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中通り16(白河市):千の風、せんのく(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月9日更新

 今回の取材先である白河市には、私にとって、ゆかりのある酒造があります。

 かつて馬市が盛んでいたことから、繁栄の象徴の「駒」と縁起のいい「千」とくっつけて、白河の市街地の一角に佇む「千駒酒造」です。

 前職でふくしまの県産品を中国で販売したことがあります。当時、商品のラインナップの中に、千駒酒造の清酒も含まれていました。

 これは、私が日本酒に出会うきっかけでした。
市街地の一角に佇む千駒酒造 しらかわにうまい酒あり

 日本酒の醸造は基本的に、晩秋の季節から始まるため、今回の取材では仕込みや発酵の様子を伺うことができませんでした。

 しかし、思わぬ収穫もありました。

 それは、日本酒の「可能性」です。

 日本が世界に誇るべき文化の一つ、日本酒。

 「清酒」、「SAKE」、「RICE WINE」….いろんな国々で様々な名前で呼ばれていますが、どれも誇り高き称呼だと思います。

 一方、孤高なるゆえか、日本酒の敷居が高いです。

 仕込み、発酵、火入れなどの工程はもちろんのこと、

 貯蔵酒、蒸留酒、純米酒、大吟醸......それぞれの独特な性質を持っています。

 その真髄を外国の消費者に伝えるのは、容易いことではありません。

 千駒酒造はなんと、日本酒の「伝統」とジャパニーズ・カルチャーの「萌文化」とのコラボに挑戦しました。

 それも、白河市の「ご当地ヒロイン」――小峰シロを起用し、商品販促の同時に、地元の宣伝を同時に行うという大胆的試みでした。

 「萌え」を聞くと、眉間にシワを寄せる人もいるかもしれませんが、いまや日本酒に劣らないくらい立派な「文化」として定着しました。

 千駒酒造が挑んだコラボ商品は、見た目こそこれまでの商品と一線を画するデザインですが、中身は既存の商品はなんの代わりもない、しっかりと伝統を守った逸品です。
酒造のギャラリーに今までない光景が ラベルこそ違うものの、中身は同じ代物だ

 営業担当の蛭田主任の紹介によると、小峰シロ仕様の純米大吟醸酒は2013年に行われた「萌酒キャラクター人気投票」で優勝を獲得したとのことです。

 あまり知られていませんが、実は日本各地の酒造では、「萌酒」を筆頭とした新商品を売り出しています。

 加速していく日本酒離れの現状から脱出し、若い世代が気軽に日本酒に触れるきっかけを作るため、酒造業界では「型破り」の旋風が起きています。
表彰状は酒造の誇りであり、白河市の誇りでもある 筆者もかつて萌文化に魅力されていた

 日本酒には守るべき「伝統」があります。

 一方、好んで飲まれるからこそ、日本酒の真価が現れます。

 「日本酒好き」を創出するために、現状打破の「変革」が求められています。

 ――これは、日本酒が与えられた「可能性」です。

 ――千の風のように。

 

 この点においては、千駒酒造はよくできていると思います。

 ――千(せん)の駒(く)という名を背負うものは、

 先駆(せんく)者を目指して、今日も酒造りの原野で疾走しています。
千の駒を背負う者 先駆者を目指す者

 白河市の酒造で偶然知った日本酒の「可能性」は、

 意外にも他の業界にも通用しているのかもしれません。

 ふくしまの地元企業は、ますます目が離せませんね。

 (投稿者:徐)

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