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2021年2月定例会 討論 大橋沙織議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年6月18日更新

大橋沙織議員の写真

議員

大橋沙織

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会 令和3年2月
質問等 討論
質問日 3月19日(金曜日)

13番(大橋沙織君)日本共産党の大橋沙織です。県議団を代表して討論を行います。

    今月で東日本大震災と原発事故から丸十年となりました。県の発表だけでも3万6千人もの県民が県内外で避難生活を送る深刻な状況が続いており、避難者、被災者を誰一人取り残さずに寄り添う政治が国政、県政に求められています。
  一昨年の台風第19号の被害が続く中、昨年からは新型コロナウイルス感染症が県内でも猛威を振るい、飲食店や観光業などを中心とした県内企業や県民に命と暮らしの危機が続いています。その上、先月の大きな地震など、県民は何重もの困難に直面しています。
  国は今回、中小事業者についてはグループ補助金を特例的に認め、県は住宅被害について国の制度の対象にならない被災者を県独自に支援することとしました。何重もの被害を受けている住民の願いに応えたものであり、歓迎するものです。
  新年度予算案は1兆2,585億円、うち復興予算は2,585億円ですが、この予算が県民本位に使われるのかが問われており、知事提出議案について以下の議案に反対の立場から意見を述べます。
   まず、議案第一号「2021年度福島県一般会計予算」についてです。
   第一に、原発事故への対応で県民の願いに応えていないことです。
   知事は、今議会我が党の代表質問で原発事故は人災だとの認識を明らかにしましたが、原発事故被災県の知事としてその立場で国と東電に強く加害責任を求めるべきです。
   先月の地震対応で、東電は地震計の故障放置問題や設計の段階から1、2号機の排気塔の配管が途切れていたこと、格納容器の水位低下と圧力低下の問題など様々な重大問題を遅れて公表し、いまだに隠蔽体質は変わっていません。
   また、東電の柏崎刈羽原発は、IDカードの不正利用や侵入者を検知する複数のテロ対策設備に不備があった問題で、安全に関わる四段階評価のうち「最も深刻」との評価が確定しました。東京電力に原発運転の資格がないと言わざるを得ません。
   昨年の9月30日、なりわい裁判仙台高裁判決では、東電の不誠実な説明を唯々諾々と受け入れてきた国には東電と同等の責任があると断罪しました。NHKが行った被災者アンケートでは、十年は区切りとなると思うかとの質問に「そう思わない」と「あまりそう思わない」が46%を占め、原発事故による被害が今なお続いていることが示されました。
   党県議団もこの間避難者の実態を聞き取り調査してきましたが、帰還困難区域に住まいがあった方は「自然あふれる環境の中、地域に根づいて暮らしてきた。原発事故は全てを奪った。国と東電は責任を認めてほしい」と訴えています。
   浪江町では、生活保護世帯が2015年の2件から2020年には82件と41倍に増加しており、深刻な実態が浮き彫りとなっています。区域外避難者の支援団体が行ったアンケートでは、非正規労働者は27%で、月収10万円以下の世帯が22%、20万円以下の世帯が過半数という結果が示され、経済的困窮の実態が出されています。震災関連自殺者は118人と、岩手、宮城の2倍、震災関連死は2,320人となりました。
   こうした避難者の実態を無視して、東電は裁判で「ふるさとは守るに値しない」と言い放ち、賠償請求に応じようとしません。こうした姿勢の国と東電から県民を守るのが県の本来の役割ではないでしょうか。
   汚染水の海洋放出に多くの県民、国民が反対し続けており、この世論が国や東電に方針決定をさせずにきました。知事は、県民の代表として汚染水の海洋放出に反対すべきです。
   また、県の損害対策協議会全体会議は4年開かれておらず、原発事故の検証委員会設置の求めにも応じようとしません。県民は、原発事故以降、地震が来るたび原発は大丈夫かと不安と隣り合わせです。原発ゼロについて、知事は国が決めることとして県民の願いに背を向け続けています。
   第二に、復興の在り方が被災県民中心ではなく、イノベーション・コースト構想に基づき、大型拠点施設を整備、避難者を置き去りにして、外からの呼び込みで惨事便乗型の復興を進めていることです。
   イノベにはこの5年間で3,578億円もの予算をつぎ込み、さらに避難地域への移住者に対しては最大200万円支給するなど呼び込み政策は進める一方で、避難指示解除地域に戻る人への支援は打ち切られており、国と一体となって県民切り捨てを行ってきたのが内堀県政です。
  岩手県の達増知事は、誰一人取り残さないとの理念で県独自の医療費減免や被災住宅支援制度など住民目線の施策を進めています。本県では、原発事故による避難が続いており、第二期復興計画策定に当たっては人間の復興こそ重要です。
   しかし、県は国と一体になって復興記念公園や国際教育研究拠点などに巨額の予算をつぎ込み、まさに惨事便乗型です。こうした施設の維持管理費が今後の大きな問題となります。
   今議会、知事はようやく2050年カーボンニュートラル宣言をしましたが、IGCCの見直しなど産業界にこそメスを入れ、地産地消の再生可能エネルギーを抜本的に拡充すべきです。
   第三に、新型コロナウイルスから県民の命と暮らしを守るための戦略が依然として示されないことです。
   県内では、病院や介護施設でのクラスターが多数発生し、死亡率も全国と比べて2倍など、これまでの医療体制の脆弱さが露呈しました。以前から我が党が指摘しているとおり、PCR検査の対象を拡大し、無症状者を早期発見、隔離保護することが感染拡大防止のための重要な戦略であり、全国の半数を超える25都府県が医療、高齢者施設での社会的検査を実施または計画しています。
   変異株による第四波も危惧されており、ワクチンだけでは感染を完全に防ぐことにはなりません。だからこそ、戦略的なPCR検査が必要ですが、県にはその姿勢は見られません。また、コロナでこれだけ病床逼迫が重大問題になっているときに地域医療構想による病床削減や公立、公的病院の統廃合はやるべきではありません。
   本県は、重点対策期間が継続しており、依然として県民への自粛要請は続いています。国は、事業者の支えとなってきた持続化給付金を2月15日で打ち切りましたが、「持続化給付金があったから、どうにかやってこられた」、「もう一度支給してほしい」との声が県内でも上がっています。菅政権がコロナ禍に乗じて中小企業を淘汰しようとする動きも断じて許せません。
   県は、県内事業者と県民を守るために力を注ぐべきです。県独自の一律20万円の一時金は評価できますが、売上げ5割減が条件となっており、事業者からは「5割も減少すれば死活問題。条件を緩和してほしい」との声が寄せられています。一年間耐えてきた事業者も倒産の危機です。
   労働者の状況も深刻です。コロナに関連する解雇、雇い止めは、全国で9万3,354人、県内では1,438人です。県民の実態に即した支援がますます重要となっています。
   第四は、県民の暮らし、子育て、医療、介護の支援策が不十分だということです。
県は、復興計画の個別計画で日本一子育てしやすい県、全国に誇れる健康長寿の県を掲げていますが、本気の取組が見えていません。学校給食費の無償化、一部補助は、コロナ禍で子育て世帯がさらに切実に求め、新年度実施も含めると、県内の3分の2に当たる42市町村が実施することにしていますが、県は市町村が判断すべきこととして背を向けたままです。
   また、県立高校の統廃合については、関係市町村住民から厳しい批判と見直しを求める意見が相次ぎ、県議会各会派からも疑義の声が上がっています。しかし、県は地域住民の声に耳を貸すことなく、自ら決めた方針を県民に押しつける態度を取り続けています。県教委は、住民説明会の開催を約束したのに、ほごにしようとしていることがその象徴です。重大な県民切り捨てと言わざるを得ません。
   夜間中学について、長年にわたり関係者などから強い要望が出されています。今般、国は各都道府県に一つの設置を求めており、4月から徳島県、高知県で県立夜間中学校が開校します。県は設置を早く決断すべきです。
   また、国は高齢者の医療費2割負担を求める法案を国会に提出しています。それによって、県内では新たに四万六千人が負担増となり、撤回を国に求めるべきです。
   第五に、国政との関わりでは、菅政権による国民不在の冷たい政治に対峙する姿勢がないことです。
   菅首相の長男が関わる接待問題は、政治をゆがめる大問題であり、徹底追及が必要です。国は、106兆円の予算のうち、軍事費は過去最高の5兆3,422億円に上ります。一方、コロナ対策は予備費のみでの対応と極めて不十分です。さらに、社会保障切り捨てを進めています。
  菅首相が進める行政のデジタル化に伴い、県は情報政策課からデジタル変革課へと課名を変更します。国のデジタル関連5法案の基本理念に個人情報保護の文言がないことは重大問題です。
   個人データの利活用で大企業のもうけとなり、国家による監視社会につながることが指摘されています。行政サービス向上には、迅速、簡便な手続としてデジタル化を生かし、多様で多面的なニーズに応える対面サービスの拡充こそ必要です。よって、議案第一号には反対です。
   次に、以下の条例案について反対の立場から意見を述べます。
   議案第24号「福島県児童福祉施設条例の一部を改正する条例」についてです。
   これは、障がい児の入所施設である大笹生学園の入所定員の削減と管理運営を指定管理者に委託しようとするものです。障がいを持った子供たちの発達保障の場であり、県による直接管理を維持すべきです。
   議案第29号「福島県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例」についてです。
これは、奨学金の回収強化のために、連帯保証人も含め、転居後の住所などを調査する際に住基ネットを利用しようとするものですが、個人情報保護とは真逆であり、賛成できません。
   議案第63号「福島県立高等学校条例の一部を改正する条例」についてです。
   高校統廃合に関わって、五校の校名変更と設置場所を決めるものです。対象は、須賀川高校と長沼高校、大沼高校と坂下高校、湯本高校と遠野高校、相馬東高校と新地高校、福島中央高校と保原高校定時制ですが、どこも住民からの合意は得られていません。
   三菱UFJの調査では、地域から高校がなくなれば人口減少は免れないことが示され、高校の存続は地域政策の面でも政策判断すべき事柄だと指摘しています。高校統廃合は、知事の言う地方創生とも逆行するものです。
   南会津町では、地域が衰退、疲弊するとの危機感から高校存続を求め、県に対し何度も要望を行い、広く住民が参加できる説明会を開催させてきました。新地町では、町長を先頭に一万人もの署名を集め、反対の意思を示しています。保原高校定時制は、様々な困難を抱えた子供たちが安心して学べる居場所になっており、存続を求める声が広がっています。
こうした声に耳を傾けず、強引に統廃合を進める県教委の姿勢に県民からも県議会各会派からも批判が出されています。高校統廃合は、強引に進めるべきではありません。
   次に、議員提出議案及び請願についてです。
   議案第83号「消費税5%への緊急減税及び売上げ減少事業者に対する消費税の納税猶予延長を求める意見書」についてです。
   新型コロナの感染拡大で、事業者も労働者も大打撃を受けています。事業者に対しては、これまで国も県も各種支援事業を行い、子育て世帯に対しては今回国が、住民税非課税の要件はありますが、二人親世帯も含め、子供一人に五万円の給付金を支給することとしました。暮らしとなりわいへの支援が必要であることは明らかであり、一番の景気対策は消費税減税です。よって、議案第83号は可決、請願73号は採択すべきです。
   次に、請願74号「県内の医療機関・高齢者施設等のPCR検査を優先的に定期的に実施することを求めること」についてです。
   これまでも指摘してきたとおり、積極的な検査を行い、感染拡大を抑える戦略が必要です。国でさえ検査実施を決めており、他会派からも検査を求める声が上がりました。本県の死亡者は99人と100人に迫っており、重症化、死亡を防ぐためにも医療機関や高齢者施設等での検査が必要です。よって、請願74号は当然採択すべきです。
   以上で討論を終わります。 

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