ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2016年9月定例会 代表質問 三村博昭議員

2016年9月定例会 代表質問 三村博昭議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年12月1日更新

三村博昭議員 

議員

三村博昭議員

所属会派(質問日現在)

民進党・県民連合

定例会平成28年9月
質問等代表質問
質問日9月30日(金曜日)

48番(三村博昭君)盛大な激励の、また励ましのお言葉ありがたく思います。1942年9月30日、実は私の人生のスタートした日であります。ちょうど74年前であります。温かい激励、本当にありがたく思います。ありがとうございます。
 私は民進党・県民連合、三村博昭でございます。通告に従いまして御質問をさせていただきます。


 さて、内堀知事におかれましては、御就任以来2年間、県民の厚い信頼を得て期待に応えるべく、しっかりと職務を果たされてきたところであります。これまでの2年間、県政における最大の課題である震災及び原子力災害からの復旧・復興に真正面から取り組み、かつ、県内はもとより国内外に出向き、福島の復興の現状を発信されてまいりました。内堀知事のこれら行動は、県民の心に深い感銘を与えるものであります。
 10月には、アメリカ合衆国を訪問され、ニューヨーク及びワシントン市民へ本県の現状をお伝えするとともに、本県が誇る産品をPRする活動が予定されており、今後の交流発展に多大な影響を与えるものと期待するところであります。今後、任期後半を迎えるところでありますが、御自身の県政運営と県民生活向上に対する思い、県政各分野の発展と向上に向けて存分に取り組まれることを期待するところであります。
 そこで、知事は任期後半の2年間の県政をどのような思いで運営していくのかお尋ねいたします。
 発災から5年6カ月、本県職員は副知事を初め各部局職員が一丸となり復旧・復興に取り組まれ、その成果を実感するところであります。
 過般、浜通りの被災地の復旧・復興事業の現況を視察してまいりました。帰還困難区域はもとより、住民の避難が継続している地域の住宅の周辺は震災直後の姿をそのままに、雑草が身丈以上に繁茂している状況にありました。避難者の帰還を実現するためには、除染を最優先に、被災前の生活環境を取り戻すことが大前提と認識したところであります。
 避難区域の解除が始まり、帰還に向けて準備が進められております。震災で壊れた住宅を初め建物等の解体、改修、改築が行われ、これらの取り組みは費用と時間を必要とします。また、事業を引き受ける事業者の確保が課題となっております。
 帰還を予定している人は、解体、リフォームさまざまであり、新築しているところも目立ちます。建物の解体によって発生する廃材の処理は行政が責任を持って処分することになっておりますが、リフォームによって発生する廃材の処分は事業者または施工主の責任で処分しなければならないとしております。避難地域の被災家屋の再建はこれから本格的に進むものと思われます。
 そこで、避難地域における住宅のリフォームにより発生する廃棄物については行政の責任で処分すべきものと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
 避難地域に住む住民帰還が実現します。各自治体、各地域の形成は、そこに住む人々のさまざまな思いが積み重なり、広がりを見て、その地域ならではの町並みがつくられてまいりました。帰還の実現にあっては、これらの歴史をしっかりと踏まえて地域再生に向けて取り組むべきであります。
 それには、地域の商工会、商工会議所、農協、各種機関、団体の組織力の強化が重要となります。地域の再生と住民生活の再構築を強力に推進するために、これら団体への支援策を講じるべきと考えます。
 現在、商工会等では、会員の事業再開状況の把握や経営相談を行うとともに、風評対策や損害賠償請求の相談など震災後発生した業務に対応しておりますが、今後避難地域への事業者の帰還の促進に十分取り組めるよう商工会への支援策を講じるべきと考えます。
 そこで、避難地域の再生に取り組む商工会等の支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 住民の帰還が本格化する中、避難地域への人の動きが活発になってまいりました。そのような中、特例宿泊や準備宿泊などで御自宅へ一時帰宅し、片づけや草刈りを行ったりする住民の方もおりますが、震災前のように小まめに管理することはできないため、自宅周辺の雑草が生えたままのところもあります。
 これは住民の方の帰還意欲をそぐだけでなく、火災予防、防犯の視点からも好ましいものではありません。本来、住宅の敷地内の草刈りは所有者みずから行うべきものでありますが、このような状況にあることを大変心配しております。
 そこで、避難地域の住宅周辺の除草について地元自治体に働きかける必要があると思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
 帰還困難区域の富岡町夜の森地区の商店街を歩いてみましたが、発災直後の姿がそのままでありました。店内には、5年半前に並べられておりました商品がほこりをかぶり、商品価値を失い、来客を諦めているかのようでありました。店先は土台が壊れ、建物は傾き、店舗の機能は失われておりました。
 避難指示が解除された市町村では復興が進んでおりますが、帰還を予定している人は高齢の人が多いと聞きます。不便な生活を気にしない方も中にはいるかもしれませんが、それでも日常生活必需品は確保できることが条件であります。住民帰還を促進させるには、日常生活必需品の販売店、教育・医療機関、各行政機関等、生活環境の整備が必要であります。
 そこで、住民帰還の促進に向け、市町村が進める生活環境の整備を支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
 津波被害がなかった地域の農地は稲穂がこうべを垂れ、収穫期を迎えておりました。海に近い農地は土壌の入れかえが行われ、整然と区画されておりましたが、雑草に覆われておりました。
 双葉農業普及所によると、水稲については、広野町、川内村に続いて楢葉町も本格的な営農再開、他の町村については試験栽培、実証栽培に取り組んでいるとしております。これら地域における農産物には、お米のほか、ソバ、畜産、園芸作物、これはカボチャやブロッコリー、タマネギなどが作付し、拡大されているとしておりました。
 本県農業産出額は、平成22年に2,330億円、平成26年には1,837億円となっております。およそ500億円の減少となっております。本県の農産物は、生産量の減少に加えて風評被害の影響もあり、農業者には大きな打撃となっております。
 農業は本県の基幹産業と位置づけられております。本県の誇りとする産業でもあります。双葉地方を初めとする避難地域では、避難指示が解除された一部の地域で営農が再開されているものの、ほとんどの地域では事故以来5年以上もの間営農を中止していたことから、この地域の農業再生に向けた状況は極めて深刻であります。避難地域における営農の再開は、イノベーション・コースト構想とともに復興のシンボル産業として再生に取り組むべきではないかと考えます。
 従来から農産物は土によって育まれてまいりました。土壌の成分は作物に大きな影響を与えます。しかし、その土に風評被害の問題があるなら、土にかえて水を基盤にした農業に転換すべきではないかと考えます。地下には豊富な水、温水があり、地下水で不足するならば、海水を真水にかえることも考えられます。
 いずれにいたしましても、避難地域等の農業の再生に向けては、浜通りならではの農業を取り戻すため時期を決め、目標をしっかりと持って取り組むべきと考えます。
 そこで、県は避難地域等における農業の再生をどのように図っていくのかお尋ねいたします。
 また、避難地域において農業を再生していくためには、個々の農業者の力だけではなく、その協同組織である農協の力が必要であると考えます。
 そこで、県は避難地域等の農業の再生に取り組む農協をどのように支援していくのかお尋ねいたします。
 県内各地方に県関係出先機関が設置されておりますが、発災以後、避難地域のこれら出先機関は仮設事務所を開設し、業務遂行に当たっております。住民帰還に伴い、各自治体機能をもとの庁舎に移す準備が進められているところでありますが、県の出先機関にあっても体制整備とともに、機能改善を図るなどして地域連携の拠点としての役割を果たすべきと考えます。避難地域における県出先機関の再配備に際しましては、各自治体や住民の意見を反映し、利便性を考慮すべきと考えます。
 そこで、県は双葉郡内の出先機関の所在地、組織機能及び人員等執行体制をどのように考えているのかお尋ねいたします。
 平成28年度当初予算は1兆8,890億円、うち震災・原子力災害対応分は1兆384億円でありました。この予算額は、避難地域の復興加速化プロジェクト、この事業に826億円、生活再建プロジェクト、これに対して953億円、環境回復プロジェクト2,545億円など、11のプロジェクトに1兆1,169億円の事業費用が計上されております。災害からの回復状況を見ますと、避難地域及び海岸線を除き、地域の復興状況はおおむね完了と見ることができます。
 このような状況の中、総合計画における11のプロジェクト事業は避難地域各自治体にも大きな影響を与えるものであり、また、プロジェクトに計上した予算の執行は復興を加速化し、地域の再生の上からも重要な役割を持ちます。
 そこで、総合計画における11の重点プロジェクト事業について、今年度の予算の執行状況をお尋ねいたします。
 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難地域に設定された市町村に復旧・復興に向けて施設設備の整備が進められております。福島・国際研究産業都市構想、いわゆるイノベーション・コースト構想において、楢葉遠隔技術開発センター、廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟、ロボットテストフィールドなどさまざまな施設が順次整備されつつあります。また、復興祈念公園やアーカイブ拠点施設の建設があります。
 これら施設の地域に果たす役割は両災害からの復興と再生にありますが、施設の整備には多くの費用を必要とし、また、管理運営にも費用がかかります。さらに、地域住民の理解と協力は不可欠であります。これら施設の建設、そして活用にいかに多くの人が携わるか、また、地元の人と産業との連携がいかに図られるか、県は市町村と連携し、事業効果や問題点を整理しながら施設が有効に活用できるよう、拠点整備が見えつつある今、具体的かつ広い視点を持って検討し、さまざまな主体を巻き込みながら具体化を進めるべきと考えるところであります。
 そこで、知事はイノベーション・コースト構想による各拠点を有効活用し、浜通り地域の復興・再生をどのように進めていくのかお尋ねいたします。
 子供の肥満化傾向やメタボリック症候群の増加など、震災以降、県民の健康課題が一層顕著化しております。私は、こうした課題を解決していくためには県民の皆さんがまず日常的に体を動かすことが大切であると考えております。しかしながら、実際には健康づくりを実践する時間がなかったり、機会がなかったりしていることが実情だと思います。
 2020年東京オリンピックの追加種目として野球・ソフトボールが正式決定され、その本県開催も検討されているなど、県民のスポーツに対する注目がますます高まっております。健康への機運も期待されるところであります。こうした中、県では今年度から「健康」をテーマとしたチャレンジふくしま県民運動をスタートしておりますが、知事はこの県民運動をどのように推進していくのかお尋ねいたします。
 9月定例会に提出された28年度補正予算額は4,118億1,400万円、本年度予算累計は2兆3,097億2,600万円となりました。今定例会補正額のうち1,915億4,700万円は市町村除染対策支援事業費用として市町村分交付金を増額するとしております。
 避難地域において指定解除に伴い、避難住民の帰還は住宅等建築物、宅地等、さらには公共施設、商工業施設設備等々の除染を初め、改修、解体が必要な条件となっております。避難地域市町村の除染事業は国の責任で取り組まれておりますが、早期かつ確実な実施を望むものであります。
 一方、今回の補正措置は避難地域を除く市町村を対象とするものであり、震災から5年6カ月が経過している中、市町村の除染事業が計画どおり進められる必要があります。しかしながら、除染は膨大な事業であり、中にはおくれている部分などが発生しているのではないかと懸念しております。
 そこで、市町村除染実施計画に基づく除染の進捗状況と県の取り組みについてお尋ねいたします。
 また、原子力災害被災地域創業等支援事業に9,000万6千円が計上されました。被災12市町村の産業基盤の再構築、まちの活性化を図るためとされております。
 そこで、原子力災害被災地域創業等支援事業は、企業の施設や設備、商業施設等の改修費用、あるいは運転資金等に充てることができるのか、県の考えをお尋ねいたします。
 また、被災地域の農業を再生するため、原子力被災12市町村農業者支援事業として8億6,874万7千円が計上されましたが、できるだけ多くの農業者の帰還と営農再開に結びつけることが重要であると考えます。
 そこで、県は原子力被災12市町村農業者支援事業をどのように構築し、支援していくのか、その考えをお尋ねいたします。
 また、特定廃棄物埋立処分事業地域振興交付金として100億円が計上されました。これは、地域振興策などの取り組みを支援するために交付するとしておりますが、そこで特定廃棄物埋立処分事業地域振興交付金の交付先及び想定する交付対象事業についてお尋ねいたします。
 土木部の予算において、普通建設事業8,394万円、県単公共事業17億2,663万7千円、維持補修費4,393万円が減額補正されました。減額の幅は大きくはありませんが、土木部所管の公共事業は災害復旧事業を除き、計画的に取り組むべき性質を持った事業であると考えます。
 そこで、9月補正予算における土木部所管の公共事業費の減額について県の考えをお尋ねいたします。
 9月定例会に提出された歳入予算において税収についての補正が見られませんでしたが、避難地域市町村を除き、災害からの復興が一定程度進み、経済効果も上昇過程にあると見られ、このことは本県の歳入にも影響を及ぼすものと考えていたところであります。
 既に個人県民税については、6月の当初決定により全体額がおおむね確定し、法人県民税、法人事業税においても税収の多くを占める3月決算法人の確定申告は出そろい、ある程度全体収入を見込める状況にあると思われます。現段階で税収の増が見込めるのであれば、復興のための各種事業をより円滑に進めることができたのではないかと思われます。
 そこで、平成28年度の県税収入の見通しについてお尋ねいたします。
 発災後、心配しておりましたことが連続して発生してしまいました。県土、県政の復興・再生に真剣に取り組み、その成果が見られ、復興が実感できる状況の中での不祥事の発生はまことに遺憾であり、落胆する職員も多いことでありましょう。
 大震災、原発災害は、職員数の削減後に発生し、不足する体制の中、未曽有の災害への対応を行う職員には激務からのストレスが蓄積していると思います。緊張感の糸が切れたとき、規範意識も途切れることがありますが、職員の大半は理性をもって自己調整、つまりコントロールするものであります。中には、不安定な心理状態から脱出できないで自暴自棄となる性格の持ち主もおります。
 各職場においては、同僚や友人がそれに気づき、職場の中で対応し、事故などを未然に防ぐものでありますが、職場においての人間関係が疎遠であればその者は孤立します。当然のことでありますが、職員の人格、性質は尊重されなければなりません。
 組織の中では、規律、規範に基づき適切な指導に努めなければなりません。上席にある者、管理監督の立場にある者の人間性、倫理観、統率力、指導力が部下の職員の資質と能力を高め、同時に倫理観を醸成します。個々の職員の心の中に立ち入ることは極めて難しいことでありますが、職務能率の向上とともに、日ごろにおいて「あなた変わりはないですか」とさりげなく職員同士が思いやる職場風土づくりを何より大切にすべきであります。
 そこで、お互いを思いやる職員気質の醸成と孤立防止に努め、職場の一体感の向上を図るべきと思いますが、県は職員の教育にどのように取り組むのかお尋ねいたします。
 ことしは、春先より全国的にツキノワグマの出没や人的被害が数多く報道されております。本県でもツキノワグマの目撃情報が昨年より2倍近く報告されております。県内でも市街地への出没が見られたほか、人身事故も発生し、4名の方が被害に遭われております。
 今後秋には、さらに餌を求めてツキノワグマの里への出没がふえるとの報道があります。また、農作物の収穫や山に入る観光シーズンを迎え、被害が増大することも予想されます。
 そこで、県はツキノワグマの被害防止対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 本県の道路網は国道延長2,265キロメートル、県道延長4,598キロメートル、市町村道延長33,342キロメートル、合計40,205キロメートルとなっております。道路は県内各市町村へのアクセス上重要な役割を果たしております。
 県内の道路を走っていて気になることは、いずれの道路の沿線でも、市街地を除き雑草に覆われ、場所によっては立木が視界を遮り、交通安全上支障を来しているところも見受けられます。
 また、道路は観光地を結ぶ役割も持っております。観光地へ誘客するには、そこを結ぶ道路が最も重要な役割を果たすものであります。道路は、観光行政の面からも資源の一つと捉え、道路沿線の環境整備を図るべきものと考えます。
 そこで、県は道路の環境整備にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。


議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)三村議員の御質問にお答えいたします。


 県政への思いについてであります。
 知事就任から間もなく2年、未曽有の複合災害は依然として各方面に影響を及ぼしており、福島県の復興はいまだ途上にあります。
 そのような中、エアレース世界大会で初優勝を果たした室屋選手の活躍、4度目の挑戦でエベレスト登頂をなし遂げたなすびさんの奮闘、さらに全国新酒鑑評会での金賞受賞数4年連続日本一の快挙など、さまざまな分野で「ふくしまプライド。」を取り戻し、新たにつくり上げる挑戦の息吹が確実に広がりを見せております。
 こうした流れを大きなうねりへと高め、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に復興へ向け大きく羽ばたく福島の姿を全世界に発信する意味でも、これからの取り組みは極めて重要になります。
 そのため、被災者の生活再建や事業者のなりわい再建を最優先に、国、市町村と一体となって、12市町村の将来像やイノベーション・コースト構想の具体化、福島新エネ社会構想の実現に取り組むなど、避難地域の復興・再生を初め未来につながる新産業の創出をさらに推し進めてまいります。
 あわせて、地域における若者の雇用創出や定住・二地域居住の推進、地域おこし協力隊による地場産業や観光の振興など地方創生にもしっかりと取り組み、福島県全体の復興・創生につなげてまいります。
 今後とも、就任時に掲げた私の基本姿勢を貫き、県民の皆さんの思いを頭の真ん中に置きながら、山積する課題に対し果敢に挑戦を続け、若者を初め県民全てが希望と誇りを持てる「新生ふくしま」の実現に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、イノベーション・コースト構想につきましては、構想の取りまとめから2年、楢葉遠隔技術開発センターの本格運用を初めロボットテストフィールドの整備が本格化するなど大きく動き出しております。
 これらの拠点は、廃炉を初め物流や災害対応等、今後の需要拡大が見込まれる最先端のロボット技術の開発を支援するほか、ロボットの認証等の機能も備えた日本でオンリーワンの施設となります。
 私は、各拠点の有機的な連携を図りながら、国内外の研究機関や企業等を呼び込むとともに、地元企業の参画を促し、新産業の創出を通じた産業集積を図るほか、ソフト面を含めた情報発信の強化、交通アクセス等の利便性の確保などによる交流人口の拡大にも結びつけていきたいと考えております。
 こうした施策を確実に展開していくためには、構想の国家プロジェクトとしての位置づけや重点的かつ安定的な推進体制の整備などが必要であることから、先般の福島復興再生協議会において、福島復興再生特別措置法による法制上の措置を含めた対応を国に対して求めたところであります。
 引き続き構想の具体化を進め、原子力災害により最も甚大な被害を受けた浜通りの再生を目指すとともに、浜通りが新たな産業革命の地となり、福島県全体の復興・再生を力強く推進する原動力となるよう果敢に取り組んでまいります。
 次に、県民運動についてであります。
 私は、本県の復興には県民の皆さんの笑顔と元気が欠かせないものであり、そのためには心と体が健康であることが何よりも重要であると考えております。今年度からスタートしたチャレンジふくしま県民運動は、「健康ふくしま みんなで実践!」、これをテーマに、子供からお年寄りまで誰もが身近なところから健康づくりを実践し、人も地域も笑顔で元気な福島を実現しようとするものであります。
 8月には、全県的な普及、浸透と県民一人一人の健康づくり活動を後押しするため、関係54団体から成るチャレンジふくしま県民運動推進協議会を設立し、あわせて県民運動のイメージを共有していくため各団体の代表者や中学生と一緒にラジオ体操を実践いたしました。
 また、あしたから2日間、県内プロスポーツチームの協力による野球、サッカー体験やニュースポーツ、障がい者スポーツ体験のほか、健康測定やヘルシーメニューの提供など、健康への気づきや実践のきっかけづくりとして体験型イベントを開催いたします。
 今後は、ふくしま健民パスポート事業などの各種健康増進施策はもとより、市町村、関係団体等で実施している健康づくり関連イベント等とも連携をし、東京オリンピック・パラリンピックなどの機会に元気な福島の姿を発信することができるよう、県全体で盛り上がる県民運動を目指して積極的に推進してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(長谷川哲也君)お答えいたします。


 双葉郡内の出先機関につきましては、これまで富岡土木事務所、双葉農業普及所が広野町の仮設庁舎で業務を行っており、今年度からは現地における双葉郡各町村との連携を強化するためふたば復興事務所の業務を広野町内で再開したところであります。
 これら出先機関の機能、執行体制等については、富岡町での業務再開を視野に入れながら、復旧・復興の進捗や避難指示解除に向けた動きなどを総合的に勘案するとともに、町村等の意向を十分に踏まえながら引き続き検討してまいる考えであります。
 次に、総合計画における11の重点プロジェクト事業につきましては、四半期ごとに予算の執行状況を確認しながら事業の進捗を図っているところであります。
 今年度の第一・四半期の執行状況は、前年度からの繰越事業も含め、交付決定や契約などを行った事業の割合が41.9%で、昨年度の同時期並みとなっております。
 引き続き各事業の適切な進行管理に努めながら、復興・再生と地方創生の実現に向け、着実な事業の推進に取り組んでまいります。
 次に、平成28年度の県税収入につきましては、雇用・所得環境の改善や税制改正の影響等により、当初予算において前年度比5.8%増の2,284億3,400万円を計上したところであります。
 本県の景気は持ち直しの傾向が続いているものの、海外経済の下振れリスクの高まりや為替変動の影響等に留意する必要があることから、今後とも県内外の景気動向を注意深く見きわめるとともに、個人住民税の特別徴収の推進を図るなど、引き続き税収確保に万全を期してまいる考えであります。
 次に、職員の教育につきましては、これまでさまざまな研修機会を通じて資質向上や意識改革を図ってまいりましたが、今般相次いだ職員の不祥事案を受け、各職場で個別面談や研修による意見交換を実施し、規範意識の一層の徹底や職員間の意思疎通の促進に努めているところであります。
 今後専門家を講師とする研修を新たに行うほか、さまざまな階層における研修を引き続き効果的に実施するとともに、日ごろの挨拶や積極的な声かけにより職場内のコミュニケーションを深めるなど、一人一人の意欲と能力を引き出しながら、職員が互いに目標や意識を共有し、一体感を持って職務に当たることができるよう職員の育成に取り組んでまいります。


生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。


 避難地域における住宅のリフォームにより発生する廃棄物につきましては、リフォーム事業者が廃棄物関係団体の協力も得ながら専門事業者に委託して処理を進めておりますが、今後住民帰還の本格化に伴うリフォーム需要の増加や放射性物質への不安などにより処理が滞る懸念もあることから、県として6月に行った国への要望においてその処理を促進するための支援を強く求めたところであり、引き続き避難地域の廃棄物が円滑に処理されるよう取り組みを進めてまいります。
 次に、市町村除染につきましては、本年7月末現在、住宅及び公共施設等の進捗率が9割以上となり、14市町村で計画全体の進捗率が100%となる一方、道路等の進捗率は全体では五割強となっております。
 多くの除染箇所を抱える都市部においても住宅及び公共施設等の除染に一定のめどがつき、順次道路等の除染に力を注ぐ体制が整い計画的に作業が進められていることから、県といたしましては、引き続き市町村訪問や意見交換会等を通じ、個別の課題にきめ細かく対応しながら財源の確保と予算の適正な執行管理に努め、除染の着実な進捗に向け市町村と一体となって取り組んでまいります。
 次に、特定廃棄物埋立処分事業地域振興交付金につきましては、活用される既存管理型処分場が立地する富岡町及び搬入路と関連施設が立地する楢葉町を交付先として、埋立処分事業実施に伴い懸念される住民の帰還意欲の低下や風評等の影響を緩和するために措置するものであり、両町がさまざまな地域振興策や風評対策に主体的に取り組めるよう基金に積み立て、ソフト・ハードを含む幅広い事業に柔軟に活用できる極めて自由度が高いものとする考えであります。
 次に、ツキノワグマの被害防止対策につきましては、熊の生態を踏まえた注意喚起等に努めるとともに、熊の生息域と人の生活圏とのすみ分けを図ることが重要であることから、専門家の助言等を踏まえ、熊の移動ルートとされる河川敷の刈り払いを新たに追加して実施することにあわせ、里山における緩衝帯の設置や人の生活圏へ熊を呼び込まないための落下果実の適正処理及び電気柵の設置などを組み合わせた地域ぐるみの総合的な対策にモデル的に取り組むなど、引き続き関係部局や市町村、関係団体と連携しながら被害防止対策を進めてまいります。

商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 避難地域の商工会等の支援につきましては、これまで商工会館事務所等の復旧整備や経営指導員の増員、復興支援員の配置など、ハード・ソフトの両面から積極的な支援に取り組んでまいりました。
 今後避難地域の再生を加速するためには、個々の事業者の状況に応じたきめ細かな経営相談などを行う商工会等の役割がますます重要となってくることから、市町村や官民合同チーム等との連携のもと、人員確保や職員の資質向上に対する取り組みなどへの支援を引き続き行ってまいる考えであります。
 次に、原子力災害被災地域創業等支援事業につきましては、被災12市町村において新規創業や事業展開等を行う事業者を対象に、店舗や事務所、宿舎等の施設の購入、修繕のほか、開設に伴う設備の調達など、運転資金を除きさまざまな支援を行うものであります。
 今後は被災事業者の事業再開への支援に加え、当該事業を積極的に活用しながら、働く場や買い物をする場など、被災市町村のまち機能の早期回復を図ってまいる考えであります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 避難地域等の農業の再生につきましては、生産基盤の復旧に最優先で取り組むとともに、この地域の重要課題である放射性物質対策や担い手不足等の解決に向けて、浜地域農業再生研究センターでの調査研究やICTを活用した技術開発などを通して新しい農業の構築を進めてまいります。
 今後本格的な営農再開に当たっては、水路の管理など地域全体の農業者が協力した取り組みが必要なことから、福島相双復興官民合同チームの活動を通して市町村の営農再開ビジョンの策定を支援しているところであり、地域ごとに異なる住民帰還の状況や農業者の意向を踏まえながら計画的に農業の再生を図ってまいります。
 次に、農協への支援につきましては、避難地域等の農協には、組合員の農業経営全般に対する支援に加え、避難指示の長期化に伴う担い手の不足や悪化した生産環境の回復という避難地域特有の課題の解決に向けて、農業再生の主体として先導的な役割が期待されています。
 このため、融資や営農指導への協力を初め農協出資型法人による新たな担い手の確保、風評の影響が少ない花卉等の新産地形成など、農協みずからが行う農業再生に向けた取り組みに対しても積極的に支援してきたところです。
 今後とも農協としっかり連携しながら、担い手農家、市町村などとともに営農再開ビジョンに即した地域農業の再生を図ることができるよう、きめ細かな支援に努めてまいる考えであります。
 次に、原子力被災12市町村農業者支援事業につきましては、これまでの福島再生加速化交付金等による農業者団体や地域農業の中心となる担い手への支援に加え、地域全体での営農再開を促進するため、中小規模の農業者等を支援する新たな補助制度を創設するものであります。
 具体的には、国の第2次補正予算案に盛り込まれた69億5,000万円を活用して基金を造成し、被災12市町村で営農を再開する農業者に対し、農業用の機械や施設の整備、畜舎の建設等に係る費用を補助率4分の3、事業費上限額1,000万円を基本として助成してまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 土木部所管の公共事業費につきましては、復旧・復興事業を除く国からの交付金等の配分が現計予算を下回ったことから、9月補正予算において所要の減額を行おうとするものであります。
 また、減額となる事業のうち緊急性の高い箇所につきましては、交付金事業等に充当する予定であった一般財源を活用して県単独事業を実施することにより、事業進捗への影響を最小限に抑えてまいる考えであります。
 今後とも必要な予算の確保に努め、計画的に事業を推進してまいります。
 次に、道路の環境整備につきましては、年間の維持管理実施計画に基づき、日常の道路パトロール結果も踏まえ、通行に支障となる急カーブ箇所や歩道、交差点の除草等を重点的に実施しております。
 今後とも必要な予算確保に努め、道路利用者の安全を最優先に、観光面にも配慮した沿道景観を確保するため、意見交換会等を通して情報共有に努めるなど、国、市町村と緊密に連携を図りながら、役割分担のもと効率的な除草等に取り組み、安全で良好な道路の環境整備に努めてまいる考えであります。


避難地域復興局長(成田良洋君)お答えいたします。


 避難地域の住宅周辺の除草につきましては、帰還を望んでいる方だけでなく、いずれ帰還することを考えている方にとってもふるさとの生活環境を保全していく上で重要であると考えております。
 避難地域の除草については、これまでそれぞれの市町村において道路を初めとする公共施設等で実施してきたところであり、今後は市町村、消防等関係機関と連携し、火災予防や防犯の視点も踏まえた住宅周辺の適切な管理の啓発にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、避難地域の生活環境の整備につきましては、帰還を促進するために大変重要であり、これまでも国、市町村と連携し、ふたば復興診療所「リカーレ」を設置したほか、(仮称)ふたば医療センターの立地を決定するとともに、復興の拠点となる商業施設等の整備を支援してまいりました。
 今後も市町村が帰還の足がかりとするために計画している復興拠点の整備の促進や事業の再開等への支援を行い、一人でも多くの方が帰還したいと思えるよう生活環境の整備に取り組んでまいります。


議長(杉山純一君)これをもって、三村博昭君の質問を終わります。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。