかわる施策について、市町村が具体的なニーズを把握した対応が必要だということでお伺いをしましたが、緊迫感が感じられないというか、高齢化が進むもとで国も高齢者の孤独死や社会的孤立の問題を無視できずに、内閣府や総務省や厚労省などが高齢者の生活実態調査や孤独死アンケート調査通知などを発出しているというふうに承知しています。

 本県においても、10年後の2025年には65歳以上人口がピークを迎えて、75歳以上人口の増加及び高齢化率の上昇は続くと予測されています。世帯数で見ると、2025年には世帯主が65歳以上の世帯が全世帯の45%に迫って、ひとり暮らし高齢者世帯と高齢者夫婦のみ世帯は4世帯に1世帯を上回ると、こういう見込みです。

 先ほど部長が答弁されたように、介護保険利用者は16%です。高齢者をめぐるさまざまな生活問題は介護保険利用外の8割強の高齢者のところで起こっているということは想像にかたくありません。だからこそ、老人福祉法どおりに市町村が必要な実情を把握した上で、県とともに必要な施策展開へつなげることを意識的に進める必要があるのだと思います。介護保険対象外の問題への対応、福祉サービスの再構築という課題は今後の高齢者施策の展開にとってなくてはならない視点であるというふうに思いますので、改めて部長の考えをお聞かせください。

 もう一つ、認知症対策、施策についてお伺いしましたが、10月から認知症の方々へもマイナンバーを通知する通知カードが発送されます。住民票を移さずに入院、入室されている方を含めて、認知症の方々への対応というのはどうなるのでしょうか。認知症施策推進とマイナンバーは不可分と思われますが、利用開始へ向けた準備状況がどうなっているのかお聞かせください。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えいたします。

 石炭火力発電所につきましては、現在国等において議論がされております低炭素社会に向けた具体的な取り組みや新たな規制等の検討などの動向を注視するとともに、引き続き環境影響評価手続において実行可能な最大限の削減対策を講じることに加え、今後の技術開発状況を踏まえて継続した削減対策など、温室効果ガス排出を最大限削減するよう引き続き求めてまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)再質問にお答えいたします。

 高齢者、特にひとり暮らし世帯等々をめぐる諸課題につきましては、特に生活支援を含めた課題につきましては、大変重要かつ深刻だと受けとめております。課題認識については、御指摘と県の立場は違わないかと思っております。

 ただ、どうしても制度が仕組み的に地域包括ケアを初め市町村の役割になっているところが議員も演説の中で御指摘のとおり、法制度的にそういう役割分担になっております。

 そこで、県として何ができるかということでございますが、県としてはこれから高齢者の生活支援みたいなことをテーマとした地域づくり、こういうのをやっていくことが非常に重要なのではないかと思っておりまして、そこを市町村がいかにうまく取り組んでいけるかということで、県はそのきっかけづくりをしていくべきだ、あるいは前回もお答えしたかもしれませんが、専門家はもとより、住民まで含めた理解促進が大事であるということで、県としては今回地域包括ケア推進のモデル事業も立ち上げましたし、それから元気な高齢者向けの生きがい就労モデル事業なども立ち上げました。これは高齢者であっても元気な方は御自身も担い手として活躍していただくべきだという考えに基づいてております。そういったことと人材育成を含めまして、課題の解決に県もかかわっていきたいと考えております。

 それから、もう一つ、マイナンバーの件でございます。

 (発言する者多し)

議長(斎藤勝利君)先例により、再質問は主質問の範囲内に限るものとされ、新たな事項の追加は認められませんので、御了承願います。


教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

 政治的リテラシーということでございましたが、これから主権者教育ということでは、今世間で何が話題になっているかというのは当然新聞等も題材として活用しながら、公民または社会の授業の中で扱うことになりますが、正確には文部科学省から今後副教材が出ますので、それを参考にしながら、また教育基本法、学習指導要領、そういうものに基づいて適正に対処してまいりたいと思います。

26番(長谷部淳君)教育長にただいまの件でまたお伺いいたしますけれども、経過でいえば、例えば高等学校でいくと、昭和44年ですか、1969年の通知があって「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という通知が出た以降に、要は政治上の議論を学校現場に持ち込まないということがあたかも政治的中立であるかのように現場で受け取られるというようなことがあったというふうに聞いています。

 つまり政治的中立の要求が非政治性の要求にすりかわってしまったという、そういう経過が学校現場の中であったと思います。そういった経過の中で子供たちが政治参加の意義を学校の先生方から話を聞くことによって捉えるということは、学校の先生方自身がそれこそ本当に政治的リテラシーを生徒にどう教えるかという以前に、先生方自身がどうそれを捉えるかということが重要だと思いますので、先生方自身がどのように主体的にこの主権者教育を伝えるような立場に立てるような取り組みを教育委員会としてするのかといったことについて改めてお伺いしたいと思います。

 それと、教員の資質向上ということで、子供たちと心の通い合う教育ということでお伺いしましたが、質問の前段でも言いましたけれども、私はその前段で教員の専門性を磨くには教員教育が不可欠ではないですかと言いました。教員は教育と学ぶことによって教員になるとも言いました。私はその点で教員の資質向上以前に、教員教育の資質向上に向けた本格的取り組みが必要ではないかというふうに考えています。

 教員を公共的な使命を持った専門家として尊重し、自律性を尊重し、教員の創意と創造性を触発する教員教育の質の向上があって教員の質の向上につながると思います。改めて教員の質の向上の前提となる教員教育の質の向上について教育長としてどう考えているのかお伺いいたします。

 あと、知事にふくしま総合戦略についてお伺いをいたしました。人口減少の問題にも触れられましたけれども、人口減少の根本原因は、若い人たちが不安定就労と低所得、長時間労働といった雇用環境に追い込まれていることであって、なおかつ前世紀から日米貿易摩擦解消を口実とした政策や地場産業衰退に拍車をかける大型店の規制をなくすことを含めた構造改革政治にあったということは明らかなのです。

 だから、本来そこに抜本的メスを入れなければなりませんが、県としてできることは、福島に魅力を感じて移住を望む若者を含めて、ここに住むことが将来にわたって本当に安心して暮らせる保障があるという点でいえば、徳島なんかの先進事例地も見学したという話ですけれども、福島県自身が移住を望む人も含めて住民の日常生活圏を単位に基礎的サービスの公的保障がされ、交通の足を含めた暮らしに不可欠な各種サービスが整備される、そういったまちづくりをすることこそが若者の定住や移住、働く場の確保の仕組み、そういったことができる。地域循環、再投資の地域内再循環ですね。そういうことができる地域をつくってこそ若者が住み続けられる、子育てもできる、そういうことになるのではないかと思いますので、改めてそこらあたりを含めて知事の考えをお聞かせいただければと思います。

知事(内堀雅雄君)長谷部議員の再質問にお答えいたします。

 今後策定をしますふくしま総合戦略を通しまして、「しごと」の創出あるいは定住・2地域居住も含めてですが「ひと」の移転の施策、さらに結婚、出産、子育て支援などに取り組みますとともに、福島のすばらしい宝物である地域資源の活用もしっかりと図りながら、この福島に生まれたこと、そして住んでいること、そして働いていることを誰もが誇りに思うことができる、そんな「ふくしま」の復興・再生に向けて全力で取り組んでまいります。

教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

 主権者教育についてですが、これまで学校として政治的な中立性を確保しながら進めていくことに変わりはありませんが、先ほど申しましたように、これから文部科学省のほうから通知が出される予定でございます。その副読本を参考にしながら、また学習指導要領に基づいて適正にやっていきたいと思います。

 それから、教員教育の資質向上ということでございますが、教育において大事なのは啐啄同時であります。そのためには教える側と教えられる側に信頼関係がなければなりません。信頼関係を築くのは、教員の専門性、人間性、そして子供たちに対する愛情であります。この先生にお習いしてよかった、この学校を卒業できてよかった、そういうふうな教員を育てたいと思います。

議長(斎藤勝利君)これをもって、長谷部淳君の質問を終わります。

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