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集団Q&A5-(8)不当労働行為の申立期間

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月26日更新
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不当労働行為の申立期間

質問

 私の会社にはA、B2つの組合があり、私はB組合に加入しています。毎年3月に会社は賃金の査定を行い、従業員はその査定に基づき毎月、賃金の支給を受けてきました。
 ところが団体交渉の中で、昨年会社が行った賃金査定において、私たちB組合員はA組合員と比べて差別的取り扱いを受けていることが判明しました。
 そこで、B組合は、査定後1年以上経過した今年7月に、賃金査定の差別的取り扱いに関して不当労働行為の救済申立てをしました。なお、昨年の賃金査定に基づく差別的賃金は、今年の3月分まで支払われています。
 会社側は、昨年の賃金査定後1年以上経過している現時点で救済申立てをすることは、不適法と主張していますが、救済申立ては不適法なのでしょうか。

答え

 質問の場合、差別的査定に基づく賃金の最後の支払いの時(今年の3月)から、救済申立てが1年以内になされていますので、申立ては適法と考えられます。

解説

1 申立期間

 不当労働行為事件の審査の申立ては、不当労働行為であると主張する行為が行われた日から1年以内に行わなければならず、1年を過ぎてから行われた申立ては、労働委員会は、これを受けることができず、申立ては却下されます(労働組合法第27条第第2項、労働委員会規則第33条第3項)。
 これは、行為の時点から長期間経過した事件については、証拠の収集や事実認定が困難になること、また、救済命令を出しても実益がないか、かえって労使関係の安定を阻害する可能性があるためです。
 申立のできる期間は、該当する行為が1回限りで完結するものであるときは、行為が行われた日から1年ですが、「継続する行為」であるときは、その終了した日から1年です。

2 継続する行為

 労働組合法では、1年間の申立期間の起算点を「行為の日(継続する行為にあってはその終了した日)」と規定します。これは、使用者の不当労働行為が、連続する一連の過程として展開されている場合には、その行為が終了した日から1年以内に救済申立てがされれば、「継続する行為」の全体について申立てを認めて救済の対象にしようとするものです。
 判例では、会社が毎年行う昇給に関する査定と、それに基づく毎月の賃金の支払いとを一体とみるべきかどうかについて、「使用者が労働組合の組合員について組合員であることを理由として他の従業員より低く査定した場合、その賃金上の差別的取扱いの意図は、賃金の支払いによって具体的に実現されるのであって、右査定とこれに基づく毎月の賃金の支払とは、一体として1個の不当労働行為をなすものとみるべきである。そうすると、右査定に基づく賃金が支払われている限り不当労働行為は継続することになるから、右査定に基づく賃金上の差別取扱いの是正を求める救済の申立てが右査定に基づく賃金の最後の支払の時から1年以内にされたときには、右救済の申立ては、労働組合法第27条第2項の定める期間内にされたものとして適法というべきである。」と判示しています。

参考判例

○ 紅屋商事事件(最三小判平3.6.4 労判595号)

 

 

 

 

 

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