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H28年度福島県・農都交流セミナー(県内農村向け)を農業総合センターで開催しました。

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年3月14日更新

開催概要

   福島県では、昨年度より都市側企業と県内の農山村地域との交流を拡大してwin-winの関係を構築するため、モデル地区を選定し、地域資源の再確認や受入体制の整備を行い、企業に対しては、アンケートやモニターツアー等を実施して企業ニーズを把握するなど、農都交流に関するノウハウを蓄積してまいりました。
 そこで、今年度のモデル地区の活動状況や2年目地区の展開の工夫を発表するとともに、地域資源を活用して、企業との連携により農村の活性化につなげる取組について講演いただくセミナーを開催しました。

日時、場所

 平成29年2月2日木曜日 13時から16時30分
 福島県農業総合センター大会議室(郡山市日和田字高倉)

参加者

 県内市町村担当職員、NPO法人担当者、地域おこし協力隊員等 約60名

内容

1 基調講演

  「企業との連携による農山村の活性化について」 
  講師:中島峰広氏(NPO法人 棚田ネットワーク代表)

2 元気な農村創生企業連携モデル事業報告

 ・モデル地区事業報告
 (1年目地区)
  (1)伊達市霊山(NPO法人りょうぜん里山がっこう)
  (2)郡山市逢瀬(逢瀬いなか体験交流協議会)
  (3)三春町(三春町)
 (2年目地区)
  (1)塙町(塙町)

セミナーの結果

基調講演

 棚田を活用して、企業のCSR活動などの支援を実施しているNPO法人棚田ネットワーク代表の中島峰広氏に講演をしていただきました。 
講演する中島氏

【講演の概要】

・農山村というのは、それぞれ違ったそれぞれの宝がある。日本の中山間地というのは、まさにこれは日本人の原風景だ。いわば日本人の心の揺籃(らん)の地。
・棚田は収量が平地の半分程度なのに手間は2倍かかるから、農村では歓迎されないが、その風景の美しさや営々と営まれる米作りに、海外や日本の知識人が価値を与えた。
・棚田ネットワークは、都市住民が棚田の維持・保全を応援しようということで始まった、いわば都市と農村交流の一つだ。
・棚田ネットワークでも全国の棚田(地域)と企業を結んで、様々な交流活動を行っている。棚田の維持や管理の応援から、田植えや草刈り、収穫などの農業体験棚田米の販売やオーナー制度など、実に様々な交流や連携活動が行われている。
・棚田という資源を活用して、都市住民や企業と交流することで、新たな価値を生み出している。
・ただし、継続するためには、事業化しなければならない。

今年度事業報告

 モデル地区4名の代表者から実施結果について報告を行いました。

高野氏

○伊達市霊山(発表者:NPO法人りょうぜん里山がっこう 高野代表理事)

・霊山町大石地区では、住民が本気にならないと地域づくりはできないと、有志の方々で「母ちゃんズ」などのグループがうまれ、廃校を活用した「りょうぜん里山がっこう」を拠点に、農業体験や田舎体験を提供している。
・今回の事業に関してモニターツアーは2回行った。1回目はIT関係の企業のグループで、福島と霊山の今を知ってもらうという観点から、リンゴ園やあんぽ柿の製造工場などの見学を中心にプログラムを実施した。
・2回目は業種混合だったので、「食」体験をテーマに、地域のイベントである「大石うまいもの博」に参加してもらい、食材(農産物)や食文化を味わってもらった。
・農都交流を進めるうえ、人的なネットワークが絶対必要なんだろうなと感じた。出身者の方がいるところの企業を回るとか、住民に企業とのパイプを持つ人がいないか探すなど、まずそういう方々とどう連携するのかから始めていくことが必要だ。
・この先は、まず一つ一つできることをやっていく。自分たちが主体的にどうかかわって地域の中で何某かの役割を果たすのかということに、お互いが気がついていって、地域内での取り組みも広まっていくのかなと考えている。

茂木氏

○郡山市逢瀬(発表者:逢瀬いなか体験交流協議会 茂木氏)

・逢瀬いなか体験交流協議会では、農家民宿と農作業体験というサービスを提供している。首都圏の大学とは10年以上にわたって交流を続けており、ここから、大学のキャンパスがある市や他大学との交流がひろがっている。
・今回のモニターツアーの参加者は、交流のある市の飲食店組合関係者が中心となったので、プログラムに「味噌づくり」をいれ、逢瀬の農業を紹介するだけでなく、産品を使って、参加者のビジネス(商売)のヒントやお役に立てればという視点から行ってみた。
・交流会では伝統芸能の「ひょっとこ踊り」をみんなで踊った。住民との交流はもちろん、参加者同士の交流にもなった。

佐久間氏

○三春町(発表者:三春町産業課 佐久間グループ長)

・三春町で町と村とを結ぶ有機的な交流を促進している交流拠点が、三春の里農業公園、田園生活館という施設だ。三春町に残る豊かな田園生活を体験する場所として、生活づくりの視点から三春町のまちづくりを実践している。
・三春町では、いちご狩りなどの農業体験や農村体験を観光に組み込んで、着地型観光に力入れている。その拠点が田園生活館であり、そのほか様々な体験プログラムを提供している。
・今回の取組、特にモニターツアーの企画や受入では「心を鍛えるツアー」として、座禅や写経体験などを組み込んだ。農業体験では、カボチャの片づけやトマトの収穫、長ネギの出荷体験などを行った。
・受け入れた農家からは、異業種の方との意見交換、話すことができたのが良かったという意見があった。一方でいろいろ見てもらいたいと盛りだくさんになってしまい、体験時間が短いというご指摘もいただいた。
・三春町では観光と連携して農都交流を拡大していきたいと考えている。企業の場合そこから商品開発などにつながることも期待している。

鈴木氏

○塙町(発表者:塙町観光協会 鈴木氏)

 ・昨年に引き続き青山フラワーマーケットさんと連携して、各店の店長さんをはじめ社員の研修という形で行った。塙町の特産であるダリアの栽培や出荷体験を通じて商品への理解を深めただけでなく、消費者のニーズをすることができ、ダリアを通じて相互理解が高まったように思う。
・夕食交流会は、参加する農家さんが1品ずつ料理を持ちよってもらい、郷土料理を堪能してもらった。日常の食を体験する機会となったと思う。
・今年は参加した店長さんによる「フラワーアレンジメント講座」というイベントを行った。住民や観光客の皆さんにテクニックを紹介するものだが、有料イベント(1000円)にもかかわらず大人気だった。
・2年目を迎えて新しい取組も始まっており、またお店のHPで塙町を発信してくれるなど、活性化効果が広がっているように思う。
・1年目は何が何だか分からないので、野菜も収穫してもらうだけ、どうしてもさわりの部分というか、見学する部分が多かった。おもてなしをしなければいけないという空気感が強かった。
・2年目を迎えて、受入側でももっと普通の作業を体験してもらおうという考えが出てきているし、企業サイドでも、作業体験への希望のほか、農家さん個人のお宅訪問などの交流希望も生まれているようだ。今後に生かしていきたい。

 

まとめ

・事業を2年間実施したことで、企業の考えやーズはある程度把握できた。

・都市側企業と農村との交流を進める上でのポイントになるのは、4つになると考えられる。
(1)特定の企業や団体との交流・連携を行う(企業とお付き合いする)手法を考えること
(2)相手側のニーズに対応する体験メニューを考えること
(3)企業や団体の研修や社会貢献活動の場として、農山村が選ばれている意味を地域住民や会員等が理解して協力する手法を考えること
(4)地域にコーディネーターを設置し、企業等からの相談窓口を一本化すること

・これら4つの課題の解決に向けて各モデル地区では、事業を活用して解決の糸口をつかんでおり、企業のニーズに対応するための各地域の受入体制についても一定程度は整いつつあるというのが現状ある。

・今後は、継続的な受入環境の整備と企業のニーズに沿った、地域特性を活かしたプログラムの開発やサービスの提供、そして、その磨き上げをおこなっていくことが求められている。

・一方で、具体的に交流や連携を進めていくためには、やはり「企業との接点をいかにつくるか?」といった点がとても重要であり、このことについては、各地域の事情に合わせて今後さらなる検討が必要という課題が見えてきた。

・決して、一朝一夕にできることではなく、各地域で試行錯誤しながらも、いかに継続して取組をおこなっていけるかということが、成功への近道であり、もっとも大切なことである。

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