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知事記者会見 令和2年9月28日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年10月1日更新

【質問事項】

1  東日本大震災・原子力災害伝承館について

【記者】
 伝承館とイノベ機構が策定した東日本大震災・原子力災害伝承館の語り部のマニュアルで、特定の団体や個人の批判を禁じている理由を教えてください。

【知事】
 伝承館では、震災と原発事故の記録と教訓を後世に伝えていくために、実物の資料や映像による展示に加えて、震災と原発事故を実際に体験された語り部の皆さんによる口演を行うこととしております。語り部による口演では、語り部の方が自らの経験を通して、災害の記憶やその時々の思いを伝えていただくこととしております。語り部により、来館者の方、特に震災・原発事故を経験していない若い世代の方や他県の方にも、より身近に自分事として感じてもらうための取組です。

【記者】
 マニュアルで特定の団体や個人の批判を禁じている理由を聞かせてください。

【知事】
 マニュアルの個別の内容については、担当部局に確認していただければと思います。

【記者】
 担当部局に確認したところ、国や東京電力を含む特定の団体を批判するのを禁じているとのことでした。この理由について教えてください。

【知事】
 担当部局において説明いたします。

【記者】
 語り部が東京電力や国を批判することについては、知事は大丈夫だと考えていますか。

【知事】
 語り部の方には、現在、伝承館において口演していただいておりますが、どういった対応を行うか(事前に)相談した上で、今の対応となっているものと考えております。

【記者】
 マニュアルについて、一部の語り部の方から混乱や批判が出ております。マニュアルを見直すという考えはありますか。

【知事】
 詳細は、担当部局に確認していただければと思います。語り部さんからそういったお話があるのであれば、担当部局において丁寧に伺ってまいります。

【記者】
 以前、(震災関連の文書に関して)公文書収集の基準が無いことについて質問しましたが、担当課に確認したところ、現在のマニュアルでは、どのように取り扱うかについて決まっておらず、いつまでにどうするのかも決めていないと、かなりのんびりした回答でした。
 取材すると、被災した自治体の中には、震災以来、取っておいた資料を一部処分してしまったという自治体もあるようです。こういった流れは、震災10年、11年となるにつれて加速すると思われます。公文書の取扱いについて、県としてリーダーシップを取って決める必要があると思いますが、知事はどう考えますか。

【知事】
 先日の報道を拝見しております。現在、県では、2011年当時の重要な資料を、規定にかかわらず保管するということで整理しております。また、各自治体においても、同様の取扱いをお願い出来ないかという話をしております。一方で、御指摘のとおり、一部の自治体においては、中々(保管が)難しいという話があるといった報道を拝見したところです。
 今後、公文書の取扱いをどうするのが良いのか、県としての方向性を固めていかなければいけないと考えております。現時点では、「いつまでに」と言う段階にはありませんが、伝承館もスタートし、また、先ほどお話があったとおり、震災から9年半を超えて間もなく10年が近づいている状況にありますので、その方向性について、より議論を深めていかなければならないと考えております。

【記者】
 伝承館の語り部について、被害を語るという点で、ある程度の批判も有り得るのではないかと思います。また、震災の教訓を伝承するという観点で、このようなマニュアルによる対応を知事は適切と考えますか。

【知事】
 ただ今の御意見について、しっかりと受け止めさせていただきます。先ほども質疑がありましたが、語り部の方がどういった気持ちなのかも伺いながら、今後、どのような形で語り部の皆さんに取り組んでいただけるかを検討していきたいと思います。

【記者】
 伝承館の開館初日は、県にとって非常に大きな意味のある日だったと思いますが、知事が出席されなかった理由について教えてください。

【知事】
 開館日は、伝承館の高村館長と担当局長が対応しました。
 近々、双葉町の産業交流センターの開所や復興祈念公園の一部供用開始が予定されており、伝承館のオープンと併せた全体の開所式を行いたいと思っています。まだ確定しておりませんが、私自身が出席することで検討しており、そういったことも念頭に置きながら対応しております。

2 新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 新型コロナで1人亡くなられましたが、一方で、GoTo事業などの経済再生との両面で進めていかなければならないと思います。改めて、両立についての知事の考えをお聞かせください。

【知事】
 新型コロナウイルス感染症は、「ウィズコロナ」という状況ですが、感染拡大を予防することと、地域経済や地域社会を再生していくことの両立の難しさを日々感じているところです。
 まず、感染については、依然として第2波の中にあり、中々抜け出すことが出来ていない状況にあると思います。先週は(1日の)感染者数が10名といった非常に多い状況もあり、また、9月の新規感染者数もこれまでで一番多く、亡くなられた方が3名となっています。この厳しい状況をしっかり受け止め、改めて、感染防止対策を県民の皆さんと事業者の皆さんに丁寧に訴えていかなければいけないと考えています。
 特に大切なことは、「新しい生活様式」を定着していただくことです。これまでの感染の状況を拝見すると、「3密を避ける」、「マスクを着ける」、「ソーシャルディスタンスを取る」といった(対策を行う)中では、感染が拡大することはないというのが実感で、逆にそれが欠けてしまうと、一定程度感染するということです。「新しい生活様式」の基本的なことを、粘り強く継続していただくよう、何度も訴え掛けていきたいと考えています。
 併せて、地域経済、地域社会の再生も重要な側面であります。企業においては、感染防止対策を図りながら、イベントなどをより安全な形で開催していただく、対面型の会議を広い部屋で距離を取りながら、換気をしながら行っていただくといった対応が進んでおります。
 また、観光も徐々に回復が進んでおります。夏休み期間や9月に入ってからも、受け入れる側の旅館やホテルが細心の注意を払って、きちんと対応していただいて、また、訪れるお客さんも自分自身が気を付ける部分を理解された上でお越しいただくことで、結果として、安心して観光を楽しんでいただけることになります。
 今後、GoToトラベルもある程度の広がりが出てくると思います。そういう中で、事業者側も、来ていただくお客さんも、より一層留意され、「新しい生活様式」を守って、安心して観光を楽しんでいただけるよう、より気を引き締めて臨んでいきたいと思います。

3 仕事の進め方の見直しについて

【記者】
 昨今、ハンコ(の廃止)の話が出ておりますが、知事も就任されてから、知事レクを止めるなど、いろいろと変えられてきたと思います。県庁内にはハンコ文化がまだまだあると思いますが、決裁などに必要なハンコを見直すといった考えはありますか。

【知事】
 知事に就任してから、庁内のデジタル化や、いわゆる従来型の仕事のやり方を変え、より迅速かつ的確に対応できるように仕事の取組には意を払ってきました。ある程度、変わった部分もあるかと思いますが、まだハンコが全て無くなっている訳ではありません。
 今回、菅内閣発足に当たり、デジタル庁の設置であったり、ハンコ文化を大きく見直すなど、国が大胆な方向性を出しておられます。これにリンクしながら、ハンコの取扱いや、仕事の進め方、リモートワークやデジタル化、こういったものを全体のパッケージとして、県庁における仕事の進め方を見直していくことが重要だと考えています。
 菅内閣スタート以降、「こういった観点で、もう1回整理しよう」といった指示を出しており、今後、こうした取組を進め、県政がより迅速かつ的確に前に進むよう、取り組んでいきたいと思います。

4  菅首相による福島訪問について

【記者】
 土曜日に、菅首相が福島第一原発などを視察されました。知事は以前から、菅首相に(福島に)来ていただき、実際に見て欲しいとお話しされていましたが、実際に来県された手ごたえや、今後どのくらいの頻度で来て欲しいかなど、期待感について教えてください。

【知事】
 土曜日に、菅首相が地方視察の第一弾として、本県を訪問されました。菅内閣が発足してから、外交や内政も含め、慌ただしい日程が続いている中、福島県を最初に選んでいただいたことは、菅総理自身の福島、あるいは東北の復興・再生についての気持ちの表れであると受け止めています。
 今回、常磐線を使って福島に来られ、大熊町の大野駅で降りておられます。新幹線で福島に来て、福島から車で行くという方法もある中、往復ともに常磐線を使っているのも、被災地に対する考えの一つかと受け止めております。
 まず、東京電力福島第一原発の廃炉の状況を非常に熱心に視察されました。その中で、原発の廃炉対策がある程度順調に進んでいて、作業員の皆さんが、放射線についてより安全な環境で仕事が出来るようになっているといった前向きな部分を御覧になっていただきました。
 一方で、デブリの取り出しが非常に難しく、時間がかかること、あるいは、汚染水を今後どう処理するかという点については、まだ方向性が見えておらず、その結果、タンクが林立しているという状態を自分自身の目で御覧になっていました。また、(移動する)バスの中に、放射線のレベルを示すメーターがあり、それを見ながら、非常に高いということを実感されていました。総理自身が、直接、第一原発の状況を見て感じていただくことが重要だと思います。
 また、東京電力が凍土壁の説明を行いましたが、当時、総理が官房長官であった時、凍土壁の設置は前例のないプロジェクトであり、本当に機能するのかという議論も官邸の中で大分行われたそうです。そういう点から、非常に印象に残っておられたようで、凍土壁は本当に機能しているのか、実際の水の発生量がどのように減っているのかということを、具体的なデータを確認しながら、その有効性について確認したり、また、凍土壁だけではなく、サブドレンや、地下水バイパスなど、重層的な対策により、汚染水の発生総量を減らしているということを、非常に興味深く聞いておられました。
 東日本大震災・原子力災害伝承館においては、高村館長の説明のもと、事故発生の段階からその後の避難、さらに、その後の避難者の生活の状況、復興の状況、こういったものを時系列で御覧になり、福島県における複合災害の深刻さ、根深さ、今なお復興途上であることを、伝承館の視察を通じて感じていただけたと思います。
 ふたば未来学園においては、中学2年生、高校2年生、高校3年生の3人の生徒のプレゼンテーションに非常に感銘を受けておられました。プレゼンが終わった直後にお話をしましたが、「立派だな」、「すごいね」と総理が感激されていて、「こういった人材育成は重要だね」と笑顔で話しておられた姿が印象的でありました。
 今回の視察は駆け足でしたが、県の伝承館を通して「これまでの状況」を、福島第一原発を通して「現状」を、生徒たちのプレゼンを通して「未来」といった全体の方向性についても、一部感じていただけたかと思います。菅内閣においては、全閣僚が復興大臣であるという認識のもとで取り組んでおられます。既に、復興大臣や各省庁の大臣が福島を訪問されていますが、今後とも是非、各大臣や副大臣含め、幾度も福島に足を運んでいただき、9年半から10年目に入るこの大事な時を、我々と思いを一つにして、しっかりと復興・再生を前に進めていただけるものと確信しております。

5  菅内閣の基本方針について

【記者】
 内閣の基本方針の中に震災関連、復興関連の記述がなくなりました。26日に総理が来県された際には、組閣の時に全閣僚に指示した指示書にはそのような方針を書き込んだとおっしゃっていましたが、オープンの方針でないことには違いないと思います。今回の来県に際して、総理から知事に対し、直接その話があったのかについて伺います。また、記述がなくなったことについて、知事はどのように考えていますか。

【知事】
 基本方針の取扱いについて、様々な報道、意見を拝見しております。私自身は、菅総理が官房長官であった7年余前から幾度もお話をし、福島の現状、課題、展望について協議を重ね、一つ一つの重要政策についてしっかり対応していただいたという信頼感を持っております。
 先週の復興推進会議、さらに土曜日に福島を訪問された時も、「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」、「菅内閣においては全閣僚が復興大臣である」と明言されております。総理自身の思いは、正にその言葉に尽きると受け止めております。これまでも、またこれからも、福島の復興・再生は、国の最重要政策の一つだと考えておりますので、しっかり取り組んでいただけるものと期待しております。

【記者】
 来年度予算について、復興庁の概算要求額が今年度の当初予算の約半分ぐらいになっていますが、今回、基本方針への記載がなくなったことにより、今後、必要以上の予算減額などの懸念はありますか。

【知事】
 令和3年度の概算要求について、現在、最終的な作業を進めている段階であり、そのような状況であろうかと思います。その上で、集中復興期間の5年、復興・創生期間の4年半、この9年半で、国の中でしっかりと財源を確保し、特にハード関係の大きな事業を着実に進めていただきました。こういったものが前に進んで完了しつつあることで、予算の規模に一定の影響を受けることは有り得るかと思います。
 福島県の場合は、原子力災害の影響があり、そもそもハード事業が出来ていない地域、あるいは、今後も原子力災害の影響により、長く継続していかなければならないプロジェクトなどがあります。これらは、2年ほど前から、第二期復興・創生期間の議論と併せてしておりますが、何度も政府と協議を行い、全体としての財源規模をしっかり準備してもらい、令和3年度予算においても個別の事項を要求しているところであります。福島県の復興・再生についてはまだ途上であるという前提のもとで、政府において財源措置をしっかり構築していただけるよう、県として先頭に立って取り組んでまいります。

 (終了)

【問合せ先】                               

○質問事項

1 東日本大震災・原子力災害伝承館について
→文化スポーツ局生涯学習課 電話024-521-7784

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 仕事の進め方の見直しについて
→総務部行政経営課 電話024-521-7893

4 菅首相による福島訪問について
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8429

5 菅内閣の基本方針について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7129