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【ろうどうコラム】福島第一原子力発電所:世界で最も困難な任務を与えられた作業現場から

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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H28.4.15  福島第一原子力発電所:世界で最も困難な任務を与えられた作業現場から

労働委員会 公益委員 吉高神 明     
 

 今年3月に同僚の研究者たちと福島第一原子力発電所構内を視察する機会を得た。福島県労働委員会公益委員として県内の除染作業をめぐるトラブルの動向は普段から注視しているが、今回、構内で働く人々の作業現場を直接見ることができたのは大変有益であった。 

 当日は楢葉町にあるJヴィレッジ(センターハウス)到着後、本人確認を済ませてから視察コースについて説明を受けた。その後専用バスで発電所構外にある新事務所棟前まで行き、そこから徒歩で入退域管理棟に移動した。ここで簡単な防御装備を着用し、専用バスで敷地内視察に出発することになる。ちなみに、入退域管理棟から1~4号機までは1kmほどの距離である。1時間弱の視察であったが、多核種除去設備、タンクエリア、1~6号機の原子炉・タービン建屋、凍土式遮水壁建設現場、サブドレイン浄化設備現場、免震重要棟等を間近に見ることができた。

 視察当日が東日本大震災5周年の3月11日直前だったため、メディアは福島の現状について大きく報道していた。しかしながら、構外とは対照的に構内の作業現場はとても静かであった。ここでは、1日約7,000名の作業員の方たちが働いているとのことである。フランジ型タンクの解体、浸透防止工事、陸側遮水壁の設置・・・・。我々門外漢にはよくわからない高度な専門的作業にひたむきに取り組む人々の姿がそこにあった。

 今回の視察で何よりもうれしかったのは、現場で働く人々の作業環境が予想していた以上に改善されていたことである。作業員の健康安全管理は、徹底した被ばく線量チェックを通じて大きく向上されていた。構内線量低減化対策の結果、防護服や全面マスクを着用せずに作業を行えるエリアも大幅に拡大していた。また、昨年5月末には約1,200名が利用できる大型休憩所が構内で運用を開始している。休憩所2Fには食堂も開設され、福島復興給食センター(大熊町)が温かい食事を提供できるようになった。さらには、今年3月1日には食堂の隣りにコンビニも開店し、スイーツやおにぎりなどが作業員の方たちの疲れを癒してくれている。

 私自身を含めて、福島で暮らしていると福島に対する誤解や偏見を感じる機会は少なくない。「福島に来たこともないくせに、よくそんなことが言えるな」と思ったことも一度や二度ではないであろう。ひるがえって、我々福島県民自身、福島第一原子力発電所における廃炉作業や汚染水対策を正しく理解しようとしてきたであろうか。 

 使用済燃料の取り出し(1~4号機)、燃料デブリの取り出し(1~3号機)、原子炉施設の解体へと今後30~40年にも及ぶ困難な作業が続けられていくことになる。Jヴィレッジ内の掲示板に貼られたアンケート調査結果等によれば、目下、入退域管理棟トイレの混雑、朝の移動バスの遅れ、大型休憩所の清掃、駐車場の夜間照明等などについて改善を望む声があるようである。世界で最も困難な任務に挑んでいる作業員の方たちの労働環境がさらに改善されることを願ってやまない。

 

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