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集団Q&A5-(5)使用者の言論と支配介入

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月26日更新
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使用者の言論と支配介入

質問

 会社内で労働組合を結成しようとしたところ、社長から「試用期間中の者は労働組合に加入させないように。」「上部団体には加盟しないように。」等の発言がありました。
 このような発言は、労働組合法で禁止している労働組合に対する支配介入ではないのでしょうか。

答え

 質問のような社長の発言は、不当労働行為の支配介入に該当する可能性があります。

解説

1 支配介入とは

 労働組合法第7条第3号では、労働組合の結成や運営に関して、使用者が「支配介入すること」、または「経理上の援助を与えること」により干渉や妨害を行い、その弱体化を図ることを禁止しています。これは憲法第28条が、労働者に対し労働組合の結成、団体交渉及び団体行動の権利を保障していることから、こうした労働者の集団的権利保障の実効性を実説的に担保するために、これを阻害する使用者の行為を「不当労働行為」として禁止しています。
 なお、支配介入が現実に労働組合の結成・運営に影響を及ぼしたかどうかは問題ではなく、使用者が組合員である労働者を威嚇あるいは懐柔し、労働組合の組織・運営に干渉・妨害を行うなど、客観的に支配介入の意味を持つ行為がなされれば、不当労働行為は成立します。

2 使用者の言論の自由と支配介入

 使用者にも当然に言論の自由(憲法第21条)が認められていますが、その自由は無制限ではなく、労働者の団結権の保障(憲法第28条)の下で、使用者の言論の自由も一定の制約は免れないものと解されています。
 判例では、「組合に対する使用者の言論が不当労働行為に該当するかどうかは、言論の内容、発表の手段・方法、発表の時期、発表者の地位・身分、言論発表の与える影響などを総合して判断し、当該言論が組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織・運営に影響を及ぼす」か否かで判断するとされています。

 

(参考)

〇 支配介入の態様

 支配介入の不当労働行為を成立させうる使用者の行為には、多種多様なものがあり、その主なものは以下のとおりです。
(1)労働組合の結成に対する干渉・妨害に関するもの
 組合結成を非難し結成を思いとどまらせようとする、組合結成の中心人物を懐柔するあるいは解雇、配置転換、懲戒処分等の不利益取り扱いをする、従業員へ組合脱退あるいは不加入の働きかけなど
(2)労働組合の内部運営に対する干渉・妨害に関するもの
 役員選挙への介入、組合分裂工作、上部団体への加入の妨害、積極的に組合活動を行う組合員への解雇や配置転換等の不利益取扱など
(3)労働組合の組織や活動に対する干渉・妨害に関するもの
 使用者の意見表明、使用者による反組合的言論、施設管理権の濫用、便宜供与の中止、経費援助など
(4)複数組合併存下での一方組合に対する差別に関わるもの
 一方の組合に組合事務所を貸与し、別組合には合理的な理由なく貸与しないなど

 以上のような会社の行為が、組合活動を委縮させ、抑圧させる意図に基づいて行われたものと認められる場合、支配介入の不当労働行為に該当すると判断される可能性があります。

参考判例

○ プリマハム事件(最二小判昭和57.9.10 労経速1134号)
○ 山岡内燃機事件(最高裁第二小法廷判決昭和29.5.28 民集8巻5号)
○ 新宿郵便局事件(最三小判昭和58.12.20労判421号)

 

 

 

 

 

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