知事定例記者会見
■日時 令和7年12月22日(月曜日)10時00分~10時26分
■会場 応接室
【冒頭発言】
【発表事項】
1 福島イノベーション・コースト構想の新たなPR動画について
【知事挨拶】
1 県民の皆さんへ
【質問事項】
1 今年一年の振り返りについて
2 今年の漢字について
3 「年収の壁」引き上げについて
4 福島イノベーション・コースト構想のPR動画について
5 メガソーラーについて
6 「おこめ券」について
7 福島イノベーション・コースト構想PR動画制作の背景について
8 学法石川高校の男子第76回全国高等学校駅伝競走大会優勝について
9 除染土利用に関する双葉町居住者アンケートの結果について
【冒頭発言】
はじめに、昨日行われた、全国高等学校駅伝競走大会についてお話しします。
男子第76回全国高等学校駅伝競走大会において、学法石川高校が念願の初優勝を果たされました。
男子では県勢初の快挙であります。学法石川高校の選手の皆さん、関係者の皆さん、本当におめでとうございます。
雨が降る悪天候の中、一度も1位を譲ることなく、1区の増子選手、3区の栗村選手の区間賞を始め、全ての選手が持てる力を存分に発揮し、大会新記録での見事な優勝でありました。
都大路を全力で駆け抜け、熱い思いが込められた一本のタスキを仲間へと懸命につないでいく姿は、私たち県民に大きな感動と勇気を届けてくれました。
選手の皆さんの今後のますますの御活躍を祈念しております。
【発表事項】
次に、福島イノベーション・コースト構想の新たなPR動画を制作しましたので、発表します。
この動画では、イノベ構想をより身近に感じていただけるよう、構想から生まれた様々な技術が、近い将来、人々の暮らしに溶け込んでいる様子を描いています。
まずは、こちらのダイジェスト版をご覧ください。
今回の動画は、「発見!スゴイノベ」をキャッチフレーズに、ふくしまの未来の姿をイメージしていただけるよう制作しました。
また、若い世代の皆さんにもイノベ構想に興味を持っていただけるよう、SNS用に縦型のショート動画も複数制作しております。
これらの動画を通して、県内外の多くの皆さんに、イノベ構想に関心を持っていただきたいと考えております。
本日から動画を公開し、SNS等を活用したプロモーションを実施してまいります。
是非、ご覧ください。
【知事挨拶】
令和7年の年の瀬を迎えました。
今年も、県民の皆さんの懸命な御努力と国内外からの温かい御支援により、復興と地方創生に向けた取組が着実に前進した一年となりました。
一方、廃炉と汚染水・処理水対策や風評と風化の問題など、いまだ、原子力災害に伴う様々な課題があります。
また、先般の青森県東方沖を震源とする地震を始め、頻発化・激甚化する自然災害、急激に進む人口減少や長引く物価高騰への対応など、全国共通の課題も抱えており、本県の復興と地方創生に向けては今後も長く厳しい戦いが続きます。
こうした中、来年は、震災と原発事故から15年になるとともに、第3期復興・創生期間の初年度を迎えます。
さらに、現在の福島県が誕生してから150周年となる大きな節目の年であります。
県では、この機会に、より多くの皆さんに福島の魅力を再発見していただくため、国内最大規模の観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン」に取り組んでいるほか、「大ゴッホ展」も開催いたします。
こうした取組を通して、多くの方々に福島へ「来て」いただき、「福島の今」を直接「見て」「感じて」いただくことが、本県の復興と地方創生を力強く後押ししてくれるものと考えています。
来年も、県民の皆さんを始め、本県に心を寄せてくださる全ての方々と力を合わせながら、笑顔と希望に満ちあふれた福島の未来を切り拓いていくため、全力で挑戦を続けてまいります。
日々、寒さが厳しくなってまいりました。
皆さんには、お体を大切にされ、健やかに新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げ、年末の挨拶といたします。
【質問事項】
【記者】
今年も残り1週間余りとなりました。2025年は県政にとって、内堀知事にとって、どんな一年だったのか振り返りをお願いします。
【知事】
今年一年、様々な事案がありました。
災害や猛暑、さらにはクマの被害等、県民の皆さんにとって、様々な状況が目の前にあったかと思います。
こういった状況に、その時点ごとに対応しながら、自然災害にはきちんと備え、また、クマへも対応しながら、この一年、ここまできたという実感を抱いております。
一方で、東日本大震災と原発事故から14年を超える中、県民の皆さんの御努力と、政府や、国内外の多くの皆さんの応援を頂き、復興を着実に前進させることができたと考えております。
特に、今年は、来年4月からスタートする第3期復興・創生期間に向けて、重要な前進があったと考えております。
また、人口減少の問題は、非常に厳しいものがあり、傾向は変わっておりません。
自然減対策、社会減対策として、県のみならず、市町村、関係機関、団体、民間企業等、多くの皆さんのお力を借りながら「ふくしま共創チーム」を立ち上げ、現在、若い世代を中心に様々な検討を進めていただいております。
こういった議論の成果を踏まえ、新年度の当初予算をしっかりと編成し、人口減少の流れに打ち勝っていくことができるような県政を進めていきたいと考えています。
【記者】
例年、今年の一字のようなものを発表していただいていたかと思いますが、今年はありますでしょうか。
【知事】
今年の漢字、それは、「備」(そなえ、び)であります。
この漢字を選んだ理由について、二つのキーワードで説明したいと思います。
一つ目のキーワード、それは「備え」です。
今年は、自然災害への「備え」の重要性を改めて実感した一年でありました。2月の記録的な大雪、7月のカムチャツカ半島付近を震源とする地震と津波警報、さらには、先般発生した青森県東方沖を震源とする地震と後発地震注意情報の発表など、日頃の「備え」を改めて呼び掛ける場面が数多くありました。
また、こうした自然災害と並んで対応を求められたのが、クマへの「備え」であります。今年は、クマの目撃件数と人身被害の件数がいずれも過去最多となるなど、非常事態とも言える状況となりました。多くの県民の皆さんが、クマへの「備え」を強く意識されたことと思います。
さらに、コメの価格高騰も大きな問題となりました。国では、備蓄米を放出するなど、異例の対応に追われ、改めて食料安全保障という「備え」を見直すきっかけとなりました。
そして二つ目のキーワード、それは「準備」であります。
今年は、東京2025世界陸上や世界パラ陸上、東京2025デフリンピック、さらに昨日の高校駅伝男子など、すばらしい舞台で本県ゆかりの選手が活躍されるなど、スポーツに関する明るいニュースが続いた一年となりました。
そうした選手の皆さんと実際にお会いし、これまでの御労苦などをお伺いする中で、改めて感じたことは、「準備」の大切さであります。
日頃の練習はもちろんのこと、日常生活における心掛けも含め、選手の皆さんが入念に「準備」をされていることに大きな感銘を受けました。
その上で、来年は、現在の福島県が誕生して150年、震災と原発事故から15年となる節目の年であります。
また、第三期復興・創生期間が始まる重要な年でもあります。
さらに、「大ゴッホ展」や「ふくしまデスティネーションキャンペーン」も開催されます。この機会に国内外から多くの皆さんが福島を訪れ、復興が進む「福島の今」と、各地域の魅力「ふくしまアート」を感じていただくことができるよう、様々な「準備」を進めています。
引き続き、県民の皆さんの生活を守るための「備え」を万全にしながら、復興と地方創生を更に前へと推し進めていくための「準備」を入念に行い、本県にとって極めて重要な令和8年に「備え」てまいります。
【記者】
「年収の壁」について伺います。
先日、自民党と国民民主党の協議がまとまり、現行の160万円から178万円にまで「年収の壁」が引き上げられることが決まりました。
中間層にとっては、減税が拡大されて納税者の手取りが増えることになりますが、この問題についても、財源をどうするかというところがポイントになっています。こうした国の動きについて、知事はどう見ていますでしょうか。
【知事】
今回の「年収の壁」の見直しについてでありますが、国税である所得税の課税最低ラインを、178万円に引き上げることが主な改正点となっております。このため、地方税である個人住民税への影響は限定的であると考えております。
【記者】
イノベ構想の動画についてお伺いします。
制作の狙いですとか、あるいは今、県民とってイノベ構想をどのくらい身近に感じてもらえていると思っていらっしゃるのかをお聞きします。
【知事】
今回の動画では、特に若い方々に興味を持っていただけるよう、「発見!スゴイノベ」をテーマに、イノベ重点6分野の中から、航空宇宙、農業、ロボット・ドローンを取り上げました。
また、撮影に当たっては、こうした重点分野に関わる移住者の方々や地元企業の皆さんに御協力を頂きました。
さらに、相双フィルムコミッションやいわきフィルム・コミッション協議会に御協力を頂き、地域住民の皆さんにエキストラとして参加いただくなど、地域と共につくり上げる過程、プロセスを大切にしました。
多くの方々に見ていただき、イノベ構想に関心を持っていただきたいと考えております。
続いて、今後のプロモーションの予定です。
本日から約2か月間、バナー広告や縦型動画によるインターネット広告を実施します。
また、1月から2月にかけて、首都圏及び仙台市において、デジタル屋外広告を展開する予定です。
引き続き、より多くの皆さんにイノベ構想への興味・関心を持っていただけるよう取り組んでまいります。
【記者】
先週、メガソーラーの支援を政府が廃止する方針を固めたという報道がありました。
県内では今、太陽光は、再生可能エネルギーの8割を占めるということですけれども、この影響などについてどのように考えていらっしゃるかお伺いします
【知事】
本県は、原子力に依存しない社会づくりを目指し、復興に向けた主要施策の一つに「再生可能エネルギーの飛躍的推進」を位置付け、様々な取組を進めてきました。
県内においても、FIT/FIP制度の導入以降、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入が進んでいます。
また、県では、これまでも国等と連携し、FIT/FIP制度を利用しない自家消費や地産地消型の再エネ設備の導入促進、ペロブスカイト太陽電池の県内普及に向けた取組を先行して進めています。
今般、自民党から示された「大規模太陽光発電事業の地域共生・規律強化に関する提言」においても、国による支援を、屋根設置型やペロブスカイト太陽電池等に重点化していくこととされています。
引き続き、国や市町村と連携しながら、地域と共生した再生可能エネルギーの導入を促進し、再エネの導入目標達成に向けて取り組んでまいります。
【記者】
週末に福島民報さんと弊社で実施した世論調査では、政府の物価高対策の「おこめ券」について、6割以上の方が反対と回答しています。
県内の自治体もいろいろと判断をされていると認識していますが、改めて、この件についての県の認識を伺います。
【知事】
「おこめ券」などによる食料品価格高騰対策については、今回、国の補正予算で拡充された重点支援地方交付金において、「食料品の物価高騰に対する支援」を町村が実施する必須項目とされており、市町村分の交付限度額に特別加算を行うこととされています。
この特別加算を活用し、県内においても、市町村が置かれている様々な状況を踏まえ、地域の実情に応じた食料品価格高騰対策が講じられるものと考えております。
県としては、引き続き、物価高の状況や県内における対策事業の動向を注視しながら対応していきたいと考えています。
【記者】
イノベ構想のPR動画を制作する背景に関して、今年一年のイノベ構想に関する評価や、それを踏まえ、現状どのような課題があり、動画を制作することになったのかについて伺います。
【知事】
福島県の沿岸部、浜通り地域は、地震、津波、原発事故、風評被害、また、その後の台風災害、大雨災害、地震災害も含め、様々な御苦労の中で、復興に向けて歩みを進めておられます。
浜通り地域を中心に、福島県内の産業は非常に大きなダメージを受けており、福島イノベーション・コースト構想は、浜通りから県全体に向けて、産業の復興をしっかり進めていくための起爆剤と位置付けられております。
これまで、重点分野を設定し、それぞれの分野が非常に良い形で進んでいる一方で、認知度・知名度が十分ではないという現状がございます。
このため、今回、こういったイノベ構想の新しい動画をつくって、県民の皆さん、国内の皆さんに、イノベーション・コースト構想というものが福島にあることや、新しい産業基盤を構築しよう、未来を切り拓いていこうとしていることを知って、関心を持っていただき、できればその担い手になっていただくことを目指して、今回、この新たな動画を制作しております。
これまでの手法と異なり、SNSに対応した動画で、非常に見やすいソフトな内容になっております。また、当事者である地元の方々にも、制作に関わっていただいておりますので、できるだけ多くの方に知っていただき、見ていただくよう、我々も取り組んでいきたいと思います。
【記者】
学法石川高校の駅伝の優勝について、知事も中継や動画などご覧になっていれば、印象に残っているシーンや特にすごかったと思う選手など、何かありましたら教えてください。
【知事】
昨日の男子の高校駅伝、本当にどきどき、わくわくしながら拝見していました。
特に、最後、激しい雨の中、美澤選手が笑顔を交えながら、堂々と走ってゴールテープを切るシーンは、思わず大きな声を出してしまうぐらい感動しました。
今回、学法石川高校の選手の皆さんが、正にチーム一丸の走りを見せてくれたと思います。
まず、増子選手と栗村選手のダブルエース。区間賞を取りながら、全体のレース展開を安定したものにしてくれました。
さらに3年生の佐藤選手、末田選手、保芦選手が、それぞれ区間2位、3位という堂々たる貫禄の走りを見せ、ダブルエースと共に、3年生が優勝に向けたベースをしっかりつくり出してくれたと思います。
そこに1年生の若田選手と、美澤選手のフレッシュな走りが加わり、緊張もしたと思いますが、それを感じさせない堂々とした走りで、最初から最後まで1位、さらに、大会新記録で男子では福島県勢初優勝という快挙を成し遂げていただきました。
私同様、ご覧になっていた多くの県民の皆さんは、恐らく大きな声を出して応援されたり、笑顔で感動されていたのではないかと思います。
しかし、エースである増子選手は、ケガや貧血の影響もあって、この一年、決して状況が良かったわけではありません。
それでも、この全国高校駅伝にしっかり焦点を合わせて有終の美を飾る最高の走りができたことは、正に、これまでの選手の皆さんの努力の賜だと思います。
また、松田監督の采配がすばらしかったと思います。
監督自身がインタビューでお話しされていましたが、今回あえて1位、優勝ということをあまり選手に向かって直接言わず、「これまでの最高順位に、是非臨んでいこうじゃないか」という柔らかな言い方で、必要以上にプレッシャーを与えませんでした。
そして、今回の7名の布陣は正に完璧。監督の思いが見事にはまって、初優勝という成果に結びつきました。
これも、選手お一人お一人の努力、また、監督の選手に対する御指導、そして、学校や地域、県民の皆さんの応援があってこそだと思います。
今年一年、様々なことがありましたが、新記録での初優勝が最後に添えられたことで、皆さん笑顔で新年を迎えることができるように感じております。
【記者】
河北新報社で、双葉町に居住している世帯を対象に住民アンケートを実施し、約半数から回答を得ました。
除染土の町内利用について賛成か反対かという質問には、6割近くの方が賛成と回答しています。
ただ一方で、賛成の理由については、誰かがきっかけをつくらないとこのまま除染土を押しつけられてしまうのではないかという、消極的ともいえるような理由が4分の1と最も多かったという状況がありました。
この状況について、知事のお考えを伺います。
【知事】
今、お話しいただきました報道を拝見しております。
今回の調査結果は、除去土壌等の県外最終処分について、期限まで残り20年を切る中、「県外最終処分が一日も早く進んでほしい」という、双葉町民の皆さんの切実な思いが表れたものと受け止めております。
県としては、引き続き、国に対し、除去土壌等の県外最終処分の確実な実施に向け、具体的な方針や工程を速やかに明示し、政府一丸となって、取組を更に加速させるとともに、最後まで責任を持って対応するよう求めてまいります。
(終了)
【冒頭発言】
1 全国高等学校駅伝競走大会について
→教育庁健康教育課 電話024-521-7777
【発表事項】
1 福島イノベ構想PR動画の公開について
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7853
【質問事項】
3 年収の壁引き上げについて
→総務部税務課 電話024-521-7066
4 福島イノベーション・コースト構想のPR動画について
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7853
5 メガソーラーについて
→企画調整部エネルギー課 電話024-521-8417
6 「おこめ券」について
→農林水産部水田畑作課 電話024-521-7359
→農林水産部農林企画課 電話024-521-7315
7 福島イノベーション・コースト構想PR動画制作の背景について
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7853
8 学法石川高校の男子第76回全国高等学校駅伝競走大会優勝について
→教育庁健康教育課 電話024-521-7777
9 除染土利用に関する双葉町民へのアンケート結果について
→生活環境部 中間貯蔵・除染対策課 電話024-521-8638