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「福島版ユニバーサルデザイン実現への提案」研究会員からのメッセージです(森澤 茂さん)

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案

利用者参加のユニバーサル・デザイン

森澤 茂

提案

  • 使いやすさが第一  三春町に1995年(平成7年)に完成した福祉会館は、記念碑的な目立つ建築物ではありません。これという特徴のない平凡な外観とインテリアですから、建築賞をいただいたり、建築雑誌に紹介されるということからはほど遠い建築物です。しかし、ユニバーサル・デザインの視点から見ますと、ほぼ満点をあたえることができる建物です。ユニバーサル・デザインという言葉がまだ普及していなかった時代に、どうしてこのような建物ができたのでしょうか。  三春町では、あたらしい公共施設を建てることになったとき、まず、どんな使い方をするか、利用者(町民や職員)が話し合って、設計者に注文をだします。設計図ができてからも、ああして欲しい、こうして欲しい、という注文がでて設計変更になるのが普通です。福祉会館の場合は、あまりにも注文がでて、設計者が途中でおりたいと思ったほど、うるさく注文をだしたと聞きます。結果は、とても使いやすい便利な建物ができました。
  • 設計者と利用者は対等な対場で  もし設計者が芸術家意識のつよい人で、建築賞をねらったり、雑誌に紹介されることを第一に考える人だったら、福祉会館のようにはならなかったでしょう。何よりも目立つ意匠が内外にほどこされたに違いありません。そして不便なものになったのではないでしょうか。  ところで、独特な外観と内部をもつ建築物でありながら、だれにも使いやすいものになっているものがあります。そうした建築は、まさに傑作と称されるものです。しかし、世の中には、奇をてらっただけのもの、傑作を模倣しただけの質の悪い建築がたくさんあります。  ですから、利用者は建築家を芸術家としてあがめたてまつるのではなく、対等に付き合い、どのような使い方をするのか、積極的に意見を述べる必要があります。特に税金を投入して建てる公共施設は、だれにでも使いやすいものにしなければなりません。  行政におけるユニバーサル・デザインが成功するか、不首尾に終わるかは、利用者の声をどのくらい設計に反映できるかによって決まります。

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