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2016年9月定例会 代表質問 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年12月1日更新

阿部裕美子議員

議員

阿部裕美子議員

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成28年9月
質問等代表質問
質問日9月29日(木曜日)

38番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。日本共産党県議団を代表し、質問いたします。

  7月に行われた参議院選挙は、安倍政権が成立を強行した安保法制、戦争法廃止を掲げて、戦後初めて市民と4野党が共闘して選挙戦を戦いました。全国32の1人区の選挙区全てで統一候補が立候補し、11選挙区で勝利しました。米軍の辺野古の基地建設問題や東村高江の米軍ヘリパット建設反対を闘っている沖縄県、原発事故で苦しんでいる福島県では、現職閣僚を抑えての勝利です。
 しかし、憲法を変えようとする改憲勢力が国会の3分の2を占め、選挙戦では触れなかった安保法制、戦争法の本格運用が始まっています。
 南スーダンへのPKO自衛隊派遣は、青森県の陸上自衛隊を中心にするとされ、福島県内の自衛隊員も派遣に含まれる可能性があります。戦後初めて自衛隊員が殺し殺されるという極めて深刻な事態が現実化しかねません。
 東日本大震災などの災害救助に大きな役割を果たした自衛隊員を、今度は殺し殺される可能性のある地域へ派遣することはあってはならないことだと思います。紛争問題の解決に当たっては、国連憲章と国際法の普遍的に承認された原則に従い、友好的な協議及び交渉によって解決することに徹する努力こそ求められています。安全保障関連法の廃止を国に強く求めるべきと思います。知事の考えをお尋ねします。
 自民・公明政権与党は、福島の復興加速化に向けた第6次提言を発表しました。この主な内容は、帰還困難区域の復興に向けて今後の取り扱いを明らかにしたものですが、原発事故の加害者である東電と国の責任には全く触れずに、被災県民に自立を求め、避難指示解除の促進、避難者の帰還促進のための行政の対策を求めています。帰還の判断ができずにいる避難者や既に避難指示が解除されてもなお避難を継続する避難者への支援の具体的な提起はありません。
 国は、帰還困難区域を除き来年3月末までに避難指示解除を行うこととしていますが、既に解除された区域では多くの住民が戻っていません。その理由を福島大学生が仮設住宅の聞き取りでまとめたところ、1、自宅が住める状況に再建できていない、2、低線量被曝への不安や社会的インフラが不十分など環境が整っていない、3、福島第一原発のリスクが残っているの3点でした。
 帰りたくても帰れない現状がありますが、解除されたら1年後には賠償が打ち切られます。住民の十分な理解と納得が得られないまま避難指示解除ありきで強引に進めようとする国のやり方を改めるよう求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。
 帰還困難区域については、市町村が復興拠点等の拠点整備計画をつくり、5年を目途に復興拠点等の整備がおおむねできた段階で避難指示を解除するとしていますが、帰還できる条件が整備されずとも避難指示解除を行うことになりはしないかと危惧されます。帰還困難区域の解除に当たっては、5年後にこだわらず、十分な除染とインフラ整備等の帰還の条件が整ったとの住民の理解と納得が必要と思いますが、見解を伺います。
 私たち県議団は9月15日、約3千人の福島県民が避難している山形県、そのうち700人の被災者を受け入れている米沢市を訪問し、調査と懇談を行いました。戻らない決断をした方、戻ることを決めた方、そして、どうしたらいいのか決めかねて不安を抱えている方たちがおります。
 山形県では、戸別訪問を行い、自殺防止の取り組みにも力を入れています。このようなときに、福島県は戻らないのは避難者の勝手だと言わんばかりに自主避難者の住宅無償提供を来年3月で打ち切るとしていますが、住宅支援を終了することは許されないのではないでしょうか。県内外の自主避難者への応急仮設住宅の供与を延長すべきと思いますが、県の見解を尋ねます。
 提言は、賠償について十分に行われてきたとの認識に立って生活支援策等を求めていますが、実態は十分とはほど遠いものです。商工業の営業損害も東電が示した昨年八月以降分で打ち切りや値切りが広範囲に起きていることは御承知のとおりです。
 農林業の損害賠償についても、東電と国が去る9月21日に示した素案は、平成29年1月から2年分を一括して支払い、2年後以降は個別に対応するというものです。現在でも出荷制限がかかる作物すらまともに賠償されないなど、賠償を渋る例は枚挙にいとまがありません。
 既に打ち切りが始まっている商工業と同様の事態が起きない保証はありません。各団体の皆さんからも「風評被害問題は長く続くということを踏まえて対応すべき。」、「果たして個別対応できちんと賠償してくれるのか不安だ。」との声が上がっています。
 避難指示区域の精神的賠償も2018年3月で打ち切られますが、避難者からは、帰還してももとの生活を取り戻すことは困難であり、賠償を継続すべきとの強い要望が寄せられています。県はこうした状況を踏まえ、知事が会長の原子力損害対策協議会の全体会議を早急に開催し、賠償の課題について関係団体と現状認識を共有した上で十分な賠償を行うよう国と東京電力に強く求めるべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 次に、原発問題についてです。
 福島第二原発については、いまだに国、東電は廃炉を明言していません。県民のオールふくしまの願いは福島原発全基廃炉です。ところが、電気事業連合会は、「廃炉を決めた原発以外は全て既設である。」と明言しています。第二原発の再稼働も想定するとんでもない発言です。県はこうした発言を許さず、福島復興の大前提として福島第二原発の廃炉を国、東京電力に強く求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 東京電力が柏崎刈羽原発再稼働のため求めている審査を原子力規制委員会はほかの原発に優先して行う方針と伝えられています。福島原発事故の事故原因も究明されず、事故収束の見通しも立たず、廃炉作業も困難をきわめています。その上、メルトダウン問題では福島県民を欺き続け、さらに、福島第二原発内への不審者侵入を検知する機器の警報音を鳴らないよう設定していたことが明らかになりました。
 こうした東京電力に原発の再稼働を行う資格がないことは明瞭ではありませんか。県は柏崎刈羽原発を再稼働しないよう東京電力に求めるべきと思いますが、考えをお尋ねします。
 あわせて、福島第一原発の事故の収束に向け汚染水対策を強化するなど廃炉に全力を尽くすよう東京電力に強く求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 東京電力福島第一原発の廃炉計画で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が溶け落ちた核燃料を原子炉建屋ごとコンクリートで封じ込める石棺について言及したことに県民の強い怒りが沸き起こり、知事も強く抗議をしました。その後訂正したとはいえ、石棺方式は認められず、燃料デブリの取り出しを確実に行い、責任を持って適切に最終処分するよう国に求めるべきと思いますが、見解を尋ねます。
 汚染水対策の切り札とされた凍土壁の1割が凍っていないことや台風の影響で汚染水が海洋に流出した可能性があるとの報道があります。県は汚染水を減らすための凍土壁の効果を現時点でどのように評価しているのか伺います。
 この間、県内では復興事業の一環として再生可能エネルギー発電施設の整備が進められてきましたが、耕作放棄地となっている大規模開拓パイロット事業跡地へのメガソーラーや阿武隈山系への大規模風力発電が計画されるなど、大規模な案件が見受けられます。大規模開発ばかりでいいのでしょうか。これらの事業が環境破壊や災害につながらないような十分な対策をとるとともに、再生可能エネルギーの事業計画について住民の理解を得る必要があると思いますが、県の見解を尋ねます。
 あわせて、地域の住民や団体の共同の取り組みを促進し、雇用や地域の仕事興しなどの地域経済に貢献できるよう、県民や県内事業者が取り組む再生可能エネルギー事業を推進すべきと思いますが、見解を伺います。
 小名浜港の長期構想については、取扱貨物量の増加等を理由に年内に策定するとしています。石炭を燃料とする石炭火力発電所の建設など地球温暖化対策に逆行する港湾整備ではなく、既存の港湾の老朽化対策や耐震化、作業環境の改善につながるものにとどめるべきと思います。小名浜港の長期構想について、石炭取扱量の増加に対応した港湾整備ではなく、既存の港湾施設の改善にとどめるべきと思います。見解を伺います。
 医療、介護の支援についてです。
 安倍政権は消費税増税を国民に押しつけながら社会保障の改悪を一気に進めようとしています。75歳以上の医療費負担を1割から2割へふやし、特例軽減の廃止で低所得者の保険料を2倍から10倍へ急増させ、介護保険利用料も1割から2割へ上げる計画など国民の負担増がめじろ押しです。年金の支給はこの4年間で3.4%のマイナスとなりました。その一方で、国民が納めた年金積立金がアベノミクスの株価つり上げの道具に使われ、5.3兆円もの大穴をあけました。
 今求められていることは、暮らしを守るために税金の使い方を社会保障や若者や子育て支援を最優先にし、人間らしく働けるルールを確立することに使うことではないでしょうか。安倍政権は医療も介護も施設から在宅へ移行を進め、国保の広域化や地域医療構想策定によるベッド数の削減で医療費を抑制、国民の医療を受ける権利を侵害しようとしています。
 福島県地域医療構想については、県病院協会から寄せられた要望でも「本県においては原発事故により避難している人が多く、基礎となる地域ごとの人口数が流動的であり、確定は困難であり、本県の地域事情を考慮し、拙速な結論を出さぬよう、避難指示解除後の人口動態の推移を見てからにしていただきたい。」とされています。地域医療構想について、避難地域の状況や関係団体等の意見を十分に踏まえるべきと思いますが、考えを尋ねます。
 特に削減が大きいのが急性期病床です。昨年7月に県に提出された県内医療機関の病床機能別ベッド数は6年後の予定でもほとんど変わらず、急性期病床は今後とも必要というのが医療機関の認識です。大幅な削減計画は医療の現場に大きな混乱をもたらすのではないでしょうか。救急医療の対応がより深刻になることが懸念されます。今でも患者の命が危機にさらされる事例が発生しています。地域における救急医療の確保に県はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 介護問題についてです。
 国は施設から在宅への流れを加速させようとしていますが、地域包括ケアシステム構築が進んでいないところに、さらに介護保険事業の一部を2017年度までに全ての市町村事業に移行させる計画が進行中です。加えて、要介護1、2の認定者への生活支援サービスの原則自己負担とデイサービス事業を市町村事業に移行させる計画を明らかにしたことで、介護の現場には大きな不安と戸惑いが生じています。
 安倍内閣は介護の分野でも保険給付の削減と利用者負担の拡大で事業費縮減を図ろうとしています。介護保険の要介護1、2の認定者が利用している訪問介護や通所介護、掃除や調理、買い物などの生活支援、住宅改修のバリアフリー化等の給付縮小も含まれます。
 県は、要介護1及び2の認定者に対する介護保険制度の給付の縮小につながる見直しについて反対すべきと思いますが、見解を伺います。
 子供の甲状腺検査についてです。
 子供の甲状腺検査について福島県小児医師会から提言が出されるなど、さまざまな意見が出されています。現時点で原発事故と甲状腺がんの因果関係は医学的には解明されていませんが、2巡目にがんと診断される事例や転移が見られた事例があるなど、解明すべき点が多くあることも事実です。子供の甲状腺検査を縮小することなく、長期的視点に立って継続すべきと思いますが、見解を伺います。
 また、甲状腺検査に関する不安に対応するため、丁寧な説明や相談体制の充実を図るべきと思いますが、県の見解を伺います。
 貧困、子育て支援についてです。
 日本の子供の貧困率は16.3%と過去最悪になり、6人に1人が貧困ラインを下回る社会になっています。満足な食事をとることができない子供たち、家庭に居場所を持てない子供たち、お金がなく、修学旅行や部活を諦めなければならない、進学を諦めなければならないという子供の貧困が深刻になる中で、2013年、子どもの貧困対策法がつくられました。
 全ての子供たちの健やかな成長を保障するために、子供の貧困をなくそうとの取り組みが進められています。福島大学に依頼した子供の貧困調査を踏まえて、県は子供の貧困対策をどのように進めるのか伺います。
 地域子ども・子育て支援事業の実施状況について、乳児家庭全戸訪問事業や延長保育事業、地域子育て支援拠点事業、病児保育事業など福島県の市町村の実施割合はいずれも全国最下位クラスになっています。県は地域子ども・子育て支援事業を実施する市町村をふやすためどのように取り組んでいくのか伺います。
 国が改めて実態を公表した保育所の待機児童数を踏まえた認可保育所の整備に向け市町村を支援すべきですが、県の考えを尋ねます。
 市町村立小中学校の給食費の無料化を支援すべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。
 学校を卒業し、社会に巣立っていくときに何百万円もの借金を背負っている日本の若者の姿は、教育費無償を実行している世界の国々の若者と比べても異常としか言いようがありません。青森県では、大学入学時に要する費用最大1人100万円の給付型奨学金制度を今年度から実施しました。本県においても、大学生等を対象とした給付型奨学金制度を創設すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。
 次に、障がい者対策についてです。
 神奈川県の障がい者施設「やまゆり園」で起きた障がい者を狙った殺傷事件は社会に大きな問題を投げかけました。容疑者が障がい者を社会の邪魔者扱いをし、いなくなった方がいいと口にし、実行したことです。
 全国手をつなぐ育成会連合会は緊急声明で、「障がいのある人もない人も、私たちは一人一人が大切な存在です。障がいがあるからといって誰かに傷つけられたりすることはあってはなりません。私たちは全力で皆さんのことを守ります。ですから、安心して堂々と生きてください。」と呼びかけました。
 食事、排せつ、入浴など生きるために必要な支援の利用に自己負担を求めた障害者自立支援法の問題点がまだ残されていることなども踏まえ、私たちはどのような社会を目指していくのかが投げかけられた事件ではないでしょうか。
 やまゆり園の事件を教訓とし、県は全ての人の命の大切さ、障がいがある人もない人もともに生きる社会を目指す大切さについて、県民の理解の促進にどのように取り組むのか、考えを伺います。
 駅ホームで視力障がい者の安全と転落を防止するために、当事者の声をよく聞き、全ての駅の安全点検と駅員の配置等の安全対策が必要と思います。視覚障がい者のため駅のホームにおける安全対策を実施するよう鉄道事業者に求めるべきと思いますが、県の考えを尋ねます。
 障がい者が地域で自立して生活するために必要なグループホームの整備促進と安定運営のため独自の支援策を行うべきと思いますが、見解を伺います。
 農林業の振興についてです。
 今開かれている臨時国会で、安倍首相はTPPを批准するとしています。米価の暴落を初め原発事故前に戻っていない本県の農林水産業にさらに追い打ちをかけ、地域経済を壊すTPPについて、撤退を国に求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 原発事故後に牛が相次いで死亡するという、農家にとって今まで経験したことがないことが起こりました。なぜこのようなことが起きたのか、今後に生かすためにも詳細な調査、分析、研究が必要であると思います。畜産農家の自給飼料の活用に当たっては、土壌、牧草の分析、牛の血液検査をきめ細かく行うなどの支援を強化すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 家畜の飼料の購入費用については、自給が可能となった地域においても実態に見合った賠償を適切に行うよう東京電力に求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 農業者の放射能被曝を防ぎ、安全で安心な農産物の生産を推進するためにも、放射性物質による農地の汚染状況の把握と農産物の汚染防止対策が必要と思います。農地一筆ごとの土壌汚染調査と農地の汚染地図の作成を行うべきと思いますが、県の考えを伺います。
 農用地土壌汚染防止法の特定有害物質に放射性物質を含めるよう国に求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 住居の支援についてです。
 国が本年3月に計画変更を行ったのを受けて、各都道府県でも計画の見直しが行われており、本県では8月にパブリックコメントを行い、間もなく計画を確定する段階にあります。
 そこで伺います。住生活基本計画の見直しについて主な改定の内容をお尋ねします。
 国の計画でも住基本計画は憲法25条の具体化であると位置づけているように、住まいは人権の立場で住宅政策を見直す必要があります。県営住宅の入居申し込みが9倍もの抽せんになっています。公営住宅の大幅な増設が求められますが、県は住生活基本計画における公営住宅の供給目標量をどのように設定するのか伺います。
 貧困と格差の拡大が進むもとで、若年単身者の住宅保障は人口増対策としても重要です。県営住宅の入居の対象を単身の若者にも拡大すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 国は民間賃貸住宅の活用を促すとしていますが、そのためには入れる家賃でなければなりません。子育て世代や高齢者世帯等の住宅に困窮する低所得者に民間賃貸住宅に対する家賃補助制度を導入すべきですが、考えを伺います。
 県は木造住宅の耐震化を促進するためどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 また、被災者生活再建支援金の支援対象に一部損壊も含めるよう国に求めるべきと思いますが、見解を尋ねます。
 雇用促進住宅については払い下げが予定されており、入居者の住宅確保という公的役割がなくなることから、住民は現在のまま住み続けられるのか不安を感じています。被災者が多く入居していることから、継続して入居できるよう求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 世代間の支え合いによる子育て環境や高齢者の見守りの充実などを目的に創設された福島県多世代同居・近居推進事業について、申請者全員が補助を受けられるようにすべきと思いますが、お尋ねします。
 また、多世代同居・近居推進事業の補助対象者について、申請前に同居・近居を開始した者も対象とすべきと思いますが、見解を伺います。
 最後に、災害に強い県づくりについてです。
 県内に甚大な被害をもたらした8・5水害から30年目を迎えました。その後も異常気象のもとで大規模災害が頻発しています。「備えあれば憂いなし」です。災害に備えた対応を各方面から強化する必要があると思います。
 小中学校の耐震化については、国から市町村に交付金が交付されますが、推進にばらつきがあります。市町村立小中学校の耐震化を促進すべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。
 病院の耐震化を促進すべきですが、県の見解を伺います。
 県は洪水被害を防止するため、河川の維持管理にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 県内の福祉避難所は現在359カ所指定されていますが、市町村が指定する福祉避難所が災害時に機能するよう日ごろからの準備が必要と思いますが、考えを伺います。
 岩手県岩泉町のグループホームで死者9人を出した台風10号の豪雨災害を受けて、宮城県内では自治体による緊急調査が始まっています。浸水が想定される区域にあるグループホーム等の高齢者施設の非常災害対策に関する計画の策定状況等について実態調査を行うとともに、対策を講じるべきと思います。県の見解をお伺いし、質問を終わります。

議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)阿部議員の御質問にお答えいたします。


 安全保障法制につきましては、我が国の防衛、安全保障政策に大きなかかわりがあることから、国においては国民の理解が十分に深まるようしっかりと取り組むべきであると考えております。
 次に、原子力損害対策協議会につきましては、昨年度全体会議を開催し、東京電力に対し、商工業等に係る営業損害について損害がある場合には賠償が継続することを確認するとともに、損害の範囲を幅広く捉え、事業の再建につながる賠償を柔軟に行うよう申し述べてまいりました。
 また、本年6月には要望・要求活動を行い、農林業に係る営業損害賠償の今後の考え方を早期に提示するとともに、精神的損害等さまざまな損害について被害の実態に見合った十分な賠償を行うよう求めてまいりました。
 このような中、今月21日には農林業に係る営業損害の賠償素案が協議会に対して示されたことから、今後はJAを初めとする関係団体等の意見を集約し、本県の農林業の実態が適切に反映されるようしっかりと取り組んでまいります。
 引き続き、さまざまな賠償課題について関係団体等の意見を伺いながら、適時適切な協議会の活動等を実施し、被害者の生活や事業の再建につながる賠償が的確になされるよう国及び東京電力に強く求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 福島第一原発の廃炉につきましては、安全かつ着実に進めるためあらゆる経営資源を投入し、全社を挙げて取り組むよう東京電力に対し繰り返し求めてまいりました。
 また、今月20日には、知事及び地元13市町村長から社長に対し、過酷事故を起こした事業者として責任を全うするよう改めて求めたところであります。
 次に、燃料デブリにつきましては、8月29日に知事及び地元13市町村長から経済産業大臣に対し、世界の英知を結集し、安全かつ確実に取り出し、原子力政策を推進してきた国の責任において県外で適切に処分するよう求めたところであります。
 次に、凍土壁につきましては、一部の地点では凍結が進んでいないことから、セメントや水ガラスによる補助工法を追加で実施している段階にあります。
 汚染水抑制のためには、凍土壁に加え、地下水バイパスやサブドレン、海側遮水壁などの効果が全体として発揮される必要があると考えており、それぞれの対策を確実に実施するよう東京電力に強く求めてまいります。
 次に、被災者生活再建支援金につきましては、対象を10世帯未満の災害にも拡大する県独自の支援制度を今年度創設したところであり、支給範囲についても半壊世帯まで拡大するよう引き続き国に要望してまいります。


企画調整部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 東京電力福島第二原発の廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し繰り返し求めてきており、本年8月にも知事から経済産業大臣に対し直接要請を行ったところであります。
 引き続き、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉の実現に向け、あらゆる機会を捉えて求めてまいる考えであります。
 次に、柏崎刈羽原発の再稼働につきましては、東京電力福島第一原発事故の影響による深刻かつ甚大な被害の現実を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国及び東京電力の責任において検討されるべきものと考えております。
 次に、再生可能エネルギーの事業計画に対する住民の理解につきましては、長期にわたり地域と共存していく再生可能エネルギー事業にとって極めて重要な要素であると認識しております。
 県といたしましては、事業者に対し、十分な環境対策と災害対策を施した事業計画を住民に丁寧に説明するとともに、補助制度の運用等により事業収入を地域へ還元するなど、再生可能エネルギーによる地域貢献を図るよう奨励、助言し、地域と共存する再生可能エネルギーの推進に取り組んでまいる考えであります。
 次に、県民や県内事業者が取り組む再生可能エネルギー事業の推進につきましては、地域経済の活性化につながるものと考えております。
 このため県といたしましては、事業開発や維持管理を担う人材の育成や県内事業者が市町村と連携して導入する発電設備等への補助、県内の事業者が県外企業と連携して取り組む技術開発と発電事業への補助等に取り組んできたところであります。
 今後も研究開発、事業化、維持管理等に参入する県内事業者等を支援し、地域主導の再生可能エネルギーの導入推進に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、TPPにつきましては、今年2月、知事を本部長とするTPP協定対策本部会議において農林水産業における対策を打ち出すとともに、6月に国に対して万全の対応を求める要望を行ったところであります。
 引き続き国会での審議を注視するとともに、具体的な影響、効果についての十分かつ丁寧な説明に加え、国が今後策定する予定の具体的な政策等において万全の対策を講じるよう国に強く求めてまいる考えであります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 地域医療構想につきましては、避難指示の解除や復興の加速化等の状況を見据えて、構想の目標とする平成37年における復興後を想定した医療需要の推計に基づいて策定することとしております。
 また、各地域における課題や必要とされる医療の確保について、医療関係団体等から成る地域医療構想調整会議での意見を十分に踏まえ、構想の策定に取り組んでいるところであります。
 次に、救急医療の確保につきましては、患者の状態に応じた医療を提供できるよう救命救急センターへの運営支援や、関係機関とともに搬送、受け入れの円滑化に取り組んでいるところであります。
 現在策定している地域医療構想においても重要な課題と位置づけ、地域の実情を踏まえ、医療機関相互の役割分担等について検討を進めており、引き続き必要な救急医療の確保にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、要介護1及び2の認定者に対する介護保険制度の見直しにつきましては、現在、国の社会保障審議会介護保険部会において議論されており、国の動向を注視しながら全国知事会等と連携して対応してまいる考えであります。
 次に、甲状腺検査につきましては、県民健康調査検討委員会において、引き続きそのあり方について検討していただくとともに、子供たちの健康を将来にわたり見守っていく観点に立ち、実施してまいります。
 次に、甲状腺検査に関する不安への対応につきましては、学校での児童生徒向け出前授業の実施や公共施設等の検査会場における医師による説明ブースの設置のほか、今年度から新たに専用ダイヤルを開設し、受診者等からの質問に専門医が直接対応しているところであります。
 今後とも検査に関する丁寧な説明と相談体制の充実に努めてまいります。
 次に、障がいのある人もない人もともに生きる社会を目指す大切さにつきましては、福島県障がい者計画において基本理念に掲げ、障がいや障がい者への正しい理解の促進を図ってまいりました。
 今後は、本年4月施行の障害者差別解消法を踏まえ新たに設置した障がい者団体や商工団体、弁護士会など幅広い関係団体から成る協議会等の活動を通し、障がいを理由とした偏見や差別のない共生社会の実現に向けて一層の普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、駅のホームにおける視覚障がい者のための安全対策につきましては、本年4月に障害者差別解消法を踏まえ設置した障がい者団体や商工団体、弁護士会など幅広い関係団体から成る協議会等を通して、視覚障がい者等からの声を国や鉄道事業者に伝えてまいりたいと考えております。
 次に、障がい者のグループホームにつきましては、障がいのある方が身近な地域で自立した目常生活や社会生活を営むことができるよう、福島県障がい福祉計画に基づき、市町村と連携して計画的かつ重点的に整備を促進してきたところであります。
 今後とも国の補助事業を活用し、施設整備の支援に努めるとともに、必要な人材の養成研修等によりその運営を支援してまいります。
 次に、病院の耐震化につきましては、県内133病院のうち、震災前の61病院から現在の80病院まで耐震化が進んでおりますが、建てかえ予定や資金の問題等もあり、全国と比較して依然低い水準となっております。
 県といたしましては、引き続き補助制度の活用について一層の周知を図りながら県内病院の耐震化を促進し、災害時においても適切な医療が確保できるよう取り組んでまいる考えであります。
 次に、福祉避難所につきましては、災害時の円滑な開設に向けた取り組みを日ごろから行うことが重要であります。このため県といたしましては、市町村が行う開設訓練への参加、助言のほか、関係団体、関係事業者との協力体制の構築を促進するなど、市町村における取り組みを引き続き支援してまいります。
 次に、高齢者施設の非常災害対策につきましては、これまで県所管の高齢者施設に対し非常災害対策に関する計画の策定状況等を実地で確認するとともに、市町村職員に対して指導監督業務の研修を実施してまいりました。
 今回の岩手県の災害を受け、改めて非常災害時の体制整備の強化、徹底等を求めているほか、年内を目途に非常災害対策に関する計画の策定状況を調査し、適切な指導助言を行っていく考えであります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 自給飼料の活用につきましては、これまでも疾病の疑われる牛の血液検査はもとより、土壌や牧草の分析とその結果を踏まえた栄養バランスの指導など、個々の農家の状況に応じた適切な支援に努めているところです。
 今後は飼料の変更に伴う牛への影響を可能な限り減らすことができるよう、自給飼料の利用を再開する農家に対して飼料の与え方や健康管理などそれぞれの経営内容に適したきめ細かな指導に努めてまいる考えであります。
 次に、農地の土壌汚染調査等につきましては、震災以降、毎年国と県が実施している340点以上の土壌の放射性物質濃度調査の結果をもとに、原子力規制委員会による航空機モニタリングの測定結果を加味し、県全域の農地土壌の放射性物質濃度を推計して農地土壌の放射性物質濃度分布図を作成し、市町村やJA等に配布していることから、農業者は実質的に自己の田畑を確認できるものと考えております。
 次に、農用地土壌汚染防止法への放射性物質の適用につきましては、放射性物質汚染対処特別措置法において、平成28年度末を目途に特別措置法の施行状況を点検し、必要な法の整備を行うものと規定されていることから、今後国で行われる検討の場において本県の農業や農地が抱える課題に対して適切な対応がなされるよう、しっかりと国に求めてまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 小名浜港の長期構想につきましては、有識者等により構成される委員会で検討いただいているところであります。
 県といたしましては、東日本大震災後の小名浜港を取り巻く社会経済情勢の変化に対応するため、委員会での検討を踏まえ、既存の港湾施設の改善はもとより石炭等の需要を見据えた物流機能の強化など、長期的、広域的な視点に立った将来像を年内を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。
 次に、住生活基本計画の主な改定の内容につきましては、被災者の恒久的な住まいの確保や災害に強い住まいづくりなど優先して取り組むべき5つの重点項目を新たに設定するとともに、地域創生を推進する子育てしやすい環境づくりや空き家の有効活用を新たな施策として位置づけることとしており、引き続き豊かな住生活の実現に取り組んでまいります。
 次に、公営住宅の供給目標量につきましては、住宅・土地統計調査等の結果をもとに、計画期間の10年間において、適正な水準の住宅を適正な家賃の負担により自力で確保することが困難な世帯数を推計し、設定することとしております。
 次に、県営住宅の入居の対象につきましては、特に居住の安定を図る必要がある高齢者や障がい者、DV被害者等に限り単身での入居を認めておりますが、若者にも拡大することは、より住宅に困窮している世帯の入居機会の減少につながることから、従来どおり運用してまいりたいと考えております。
 次に、住宅に困窮する低額所得者への民間賃貸住宅の家賃補助につきましては、現在国において制度の創設に向け検討を進めているところであり、引き続き情報収集を行うなどその動向を注視してまいります。
 次に、木造住宅の耐震化につきましては、耐震診断と改修への補助を行うとともに、相談対応や耐震技術者を養成する講習会等を実施しているところであります。
 今後は、来月に改定を予定している住生活基本計画において、災害に強い居住環境の形成を重点施策に位置づけ、市町村や関係団体と連携しながら耐震化の促進に一層努めてまいる考えであります。
 次に、多世代同居・近居推進事業につきましては、親世帯と子供世帯が新たに同居または近居することを促すものであり、募集枠を設定し、補助することで一定の事業効果が期待できることから、現行の方式を継続してまいる考えであります。
 次に、多世代同居・近居推進事業の補助対象者につきましては、子育て環境や高齢者見守りの充実等を目的に今後新たに同居・近居を始める方であり、既に同居・近居している場合は対象とならないものと考えております。
 次に、河川の維持管理につきましては、洪水時の氾濫の危険性を低減するため、現地の状況を十分に把握し、優先度や緊急性を見きわめながら、堆積した土砂の除去や伐木、除草等を行っております。
 さらに、大型機械の活用等により除草の効率化を進めているところであり、今後とも県民の安全・安心の確保に向け財源の確保に努めるとともに、地域の協力を得ながら適切な維持管理に取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(大島幸一君)お答えいたします。


 家畜に係る飼料の購入費用につきましては、原子力損害賠償の指針において、追加的費用として必要かつ合理的な範囲で賠償すべきとの考えが示されております。
 引き続き東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を的確に行うよう求めてまいります。


避難地域復興局長(成田良洋君)お答えいたします。


 避難指示の解除につきましては、国は日常生活に必須なインフラや生活関連サービスの復旧、除染の進捗など、おおむね環境が整ったところから県、市町村、住民との十分な協議を踏まえ、判断することとしております。
 解除に当たっては、住民が安全に安心して暮らすことができる環境をつくることが何よりも重要であることから、今後ともこうした考え方に基づき解除の判断がなされるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、帰還困難区域の避難指示の解除につきましては、政府の方針において、5年を目途に、居住を可能とすることを目指す復興拠点の整備がおおむねできた段階で当該地区を解除するとされたところであります。
 解除に当たっては、これまでと同様、日常生活に必須なインフラの復旧や除染等に加え、県、市町村、住民との十分な協議を踏まえて判断されるべきものと考えております。
 次に、自主避難者への応急仮設住宅の供与につきましては、除染の進捗、食品の安全性の確保等、生活環境が整いつつある中、応急救助という災害救助法の考え方から、平成29年4月以降の延長は困難と判断し、県による独自の支援策へと移行することとしたところであります。
 今後も、現在実施している2回目の戸別訪問などにより、避難者一人一人に寄り添った支援が図られるよう取り組んでまいる考えであります。
 次に、雇用促進住宅につきましては、国の方針により売却が予定されておりますが、売却後も一定の条件のもとに継続して入居することが可能であるため、避難者の入居意向を確認しながら管理者と調整を行っているところであります。


こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。


 子供の貧困対策につきましては、子供たちの生活上の困難についてアンケート調査を行うほか、市町村の取り組みや民間団体の支援について聞き取り調査を実施しており、その結果を精査してまいります。
 次に、地域子ども・子育て支援事業につきましては、その取り組みが低調である市町村も見受けられることから、既存の施設や人材を活用した事業実施例や補助制度の効果的な活用事例を周知し、多くの市町村で事業に取り組むことができるよう支援してまいります。
 次に、認可保育所の整備につきましては、市町村が地域の実情に応じ取り組んでいるところであり、県といたしましては、市町村の計画に沿って引き続き財政支援を行ってまいります。


教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 市町村立小中学校における給食費につきましては、学校給食法により保護者が負担することとされており、そのあり方については、学校の設置者である市町村が判断すべきものであります。
 また、いわゆる要保護・準要保護及び被災児童生徒に対しては、保護者が負担する給食費への支援が行われていることから、県教育委員会による支援については困難であると考えております。
 次に、給付型奨学金制度につきましては、家庭の経済状況にかかわらず、希望する生徒が大学等へ進学できるようにするため、安定的な財源により継続的に実施することが必要であると考えております。
 このため県教育委員会といたしましては、国に対し、給付型奨学金制度の創設について全国都道府県教育長協議会等を通して要望してまいりました。
 今般、国の平成29年度予算の概算要求において給付型奨学金制度の創設が盛り込まれ、現在制度設計や財源について検討がなされているところであり、今後はその動向を注視するとともに、利用しやすい制度の実施を求めてまいります。
 次に、市町村立小中学校の耐震化につきましては、設置者である市町村が学校の統廃合なども考慮しながら早期完了に向けて取り組んでいるところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後とも市町村がそれぞれの状況に応じ可能な限り早期の耐震化を図れるよう、職員が出向いて国庫補助事業の活用について助言するなどきめ細かに相談に応じ、取り組みを促進してまいる考えであります。


38番(阿部裕美子君)再質問をいたします。


 知事に原子力損害対策協議会の全体会議の開催について伺います。
 知事の答弁では、十分な賠償を求めていくということでありましたけれども、既に商工業の営業損害についての実態など、この議場でも発言されてきましたが、値切りや賠償打ち切りがいろいろな形で起きているのが現状です。今回の東京電力が示した農林業の賠償の素案に対しても、農業団体の関係者からも「終了と受け取れる。2年分支払って、あとはやめるとしか受け取れない。」との声が上がっています。
 県内の農家の皆さんは、風評と戦いながら農業再生に向けて努力を続ける一方、農林業への賠償がいつまで続くのか、不安を抱えて頑張っているのが現状です。米の作付を本格的に再開した農業者は、「あと2年でもとのように農業を復興できるかどうか現実的に難しい。再開したばかりなので、風評も見通せない。先々まで賠償をしっかりと考えてほしい。」と述べています。
 二本松市議会では、昨日28日に全会一致で「賠償打ち切りはしないよう求める意見書」が採択されました。意見書は「そもそも事故の原因は事業者である東京電力と原子力政策を推進してきた国にあり、歳月がいくら流れようと、被害者は市民、県民であることに変わりはない。復興途上にある福島県の現状を直視し、このような一方的な賠償打ち切りはしないよう強く要請する。」としています。
 営業損害の2年一括賠償では、さまざまな打ち切り、値切りが行われています。口では「被害がある限りそれに見合う賠償をする。」と言いますが、被害の実態に見合う賠償にはなっていません。お金のやりくりのため、値切りをされても受けざるを得ない実態です。値切られた金額で受けたけれども、既に損害が賠償金額を上回っているから、再度申請しようとしても、それを受け付けてくれる窓口さえなくなっている、これが今の実態であります。本県の産業をどう復興させるのかにかかわる重大な問題であると思います。
 5次提言のときには、各団体から意見を聴取し、全体会議を開きました。今こそ賠償の現実に行われる実態を把握して、この状況を共有して対応策を進めることが必要ではないでしょうか。原子力損害対策協議会の全体会を早急に開催して、十分な賠償を国、東京電力に求めるべきと思います。再度答弁ください。
 次に、第二原発廃炉の問題について企画調整部長に再質問いたします。
 福島第二原発廃炉を求めることについて「あらゆる場面を通じて国、東電に廃炉を求める。」と答弁いただきましたが、電事連は福島第二原発について「既設の原発を有効利用していくとしているが、この既設の原発の中に福島第二原発も入るのか。」との質問に「定義上は含まれる。」と答えています。これは、第二原発を再稼働の対象と考えているとんでもない中身です。
 新聞報道によりますと、福島第二原発について、特措法を制定して3年間で地元自治体の再稼働への同意を得なければ廃炉にするなどと報道されています。これは……

議長(杉山純一君)質問者に申し上げます。質問時間が超過しておりますので、御了承願います。
執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)阿部議員の再質問にお答えいたします。


 本県の農林業については、避難指示区域では営農再開に向けこれからの取り組みが大切であり、県内には風評の影響も根強く残っております。
 今後はそうした状況を踏まえ、農林業の営業損害の賠償に係る関係団体等の意見を集約し、原子力損害対策協議会の活動等を通して、農林業の実態が適切に反映されるよう取り組んでまいります。


38番(阿部裕美子君)再々質問をいたします。


 避難地域復興局長に自主避難者への応急仮設住宅支援について伺います。
 県の自主避難者への支援は2年間と限定的なものであります。自主避難をされている方たちは母子避難の方たちも多くて、山形県での懇談のときにも生活状況は非常に厳しく、住宅支援打ち切りでここを出ることになれば、路頭に迷う人たちが1割と考えられるという話でした。
 山形県では、家賃の要らない緊急避難の公的住宅を50戸準備しているとのことです。新潟県は、福島県の避難者向けの専用枠として80戸の県営住宅を確保するなど、全国都道府県でもさまざまな支援策を明らかにしているのは、それだけ深刻な状況にあるということをあらわしていると思います。
 自主避難者の方々が「住宅支援を求める会」を結成し、原発事故収束のめどが立たないうちは住宅支援を続けてほしいと訴えています。山形県知事からは、避難者の声を十分に聞いてくださいとの声もかけられています。山形市議会と米沢市議会で「原発事故避難者への住宅無償提供の継続を求める意見書」が全会一致で可決されています。当の福島県が支援打ち切りという仕打ちを行っていいのでしょうか。
 きのうは、川内村からの住民説明会の中で、仮設住宅に住む方が「居座った場合どうなるのか。」と質問したのに対して、担当者は「居座った場合は不法状態に陥るので、訴訟の形になる可能性がある。」と答えています。福島大学の今井教授は、原発事故被災者への支援を自然災害への対応と同じ枠組みでやってきたことに根本的な問題があると指摘しています。一番重要なのは被災者の生活再建であり、特に住宅支援が打ち切られると生活破綻に直結すると述べています。
 原発被害は今まで経験したことがないこと。時間がかかるでしょう。一人一人が復興できるよう温かく支援をしていくのが県の役割ではありませんか。自主避難者への応急仮設住宅の供与を延長すべきと思います。再度伺います。
 続いて、先ほど中断しました第二原発の廃炉について企画調整部長に再度答弁を求めます。
 第二原発をめぐっては、オールふくしまの県内原発全基廃炉という確固とした意思をもっと強く打ち出していく必要があるのではないでしょうか。新聞報道による特措法を制定して3年間で地元自治体の再稼働への同意を得なければ廃炉にするなどという報道も出されていますが、これは県内全部の議会で全基廃炉を求めることをさらに3年間先延ばしにするとんでもない中身です。第二原発廃炉については、県内の意思をもっと強く明確に求める必要があると思います。再度答弁ください。


企画調整部長(伊藤泰夫君)再質問にお答えいたします。


 県内原発の全基廃炉は県民の強い思いであります。引き続き国及び東京電力に対しまして、第二原発の廃炉につきましても強く求めてまいりたいというふうに考えております。
 また、原子力に依存しない社会づくりが本県の基本理念でありますので、その実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。


避難地域復興局長(成田良洋君)再質問にお答えいたします。


 自主避難者に対する住宅の支援についてでございますが、本県独自の支援策のほか、生活再建検討会議などを通じまして、避難先の自治体へも独自の支援を要請しているところでございます。
 それを受けまして、先ほどの山形ですとか新潟のほかにも、東京都では都営住宅の専用枠を300戸ほど確保いただいたりとか、そういった取り組みをしていただいているところでございます。
 現在2回目の戸別訪問をしておりますが、一人一人いろんな不安や悩みを抱えていらっしゃいますので、そういったところを一つ一つ丁寧にお聞きしながら、寄り添った対応が図れるように取り組んでまいりたいと考えております。


議長(杉山純一君)これをもって、阿部裕美子君の質問を終わります。

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