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2020年12月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年12月20日更新

神山悦子議員の写真 

議員 神山悦子
所属会派(質問日現在) 日本共産党
定例会 令和2年12月
質問等 討論
質問日 12月17日(木曜日)

49番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。共産党県議団を代表して議案に対する討論を行います。

   日本共産党の神山悦子です。共産党県議団を代表し、議案第31号「決算の認定について」は、不認定の立場から意見を述べます。
   2019年度は、東日本大震災、原発事故から8年が経過し、復興・復旧対策や10月に発生した台風第19号等豪雨災害への対応、さらに新型コロナウイルス感染症への対策も加わり、十度にわたる補正が行われました。
 一般会計の歳入決算額は、対前年度比2.7%増の約1兆4,254億円、歳出決算額は0.8%増の約1兆3,326億円となり、特別会計では、歳入決算額が対前年度比8.5%増の約2,978億5千万円、歳出決算額は8.3%増の約2,916億8千万円となりました。
 一方、繰越額が約3,135億円と前年度比で約2倍となったのは、5年間の復興・創生期間の後半最後の1年に当たり、土木、農林水産関係のハード整備の完了を目指すとして積極的な予算編成に転じたようですが、台風第19号等の災害対応への影響も加わり、繰越しとなったものです。
 今も原発事故の被害が継続する中、復興関連の予算編成においても、台風災害への対応、新型コロナ感染症対策を見ても、被災県民や市町村に寄り添うべき立場にある県の姿勢は不十分だったと言わなければなりません。
 まず、東日本大震災、原発事故への対応についてです。
 原発事故から丸8年が経過した昨年7月、東京電力はようやくオール福島の県民の願いである福島第二原発の廃炉を正式に表明し、県内原発10基全て廃炉が決定しました。しかし、安倍政権は未曽有の被害をもたらした福島の原発事故について全く教訓にしようとせず、国のエネルギー基本計画に原発と石炭火発をベースロード電源に位置づける改定を行い、原発の海外輸出までもくろみました。しかし、日立が進出しようとしたイギリスでの原発建設は福島原発事故を受けた対策を求められ、結局採算に合わず、断念に追い込まれました。
 ところが、国内の原発は次々と再稼動させてきました。今年9月に発足した菅政権も2050年までにCO2排出ゼロ宣言をしましたが、僅か15%程度しかCO2を削減できない高効率の石炭火発は推進、原発もクリーンなエネルギーとして位置づけ、推進すると表明しました。そして、宮城県の女川原発、40年超えでは初めてとなる福井県の高浜原発、さらに青森県六ヶ所村の日本原燃再処理工場を再稼動させるとともに、破綻した核燃サイクルも進めようとしており、さらに核のごみの最終処分場を選定するための文献調査を北海道の寿都町と神恵内村に受け入れさせるなど、原発推進を一気に加速しています。
 一方、福島の原発は収束どころか、廃炉まで30年から40年かかるとされながら、第一原発からの汚染水処理をめぐり、今年2月、国の小委員会が海洋と大気放出が現実的とする方針を示したことから、漁業者からは「これまでの十年に及ぶ努力が水泡に帰す」と強い反対の声が上がるなど、農林水産団体はじめ多くの県民や県内7割の市町村議会が海洋放出に反対の意見書を国に提出しています。しかし、これらの県民の切実な声を代弁する知事の明確な反対の意見表明はいまだにありません。
 原発事故から来年で10年を迎えますが、環境回復の問題でも、除染土壌の公共事業等への再利用問題、賠償についても、東京電力は営業損害賠償やADRの和解案さえ応じない態度をあらわにしていますが、知事が会長の県原子力損害対策協議会の全体会は昨年も開かれませんでした。
 なりわいの再建もなかなか回復せず、本県の海面漁業の水揚げ量は14%程度です。内水面の魚も山菜やキノコも出荷制限が今も続いています。福島県産の米や農林水産物の価格は、今も他県に比べて低く抑えられたままですが、県は避難地域以外の米の全量全袋検査を今年度産米から中止しました。原発避難12市町村の営農再開率は平均32%です。商工会の再開率は平均74.8%と、なりわいの再建支援は今後も一層求められています。
 原発事故による避難者は、国、県の発表だけでも約3万7千人、災害関連死も、自殺者も、他の被災3県より多いのが本県の原発避難者の特徴です。避難先での高齢者の孤独死も増えています。一方、避難市町村の居住率は平均30%台です。
県は、原発事故避難者への住宅無償提供を次々と打ち切り、今年3月末には双葉町、大熊町を除く富岡町、浪江町、葛尾村、飯舘村の帰還困難区域を打ち切りました。また、県外に避難している国家公務員宿舎の入居者四人に対し強制退去を求める裁判を起こし、さらに県外の2千世帯に対する県独自の2年間の家賃補助を打ち切りました。およそ県民に寄り添うどころか、県民を切り捨てる冷たい県の姿勢が一層あらわになっています。
 2つ目は、復興の在り方についてです。
 避難者への支援を打ち切る一方で、国と一体で進めているイノベーション・コースト構想関連には昨年度当初予算で前年度7百億円を2百億円も上回る913億円を計上し、年度末最終で約854億円が執行されましたが、復興拠点へのアクセス道路などの道路整備に大幅に増額したのが特徴でした。
 総額156億円かけて整備中のロボットテストフィールドでは、タワー建設の工事中に作業員の労災死亡事故や、屋内大水槽工事でひびや傾きが発生する工事ミスがありました。
 一方、広野と勿来にIGCC石炭火発2基の建設を進めましたが、県民が主体となる地域主導型の再エネよりも、メガ発電を推進するための阿武隈地域、沿岸部における共用電線が整備されました。
 また、世界の流れは電気自動車ですが、新エネ構想に基づく水素燃料電池車FCVやバスの導入支援などへの予算を計上しましたが、多額の補助金投入はやめるべきです。
 農業分野では、ICTスマート農業や農家負担なしで10ヘクタールの大区画圃場整備を進めていますが、県内各地ではイノシシによる被害が続出しています。2万5千頭捕獲すれば減少に転じると想定している県のイノシシ管理計画を見直し、捕獲数と捕獲する人員の確保などを含め、大幅な予算増が必要です。
 イノベ関連にはこれまで4年間で約3,700億円を投入してきましたが、県民の認知度は非常に低く、この年に実施された2019年度県政世論調査ではイノベ構想を知らないが83.3%でした。国、経産省主導で、県も一体になり、多額の復興予算をつぎ込んで進めてきた大企業呼び込み型、惨事便乗型の箱物づくり中心のイノベ構想でよいのか、避難者や被災住民を置き去りの復興でよいのかが鋭く問われています。
 このほどICRP国際放射線防護委員会は、来年で10年になる福島第一原発の教訓を踏まえた勧告をまとめています。大規模な原子力事故を受けて、放射能の影響、避難による生活の変化、偏見、差別など複雑な問題が発生すること、生活の質の回復には行政や専門家のほかに住民が参加して対策を考える必要があること、住んでいる場所の線量マップ作成、農産物を測定する装置の地域への提供なども勧告。これらのまとめに関わった委員の一人、大分県立看護科学大学の甲斐教授は「住民が対話で参加していく、納得していく、決定にも関わるのが望ましい」とも述べています。県は、こうした勧告を真摯に受け止め、被災住民も参加して進めるべきです。
 3つ目は、台風第十九号、豪雨災害への対応についてです。
 昨年は、10月に消費税率が10%に引き上げられ、これだけでも県民生活の負担が増した下で、同じ10月に台風第19号、豪雨災害が発生しました。阿武隈川や夏井川流域では甚大な被害がもたらされ、32人が死亡、被災家屋戸数も、河川の決壊、越水による被害も過去最大となりました。被災から1年が経過しても住宅の再建は50%台にすぎず、既に転居された被災者も少なくありません。
 台風被害事業者向けのグループ補助金は、既に今年11月末で打ち切られました。申請等の手続書類は、思い切って簡素化が必要です。
 また、河川整備予算は、昨年度通常ベースで、比較では対前年度比3.3倍の414億円強となり、ようやく道路予算とほぼ同額となったものの、これまでの河川整備の遅れが大規模な災害をもたらした一つの要因となっています。今後も土砂のしゅんせつや河道掘削など日頃の河川整備を行い、県民の命と財産を守るべきです。
 また、被災家屋に対し、床上浸水1メートル未満の準半壊家屋に対する10万円を給付する県独自の支援制度が創設されましたが、市町村の活用には格差が生じました。国の被災者生活支援金を300万円から500万円以上に引き上げること、新型コロナ対応を踏まえた避難所の生活環境については、引き続き改善が必要です。
 4つ目は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 今年の年明け1月から感染者が発生した新型コロナ対策では、本県も各地でクラスターが発生し、感染拡大が止まらず、昨日付発表では、本県の感染者が一日で28人、累計で658人となり、死亡者は9人と、いずれも過去最多となり、現在第三波とされ、本県は病床使用率がステージ3相当という深刻な現状になっています。防疫という観点に立ち、PCR検査の対象者を幅広く広げて検査を行い、面で抑えていく必要があります。
 今年2月末に安倍首相が突然会見で発表した全国一律の一斉学校休業要請により、県民生活には大混乱が生じました。突然の学校休業により、学童保育の開設を午前中から余儀なくされ、休業補償などの国の制度の活用の周知や申請などの対応、学校では消毒やマスクの対応、そして3密を避ける20人程度の少人数学級が小学校、中学校、さらには高校においても求められています。政府もようやく小学校段階の35人程度学級へ踏み切る方針を明らかにしていますので、それに見合う   正規教員の増員を図る必要もあります。
   新型コロナによって、県内でも失業者の増大や中小事業者の関連倒産が相次ぎ、県内経済は深刻な打撃を受け続けています。中小事業者への直接支援が必要です。
 最後に、内部統制制度についてです。
 地方自治法の改正に伴い、今年4月から内部統制に関する方針策定と推進評価体制の整備、評価結果の公表が義務づけられました。しかし、内部統制制度は民間企業におけるコンプライアンスを公務職場にも適用するとしており、そもそも利潤追求する民間企業と住民の福祉の向上を保持する公務の役割は大きく違います。
 ところが、県の監査委員会は2019年度決算審査分から前倒し実施し、成果重視の行政、企業経営における発生主義的な視点、結果重視の行政運営という観点から指摘を行いました。地方自治体の本旨にのっとり、原発事故や台風災害、新型コロナ感染症で県民も市町村も大きく疲弊していることから、今こそ公助の役割を発揮すべきです。職場や上司の評価に重きが置かれ、県民サービスが後回しとならないよう求めるものです。
 以上、2019年度決算の認定については反対を表明し、討論を終わります。

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