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【ろうどうコラム】「日本の労働力不足は待ったなしの課題」

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年1月16日更新

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R6.1.16 「日本の労働力不足は待ったなしの課題」

 労働委員会 労働者委員 大槻 光政 

 日本の産業界を大きく揺るがす危機的状況として警鐘が鳴らされている「物流の2024年問題」。
 2024年問題とは、2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることにより発生する様々な問題のことである。しかしながら、ある調査ではこの問題を知らない人が半数にも上るという。
 当然、運送業界の使用者側、労働者側、いわゆる労使間では、国内の物流が滞り経済活動に影響を及ぼさないよう論議を深め対策を講じようと必死であることはいうまでもない。
 ここからは私の私見であるが、一方で政府や政治家はこの問題に対して物流の混乱を発生させないよう未然に防止する対策などを真剣に論じているのであろうか。
 対策を講じるのは、事業者であり4月以降大きな混乱をきたせば、政府や政治家は「何をやっているんだ!」と事業者に改善命令など発出し責任転嫁をはかるのであろう。
 私の属する電気事業もしかりである。電気の安定供給が脅かされれば事業者を叩く、電気料金が上昇すれば事業者を叩く、これが国の姿勢だ。自分達が改正した法律が原因となっていてもお構いなしだ。
 当該事業に属する労使にとってはたまったものじゃない。法律が改正する目的とその影響、それらの対策を確りと論議した上で、責任をもって法改正をおこなって欲しいといつも思っている。
 まして今回の2024年問題は、運転手の労働環境や命を守るという視点においては、一定筋の通った法改正であると推察する。であるならば、物流への影響を未然防止するための措置もセットで行えば、政府や政治家の株も上がるのではないかと思う。
 いずれにしても、4月以降は運転手不足が露呈する。これから益々労働力が不足する時代に突入していく中にあって、魅力ある仕事として労働条件や労働環境などを整備していくことは必要不可欠である。

 2024年問題は、日本の労働力不足の氷山の一角に過ぎない。
 私も最近、日常生活の中で労働者が不足しているなあ、と感じることが多い。飲食店に食事に行っても、スーパーに行っても、100円ショップに行っても、家電量販店に行っても、病院に行っても、様々な窓口に行っても、待たされる時間が長くなっている、問い合わせするためのスタッフを見つけられない、どこもかしこも労働者が不足しているのだと痛感する。
 どこに行っても待たされる時間が長くなっている、以前ならこんなに待たされることは無かったという自分の記憶からなのか、想定以上に待たされると無性にイライラすることがしばしばある。
 その時に私は思うのだ。
 労働者の不手際でも怠慢でもない、根本的に人不足なのだ。ここでイライラを労働者にぶつけてはいけないのだ、と。

 これからの日本はどうなってしまうのであろうか。
 たしかに、労働力を補う手段としてデジタル化などは進んでいる。それが、根本的な解決であれば良いのだが、多分そうではないだろう。最終的には「人」の問題なのだから。
 これから労使関係が益々重要になってくるだろう。使用者と労働者が、自らの仕事にやりがいや誇りを感じ、納得できる労働条件や労働環境の下で、事業を展開し業界を盛り上げていくことが重要となってくるだろう。
 一方、労使間で解決できない課題については政治の力に頼るしかない。政治で解決を図り、豊かで住みやすい日本を創っていく。今の政治家にとって一番重要なことであり、それが政治家の責任と役割ではないのか。そういった視点で、是非とも政治家の皆さまには色んな意味で頑張っていただきたい。
 そうでないと、日本人そのものが豊かさ快適さを求め海外へ移住していくだろう。
 日本が負のスパイラルに陥らないよう、私も労働組合役員として微力であるが自らの責任と役割を果たしていきたい。

 

 

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