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知事記者会見 令和2年1月6日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年1月10日更新

知事年頭記者会見

■日時 令和2年1月6日(月)10時00分~10時30分
■会場 応接室

【発表事項】
年頭挨拶

【質問事項】
1 トリチウムを含む処理水の処分方法について
2 県政の運営方針について
3 県民運動について
4 東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成につい
5 福島第二原発の廃炉に関する安全確保協定について

令和2年1月6日   動画を再生する

【発表事項】

年頭挨拶

 福島県民の皆さんに、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 令和となって初めてのお正月を迎えました。新しい元号は、私たちが、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせるという思いが込められており、夢と希望、笑顔に満ちあふれた「新生ふくしま」の実現に向けて全力を尽くしていく、そのような思いを改めて強くいたしております。
 昨年は、都道府県対抗男子駅伝での本県チームの初優勝を始め、若者たちの目覚ましい活躍に県民一同大いに沸き立ちました。また、大熊町における避難指示の一部解除やJヴィレッジの全面再開、東京電力による福島第二原発の廃炉決定など、これまで取り組んできたことが成果となって現れ、福島の復興・創生は新たなステージを迎えております。
 さらに、日本酒を始めとした県産品が国内外で高い評価を頂き、今年度の県産農産物輸出量が過去最高を更新したほか、「メードイン福島」の技術と製品を搭載した小惑星探査機「はやぶさ2」が、いくつもの困難なミッションを成功させるなど、「ふくしまプライド。」を胸にチャレンジを続けてきた成果が、県内各地で花開いてまいりました。
 一方で、避難地域の復興・再生、廃炉・汚染水対策、風評・風化、そして、急激に進む人口減少問題など、福島県はいまだ様々な重い課題を抱えております。さらには、昨年10月の台風第19号等により甚大な被害を受け、本県は二重、三重の困難の中にありますが、復興・創生の歩みを進めていかなければなりません。
 今年は、震災と原発事故から10年目の節目の年となります。また、新たな総合計画の策定作業も大詰めを迎えます。復興・創生に取り組む中で、県民の皆さんが培ってこられた困難を克服する力や、本県を応援してくださる方々との「共働」の輪など、福島の総力を結集し、次の世代が未来への希望と郷土への誇りを持てる「新生ふくしま」の創造に向け、挑戦を続けてまいります。
 以下、県政の重要課題に沿って、新年の主な施策についての考え方をお話ししてまいります。
 始めに、台風第19号等については、被災箇所の迅速な復旧や災害廃棄物の処理はもとより、被災された方々の生活再建、工場や商店、事業所の復旧と事業再開、農業者の営農再開、観光需要の喚起などをしっかりと進めていくために、生活再建に向けた県独自の支援金の支給を始め、グループ補助金など国の対策パッケージを最大限活用した生業再生への支援等に、きめ細かく丁寧に対応してまいります。また、今回の災害を受け、県の災害対応などについての検証を行い、更なる安全・安心を確保するため、ハード・ソフトの両面で災害対応の改善に向けた取組を進めてまいります。
 次に、原子力災害からの復興・再生についてであります。5年間の復興・創生期間は、残すところ1年余りとなりましたが、今もなお避難指示が解除されない地域があり、また、解除された地域においても日々新たな課題に直面するなど、いまだ有事の状態が続き、今後も中長期的な対応が必要であります。福島の復興は「長い戦い」であるとの思いを国と共有し、昨年末に決定された「復興の基本方針」を踏まえ、復興・創生期間後も安心感を持って取り組める体制・制度・財源の確保に力を尽くしてまいります。
 また、福島イノベーション・コースト構想につきましては、本年春に全面開所する福島ロボットテストフィールド、夏に開所する東日本大震災・原子力災害伝承館の整備を進めております。昨年12月に策定した産業発展の青写真に基づき、こうした拠点施設を活用し、地元企業等の幅広い参画を頂きながら、産学官連携による共同研究や事業連携、人材育成を進め、浜通り地域等における新たな産業集積と交流人口の拡大を図り、その成果を全県的に波及させるよう取り組んでまいります。
 環境回復につきましては、県内原発の全基廃炉が安全かつ着実に進むことが福島の復興・創生の大前提となることから、引き続き、国、東京電力の取組をしっかりと監視するとともに、緊張感を持って廃炉作業に取り組むよう国及び東京電力に対し強く求めてまいります。
 また、中間貯蔵施設及び特定廃棄物の埋立処分事業においては、除去土壌等の搬入などが安全・確実に実施されるよう、引き続き関係自治体と連携し、国の取組を確認してまいります。
 風評・風化対策につきましては、熱意を持って、正確かつ丁寧に情報を発信することにより、信頼関係を築き、共働・共感の輪を広げていくことが重要であり、これまで、諸外国の輸入規制緩和を始め、着実に前進していることを実感しております。引き続き、安全対策を適切に行い、福島の最新状況を正しく理解していただく「アップデート」と、福島を訪問して理解を深めていただく「ビジット」の取組を進めてまいります。また、2月に郡山市で「ふくしまの酒まつり」・「味噌醤油まつり」を開催するほか、トップセールスも積極的に行いながら、県産品の品質の高さやおいしさ、本県の豊かな自然を始め観光地の魅力を国内外に発信し、県産品の販路拡大やインバウンドを含めた観光誘客、さらには、2月からタイの連続チャーター便が運航される福島空港の利活用促進に取り組んでまいります。
 今年はいよいよ、東京2020オリンピック・パラリンピックが開幕されます。3月にオリンピック聖火リレーがJヴィレッジからスタートし、7月には野球・ソフトボール競技があづま球場で開催されるなど、県民の皆さんの盛り上がりはもとより、世界から福島に注目が集まります。これまで頂いた御支援に対する感謝の思いと、力強く復興への歩みを進める本県の姿を発信できる絶好の機会であることから、関係の方々と力を合わせて準備を進めるとともに、大会を通じた経験や活動から得たレガシーを継承し、子どもたちを始め県民の皆さんの夢や希望につなげてまいります。
 次に、産業政策についてであります。商工業の振興につきましては、事業承継や人材の確保・育成に取り組むなど、引き続き、中小企業等へのきめ細かな経営支援を進めてまいります。また、ロボット、再生可能エネルギー、医療、航空宇宙などの新たな産業分野においては、福島ロボットテストフィールドや福島水素エネルギー研究フィールドなどの拠点を核としながら、研究開発から事業化、取引拡大まで一体的・総合的に支援してまいります。
 農林水産業につきましては、県産の花きが東京オリンピック・パラリンピックにおけるビクトリーブーケに採用されるなど、市場から高い評価を頂いている産品が数多くあり、また、GAP認証取得数が着実に伸びていることから、これらのブランド力向上を始め、ICTなど先進技術を活用したスマート農業導入支援を通じ、産地の生産力・競争力を高めることにより、次世代につなげる農業経営を支援してまいります。また、「常磐もの」に代表される県産水産物については、そのおいしさと安全性を発信するとともに、高品質化と適切な資源管理を図る、「ふくしま型漁業」の実現に取り組んでまいります。
 次に、人口減少対策についてであります。本県の人口減少は、依然として厳しい状況にあり、現状に対する危機感を持って総合的な対策を講じていかなければなりません。このため、多様な働き方と魅力ある安定した雇用を創出するとともに、県外にお住いの方に、交流イベントや体験事業等を通じ、福島ならではの暮らしや仕事について知っていただき、UIJターンにつなげてまいります。また、少子化対策につきましては、ワーク・ライフ・バランスの充実による子育て世代が働きやすい職場環境づくりのほか、パートナーと出会う機会の提供、不妊治療体制の充実、保育所等の整備・保育人材の確保など、安心して結婚・出産・子育てができる環境づくりを、ライフステージに応じたきめ細かい支援を通じて進めてまいります。
 次に、子ども・若者の育成についてであります。子どもたちが、古里に誇りを持ち、自ら考え、自らの未来を切り拓いていくことのできる福島県を築いていくことが大切です。このため、ICT環境の整備と有効な利活用を始め、子どもたちにとってより良い教育環境を充実させていくとともに、確かな学力を身につける取組や様々な体験活動等を通じ、心の豊かさと課題に挑むたくましさを育んでまいります。また、県立高等学校改革につきましても、引き続き、教育委員会と連携しながら、魅力的な学校づくりに取り組んでまいります。
 県民の健康づくりの推進につきましては、健康指標の改善を目指し、生活習慣の改善を広く呼び掛けるなど、食、運動、社会参加を三本柱とした県民運動の普及を図ってまいります。また、医療・福祉・介護を担う人材確保につきましては、人材の育成や修学資金貸与制度による県内定着の促進のほか、ICTやロボットを活用した働きやすい職場環境づくりなど、総合的な対策を進めてまいります。
 公共インフラにつきましては、本県の復興と地方創生を支える道路網の着実な整備を進めるほか、今回の台風第19号のような甚大な災害がいつでも起こり得るという危機意識のもと、防災・減災、国土強靱化など、災害に強い県土づくりを進めてまいります。また、今春のJR常磐線全線運行再開による新たな人の流れを浜通り地域のにぎわいにつなげていくとともに、只見線の早期復旧と利活用促進を通じた奥会津地域の活性化に、市町村や関係団体の皆さんと共に取り組んでまいります。
 以上、新年の県政運営に関し、所信の一端を申し上げました。これからも、直面する様々な課題に果敢にチャレンジし、未曽有の複合災害からの復興・再生と福島ならではの地方創生に全力を尽くしてまいります。
 皆さんの一層の御支援と御協力をお願い申し上げまして、新年の御挨拶といたします。

 【質問事項】

1 トリチウムを含む処理水の処分方法について

【記者】
 昨年末、トリチウム水の処分の方法について議論の節目を迎えましたが、知事の受け止めをお伺いします。

【知事】
 トリチウムを含む処理水の取扱いにつきましては、現在、国において、社会的影響も踏まえた検討がなされており、先月開催された国の小委員会では、海洋放出と水蒸気放出、その両方を組み合わせた三つの処分方法が示され、出席された委員から様々な意見が出されたところであります。
 国及び東京電力においては、引き続き環境や風評への影響などを十分に議論の上、国民や県民に丁寧に説明しながら、慎重に検討を進めていただきたいと考えております。

【記者】
 常々知事は、「社会的影響を考慮して」とおっしゃっていますが、この3案では、社会的影響について定量的、定性的には比較出来ないとされています。そうすると知事が求めている社会的影響というよりも、技術的な信頼性や実現可能性、あるいは経済的合理性のようなものが判断の根拠になっているのではないかと思われますが、これについてはどのように考えますか。

【知事】
 先般そうした考え方が示され、小委員会において様々な観点、視点からの御意見があったと聞いております。正に現在、小委員会で議論が続けられ、その上で、最終的な提言が取りまとめられると考えており、その状況を注視しているところであります。

【記者】
 最終的な結論が出た段階で社会的影響に対する考慮が足りないとなった場合、どのようにするのでしょうか。

【知事】
 県としてのこれまでの考え方について申し上げているところですが、トリチウムを含む処理水の取扱いについては、国及び東京電力の責任において、環境や風評への影響などを十分に議論の上、国民や県民に丁寧に説明しながら、慎重に検討を進めるべきという考え方であります。

【記者】
 トリチウムについて、風評対策は小委員会のまとめが出てからということを先ほどおっしゃっていましたが、結論が出てから意見を言っても遅いような気がしますが、どうお考えですか。

【知事】
 小委員会における議論の状況を注視していると改めて申し上げます。その上で、トリチウムを含む処理水の取扱いについては、国及び東京電力の責任において、環境や風評への影響などを十分に議論の上、国民・県民に丁寧に説明しながら慎重に検討を進めるべきという従来のスタンスは変わらないということを申し上げたところです。

【記者】
 今のところ、福島県としての意見というのは、国の小委員会において、きちんと受け止められているという理解でよろしいでしょうか。

【知事】
 現在、小委員会において、様々な観点からの議論が行われており、それを注視しております。また、国・東京電力に対しては、私どもの思いをこれまでも伝え、申し上げてきたところです。

2 県政の運営方針について

【記者】
 先ほど、今年の課題や取り組まれることについておっしゃったと思いますが、確かに課題がたくさんあるということは重々承知の上で、その中で特に取り組むべき課題について教えていただけますでしょうか。

【知事】
 福島県の場合は、中々これ一つという課題をピックアップすることは難しいと思います。改めて、今年の県政運営にどのような思いで取り組むかという姿勢についてお話したいと思います。
 震災と原発事故から10年目の節目の年となる今年は、東北中央自動車道の全線開通を始め、福島ロボットテストフィールドの全面開所や水素製造拠点の本格運用開始が予定されるなど、福島県の復興がまた一つ大きく前進する大切な1年となります。そして、いよいよ開幕となる東京2020大会については、3月にJヴィレッジからオリンピック聖火リレーがスタートし、7月にはあづま球場で野球・ソフトボール競技が行われるなど、国内外からの注目が集まる年となります。 
 一方で、今もなお4万人を超える方々が避難生活を続けておられるほか、被災者の生活再建や各方面で根強く残る風評、急激な人口減少など、本県は前例のない困難な課題を抱えております。さらに、昨年の台風19号等による、甚大な被害からの復旧という新たな重い課題にも直面しております。引き続き、危機意識を持って、震災と原発事故からの復興・再生、そして台風等による大雨災害からの一日も早い復旧に向け、全力で取り組んでまいります。

3 県民運動について

【記者】
 県政の課題のうち、健康についてお聞きします。2020年度は、「健康」をテーマとした県民運動の最終年度になると思いますが、知事もおっしゃるとおり、健康の課題というのはずっと続くもので、まだまだ改善も進んでいないような状況と思います。個人的には、次期県民運動のテーマとして「健康」を継続した方が良いのではと思いますが、知事はどのように考えますか。

【知事】
 健康について、現在、県民運動のテーマとして取組を進めているところです。健康への取組については、正にスタートラインに立ったところというのが私自身の受け止めであります。御承知のとおり、県民の皆さんの健康指標は全国的に見ても極めて厳しい水準にあります。最近の取組で若干数値が良くなっているという見方も出来ると思いますが、いずれにしても低位にあることは変わりません。したがって、今後とも「食・運動・社会参加」という3本柱の取組を、県民の皆さん全体で継続的に取り組んでいただくことが何よりも重要であります。
 県民運動の今後の進め方については、現時点で確定している訳ではありません。今後、しかるべきところで議論しながら、今後の方向性について考えていきたいと思いますが、いずれにしても、県民の皆さんの健康づくりの取組は、一朝一夕で終わるものでありませんし、今の厳しい健康指標の動向や、ようやく動き始めたという県内の雰囲気を考えますと、これからも中長期的に継続して、県民の皆さんが、「健康県になった」「うちの県、健康自慢できるんだよね」と胸を張れるところまで持っていくことが、県としての大切な使命ではないかと考えております。

4 東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成について

【記者】
 東京オリンピックの聖火リレーも3月に始まります。これまでも言われていることですが、聖火リレーが通らない市町村においては関心が低い傾向があると見られますが、県全体で機運を醸成するために何が重要と考えるか、また県としてどのように取り組むのか教えていただけますか。

【知事】
 今回59市町村の中で、聖火リレーが通過する市町村は20余りとなり、残りの半分以上の市町村は通過しないという状況にあります。3日間という限られた期間の中で、最大限(各市町村を)通りたいという思いでルートを設定しましたが、このような状況になっております。
 一方で、59市町村それぞれが聖火リレーとの関わり、あるいは東京オリンピック・パラリンピックに対する関心を持っていただくことは重要だと考えております。まず聖火ランナーについては、59市町村全てにゆかりのある方々が選ばれております。こういった方々に、自分に近い古里を走っていただく。また、それぞれの市町村を通過する際、近隣の自治体も一緒になって取り組んでいただける機会をつくる。こういったことを聖火リレーの際に進めていきたいと考えております。
 また、例えば、福島市で野球・ソフトボール競技が開催される際も、若い年代の方々に見ていただけるような機会を設ける。あるいはボランティアやホストタウンなど、様々な取組がありますが、関係の行事に出来るだけ多くの自治体から参加者を募る。さらに、東京オリンピック・パラリンピックに提供する福島県産の食材であったり、花きや木材であったり、こういったものも、浜・中・会津、全県的に幅広く取り組み、全県的な雰囲気をつくっていかなければいけないと思います。
 さらに、今後、この機運を醸成するため、いろいろなイベントを考えておりますが、こういったものにも多くの方々に参加していただけるよう、県として、組織委員会、関係自治体、関係機関と連携して取り組んでいきたいと思います。

 福島第二原発の廃炉に関する安全確保協定について

【記者】
 第二原発の廃炉についてお伺いします。昨年末に廃炉に係る安全確保協定が県と楢葉町・富岡町で結ばれ、これを結ぶ際に核燃料の取扱いについて、県外搬出を明文化するように求める声も地元で一部ありました。東電は今後、廃止措置計画に核燃料の取扱いについて盛り込むとしていますが、県としてはどのような表現で記載されるべきと考えますか。

【知事】
 使用済み燃料についての県の基本的な考え方は、県外への全量搬出であり、これは、原発事故の前から変わらない大前提です。また、小早川社長も「廃炉終了までに全量を県外に搬出する方針」と明言されておられます。県としては、県外搬出に向けた取組が、国及び東京電力の責任において確実に進められるよう、今後の取組を確認しながら、引き続き強く求めてまいります。

(終了)                                                        

【問合せ先】                               

1 トリチウムを含む処理水の処分方法について
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

2 県政の運営方針について
→ 総務部政策調査課 電話024-521-7018

3 県民運動について
(県民運動に関すること)
→ 文化スポーツ局文化振興課 電話024-521-7179
(県民の健康づくりに関すること)
→ 保健福祉部健康づくり推進課 電話024-521-7825

4 東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成について
→ 文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-8671

5 福島第二原発の廃炉に関する安全確保協定について
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252