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2019年2月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年7月3日更新
神山悦子議員 
議員神山悦子
所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成31年2月
質問等討論
質問日3月20日(水曜日)

50番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。共産党県議団を代表して議案に対する討論を行います。

 知事提出議案について、以下の議案に反対の立場から討論を行います。
 まず、議案第1号「2019年度一般会計予算」についてです。
 今月3月11日で大震災、原発事故から丸八年たちました。国が決めた復興期間10年はあと残り2年となっていますが、わずか10年程度で県民の暮らしやなりわいがもとに戻る状況にはないというのが避難地域や県民の実感です。
 しかも、県も国に要望していた2021年3月末で廃止される復興庁の後継組織については、今月8日に設置方針が示されました。県は、安倍政権と一体に避難者への支援を打ち切る一方で、福島イノベーション・コースト構想を新年度はさらに加速させるとしています。
 我が党の代表質問で宮川県議が明らかにしたように、安倍政権は暮らしと平和を壊す消費税10%増税と憲法九条改悪、全国の原発の再稼働を次々と進めています。この安倍政権に言いなりでは県民の命も暮らしも守れません。
 安倍政権は、ことし10月から消費税率を10%に引き上げるとしています。消費税増税は、そもそも所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性があります。2014年4月に消費税が8%に増税されて以降、景気は回復せず、消費の六割を占める個人消費も伸びていません。
 さらに、厚労省が組織ぐるみで毎月の勤労統計を改ざん、不正していたことが発覚し、実質賃金はマイナスになるなど、消費税率引き上げの根拠は破綻しています。
 景気対策としての複数税率やカードによるポイント還元も複雑で、大混乱を招くものです。しかも、10月からの増税実施前には既に食品業界が横並びに値上げを発表しました。今からでも遅くはありません。消費税増税は中止すべきです。
 また、安倍政権は憲法9条に自衛隊を明記し、戦争する国づくりを狙い、新防衛計画大綱では今後5年間で27兆円を掲げ、アメリカの兵器を次々と爆買いしています。
 また、自衛隊の新規募集に市町村に名簿提出を求めていることは自衛隊法でも自治体が応じる義務規定はないものです。安倍政権のもとでの憲法9条改悪は許されません。
 原発事故への対応では、日立製作所会長、経団連の中西会長はイギリスへの原発輸出を断念しましたが、安倍政権の原発輸出計画は全て破綻しているのに、国内の原発はどんどん再稼働すべきと発言しています。東電が第二原発廃炉を正式に表明しない中で、廃炉の決断は東電任せではなく、国が前面に立って判断する以外にはありません。
 また、東電はADRの和解仲介案さえ拒否し続け、その一方で東海第二原発再稼働の安全対策に1,900億円も出資することは県民感情からも許されません。
 この安倍政権と一体で県政運営を進め、予算編成もこの立場から行っていますが、内堀県政2期目の当初予算は復興を加速させるとして、復興・創生分6,001億円を含め1兆4,603億円の予算規模となりました。この来年度予算には、これまでの県民要望を受けて実施する事業も多く含まれています。
 全国的に大きな衝撃が広がり、胸が痛む相次ぐ児童虐待死事件ですが、新年度予算には県中児童相談所が一時保護所と一体に整備するための整備設計費等に約4,650万円が計上されました。
 私は、県中の児童相談所が民間テナントに入居していた当時から、中央児相の分室扱いではなく、独立した児童相談所の設置を求めてきました。2006年の泉崎村の虐待死事件を受け、ようやく独立したものの、一時保護所は車で20分も離れた県の施設に間借りしているのが現状です。ようやく一体で整備されることを大いに歓迎するものです。
 なお、一時保護所は男女別、年齢や保護内容別の部屋を確保することや児童福祉司の大幅な増員、虐待した親にも丁寧な研修プログラムを用意することなどが求められます。
 さらに、中途失明者への歩行訓練士を県に配置し、住宅用太陽光発電の蓄電設備への補助、県立高校教室に続いて一年おくれとなるものの、特別支援学校の教室にもエアコンが設置されます。さらに、聴覚支援学校と相馬支援学校の二校が改築されます。
 災害対応のための予算拡充が求められていた河川整備費についても、国の二次補正を活用した2月補正予算と合わせると約193億円の予算が計上されたことを評価するものです。
 しかし、新年度予算には多くの問題点が含まれています。県は、原発避難者への住宅無償提供を次々と打ち切る一方で、福島イノベーション・コースト構想には今年度の約700億円をさらに200億円も上回る913億円を計上しました。増額分は主に復興拠点へのアクセス道路整備費です。公共事業の全体額が今年度比20.7%の増となり、これも主に道路整備費が大幅に増額されているのが特徴です。
 知事は、今議会冒頭の所信で避難指示が解除された地域において復興・創生の進展を実感できた1年だったと述べ、その一方で4万人を超える避難者の生活再建、廃炉・汚染水対策、急激な人口減少への対応など、依然として本県に暗い影を落としていると述べました。県による避難者への住宅支援の打ち切りを初め第二原発の廃炉や汚染水対策、ADRによる和解案を拒否する東電に対する県の対応は問題があり、避難者に寄り添う県の姿勢が一層求められていることを指摘するものです。
 知事は、昨年8月、大熊町と双葉町以外の帰還困難区域についても住宅無償提供を来年2020年3月末で打ち切る方針を表明しました。今月末で打ち切りとなるのが南相馬市、川俣町、川内村及び帰還困難区域を除く葛尾村、飯舘村の避難者です。県独自の2年間の家賃補助を受けていた約2,000世帯の自主避難者も今月末で打ち切られますが、県は実態すらつかんでいません。国家公務員宿舎の入居者についても、100世帯のうち7割が行く先が決まっておらず、国に継続すら求めようとしていません。もし県独自の家賃補助制度を継続したとしても年間約4億8,000万円です。イノベ関連の各事業費に比べればわずかな予算です。人間の復興がなければ、真の復興とは言えません。
 ことし1月末の避難解除市町村の居住率は平均約23%です。オリンピック開催までに仮設住宅を解体、撤去し、原発事故の避難者数を極力小さく見せようとする国の意向を受け、県は県民切り捨てを一緒に進めています。災害関連死は被災三県で最も多く2,271人、災害関連自殺者は103人に上っています。
 双葉郡8町村の児童生徒数は、昨年4月時点で531人、平均8%程度です。ことし4月から山木屋の小学校は休校となります。復興公営住宅の入居者も、また帰還した避難者も高齢者が多く、原発事故を受けた双葉地域は超高齢化、超少子化が顕著になっているのです。
 環境回復の面でも問題は山積しています。中間貯蔵施設への搬入は、帰還困難区域を除き、2021年度までの完了を目指すとしていますが、県民の理解が得られない減容化のための汚染土壌の再利用方針は撤回すべきです。ここでも安倍政権としっかり対峙できる県政を求めたいと思います。
 一方で、国と一体で進めているのがイノベーション・コースト構想です。南相馬市の工業団地に総額約156億円もかけて整備する福島ロボットテストフィールドは、来年度いっぱいで構造物の整備が完了するとしています。その地元、原町商工会議所が実施したアンケートで「復興に役立つ」と答えたのはわずか3%でした。また、今議会で商労文教委員会が中小企業家同友会と県当局も参加して懇談しましたが、南相馬市の会員も全く同様の意見を述べています。
 また、農林水産業分野も同じです。来年度は、731億円を重点配分しますが、TPP11など国際競争力強化の名のもと、10ヘクタールの大規模圃場整備や大型の農業用機械導入、ICT農業など震災後から今年度までで約463億円もの復興予算が投入されていますが、農業の再開は進んでいません。その一方で、小規模農家や既存の農家後継者支援については後景に追いやられています。
 さらに、被災地で大幅に頭数がふえたイノシシによる農業被害は初動対策のおくれもあり、原発被災地から今や猪苗代町まで生息域が広がり、頭数が減っている実感はありません。ことし4月1日からの第3期5カ年の県のイノシシ管理計画でも、県が推定している今年度生息数の約半分の年間2万5,000頭の捕獲で減少に転じるとしていますが、減少の見通しはありません。人員を確保し、予算の大幅な拡充を行うなど、抜本的な対策を早期にとるべきです。
 さらに、水素燃料電池車FCVなどの水素エネルギー普及拡大に約4億5,000万円を計上しました。しかし、世界の趨勢は電気自動車EVです。水素エネルギーは多額の費用がかかるため、国、県の補助なしでは普及が進みません。しかも、安全性、経済性、環境面も確立されたとは言えません。
 県は、再生エネルギーでも課題があります。県内に導入した大半は、外国資本や日本の大手電力会社が発電する大規模な太陽光発電などです。県は再生可能エネルギーのアクションプランを見直すとしていますが、県内でも導入が進む地域主導型、地産地消型の普及については、民間の努力があるものの、県の導入目標はありません。
 いわき市遠野地区では大規模な風力発電が次々と計画され、住民からは土砂災害の危険や水源の枯渇、人体への影響などから、計画の中止を求める要望が上がっています。こうした大規模な風力発電計画に一定のルールが必要です。本県の復興ビジョンに立ち返り、自然エネルギーの宝庫である本県の地理的条件を十分に生かしつつ、地域主導型、環境共生型の再生可能エネルギーの普及を進めるべきです。
 また、郡山市と福島市の中核市を中心に広域連携中枢都市圏構想が進められていますが、安倍政権が狙う道州制につなげようとするものです。県は、今行われている県の商業まちづくり条例の基本方針の見直しに当たり、この考え方を書き込みましたが、これは県がこれまで掲げてきた商業まちづくり条例の目的そのものを根底から覆すことになります。この考えを盛り込んだ条例の基本方針の見直しは行うべきではありません。
 さて、県民の医療、福祉、教育にこそ大幅な予算と施策の充実が求められます。東京電力福島第一原発事故がもたらした過酷事故は、県民の当たり前の日常の暮らしとなりわいを一変させました。長引く避難生活や放射能による影響などで心身の健康悪化も進んでいます。メタボは全国3位、心筋梗塞は男女とも1位です。健診費用の無料化、がん検診無料化も実施されていません。全国に誇れる健康長寿の県を目指し、その具体化に取り組むことが求められます。
 教育行政においては、ことし4月から県独自の学力テストが小学4年生から中学2年生を対象に約7,700万円もかけて実施されます。英語や道徳の教科も始まるため、教職員と子供たちを一層競争に追い立てることになります。
 また、県立高校の統廃合計画が示され、同時に県立学校を選別化しランクづけを行うことや、イノベの人材づくりを含め本県の教育行政が大きくゆがめられようとしています。教員多忙化を解消し、人格の完成を目指す教育を進めるためにも、教育予算を大幅に増額し、正教員を増員することこそ解決の大きな鍵であることを指摘するものです。
 県が掲げる日本一子育てしやすい県から見ても、学校給食費の無料化に県が踏み出すべきです。約80億円の予算があればできます。既に県内市町村の半数を超え、さらに新年度からの実施を含めれば31市町村が全額無料または一部無料です。県が目指す子育て支援、人口減少、少子化対策にもつながることから、真剣な検討を求めるものです。
 次に、議案第4号「国民健康保険特別会計予算」についてです。
 高過ぎる国保税の負担軽減は、県民の命と健康を守るために必要です。昨年4月から都道府県に移管され、来年度は一人当たり平均6千円の引き上げが試算されています。国保の構造的な欠陥を解消するためには、国に一兆円の国庫負担を求め、中小企業の協会けんぽ並みに引き下げること、子供が多いほど負担が重くなる子供の均等割を廃止し、県民と市町村を支援すべきです。
 議案第10号「港湾整備事業特別会計予算」についてです。
 この予算には、小名浜港東港の整備費が計上されています。一般会計にも計上されているのと合わせると、来年度の県負担分は約127億円です。東港地区の整備もあと2年、2020年度末までに完了するとしていますが、広野町と勿来に東電と常磐共同火発が建設する石炭ガス化複合発電IGCCで使用する石炭荷揚げのための港湾整備費です。地球温暖化にも逆行するものであり、反対です。
 議案第18号から第52号、第59から第60号、第64から第65号についてです。
 これはことし10月からの消費税率10%への消費税増税に伴う使用料、手数料条例の改定等です。消費税を前提とした新たな県民負担増となる公共料金の引き上げはやめるべきです。
 議案第24号「土地収用法関係手数料条例の一部を改正する条例」についてです。
 これは昨年6月に成立した所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づく課税の特例を新設しようとするものです。また、公共事業を進めるための土地収用手続を知事が収用委員会にかわり認定できる仕組みも導入されることから、手数料の徴収とはいえ同意できません。
 議案第66号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担について」です。
 これは郡山市など4町村の国営造成土地改良施設整備費に係る県の負担の一部を市町村にも負担させようとするものであり、賛成できません。
 次に、議員提出議案について討論を行います。
 新規請願205号「10月からの消費税10%中止を求める意見書の提出について」及び同意見書第261号については賛成、議案第260号については消費税増税を前提としていることから反対です。
 新規請願206号「「米軍基地負担に関する提言」の推進を求める意見書の提出について」及び同意見書第262号、第263号については賛成の立場から意見を述べます。
 これは、昨年7月、全国知事会が沖縄県を初めとする基地負担を各自治体住民の生活に直結する重要な問題と位置づけ、提言を全会一致で採択したことを重く受けとめ、一層積極的に取り組み、実現を図るための意見書です。我が県の上空にも米軍の2つの飛行ルートがあり、ことし1月にもオスプレイの飛行が県内で目視されています。よって、新規請願206号は採択、同意見書第262号、第263号は可決すべきです。
 新規請願207号「憲法九条の改定に反対する意見書の提出について」及び新規意見書第264号、第265号については知事提出議案で述べた理由から、第207号は採択、第263号、第265号は可決するよう求めまして討論を終わります。

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