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2015年9月定例会 討論 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月7日更新
 阿部裕美子議員
議員阿部裕美子
所属会派
(質問日現在)

自由民主党

定例会平成27年9月
質問等討論
質問日10月7日(水曜日)

39番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。党県議団を代表して、知事提出議案第1号及び第18号について反対、議員提出議案第378、387、392の各号について賛成、請願317号から324号及び347、349、353、355、356、358、359の各号については採択すべきとの立場で、以下主なものについて討論いたします。

 最初に、知事提出議案第1号2015年度福島県一般会計補正予算についてです。

 この補正には、総務部予算にマイナンバー制度導入に伴う税務システム業務委託事業費1,745万9千円が計上されています。

 今月5日に通知が始まったこの制度は、我が党の代表質問でも問題点を指摘したように、日本に住民票を持つ全ての国民一人一人に政府が12桁の番号をつけて管理する制度です。しかし、先週の土日の直前に行ったJNN世論調査では約8割の国民が「不安」と答え、国による個人情報の管理についても「信頼しない」との回答が77%に上りました。

 マイナンバー制度は、税や社会保障だけでなく預金口座など官民問わず多くの個人情報を一つの番号で管理するため、個人情報の漏えいや成り済まし、不正利用などの危険性がより高まります。また、番号を扱う自治体や民間企業の対策もおくれています。

 政府は、日本以外の国ではマイナンバーがほぼ導入されていると述べていますが、事実は全く違います。全員強制、生涯不変、官民共通利用の番号制を導入している国は、G8各国を見ても日本以外にありません。

 日本の制度に近いのは韓国で、1960年代に国防・治安対策として導入されたものですが、今韓国ではネット社会になり急速に被害が広がっています。既に2億人分以上の個人情報が流出し、昨年1月には大手クレジットカード3社から延べ約1億人分の顧客情報が流出、アメリカでは年間9百万件を超える共通番号関連の成り済まし犯罪が起こり、国防省が2011年に独自の番号に転換したほどです。イギリスでも保守・自民両党連立政権が恒常的な人権侵害装置だとして廃止し、収集したデータを廃棄しました。

 我が国でもことし125万件もの年金情報が漏れて大問題になったばかりであり、自治体へのサイバー攻撃も指摘されています。さらに、早くもマイナンバーをかたる電話詐欺が発生したことが本日付の地元紙でも報道されました。

 安倍政権によって強引に導入が進められ、預金や健診情報を初め、さらに利用範囲拡大がされようとしているマイナンバー制度は、世界的に見れば見直しが行われているとんでもない制度であり、県民の大切な個人情報を危険にさらすものであることを重ねて指摘するものです。

 次に、知事提出議案第18号についてです。かねてより指摘してきたように、県の行う事業に対して市町村に負担を求めるべきではありません。この立場から本議案には反対です。

 次に、議員提出議案第378号青少年雇用促進法案をより実態に見合ったものとして充実させるよう求める意見書及びこれに関連する請願347号についてです。

 青年の非正規雇用が2人に1人にまでふえ、不安定雇用が常態化し、正社員になれても残業代もまともに支払われないなどのいわゆるブラック企業を規制するため、国が青少年雇用促進法を制定しました。しかし、新卒以外の求職者やハローワーク以外の職業紹介では保護されず、情報公開の内容も不十分などの問題があり、実効性に乏しいことから改善を求めるものです。

 今国会で強行成立させられた労働者派遣法改悪は生涯派遣の労働者を大量に生み出す危険性をはらむもので、今も根強い反対があるのは当然です。

 青年を取り巻く劣悪な雇用環境が改善され、安心して働き、結婚し、子育てができる希望ある社会が実現されることは、本県復興の土台をなす重要な政治課題であることから、この意見書議案及び関連する請願は可決、採択すべきです。

 次に、議員提出議案第387号、請願353号についてです。

 これは、安倍政権が強行した九州電力川内原発の再稼働に対して、運転の即時停止を求める意見書及び請願です。

 最近の世論調査でも、国民の六割が原発再稼働に反対しており、今も原発事故の被害に苦しむ本県県民においては、その願いは一層切実です。それにもかかわらず、国民、県民の声に一切耳をかさず、原発再稼働を強行した安倍政権の姿勢は、憲法違反の戦争法強行と根底で共通しており、我が国の立憲主義、民主主義を破壊するものであることを厳しく指摘するものです。

 全国の全ての原発が停止していた1年11カ月間で、原発なしでも電力は足りていることが証明されました。福島原発の事故原因も究明されておらず、一たび原発事故が起これば、その被害は時間的にも空間的にも社会的にもほかの災害とは比較にならない甚大なものであることは、県民が日々体験しているとおりです。大義のない原発再稼働はやめ、運転を停止するよう求める本意見書議案及び請願は可決、採択するのが当然です。

 次に、請願355号「訪問看護を特定事業所集中減算の対象から外すよう求めることについて」です。

 ことし4月の介護報酬の改定で、特定の事業所に居宅介護サービスが集中すると報酬が減額される制度が強化されましたが、訪問看護を初めとした医療系サービスはこの制度の対象外にしてほしいというのが請願の趣旨です。

 県当局は、「正当な理由があれば減算は適用しない」とし、訪問看護サービスの提供には「主治医の指示が必須」と指摘しているのですから、少なくとも医師の判断が必要な医療系サービスについては集中減算の対象から外すのは当然のことです。既に山形県などは実態を見て対象外とする判断をしています。本県においても同様の扱いがなされるべきであり、この請願は採択すべきです。

 次に、学校給食無料化を求める請願349号と359号の2件について述べます。

 2012年の子供の貧困率がOECD加盟国中9番目に高い16.3%であったと国が発表し、大問題となりました。子どもの権利条約を批准した国として、政府も対策法を制定し、取り組まざるを得なくなっています。

 このような事態を生む背景には、非正規雇用労働者が4割に上るなど日本社会の異常な働かせ方があり、勤労者の年間収入は20年前と比較しても年間60万円も減少、子育て世帯の生活悪化に拍車をかけているのです。

 学校納付金の中で最も大きいのが学校給食費です。親は自分のことはさておいても、子供のためには無理をしてでも払い続けるものです。学校給食費の負担軽減は、子育て世帯の切実な要求となっているのです。

 県内でも学校給食費の一部補助で負担軽減に乗り出した自治体が出てきており、この動きを全県に拡大するためにも県の役割発揮が求められることから、これらの請願は採択すべきです。

 その他、教育にかかわる各請願317号から324号までの8件についてです。

 これらの請願は、教育予算を増額し少人数学級の推進、複式学級の解消、正規教員の拡大、放射能対策の充実、特別支援学校の整備促進を求める内容です。いずれも共通するのは、東日本大震災と原発事故により本県の子供たちの生活環境が一変したもとで、放射能被曝の不安を抱えて生活する一人一人の子供に寄り添い、きめ細かな指導援助が求められる本県教育への特別の支援を求めていることです。

 県の復興計画が目指す「日本一子育てしやすい県」をかけ声だけにしないためにも具体的な施策の拡充が必要であり、教育の支援策の拡充は重要な一環をなすものです。正規の教員の増員、学校耐震化の促進、放射能対策、今なお劣悪な環境にある特別支援学校の適正配置を図る整備計画の見直し等により、福島の子供たちがよりよく安全な環境で学べる条件整備は教育行政の最重要課題です。

 以上の理由から、これら請願は全て採択すべきです。

 最後に、請願358号「特別養護老人ホームの新増設を求める請願」についてです。

 県内の特養ホームの入所定数は希望を満たすものにはほど遠く、この10年来入所待機者が1万人を超え、現在も約1万2千人が入所の順番を待っています。

 県当局は、在宅の希望者が入所可能になるように整備を図るとしていますが、今年度改定された介護保険事業支援計画、高齢者保健福祉計画を見直し、待機者を解消できる水準に特養ホーム施設整備目標を見直す必要があります。よって、本請願は当然採択すべきとの立場を述べ、以上で討論を終わります。

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