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知事記者会見 平成28年2月3日(水)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月5日更新

知事定例記者会見

知事定例記者会見
■日時 平成28年2月3日(水)13:00~13:40
■会場 応接室

【発表事項】
平成28年度当初予算について

【質問事項】
1 平成28年度当初予算について
2 復興庁発足4年について
3 知事インタビューについて

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【発表事項】

平成28年度当初予算について

【知事】
 平成28年度当初予算について、発表をいたします。
一般会計当初予算の総額は、1兆8,819億円となります。これは前年度と比較して
175億円、率にして0.9%の減となります。このうち、震災・原子力災害対応分として、1兆384億円を計上しております。

 まず、歳入についてであります。
 県税収入は、2,284億円と前年度を上回りますが、地方財政対策により、震災復興特別交付税を除く実質的な地方交付税は、2,070億円と前年度を下回ることから、一般財源の総額は前年度と同程度となっております。
 このため、「原子力災害等復興基金」を始めとした各種基金を有効に活用し、必要な財源の確保に努めました。
 歳出につきましては、これまで執行した事業の効果をしっかりと検証しながら、内部管理経費の節減、事務事業の見直しに努め、予算編成を行いました。

 平成28年度は、復興・創生期間の初年度であります。
 福島県の未来を形作り、復興を確実に成し遂げていくための新たな第一歩を踏み出す大切な一年であります。
 このため、平成28年度当初予算につきましては、昨年末に改訂をした「第3次復興計画」、人口減少対策を総合的に進めるために策定した「ふくしま創生総合戦略」を着実に実行し、復興再生・地域創生を実現していくため、実効性のある予算として編成をいたしました。

 それでは、重点プロジェクトの区分に従って、新年度予算の内容を御説明いたします。
 始めに、「人口減少・高齢化対策プロジェクト」についてであります。
 県内の産業界と連携して、大学生に対する支援を行うなど、本県の将来を担う優秀な人材の確保、県内定着を図ります。
 認可外保育施設に対して支援を行うことにより、小規模保育施設への移行を促進し、県内の待機児童の解消を図ります。
 また、多様な子育て環境の充実を図るため、親世帯と子世帯が同居・近居を行うための住宅確保に対して支援を行ってまいります。
 さらに、観光による地域づくりの中核となる、日本版DMO(Destination Management Organization/Destination Marketing Organization)の県内導入を推進し、本県観光の再生、交流人口拡大に戦略的に取り組みます。
 このほか、「ふくしま創生総合戦略」に掲げる、地域創生のための7つのプロジェクトを積極的に展開し、「しごと」を創り、「ひと」の好循環を生み出します。

 次に、「避難地域等復興加速化プロジェクト」についてであります。
 県立医科大学と連携し、双葉地域における二次救急医療提供体制の構築を進めてまいります。
 イノベーション・コースト構想につきましては、ロボットテストフィールドを始めとした、研究・実証拠点施設の整備、廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産業など、幅広い分野における技術開発や実用化の促進、アーカイブ拠点施設の基本構想策定、さらには、Jヴィレッジの再整備など、世界のモデルとなる復興・再生に向けた取組として、着実に推進してまいります。
 なお、双葉郡各町村との連携を密にし、復興を進めるため、原子力等立地地域振興事務所を「ふたば復興事務所」に改称の上、広野町に移転をいたします。

 次に、「生活再建支援プロジェクト」についてであります。
 復興公営住宅につきましては、一日も早い入居に向けて、全力で整備に取り組むとともに、入居された方々に対して、きめ細かな支援を行ってまいります。
 避難指示区域外から県内外に避難をされている方々に対しましては、帰還・生活再建に向けて、総合的な支援を行ってまいります。
 また、被災12市町村における、帰還や生活再建を促進するための取組や、中小企業・小規模事業者の方々の事業再開に向けた取組をしっかりと支援してまいります。

 次に、「環境回復プロジェクト」についてであります。
 除染につきましては、市町村と一体となって、着実な推進を図ってまいります。
 また、環境創造センターにつきましては、平成28年度に開所する交流棟「コミュタン福島」での環境・放射線の学習支援に取り組むなど、環境回復・創造の拠点施設として運営してまいります。

 次に、「心身の健康を守るプロジェクト」についてであります。
 全国に誇れる健康長寿県を目指した取組を県民運動として全県的に展開してまいります。
 福祉・介護人材を確保するため、介護福祉士等の養成施設整備への支援、キャリアアップへの支援、労働環境の改善など、総合的な取組を進めてまいります。
 保健医療従事者の新たな養成施設につきましては、基本設計・実施設計に着手し、平成33年度の開設に向けて取り組んでまいります。
 ふくしま国際医療科学センターにつきましては、平成28年度内の全面稼働に向け、整備を進めてまいります。

 次に、「こども・若者育成プロジェクト」についてであります。
 将来、医療の仕事を通して、本県の復興に貢献したいという中学生や高校生の夢の実現を後押しし、本県の地域医療を担う人材の育成をしてまいります。
 また、子どもたちの社会体験活動を実施する民間企業、NPO法人等に対する支援を拡充し、本県の未来を担う、たくましい子どもたちの育成に取り組みます。

 次に、「農林水産業再生プロジェクト」についてであります。
健康に良いとされるエゴマなど、注目度の高い本県の工芸農産物について、販売体制の確立や生産技術の開発に取り組みます。
 水産試験研究拠点につきましては、基本設計・実施設計に着手し、平成31年度の開所に向けて、整備を進めてまいります。
 このほか、米の全量全袋検査、営農再開への支援など、農林水産業の再生にしっかりと取り組みます。

 次に、「中小企業等復興プロジェクト」についてであります。
 航空宇宙産業への県内企業の参入の促進や、関連産業の集積に取り組んでまいります。
 また、伝統工芸産業の担い手と、著名なデザイナーとのマッチングを支援し、新たなブランドの創出を促進してまいります。
 被災中小企業や中小企業グループの施設の復旧、中小企業の資金繰りへの支援も引き続き実施してまいります。

 次に、「新産業創造プロジェクト」についてであります。
 再生可能エネルギーの導入拡大を図るとともに、県内企業や公立学校の照明の高効率化を支援するなど、省エネルギーの促進に総合的に取り組みます。
 このほか、医療機器関連産業の集積、ロボット産業の創出に引き続き取り組んでまいります。
 ふくしま医療機器開発支援センターにつきましては、平成28年度、秋に開所いたします。
 なお、庁内の組織体制についてでありますが、ロボット関連拠点施設の整備を着実に推進するため、産業創出課内に「ロボット産業推進室」を新設いたします。

 次に、「風評・風化対策プロジェクト」についてであります。
 復興の歩みを進める本県の姿、食や観光の魅力を国内外に発信するとともに、共感・応援の輪の拡大に取り組んでまいります。
 海外への情報発信については、訪問活動による直接の働き掛けに加え、本県とゆかりのある方々との交流推進に取り組みます。
 また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、文化スポーツ局内に、「東京オリンピック・パラリンピック担当課長」を新設し、本県での一部競技や事前キャンプの誘致活動などに取り組むほか、本県の農産物を供給するため、県内産地におけるGAP、農業生産工程管理の認証取得を推進します。

 次に、「復興まちづくり・交流ネットワーク基盤強化プロジェクト」についてであります。
 海岸堤防の嵩上げ、防災緑地やふくしま復興再生道路などの基盤整備を着実に進めてまいります。
 JR只見線の早期全線復旧に向けた取組も継続してまいります。
 また、被災者生活再建支援法が適用されない被災者に対する県独自の支援、さらに、防災体制の強化などに取り組み、県民の皆さんの安全・安心の確保を図ってまいります。

 以上が平成28年度当初予算の概要であります。
 県といたしましては、来年度を復興再生・地域創生の実現に向けた新たなスタートの年と位置付け、様々な課題に果敢にチャレンジしながら、「新生ふくしま」の実現に総力を挙げて取り組んでまいります。
 私からの発表は以上でございます。

【質問事項】

1 平成28年度当初予算について

【記者】
 震災6年目ということで、復旧予算から復興というか、震災前の状況に戻す復旧というポイントから震災前以上を目指す復興という部分に少しずつシフトしてきているのかなというような気がするのですが、その辺の思いをお聞かせいただきたいのが一点と、それを象徴しているのが、Jヴィレッジではないかなと思います。
 その「震災前よりも、よほど良くして復活させる」という、その辺の思いは、私には象徴的なものかなと、今回、盛り込まれているのは設計費用だけだとは思うのですが、その二点、予算全体の震災前以上を目指すという思いと、Jヴィレッジは象徴的な部分でありますかという点を教えてください。

【知事】
 まず前半の御質問でございます。
 平成28年度の当初予算のウエイト、力点が徐々に変わってきています。今回の「復興・再生」という部分については、従来の震災直後からの5年間は「復旧」というところに力点が置かれていた訳ですが、平成28年度以降においては、より「復興」に重点を置いた予算編成というものをこれから進めてまいります。
 そして、併せて、「地方創生」「地域創生」という大切なキーワードがございます。
 これは人口減少・高齢化対策にどう取り組むかという、福島としての構造的な根本的な問題でありますので、これに対応する内容についても重点を置いて、今回、予算編成をしているところでございます。
 こうした予算の中で、やはり象徴といえるのは、Jヴィレッジの再整備であります。「再整備」という言葉が、実は正確ではないかもしれません。従来のJヴィレッジを原形復旧するという意味だけの再整備ではなくて、元々あったものをきちんと元に戻すことに加えて、より良いJヴィレッジにする。例えば、全天候型の施設を設けたり、あるいは宿泊施設棟をより充実・強化する、こういった全体としてのレベルアップを図ること。これはある意味、福島県が震災前の姿に戻すということに加え、更にプラスアルファの、より良い福島の形を創るのだという意気込みの一つのシンボルになるのではないかと考えております。是非、こうした整備に向けて取り組んでいきたいと考えております。

【記者】
 一点追加で、ということはJヴィレッジの話だけではなく、予算全体としても、震災前以上の福島を目指すというようなお考えであると捉えてよろしいでしょうか。

【知事】
 はい、そのとおりでございます。

【記者】
 全体的なことなのですけれども、昨年のこの席で、知事がいよいよ「未来を拓く」ということで、そういうタイミングなのだという思いを込めて、「拓く予算」というネーミングを使われたと思うのですけれども、今回は、そういうお言葉、ネーミング等はあるでしょうか。

【知事】
 ネーミングはまだ悩んではいるのですが、今年は、去年の口語調の言葉とは違いまして、「復興・創生元年予算」、これを28年度予算のネーミングにしたいと考えております。
 正確に言うと、漢字で言いますと「復興・創生元年予算」です。盛り沢山の名前になってしまっているのですが、今、答えさせていただいたのと一緒で、やはり大震災・原子力事故からの復興という予算、それプラス人口減少対策・高齢化対策という地方創生の予算、こういったもの全体が、この1兆8,800億円につながっている。しかもそれがある意味、復興・創生期間のスタート、元年になるということをかみ合わせまして、平成28年度予算は「復興・創生元年予算」と、私の中では位置付けております。

【記者】
 ネーミングはありましたけれども、今回、どの事業も重要だとは思うのですけれども、知事が、この数ある事業の中でもここは特に力を入れたい、目玉の政策として前面に打ち出していきたいというものがあれば教えてください。その中に、たぶん航空宇宙産業も絡んでくると思うのですけれども、その辺りへの思いも聞かせてください。

【知事】
 まず、平成28年度予算の中で、重点的な分野がどこかというお尋ねです。
 第3次復興計画等の11のプロジェクト、これが全てだという思いはもちろんあるのですが、その中でも、あえて選ぶということであれば、私は二つ挙げたいと思います。
 一つは、「避難地域等復興加速化プロジェクト」です。そしてもう一つが、やはり「人口減少・高齢化対策プロジェクト」です。
 これは実は、今ほど申し上げました「復興」というものの象徴が、避難区域の復興加速化でありますし、そして地方創生のある意味、象徴・ど真ん中が「人口減少・高齢化対策」ということになりますので、やはりこの二つのジャンル、これを平成28年度予算の中でも、特に力を入れて編成をしているところでございます。
 また、それぞれトータルで関わってくるのは、産業・経済の活性化ということになります。
 特に、新産業、これまでも医療関連産業、再生可能エネルギー、ロボットに力点を置いてきましたが、本年度予算で、本格的に航空宇宙関連産業を新たに掲げております。
 この点も、福島県の今後の将来を担う中核産業として、是非、育てていきたいと思いますし、また福島県にはその素地があると思っておりますので、予算を通じて、積極的にこの産業を育てていきたいと考えております。

【記者】
 絡めて、航空宇宙産業が育つことで、どのような効果というか、県内にプラスになるとお考えでしょうか。

【知事】
 産業再生、やはり二つの要素が大切です。まず改めてなのですが、福島県内で、元々頑張っていただいている、例えば、農林水産業、商工業、観光業、こういった既存産業をまず再生していくことが大事です。
 これがまず基軸であるということを前提にした上ですが、加えて、新産業、新たな産業を創ることは大切です。
 繰り返しになりますが、「医療機器関連産業」、「再生可能エネルギー産業」、「ロボット産業」、そして、28年度から更に本格的に「航空宇宙関連産業」、こういった新産業は、これからの日本、世界のマーケットにおいて、非常に伸びが見込まれる分野であります。その中において、福島県内の「メードイン福島」の部品や製品が、世界で実際に評価をされて売れていく。
 これは、福島県の経済基盤をこれからサスティナブル・継続的に確立するということにつながりますし、もう一つ大切な要素は、若い方々が「是非、俺も、私も、あの分野で働きたい」、そう思っていただけるような夢のある産業だということにあります。
 今、人口減少に悩んでいる。特に、原子力災害の影響というものもあって、若い方々の県外流出が続いている福島にとって、福島県内で魅力のある新しい産業を構築することによって、若者が流出していくことを、ある意味、防ぐ。さらに日本国内の、場合によっては世界の若者たちが、逆に「福島に行って、俺はやろう」、そう思ってもらえるような環境を形作るという意味でも、意義があると考えております。

【記者】
 今回、予算編成と同時に財源の確保というのが非常に大きな問題だったと思います。
 支出額が凄まじく大きくなる一方でですね、復興・創生期間になると、当然、国の方も「地方の自立」という形を使って、地方負担を求めていく今後の5年間になると思いますが、その中で振り返って、その一番しんどかった部分というのがどういうところにあるのかというのが一点と、それから先ほどお答えいただいたものと関連してきますが、霞ヶ関の中での、震災と原発事故の風化というものを感じられたのか。また、その財源確保の中で、そういったところ、どういうふうに感じられる場面とかですね、思い等があればお聞かせください。

【知事】
 まず、平成27年度が1兆8,900億円。そして、平成28年度が1兆8,800億円。非常に大きな規模の予算を連続しています。これはやはり財源があっての予算ですので、この財源確保というものに、この1年間も正に総力を挙げてまいりました。
 昨年1年を振り返りますと、前半と後半に分けられます。前半はいわゆる今でいう「復興・創生期間」、これからの5年間の中期的な財政フレームをどうするかという激論を、当時の竹下復興大臣を始め、関係の皆さんと繰り広げてまいりました。
 当時、国の方からは、「一定の地方負担というものを是非のんでほしい」というお話を頂きまして、私どもは「今そういう状況ではない、そういった負担というものは厳しい」ということを、侃々諤々やり取りをしました。
 その結果、非常に極小化した形で、震災後の今後の5年間の中で、最小の地方負担ということで、ある意味、決着をしていただき、あとマクロの財源フレームを作っていただきましたので、ここのところでまず地方負担が今後の5年間でいたずらに伸びることがないという安心感、安定感というものを持っております。
 一方で、国の予算というのは、5年間の予算でありません。単年度予算です。
 従って、平成28年度予算の議論は、ある意味、その話とは切り離して、昨年の後半ずっと続けてまいりました。そして個別の事業、関係の省庁や復興庁と様々議論する中で、年末の国の予算においては、しっかりとした予算編成をしていただきましたので、その財源をもって、今回、この大きな予算編成が成り立っていると考えています。
 その中でやはり大事なのは、なかなか人が変わると、これまであった皮膚感というものがパッと通じない場面があります。そこは先ほども申し上げたのですが、また改めて、再度、我々が汗をかきながら説明をしたり、現場に来て見ていただいて、共感をしていただくという中で仕事を進めておりますし、あともう一つ、逆の財産がありますのは、異動した方がまた別の部署に行かれます。その方が、実は自分が行った新しい部署で、福島のことを支援してくれるという新たな広がりもあります。
 従って、人事異動の全てが悪だということを単純に言っている訳ではありません。福島のことを、現状をよく知っている、その当時の辛さを分かっている方が、実は霞ヶ関のあちこちにまで逆に広がりができる中で、また今後の5年間を是非支えていただきたいと考えております。

【記者】
 その「霞ヶ関内の風化」というのをどう捉えていらっしゃるのかというのが一点と、27年、28年と1兆8,000億円から9,000億円近い形でですね、巨額な予算になっていますが、今後こうしたものを続けることは可能だと思っているのか。また、この規模をいつまで、復興に向けて進めるためには、続けていく必要性があるとお考えなのでしょうか。

【知事】
 まず、規模感から申しますと、この2年間の大きな予算というのは、復旧事業、それから除染関係の経費がある意味ピークを迎えているがゆえのものであります。従って、今後はやはり減少傾向になっていくと思います。
 ただ、減少と申しましても、福島県の震災前の予算は約9,000億円、0.9兆円です。
 その0.9兆円に対すれば、今後、一定の減少傾向を見せたにせよ、はるかに大きな規模の予算が継続していく。復興予算、風評・風化、それから県内の産業振興のためには、いずれにしても、極めて大きな規模の予算というものを編成していかなければいけないと考えております。
 従って、これからの5年間もそうですし、更にその先も含めて、財源確保というものを、知事自身がトップ交渉をする。また、県が全庁を挙げて、また皆さんの力も借りながら、国に対して言うべきことを言い、取るべきものを取る。このスタンスをきちんと貫いていく中で、県民の皆さんが復興を実感できるような予算を作ることができると考えております。
 また、霞ヶ関の風化の問題というのは、霞ヶ関だけでなくて、やはり風化というのは、時と共に、どうしても現れてくるものです。従って、我々自身が、福島の現状であったり今後について、様々な機会を捉えて、積極的に発信をする、伝える。あと逆に、なるべく来ていただいて、見ていただく機会を作る。そういう努力をこれからも継続的に行っていく必要があると思います。

【記者】
 「避難地域等復興加速化プロジェクト」の中での御説明で、双葉郡各町村と連携を密にし、復興を進めるため、原子力等立地地域振興事務所を「ふたば復興事務所」と改称の上、広野町に移転しますとあったのですが、こちらの拠点をまた双葉郡に戻すということで、こちらの事務所に対しての期待する役割等をお聞かせください。

【知事】
 この今回の新しい事務所、ネーミングも変えながら、広野町に戻す。これは避難区域の復興を加速化するという、県の組織としての意思そのものを表わしています。やはり現場に足を置く、足元をきちんと置くということが一番大事だと思っておりますし、そして、この避難指示、今後、解除がどう進んでいくのかという現状がございます。
 双葉郡の中に県の事務所があって、そこで職員が頻繁に地元の方々と連携を取りながら、日々悩みながら苦しみながら、一方でこれをやりたい、こうしたいという希望を持ちながら仕事をしていくことが、最も大切だと思っています。
 今、各役場もそれぞれの避難エリアにも居を置きつつ、自分の本来の役場に戻すという役割を進めておられますので、是非、双葉郡のそういった動きとも連携しながら、正に避難区域の復興が加速化するように、組織を挙げて取り組んでいきたいと考えています。

【記者】
 当初予算の関係でちょっと改めて伺いたいのですが、今回、復興と創生の元年だということを言いましたけども、改めて復興と地方創生ということの関係というのを、どのように捉えているのか、知事の言葉で改めてお聞かせください。
 それと、避難指示解除が年度内に恐らく続くことが予想されるのですけれども、それに向けてということで、どういう位置付けの予算であるべきなのかと、どういうことを期待するのかということをお聞かせください。

【知事】
 まず、復興と地方創生の関係であります。一番ポイントを言えば、復興、特に原子力災害からの復興というのは、ある意味、福島固有の重い課題だと考えています。そして地方創生は、全国的な課題だと思います。すなわち人口減少というのは、福島のみならず、他県においても同じように進んでいます。高齢化も進んでいます。
 従って、今、地方創生担当大臣がおられて、ある意味、各地でしのぎを削りながら、お互いより良くしたいという思いで施策に励んでいる訳です。ですので、地方創生は福島県も全国と同じ問題を共有する中の一つの県としてどう進めていくか、これがポイントになると思います。
 一方で、原子力災害からの復興というのは、福島県のある意味固有の課題であります。これは日本だけではなくて、世界全体で見ても、福島県の非常に特有な課題ですので、これに対してどう取組を進めていくかというのは、非常に難しい部分がございます。
 ただ、現象として現れるところは、復興と地方創生は非常に似ているところがありますので、私は常に「これは裏表」と、「両方表」と言ってもいいかもしれませんが、一体のものだと思っています。
 従って、県の予算も同じ施策を打ったときに、それは原子力災害からの復興にも当てはまる、同時に地方創生にも当てはまるというものが多々ございます。
 ただ福島県は、先ほど言ったように固有の部分があるので、特に原子力災害の部分というものを常に頭に置きながら、それを上手に施策として進めることが、どうやったら地方創生につながるのであろうかということを考え抜いていかなければいけないと考えております。
 あと避難区域の問題、すいません、避難区域についてもう一回お願いできますか。

【記者】
 避難指示解除がですね、いわゆる新年度内にまた続くことが予想される訳ですけれども、そうしたことを見据えてですね、住民の帰還を促すということの意味で、この予算の位置付けについてお願いします。

【知事】
 例えば、広野町、川内村のように、ある程度以前に解除されて、住民が戻って来られているところ、そして昨年の9月に避難指示が解除されて、まだ5%、6%ということで、まだまだこれからという楢葉町のように、やはり現実にこうしたエリアを見ますと、生活インフラがどう整うかということが、住民の皆さんにとって、帰還を決めるか決めないかの一番の分水嶺となっていると思います。
 そして、その生活インフラというのが非常に多岐にわたりまして、その多岐にわたるものについて、国と県と自治体、あるいは民間のお力を借りながらなのですが、どれだけ速やかに復旧をさせるのか、あるいは場合によっては、震災前より良くするのかということが問われていると思っています。
 従って、今回の平成28年度予算の中でも、広域自治体である県として関わるものというのをできる限り、あるいは市町村・自治体がやろうとしている施策に対して、県として財政支援をすることによって、それをバックアップしよう、こういったものを盛り込んでいるところでございます。これが非常に県として重要な役割だと考えております。

2 復興庁発足4年について

【記者】
 2月11日で復興庁の発足から4年になると思うのですが、知事として、評価できる点とできない点、これからの課題や求めていくこと、この二点を教えていただきたいのですが。

【知事】
 まず復興庁ができたことによって大きく変わったのは、それまで所管が決まらない分野というのが正直ございました。
 例えば、震災の直後、実は放射性廃棄物の取扱をどこがするのだという整理ができていなかった。結果として、環境省になりました。それ以外も様々な、今度は復旧・復興となった時に、例えば国土交通省なのか農林水産省なのか、あるいは経済産業省なのか。こういった議論があっても、なかなかキャッチボールがあって、中央政府における福島県のカウンターパート、相手方が決まらないというトラブルとかジレンマが幾度もありました。
 そういったことが、復興庁ができることによって、まずとにかく福島の悩み、あるいは被災地の悩みは、復興庁が一元的に受けるという形ができましたので、この点は評価をしております。
 また、復興大臣は、政府の中の各大臣の中でも一段高いポジションとして、被災地域の復興をきちんとリードする担当大臣だという位置付けになりましたので、そういう意味でも、復興庁が、霞ヶ関全体でのリーダーシップを発揮してくれているという点を評価しております。
 一方で難しいのが、例えば、予算や制度、様々なものがこの5年間で出来上がりました。ただ、被災地の現状は、時々刻々と変化をしていきます。
 例えば、同じ楢葉町であっても、2年前の楢葉町と、1年前の楢葉町と、今日の楢葉町では、求めるものが変わってきています。そうすると、既存の予算、できた当時はそれなりの意味があって、非常に喜ばれた。ところがそれがだんだん形が変わって、現状についていけなくなるということが様々ございます。あるいは制度も同じです。一つのルールを作った。例えば、環境省が指定廃棄物のルールを作る。ところが、それが徐々に全体の現状に合わなくなってくるということもあり得る訳です。
 従って、そういったものに対して、適時適応に対応してもらうという変化、これを復興庁には、これからの5年間、復興・創生期間の中で、是非リーダーシップを発揮していただきたいと思っておりますし、あと若干残念なのですが、やはり5年という期間が経つ中で、風化も進んでおります。
 例えば、今、東京で復興関係の仕事をされている方で、平成23年3月以降、継続的にやっている方はほとんどいない状況です。ほぼゼロに近い。そうすると、なかなか以前の経験とか苦しみ、ジレンマが分からないで、今、決まったルール、今、決まった制度の中で、できる・できないということを機械的に判断されてしまうことがあるので、今、福島あるいは東北地域が抱えている災害というのはそれだけのものではないのだ、非常に難しい部分があるのだ、そこを共感できるような肌合いというものを、是非、復興庁はこれからの5年間も継続的にリードをしていただきたいと考えております。

【記者】
 確認なのですけれども、最後の方の、平成23年3月11日、当時を知らない方というか、風化の部分なのですけれども、それは復興庁の職員の方で、どうしても人の入れ替わりがあって、当時を知らない方が今のルールでやってしまっているという、そういう理解でよろしいでしょうか。

【知事】
 要は、人事異動が1年・2年単位で霞ヶ関ではあります。替わると、名刺交換から始まる訳です。名刺交換から始まって、今の福島の現状を見に来ていただいて、その上で何度か話をしながら、ようやく徐々に現状を分かっていただいて、そして次をどうするかという話になります。
 こういったタイムラグも我々からすると、複雑な思いで見ているところがありますので、そういった我々の複雑な思いも、是非、広く捉えて、国としてはスピーディな様々な面での対応をしてほしいと思っております。

3 知事インタビューについて

【記者】
 3.11のインタビューに関してですが、共同インタビュー15分、個別インタビュー各社5分ということで、弊社始め数社がですね、広報課長とかですね、時間に対して不満があるということをお伝えしてるんですが、そのことは知事は御存知ですか。

【知事】
 伺っております。

【記者】
 その上でですね、今回設定されている時間が、震災4年と比べても短くなっているということで、やはり震災5年という節目に当たってですね、今も既に30分以上経過しているんですが、やはりその福島の現状を発信するに当たって、我々が報じるに当たっても、やはりその時間が共同15分、個別5分で知事は十分だと、足りるというふうにお考えなのかをお聞かせください。

【知事】
 私自身が知事に就任してから、この定例会見を毎週行うようにしました。様々な形での情報発信というものを自分なりに最大限努力をしているつもりでございます。
 今回、そういった御意見を頂いていることを承知しております。今、非常に、ちょうど震災から丸5年という節目がありまして、かつ、御承知のとおり、ちょうど予算、県議会等々ある中で、非常に様々な公務が重なっている現状の中で、できる限りの対応をしているつもりであります。
 また、そういった御意見があるということも踏まえながら、定例会見の場、様々な場を活用して、皆さんに対するこの思いの発信という努力を続けていきたいと思います。

【記者】
 要するに時間がないから、要約するとそういう話になると思うんですけども、知事としても共同15分、個別5分というのはもう変えないという考えでよろしいですか。

【知事】
 そういった御意見は重々承っております。私としてもできる限りの努力はしていきたいと思っておりますので、また様々な機会、どうやって発信していくかということを模索していきたいと思います。

【記者】
 今のに関連してなんですけれども、今回のその経緯、不満等は伺っているということだったんですけれども、こちらの現場の職員の方とお話、課長等含め伺っていると、知事に本当に我々の意図がですね、ビビッドに伝わっていたのかなというのが非常にちょっと疑問に思っております。
 まあ、後藤田五訓でありませんが、やはり都合の悪い情報というのは、常に知事にすぐに伝えるというのがやはり鉄則ではないかと思うんですが、その点でもちょっと疑問に思ったのが一点ございます。その点についてと、あと知事インタビューも含めてなんですけども、改めて知事の方から、特に風評・風化は先ほど言ったように、風化はどうしても避けられないとおっしゃっている上で、特に県外、全国のですね、知事の情報発信、機会を捉えていくということについて、どのように捉えているのか、改めて知事のお考えをお聞かせください。

【知事】
 まず、県庁内の色々な情報、仕事それぞれありまして、昨年の4月以降、色々な御指摘を頂いております。
 きちんと情報の共有が完全にされているか、これは恐らく、常に注意喚起し続けなければいけない課題だと思っておりますので、その点はきちんと引き締めて対応してまいります。
 また、その情報発信、できる限り最大限やるべきだというのは全く同感でございます。私自身も本当に今、毎日毎日の日程の中で最大限やっているつもりなのですが、そういった御意見もありますので、どうやって今後、特に全国への発信、さらに言えば、世界への発信もあると思うのですが、より良くできるかということを真剣に考えてまいります。

【記者】
 それでは、またこれは引き続き記者クラブとしてもまだ完全に出ている訳ではありませんので、知事の今の御意向を踏まえて、もう一度改めて協議を続けたいと思います。

(終了)

■内容についてのお問い合わせ先
 平成28年度当初予算について
 → 総務部財政課 電話024-521-7029

 復興庁発足4年について
 →企画調整部企画調整課 電話024-521-7129

 知事インタビューについて
 → 総務部広報課 電話024-521-7012

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