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2019年12月定例会 討論 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月12日更新

宮本しづえ

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会 令和元年12月
質問等 討論
質問日 12月25日(水曜日)

38番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。共産党県議団を代表して討論を行います。

 今議会は、台風第19号と豪雨による甚大な被害が発生したもとで、被災県民の暮らしとなりわい再建に向け、県政の役割発揮が強く求められた議会となりました。以下、各議案について意見を述べます。
 まず、以下の知事提出議案について反対の立場で意見を述べます。
議案第9号「福島県建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例」についてです。
 これは、二級建築士の免許手数料1万9,300円を2万4,400円に引き上げようとするものです。個人の資格取得に係る手数料であり、積極的な資格取得を促すためにも引き上げは見合わすべきと考えます。
 次に、議案第31号「公立大学法人福島県立医科大学が徴収する料金の上限の一部変更の認可について」です。
これは、看護師に特定医療行為を行わせるに当たり、研修を行うために研修料金を設定するものです。本来医師が行う医療行為を看護師に行わせることは、医療の安全性を損ないかねません。
 人口当たりの医師数でOECD加盟国の平均を大きく下回る日本の医師不足を解消するための手段として、看護師に特定行為を行わせるのは本末転倒であり、国は抜本的な医師確保対策を講じるべきです。
 看護師が専門職として質の高いケアを追求するために学ぶ機会を保障することは当然ですが、特定行為を行うこととは全く別の次元の問題です。多忙化の中で看護師の本来の仕事ができなくなっているのが実態であり、本議案には賛成できません。
 議案第32号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」です。
 この議案は、県の農業関連公共事業に対し、会津坂下町に負担を追加するものです。県の事業に市町村の負担を求めるべきではありません。
 議案第65号「県議会の議員の議員報酬等に関する条例の一部を改正する条例」及び第67号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」についてです。これらの議案は、議員と特別職の期末手当を引き上げるためのものです。
 今、福島県民は東日本大震災と原発事故による復興の途上にあり、加えて10月の台風と豪雨災害が県民に甚大な被害をもたらしており、県民生活は大きな困難を余儀なくされています。議員及び特別職の報酬は、一般県民と比較しても高い水準にあり、引き上げるべきではないと考えます。
 次に、議員提出議案について意見を述べます。
 議案第1号「国会における憲法論議の促進と国民的議論の喚起を求める意見書」についてです。
安倍首相は、9日閉会した臨時国会で改めて憲法改悪への執念を示しました。しかし、4度にわたり憲法審査会に自民党の改憲案を提示することができなかったのは、市民と野党の共同で憲法を守り、立憲主義の回復を求め続けてきたからです。そもそも国民主権の原則を踏みにじり、国会を軽視し続けてきた安倍政権には、憲法改定を語る資格がないことは明瞭ではないでしょうか。
 12月14,15日に共同通信が行った世論調査によれば、安倍政権のもとでの憲法改定に反対が54.4%と過半数に上り、賛成の31.7%を大きく上回っています。
 安倍内閣が取り組むべき課題で最も多いのは、年金、医療、介護が41.4%、次いで景気や雇用などの景気対策が33%、子育て、少子化対策が27.5%であり、憲法改正と答えたのはわずか5.2%にすぎません。安倍政権の支持率が42.7%に対して 不支持が43%となり、今回は支持と不支持が逆転する結果となりました。
 また、12月21,22日に行われた朝日新聞の世論調査では、安倍内閣の支持率は38%となり、昨年8月以来初めて4割を切りました。憲法を無視して暴走を続ける安倍政権を国民は容認していないことのあらわれです。
森友、加計疑惑に続き、今度の臨時国会では政府主催の桜を見る会をめぐり、安倍首相自身に重大な疑惑がかけられました。国民の税金を使って桜を見る会に自身の後援会員を多数招待していた政治の私物化は、安倍政権の異常さを示すものですが、この間野党が共同でこの問題の追及本部を立ち上げ、安倍政権を追及する中でもはや逃げられない問題となっています。
 桜を見る会に招待された1万8千人もの証人がいること、招待客の中には反社会的事業者ジャパンライフの会長が含まれたことで新たな被害者を生む要因となりましたが、福島県の被害者が最も多いと言われています。
 さらに、前夜祭で異常に安い会費で後援会員に飲食を提供していた公職選挙法違反の疑い、これらの事実を政治資金報告しなかった政治資金規制法違反の疑い、さらには税金の目的外使用による財政法違反の疑い、招待者名簿提出を求められたその日に処分した公文書管理法違反など、各種の法違反の疑惑があることです。
にもかかわらず、国会ではうその答弁を繰り返し、逃げられないと知ると今度は国会に出席しない、求められた資料は処分して証拠隠滅を図り、提出を求められると行政文書ではないとして提出を拒否し続ける。こうした憲法第62条に基づく国会議員の国政調査権を否定する行為は民主主義を踏みにじるものであり、断じて許されません。
一国の首相がみずからにかけられた疑惑に対して真摯に向き合い、国民に真相を説明することは当然の責務ですが、全く応じる姿勢が見られなかったことは総理の資格を欠くものであり、政権を担う資格がないことは余りにも明白です。
 立憲デモクラシーの会が行った12月9日の記者会見で、山口二郎法政大学教授は「安倍首相が証拠を示さないのは、不正を行ったと自白したようなものだ」と厳しく批判、石川健治東大教授は「哲学者カントは、公開性、公表性のない統治は不正であり、戦争を招くと指摘していた。日本の統治システムが日々壊されていることを憂慮する」と述べました。
 安倍政権は、集団的自衛権行使を認める閣議決定を行い、2015年9月、臨時国会で憲法に違反する安保法制を強行成立させ、立憲主義を踏みにじった暴挙が国民の危機感を募らせ、これまで政治に余り物を言わなかった市民が立憲主義の回復と憲法を守る運動に立ち上がる契機となりました。
 国民の改憲反対の世論が広がるもとで、自民党は現行憲法9条をそのまま残しつつ、第三項に自衛隊を加える改憲案を示したのです。武力行使も認めるもので、集団的自衛権行使容認により、自国が攻撃を受けなくても、日米安保条約により、米軍とともに世界のどこにでも出かけていって武力行使を可能にする、すなわち日本を戦争する国にする、ここに一番の狙いがあります。
 しかし、現憲法前文では、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにこの憲法を定めるとし、第九条は、戦争の放棄とともに、陸海空軍その他の戦力は保持しない、国の交戦権も認めないことを明記しています。
立憲主義とは、この憲法が時の政権の暴走を縛るということであり、安倍政権にはこの憲法の擁護義務が課せられているのです。にもかかわらず、首相自身が改憲の旗振りをすることは重大な憲法違反です。
 我が県議会が国民、県民が求めていない憲法改定の議論を進めるための意見書を提出することは適切ではなく、よって本意見書案には反対です。
 同趣旨の立場から、議案第2号「憲法が掲げる平和主義の理念の堅持を求める意見書」、第3号「憲法第九条の改正に反対する意見書」は可決すべき、請願1号は採択すべきです。
 次に、議案第8号「消費税率10%を撤回し、5%への引下げを求める意見書」についてです。
2019年10月から消費税率が10%に引き上げられました。どの経済指標を見ても日本経済が悪化していることは明瞭であるにもかかわらず、増税を強行したことに対して国民、県民の怨嗟の声が広がっています。
 県内でもこの機に商売をやめる中小業者が相次ぎ、台風災害の被災者は全壊の判定で加算支援金100万円をもらってもリフォームに係る経費の消費税分で全部消えてしまうと悲鳴を上げています。
 10月の家計消費支出は、前年同月比で5.1%のマイナスとなり、2014年の8%への増税以上のダメージとなり、12月の日銀短観でも大企業の製造業で4四半期連続で悪化するなど、経済指標からも消費増税がいかに不適切であったかは明瞭です。
 消費増税による景気悪化の批判をかわすため、安倍政権は26兆円に上る経済対策を打ち出しました。この中で財政支出は13兆円です。本気で景気対策を考えるなら、まず消費税率を5%に戻すことこそ一番の景気対策です。
そもそも高齢化社会のため、社会保障の財源と説明して導入された消費税ですが、実態は福祉のためどころか大企業の法人税減税の穴埋めに使われてきたのです。導入から30年間に納められた消費税の総額は397兆円、一方、同期間の法人税の減税総額は298兆円となり、実に消費税の4分の3は法人税減税の穴埋めに消えたことになるのです。
 しかも、10%に増税されたばかりなのに、来年度から全世代型社会保障の見直しで高齢者を狙い撃ちした医療や介護の国民負担増が計画されており、大きな批判が巻き起こっています。低所得者ほど税負担率が高くなる最悪の不公平税制である消費税が日本の国税の基幹税となり、税の構造も大きくゆがめています。
 そして、世界の中でも際立って貧富の格差が拡大、この20年間GDPはほとんど伸びず、日本は経済成長できない異常な国になっているのです。460兆円にも膨らんだ大企業の内部留保の一部を吐き出させ、正規雇用をふやすとともに応分の税負担を求めること、消費税を減税し、国民の暮らしを温めることが日本経済をまともな成長基調に導く道であることを指摘し、本議案は可決すべき、同趣旨の請願4号は採択すべきです。
 次に、議案第15号「看護師と介護従事者の全国を適用地域とした特定最低賃金の新設を求める意見書」についてです。
看護師、介護職員不足への対応は、日本社会の共通する課題となっていますが、同時に首都圏と地方では賃金格差があることも事実であり、地方の職員不足がより深刻化しています。福島県も2025年の介護職員充足率の見込みが全国最下位となっているように、本県においてもゆるがせにできない問題です。
 全国一律にこの分野に特化した最賃制度の新設を求める本議案は、現場の切実な要求に基づくものであり、本意見書は可決すべき、同趣旨の請願17号は採択すべきと考えます。
 次に、議案第16号「すべての子どもに無償化によるより良い幼児教育・保育の実現を求める意見書」についてです。
 ことし10月から始まった幼児教育・保育の無償化は、子育てに対する経済的支援を行う重要な施策ですが、これまで保育料に含まれていた副食食材費が新たな保護者負担とされたことは問題です。県内では、独自に給食費補助制度を立ち上げた市町村も広がっており、地方の負担軽減は当然の要求です。
 また、増大が見込まれる保育需要への対応が不十分なため、待機児童の増加が懸念されます。不足している保育士確保対策などの総合的な対策が求められており、国が必要な財源を確保することは不可欠であることから、この意見書は可決すべき、同趣旨の請願19号は採択すべきです。
 次に、議案第18号「教職員給与費「義務教育費国庫負担」2分の1復元と制度充実を求める意見書」についてです。
義務教育に係る教職員の人件費の国庫負担は2分の1とされてきましたが、2006年から国の負担割合を一方的に3分の1に削減、地方負担をふやしました。一日平均11時間もの長時間勤務が常態化し、教員の働き方改革が求められているように、教員を増員し、子供たちに行き届いた教育環境を整備すること、教師が安心して働ける教育条件の整備は喫緊の課題です。国は、直ちに義務教育費の国庫負担を二分の一に戻すとともに、標準法を改定し、正規教員の大幅な増員を図るべきです。
日本のGDPに占める公教育費の割合が2.9%と、OECD加盟34カ国平均の4.1%を大きく下回る状況を抜本的に改善すべきです。よって、本意見書案は可決、請願20号は採択すべきです。また、教育予算の増額を求める請願二十五号も採択すべきです。
 次に、議案第19号「学校給食費の無料化を求める意見書」についてです。
日本一子育てしやすい県を目指す本県の中で、子育てで負担が大きい学校給食費に補助を行う市町村が来年度予定を含めると34に上り、給食費の補助は今や県内では大きな流れとなっています。
 給食は重要な教育の一環であり、憲法26条に基づくなら給食費は無償でなければなりません。補完するものとして就学援助制度がありますが、生活保護基準の引き下げにより、この制度の適用も狭められつつあります。
子どもの権利条約に基づく発達保障、貧困対策、少子化対策としても給食の役割が見直されている今日、国の責任で無償化を実施すべきであり、本議案は可決すべき、請願21号は採択すべきです。また、県に無償化を求める請願22号は採択すべきです。
 次に、請願12号「私学に対する運営費補助の拡充を求めることについて」です。
 私学振興法は、私学運営費の2分の1を補助するとしていますが、実際には2分の1は補助されておらず、結果的に保護者負担増となっているのが現状です。私学が果たしている役割に鑑み、法に基づく補助を行うべきであり、本請願は採択すべきです。
 最後に、請願13号「私立高校の生徒の授業料等学校給付金に対する就学支援事業の拡充を求めることについて」です。
国は、来年度から私学の就学支援金の加算対象世帯を拡大し、年収590万円以下は授業料をほぼ無償化する方針です。しかし、590万円以上の世帯では依然として年間30万円以上の学費負担が残され、910万円以上の世帯では全く支援を受けられません。
 私立高校に通う生徒と保護者の負担解消、公私間格差是正のため、県が新たな制度を創設することは重要であり、本請願は採択すべきです。
以上を述べて討論を終わります。


議長(太田光秋君)以上をもって、討論を終結いたします。

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