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2020年9月定例会 討論 宮川えみ子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年11月27日更新

宮川えみ子議員の写真 

議員

宮川えみ子

所属会派(質問日現在)

日本共産党

定例会 令和2年9月
質問等 討論
質問日 10月7日(水曜日)

39番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党県議団を代表して討論を行います。

   今議会は、福島県も新型コロナで院内クラスターが発生したり、死亡者が4人も出るなど感染拡大が深刻になり、PCR検査の抜本的拡充と医療保健体制の強化、また、暮らし経済支援が求められました。
   9月16日、安倍内閣から菅内閣に替わりましたが、コロナ禍の下、新自由主義のスローガンで自助、共助を強調しましたが、政治の仕事は公助です。また、日本学術会議推薦者の任命拒否問題で国民的抗議が広がっています。
  復興十年を迎える中、菅内閣の基本方針に東日本大震災や東京電力福島第一原発事故の記述が全くありませんでした。9月30日のなりわい裁判、仙台高裁判決は、国には東電と同等の責任があるとした画期的判決でした。伝承館がオープンしましたが、原発事故での国と東電の批判を認めない在り方が問われました。原発汚染水海洋放出に反対、慎重を求める意見書は、県内42自治体、7割を超えています。また、地球温暖化の下で災害の抜本的対策があらゆる分野で求められましたが、これらの状況を踏まえて以下申し上げます。
   初めに、議員提出議案についてです。
   議員提出議案第59号「消費税率5%以下への引下げを求める意見書」についてと、同趣旨の請願43号について一括して申し上げます。
   この請願の内容は、昨年10月の消費税10%増税とコロナショックという複合危機が日本経済を襲っている、2020年4月から6月期の国内総生産もリーマン・ショックを超える戦後最悪の落ち込みになった、八月の全国企業倒産も6百件を超え、今対策を打たなければさらなる倒産と雇用が失われるとして、世界20か国が経済対策として付加価値税減税を実施しているように、消費税減税を行うべきとしています。
   そして、消費税に頼るのではなく、応能負担にのっとった税制を確立し、内部留保を増やし続けている大企業や富裕層を優遇する不公平税制を正すよう求めています。
   消費税導入から31年、増税分はほとんど大企業と大金持ち減税に使われました。法人税率が42%から23.2%に、所得税最高税率も60%から45%に引き下げられました。大企業は、内部留保金を過去最高の487兆円に増やした一方、国民には貧困と格差を広げましたが、そこに新型コロナが襲ったのです。
   コロナに起因する解雇も急速に広がり、昨日の厚労省の発表では、解雇、雇い止めが見込みも含めて6万3,347人となり、福島県では1,037人と発表されています。製造業、飲食業、小売業、宿泊業、労働者派遣業等多数の解雇が発生しています。
   これは、厚生労働省が地方労働局を通じて把握している数字ですが、民間信用調査会社の東京商工リサーチの発表によると、今年の1月から8月までの休廃業、解散した企業は前年同期に比べ23.9%も増え、今後コロナが長引けば廃業を検討する可能性があると回答した中小企業は8.8%もあり、大失業時代が現実味を帯びてきたとしています。今年度納税できない中小事業者が来年2年分納税できる条件はなく、消費税引下げこそ行うべきです。
   地方議会では、消費税の減税を求める意見書が次々と採択されており、埼玉県議会は従来の発想にとらわれず、大胆な緊急経済対策を全力かつ迅速に行うことが不可欠と、去る3月27日、消費税の税率を一定期間0%とするよう求める意見書を自民党会派が提出し、共産党も含む賛成多数で採択しています。本案は可決し、請願は採択すべきです。
   次に、議員提出議案第60号「コンビニエンスストア等における証明書の自動交付(コンビニ交付)サービスを活用した罹災証明書の交付を求める意見書」と同議案第61号「地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書」は関連しているので、一括して申し上げます。
   これらの意見書は、全国のコンビニエンスストア等でマイナンバーカードを利用して罹災証明を自動的に交付ができるように、全国の自治体が連動、共同して進めるための基盤整備と地方自治体のデジタル化を国に求めるものです。
   国は、人口の減少、人手不足、コロナ感染症対策等に対応するとして、国と地方を通じた行政手続のデジタル化をマイナンバーと併せて推進する、住民基本台帳や税務、AI等のシステムも標準化して共同利用する、外部人材も利用する、住民の個人データを含む公共データのオープン化や利活用も推進するというものです。つまり国が個人の情報を強制的に一括管理し、民間にも提供するというものです。
   地方行政のデジタル化も次の点で大きな問題です。本来デジタル化やAIの技術は、職員を削減したり無人化したりするのではなく、職員が全体の奉仕者として役割を発揮、行政サービスを推進することができ、労働負担を軽減するための補助手段として活用できるようにすべきですが、国の方向は反対です。
   まず、窓口業務ですが、手続業務と相談業務に切り分け、手続業務をオンラインにシフトして、職員がいなくても完結するとしていますが、分けることは困難です。例えば納税ですと、滞納理由等を把握し、減免になるのかどうか、福祉につなげる必要があるのかなどが必要な仕事になってきますし、母子手帳の交付でも状況を把握し、支援サービスの利用を働きかけていくことも必要です。
   オンラインにしてしまうと、実際は支援が必要な方も見分けることができません。生活に困窮していても、自ら解決策を見いだすことが難しい方、SOSを発することができない方も多くいます。まして高齢化社会が進んでいる中では、この窓口業務の多様な対応はより重要になってきます。
   住民基本台帳や税務等の分野でのシステムは、法令で定められ、民間企業が開発したシステムを利用することになります。さらに、地方自治体はこれまで個人情報保護条例を設け、オンライン結合を原則禁止するなど、国の個人情報保護法より厳しい独自の規制を行ってきましたが、この独自の規制を円滑なデータ流通の妨げになるとして規制見直しが強制されます。
   デジタル化という技術革新を国民の暮らしに役立てることは大切です。しかし、安倍政権を継承する菅政権の下では、デジタル化が自助を強調して社会保障を切り捨てる新自由主義政策を推進するための手段となり、個人情報保護をないがしろにして、監視社会、警察国家につながる危険があります。
   2020年の総務省の情報通信白書では、パーソナルデータ提供に当たって、「不安」、「とても不安」が8割にも上り、森友、加計、桜を見る会、データ改ざんなど、政府に個人情報を預けたくないという国民の不信があります。憲法に基づく政治の信頼こそ求められます。以上の理由から、この2つの議案には反対です。
   次に、請願について申し上げます。
   初めに、請願46号「福島県立南会津高等学校の存続を求めることについて」です。
   これは、県立田島高等学校との統廃合をやめ、県立南会津高等学校の存続を求めるものです。この間の経過は、昨年12月議会でこの請願が継続になり、今年の2月10日、県議会自民党が「高校改革は地域の振興策を示して」と知事に要望書を提出、二月県議会では、同校同窓会が中心になって、実態把握と地域協議を求める同趣旨の請願を出して採択されています。
   しかし、7月4日の県教育委員会による住民説明会では、これらの流れを全く無視した内容で、これまでの様々な論議で、また地元からのいろいろな提案や要望があっても聞く耳を持たない結論ありきの強引なやり方だったとしています。例えば統合した学校に通うのに公共交通を使えと言うが、朝六時のバスに乗り、夕方もたった一本のバスで、また豪雪地帯の冬をどのようにして通うかの質問にも答えていない、通えない子供をどうするかも示していません。
   県農業賞を受賞した南郷トマト栽培のため神奈川県から移住してきた方は、地元に高校があるから安心して移住してきたというように、県が進める施策にも反しています。請願は当然採択すべきです。
   次に、請願47号「県立高校への少人数学級導入を位置づけ、県立高校改革計画の再検討を求めることについて」です。
   新型コロナウイルス対策で身体的距離の確保が求められ、全国知事会からも少人数学級を求める意見が高まっていますが、文科省は2021年度概算要求に小中学校での少人数学級実現のため金額を明記しない事項要求として盛り込みました。
   文科省は、一クラス30人以下の学級編制に移行する場合、少子化で今後10年で5万人の教員が余剰となる、また少人数指導などで3万人の追加配置をしているので、計8万人の教員で段階的に進めていけば、大きな財政負担なしで実現が可能としています。
   高校については盛り込みませんでしたが、義務制と同じように、高校教育においても少人数学級編制を基本とし、県立高校改革計画の再検討をすべきです。本請願は採択すべきものです。
   次に、請願48号「公立学校に一年単位の変形労働時間制を導入しないことを求めることについて」です。
  昨年末の臨時国会で、都道府県の条例によって公立学校に一年単位の変形労働時間制の導入を可能とする給特法一部改正法が可決されました。2017年度の福島県教育委員会の勤務実態調査では、一日当たりの高校教諭の在校時間は休息時間を除いて一日10時間6分、週当たりの平均時間外勤務は11時間を超える状態となっています。これは、持ち帰り残業は含まれていません。
   労働基準法の一年単位の変形労働時間制は、業務の繁閑のある職場において所定の勤務時間を一日10時間まで延長することを認める制度であり、時間外勤務が恒常的な職場には導入できないとされています。
   コロナ禍の下で、学校は不測の事態に対応し、コロナ対応をしながら子供たちに行き届いた教育を行うことが求められています。変形労働時間制の導入は、教職員の時間外労働短縮に結びつかないだけでなく、実務を複雑化、煩雑化し、一日8時間の労働制に穴を空けることになります。
   全ての教職員の命と健康を守り、子供たちに行き届いた教育を実現する立場から、県としての条例制定をしないよう求めており、この請願も当然採択すべきです。
   よって、議員提出議案第59号は可決、第60号、第61号は否決とすべき、新規請願43号、46号、47号、48号は採択すべきです。
   以上申し上げて討論といたします。


議長(太田光秋君)以上をもって、討論を終結いたします。

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