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知事記者会見 令和5年12月25日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年12月28日更新

【冒頭発表】

1 県民の皆さまへ

 令和5年の年の瀬を迎えました。
 今年は、新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類へと移行し、大切な人と直接会ったり、地域の伝統的な行事を始めとした様々な催しが再開されるなど、コロナ禍前の日常を徐々に取り戻しつつあることを実感できた年でありました。
 また、避難地域では、特定復興再生拠点区域の避難指示が全て解除されるとともに、特定帰還居住区域が創設されるなど、帰還困難区域全体の避難指示解除に向け、大切な一歩を踏み出したほか、福島国際研究教育機構(F-REI)の設立や、EUにおいて日本産食品に対する輸入規制が撤廃されるなど、本県の復興は着実に進展いたしました。
 一方で、未曽有の複合災害からの復興・再生に加え、猛暑による高温障害や台風第13号に伴う大雨災害など、数多くの困難に直面した一年でもありました。
 特に、ALPS処理水については、多くの人々が様々な思いや葛藤を抱える中、海洋放出が開始され、一部の国・地域では本県産を含む日本産水産物の輸入停止措置がとられるなど、影響は日本全体に及んでいます。
 そのような中、各都道府県知事を始め、各国大使の皆さん、多くの民間企業や団体の方々が、本県産水産物の積極的な活用を呼び掛けていただいたことで、全国に応援の輪が広がっております。こうしたたくさんの温かい御支援に対し、心から感謝を申し上げます。
 引き続き、本県に思いを寄せてくださる方々と手を携えながら、県民の皆さんお一人お一人が将来に夢や希望を持ち、豊かさや幸せを実感することができる福島の未来を創り上げるため、全力で挑戦を続けてまいります。
 日々、寒さが厳しくなってまいりました。
 皆さんには、お体を大切にされ、健やかに新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げ、年末の挨拶といたします。

【質問事項】

1 日本の地域別将来推計人口について

【記者】
 先日発表された2050年の推計人口の関係でお伺いします。
 福島県の場合は、2050年の人口が2020年と比べて3割減、65歳以上の人口も4割を占めるという結果が発表されました。まずこれの受け止めを伺います。
 また、地方はどこも同じ状況になると思いますが、人口のパイを奪い合う中で、地方を持続可能にするためにどのようなことが今後重要だとお考えか伺います。

【知事】
 日本の地域別将来推計人口が先日発表されました。
 大事なキーワードは、「危機意識」と「希望」の二つだと思っています。
 まず、先週の22日に国立社会保障・人口問題研究所が公表された日本の地域別将来推計人口によると、福島県の人口は2050年に約125万人まで減少する見込みであり、依然として極めて厳しい状況にあると受け止めております。福島県として、強い危機意識を持って、様々な政策に取り組んでいかなければいけないと思います。
 一方で、希望もあります。
 本県の将来推計人口は、平成30年に行われた前回の推計と比較して、減少幅が改善しています。比較可能な2045年で比べますと、3.4万人の増となっています。全国の約半数の県で推計値が悪化している中、福島県はふんばっています。
 これは、移住・定住や新規就農の推進、関係人口の創出など、これまで進めてきた様々な取組の成果が現れたものと受け止めています。
 また、福島県は他県と異なり、東日本大震災・原発事故からの復興・再生と人口減少対策としての地方創生を同時に進めていかなければなりません。
 今後とも、人口減少の状況は極めて厳しいという「危機意識」と、一方で、我々が日々、年々取り組む努力の成果は表れるという「希望」、この両方を持って人口減少対策に真剣に取り組んでいきたいと考えております。

【記者】
 今の質問に少し関わりますが、今回の場合も浜通りの地域13市町村については、一括して浜通り地域ということで考慮されています。ただ、そこの減少も本来はもう少し激しいのかなという見方もあると思います。その例外的な取扱いは、いつまで行われるべきとお考えか伺います。
 また、そのような例外的なものがあると、計画自体がなかなか現実的なものになっていないのではという見方もあるかと思います。この点について、お願いします。

【知事】
 国立社会保障・人口問題研究所においても、これまで例のない、震災と原発事故によって(避難されている方が多い状況にある)、双葉郡、避難地域12市町村、あるいは浜通り全体の人口をどう把握すべきか、様々な模索を重ねてこられていると思います。今回は、前回よりも明らかに前に進んだ推計となっておりますし、我々自身、各自治体と連携して、住民基本台帳の人口や国勢調査の人口等、また、移住人口、関係人口等も総合的に把握しながら、この地域の地方創生の施策を展開しているところであります。
 こういった全国規模の推計には一定の限界というものがあるかと思いますが、5年ごとの経過によって、より精緻な推計も可能になってくるかと思います。
 社人研の取組を見ながら、一方で、福島県としてもできる限り正確に状況を把握しながら、浜通りの地方創生に取り組んでいきたいと思います。

2 今年の漢字について

【記者】
 冒頭に今年の振り返りがありましたが、今年を象徴する漢字について伺います。

【知事】
 今年の漢字でありますが、それは、「日」(ひ、にち)であります。
 この「日」をなぜ今年の漢字として選んだか、三つの具体的なエピソードを御紹介しながらお話をしていきたいと思います。
 一つ目は「日常」です。
 我々にとって、5月8日は大きな節目の日でありました。
 新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行したことによって、我々はこの3年間の非日常の状態から徐々にではありますが、日常生活を取り戻す大きな転機となりました。とはいえ、まだ新型コロナウイルス、あるいはインフルエンザも含めて、我々の身の回りには常に感染症がありますので、感染対策を継続しつつ、一方で、私たちにとって大事な社会生活、経済生活など、日常を取り戻すための努力を続けていきたいと思います。
 二つ目の「日」は「日本全体」です。
 ALPS処理水の海洋放出が8月24日に開始されました。この状況は、もちろん福島県の問題でもありますが、日本全体の問題でもあります。特に一部の国・地域が日本産全体の水産物輸入規制をかけるといった現状が残念ながら今も継続しています。こういったものを、国、東京電力が正に全力を挙げて、しっかりとなくしていくこと。また、20年、30年と長い期間、海洋放出が続くわけですが、日本全体の問題として、政府と東京電力が全責任を持って最後まで完遂することを訴えていきたいと思います。
 また、この「日本全体」には、ポジティブな意味も含んでおります。今回の処理水の放出は、県民の皆さん、漁業者の皆さんにとって「新たな風評によって、また苦しめられるのではないか」、特に我々は12年かけて風評払拭を着実に前進させてきましたが、「それをまたもう1回ぶり返すのではないか」といった心配や懸念がありました。けれども、日本全体から応援を頂く中で、現時点においては、そういった風評は無く、落ち着いた状態にあると思います。これに対しては、改めて感謝、ありがとうの思いを全国に、また世界にお伝えしたいと思います。
 三つ目のキーワードは「日頃の備え」です。
 9月8日に福島県で初めての線状降水帯が発生して、いわき市等で甚大な被害が生じました。これまで数十年に一度と言われていた災害が当たり前のように起きる。それが今の日本であり、世界だと思います。防災の備えは、国、県、市町村が連携して、防災減災対策、インフラ整備など、ハード面を整えることをもちろんやっていきますが、それだけで全てを防げるわけではありません。県民の皆さん、事業者の皆さんにも日頃の備えをしていただいて、いざという時に、「マイ避難」(の取組により)、安全・安心に避難して、自分の命、健康を守ることが重要であります。今後とも「日頃の備え」を是非県民の皆さんや事業者の皆さんにお伝えしていきたいと考えています。
 今、三つのエピソードをお話ししましたが、福島県にとってもう一つ大事な単語があります。
 それは、「日新」です。殷王朝の創始者である湯王は、朝、顔を洗う洗面器の底に「日に新たに」という言葉を刻んでいました。それを見るたびに、自分自身の心をある意味リスタートさせるということをしておられました。
 また、この「日新」は、会津藩校日新館の名称の由来にもなっています。我々は「昨日よりも今日」、また「今日よりも明日」というように、少しでも新しくする、よりよくするという努力を途切れなく続けていかなければなりません。一年が間もなく終わろうとしておりますが、また来年に向けても、この「日新」、日に新たにという思いを胸に刻んで県政に真摯に臨んでいきたいと考えています。

3 ALPS処理水の海洋放出に伴う報道表現について

【記者】
 一部報道機関が原発の処理水を「Fukushima water」と表現して記事にしたことをめぐって、先週の県議会の常任委員会で、県として対応を検討していくというお話がありました。どのように対応を検討されていくのか伺います。

【知事】
 ALPS処理水の海洋放出に伴う海外向けの報道において、一部の報道機関から福島県に対する風評や差別を助長するおそれのある表現がなされたことは誠に遺憾であります。
 今後、海外に対する風評払拭や輸入規制撤廃に取り組む国、関係機関とも緊密に連携を図りながら、様々な観点から、どういった手法が適切か対応を検討してまいります。

4 県民世論調査について

【記者】
 福島民報と福島テレビの方で行いました県民世論調査についてお聞きします。
 福島県の方で2050年のカーボンニュートラル実現に向けて宣言されています。
 それについて、達成できるかどうかということで意識を聞いたところ、2割に届きませんでしたが、その一方で、そういった意識は、県民の中には高い割合であるというところです。
 実際その見える化や政策の実現性などが、これから大事なのではないかと思います。
 この結果の受け止めと、施策の展開にどういかしていくかを伺います。

【知事】
 今回の調査結果を真摯に受け止めております。
 まず、福島県においては、2021年2月に、「福島県2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言し、省エネルギー対策の徹底、再生可能エネルギーの最大限の活用などに向けて、普及啓発、実践拡大につながる様々な取組を進めています。
 まず、県民の皆さんがカーボンニュートラルを自分事として捉え、環境に配慮した行動を確実に実践していただくことができるよう、省エネ・再エネ等に関する分かりやすい情報発信を進めていきたいと考えております。
 今後とも、目標とする2050年を明るい未来とするため、県民の皆さんが今できることから一つ一つ行動できるよう、関係者との連携を深めながら、取り組んでまいります。
 また、2050年のカーボンニュートラルができるのかという不安を持たれるお気持ちを真剣に受け止めております。
 ただ、例えば、2011年の8月末に、福島県で中間貯蔵施設を実際に受け入れるかどうかを政府から訴えられたとき、恐らく県民の皆さんは「できるのか?」と思われたかと思います。
 また、福島県内には10基の原発がありますが、私自身が知事になってからずっと県内原発全基廃炉を訴えています。当初は本当にできるのかと、できないのではないかということを県議会の議場でも言われました。けれども結果として、全基廃炉の方向性が示され、完全な廃炉に向けて、一歩一歩でありますが、前進しています。
 また、再生可能エネルギー100%。これも率直に言って、本当にできるのかなという思いを県民の皆さんだけではなく当時副知事だった私自身も思っておりました。けれども現時点において、例えば電力であれば96%を再生可能エネルギーで賄うことができています。間もなく100%という状態です。もちろん、我々が使っているエネルギーは電力だけではなく、ほかに輸送用のエネルギーや冷暖房のエネルギー等もあるので、エネルギー全体に占める比率でいいますと、52%、初めて5割を超えたところであります。
 2040年に100%というのは難しい目標ですが、日本全体の平均の3倍、それが福島県の現状であります。
 カーボンニュートラルの目標も非常に高くて難しい目標だというのは事実かと思いますが、山が高いから諦めてしまうのか、山が高くても諦めずに日々取り組んでいくという思いが重要だと私は考えています。また、カーボンニュートラルの問題は、福島だけの問題ではなく、日本全体、世界全体の問題です。
 さらに、今を生きている我々現役世代だけの問題ではなく、将来これから生まれてくる子どもたちの未来のためでもあります。そういう意味でも諦めることなく、「2050年カーボンニュートラルを何としても実現するんだ」という決意で、県自身が先頭に立って取り組んでいくことが何よりも重要だと考えております。

【記者】
 福島空港と台湾の路線に関してお伺いしたく存じます。
 世論調査の結果で、福島空港と台湾を結ぶ便、チャーター便、定期便両方ですが、「利用したい」、「どちらかといえば利用したい」という県民の声が半数を超えております。
 県民の関心に関する受け止めと、今後、利活用の推進に関してどのように考えていらっしゃるか伺います。

【知事】
 今回の調査においても、県民の皆さんが、福島空港からいよいよ来年1月16日に定期便化を見据えてスタートするチャーター便に関心を持っていただいていると受け止めております。
 1月に、福島空港から台湾への直行便が就航することとなります。多くの県民の皆さんに台湾の魅力を知っていただくことが重要だと思います。現在、若者を対象とした割引キャンペーンやパスポート取得費の支援、また、団体等への助成を実施するなど、福島から台湾に行っていただく、アウトバウンドの旅行商品の販売促進に取り組んでいます。
 また、一方で重要なことは、台湾の皆さんに福島にインバウンド、来ていただいて、今であれば、福島の冬、雪景色やおいしい食を自分の目で見て、食べて、感じていただくことも重要だと思います。
 台湾側、福島側の双方向で需要喚起を図りながら、販売実績を積み重ね、震災後初となる国際定期便の就航に向けて、努力を重ねてまいります。

5 燃料デブリの取り出しについて

【記者】
 先週の経産大臣との面会での知事の御発言について改めてお聞きします。
 2号機のデブリの取り出しをめぐって、知事の方でやろうと思っていた手法が使えなくなり、別の手法を検討せざるを得ない状況というような御発言があったと思います。現状では、東電は1月に堆積物の除去に取りかかり、それを経て、その手法を検討するというスタンスだと思うのですが、知事の方としては現状ロボットアームを使う手法については相当難しいと見てらっしゃるのか、御発言の真意を伺います。

【知事】
 経産大臣と話したときの(発言の)真意と違う受け止め方をしておられると思います。私自身があのとき言いましたのは、ロボットアームそのものの手法が変わっていると言ったわけでありません。ロボットアームを入れようとしたら、パイプに堆積物が詰まっていて、現在、直ちに入れることができませんねと(いうことです)。
 ただ一方で、上からつるして、一定程度のデブリを取り出してから(ロボットアームで)やろうというお話がありますので、そのことを別の手法と言ったものでありますので、現在のロードマップ上の取組を違う手法でという思いではありませんでした。

【記者】
 今の回答を踏まえて、1月の初旬にも始まる堆積物除去とその後の手法の件と、どのように期待されているか伺います。

【知事】
 燃料デブリの取り出しというのは、福島第一原発の長い戦いとなる、長期にわたる廃炉の中でも、最難関の課題だと思います。その入り口ともなる重要な作業となりますので、堆積物の除去を行って、これまで海外の国とも連携しながら作り上げてきたこのロボットアームが、無事にしっかりと仕事を果たして、一歩前進することを期待しております。ただ、やはり一番大切なことは、安全に着実に廃炉を行うことでありますので、安全最優先で取り組んでいただきたいと思います。

【記者】
 念のため確認ですが、できればそのロボットアームでやってほしいというか、別な手法ではなく、当初の計画どおりロボットアームでやってほしいという考えでよろしいでしょうか。

【知事】
 私が「別な手法」と言ったのはあくまでもつり下げ方式のものも併用するということを(指して)言ったものでありますので、ロボットアームの方式を変更してくれというつもりは全くございません。

6 ライドシェアについて

【記者】
 ライドシェアについて改めてお伺いします。先週、政府の方で、来春に一部導入の動きが出ました。
 岸田首相は6月までに、全面解禁に向けた法整備の議論も始めたいとの考えを示していますが、改めて福島県としてのこのライドシェアの導入の検討などのお考えを伺います。

【知事】
 ライドシェアについては、例えば、大都市、観光地、さらに過疎地域において、タクシーを始めとした公共交通機関の担い手不足解消につながるのではないかという期待が寄せられています。一方で、安全性の確保や事故の際の補償などの課題もありますので、県としては引き続き、国が様々な課題解決、どういった対策を講じた上で、ライドシェア対応を考えておられるのか、その状況を注視してまいります。
 また、県内の地域の公共交通機関の状況は、鉄道、バス、タクシー等も含め、人口減少の中で非常に厳しい状況にありますし、地域ごとに置かれている状況も相当異なります。
 こういったものについて、地域交通の再生計画を今後作っていく中で、福島県全体で、どうやって県民の皆さんの足をしっかり守っていくのかといった検討を重ね、具体的な施策にも取り組んでいきたいと考えています

(終了)

 

【質問事項】
1 地域別将来推計人口について
 →企画調整部復興総合・計画課 電話024-521-7922

3 ALPS処理水の海洋放出に伴う報道表現について
 →企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129

4 県民世論調査について
(カーボンニュートラルの実現について)
 →生活環境部環境共生課 電話024-521-7813
(福島空港と台湾の路線について)
 →商工労働部観光交流局空港交流課 電話024-521-1163

5 燃料デブリの取り出しについて
 →危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

6 ライドシェアについて
 →生活環境部生活交通課 電話024-521-7157