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知事記者会見 令和3年1月4日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年1月6日更新

知事年頭記者会見

■日時 令和3年1月4日(月曜日)10時00分~10時35分
■会場 応接室

【発表事項】
年頭挨拶

【質問事項】
新型コロナウイルス感染症について
2 ふくしま医療機器開発支援センターの運営について

令和3年1月4日 福島県 知事   動画を再生する

 

【発表事項】

 年頭挨拶

 福島県民の皆さんに、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 今年の干支は丑です。今回、年賀はがきのデザインに柳津町が発祥とされる「赤べこ」が採用されました。この「赤べこ」には疫病除けの願いが込められています。古来より広く親しまれている民芸品です。厳しい状況が続いている新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束に向け、一層の危機感とスピード感を持って対応してまいります。
 昨年は、双葉町、大熊町、富岡町の帰還困難区域の一部地域で避難指示が解除されたほか、JR常磐線の全線運行再開、福島ロボットテストフィールドの全面開所、東日本大震災・原子力災害伝承館の開館など、本県の復興が着実に前進いたしました。
 さらに、日本酒を始めとした県産品が国内外で高い評価を頂いたほか、福島市出身の作曲家古関裕而さんと金子さん御夫妻をモデルにしたNHK連続テレビ小説「エール」の放送、「メードイン福島」の優れた技術を搭載した小惑星探査機「はやぶさ2」のミッション成功など、本県は国内外から多くの注目を集めるとともに、これまでチャレンジをし続けてきた成果が県内各地で花開きました。
 一方で、避難地域の復興・再生や廃炉・汚染水対策を始め、根強い風評と風化の問題、急激に進む人口減少への対応、令和元年東日本台風等災害からの復旧など、本県はいまだ多くの課題を抱えております。
 そのような中、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に取り組みながら、復興・創生の歩みを進めていかなければなりません。今年は、震災と原発事故から10年となる節目の年であります。4月からは第2期復興・創生期間がスタートします。これまで国内外から頂いた多くの御支援、応援の声、エールを、前に進むためのエネルギーに変え、震災・原発事故からの復興・再生と福島ならではの地方創生の実現に向け、新たなステージにおいても全力で挑戦を続けてまいります。
 以下、県政の重要課題に沿って、新年の主な施策についての考え方をお話ししてまいります。
 始めに、新型コロナウイルス感染症につきましては、都市部を中心に全国で感染が拡大するなど、いまだ収束が見通せない状況にあります。本県においても、先月に入ってからクラスターが相次いで発生しており、急激なスピードで感染が拡大しています。また、感染者の増加に伴い、入院病床など、医療提供体制の負荷が急速に増大しており、特に県北地域は厳しい状況になっています。こうした状況を踏まえ、福島市内の飲食店等に対し、1月11日までの間、午後10時から午前5時までの営業の自粛をお願いしたところです。これ以上の感染拡大を防ぐためにも、私たち一人一人が、感染のステージが一段階悪化したことを認識し、いつどこで感染が拡大してもおかしくないという強い危機感を持って、感染対策に当たっていかなければなりません。県では、検査体制や医療提供体制の充実・強化を進めるなど、引き続き、県民の皆さんの安全・安心の確保を最優先に取り組んでまいります。
 県民の皆さんにおかれましては、マスクの着用や手洗い等の手指消毒、3密を避けるなどの基本的な感染防止対策の徹底をお願いいたします。また、感染された方や医療従事者の皆さんなどに対しては、温かいお気持ちで接していただき、差別や誹謗中傷等は絶対になさらないようお願いいたします。
 次に、令和元年東日本台風等についてであります。災害発生から1年余が経過いたしました。引き続き、災害復旧や河道掘削といった緊急水災害対策プロジェクト、災害廃棄物の処理など、早期復旧に向け、スピード感を持って取り組むとともに、日頃から適切な避難行動について考える「マイ避難」の取組を推進するなど、災害に強い県づくりを進めてまいります。
 次に、原子力災害からの復興・再生についてであります。震災・原発事故から間もなく10年を迎える今もなお、多くの方々が避難生活を続けておられるなど、本県の復興は途上にあります。4月からスタートする第2期復興・創生期間においても、安心感を持って復興を進めるために大切な、体制・制度・財源を基に、具体的な取組を着実に進めてまいります。
 避難地域につきましては、帰還困難区域全体の避難指示解除のための具体的方針を早急に示すよう、引き続き、国に求めてまいります。また、これまでの帰還促進に加え、新たな住民の移住の促進や交流・関係人口の拡大に取り組んでまいります。
 福島イノベーション・コースト構想につきましては、昨年開所した福島ロボットテストフィールドや東日本大震災・原子力災害伝承館に続き、本構想の司令塔となる国際教育研究拠点の新設に向け、国の検討に歩調を合わせながら、広域自治体としての役割を果たしてまいります。地元企業の参入を促進し、浜通り地域等における新たな産業集積と交流人口の拡大を図り、その成果を県内全域に波及させるよう取り組んでまいります。
 環境回復につきましては、県内原発の全基廃炉が安全かつ着実に進むことが福島の復興の大前提であることから、今後とも、国、東京電力の取組をしっかりと監視してまいります。トリチウムを含む処理水の取扱いについては、正確な情報発信と具体的な風評対策を求めてきたところであり、引き続き、国の責任において、慎重に対応方針を検討するよう求めてまいります。
 また、中間貯蔵施設においては、令和3年度までに概ね搬入を完了させる目標とされており、引き続き、除去土壌等の搬入などが安全・確実に実施されるよう、関係自治体と連携し、国の取組を確認してまいります。
 次に、風評・風化対策についてであります。多くの分野において風評が根強く残る中、輸入規制を行っている国・地域が、原発事故直後の54から16まで減少するなど、様々な成果が現れております。引き続き、国を始め関係機関等と連携しながら、正確な情報を粘り強く発信してまいります。情報発信においては、今般の新型感染症を踏まえ、リモートでの発信にも積極的に取り組むとともに、直接会って説明をしたり、思いを伝えることも重要であることから、感染状況等を十分に注視しながら、県外を訪問してのPR活動を行うなど、あらゆる手段を活用して、福島の今や魅力が伝わる取組を進めてまいります。
 新型感染症により延期された東京2020オリンピック・パラリンピックが、今年いよいよ開催されます。3月にオリンピックの聖火リレーがJヴィレッジからスタートし、7月には野球・ソフトボール競技があづま球場で開催されるなど、世界から福島に注目が集まります。これまで頂いた御支援に対する感謝の思いと、力強く復興への歩みを進める本県の姿を発信できる絶好の機会であることから、感染対策に万全を期すことはもとより、関係の方々と力を合わせて着実に準備を進めてまいります。
 次に、産業政策についてであります。商工業の振興につきましては、新型感染症の影響により落ち込んだ県内産業の再生を図るため、サプライチェーンの強化等を始めとする事業継続・雇用維持への更なる支援を行うほか、引き続き、中小企業等へのきめ細かな経営支援に努めてまいります。
 昨年、複数の県内企業が携わった「はやぶさ2」のミッション成功が大きな話題となりました。こうした航空宇宙関連産業を始め、ロボット、再生可能エネルギー、医療など、新たな成長分野において、「メードイン福島」の革新的な技術や製品が生み出されるよう、関連産業の育成・集積に取り組んでまいります。
 農林水産業につきましては、「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」により、GAP認証取得数日本一を目指している中、県内の高校がグローバルGAPの取得品目数で高校単独日本一を成し遂げるなど、着実に成果を上げており、今後も更なる躍進に向けて取組を進めてまいります。GAPの取組は、東京オリンピック・パラリンピック大会での食材提供にもつながることから、大会を通じて、県産農林水産物の魅力を世界に発信してまいります。
 また、昨年プレデビューを果たした本県のトップブランド米である「福、笑い」が、今年本格デビューします。この「福、笑い」を始め、生産者の高い技術と「ふくしまプライド。」が詰まった県産農林水産物のおいしさや魅力を積極的に発信してまいります。
 次に、地方創生・人口減少対策についてであります。本県の人口は、依然として減少傾向が続いており、中長期的な視点に立って、戦略的に対策を講じていく必要があります。
 今般の新型感染症の影響により、テレワークが普及し、多くの企業で在宅勤務などの取組が進められていますが、それに伴い、地方への関心が高まり、地方分散の動きが広がりを見せております。本県が持つ首都圏との近接性や豊かな自然環境などをいかし、福島ならではの暮らしや働き方の魅力について知っていただくとともに、ふくしまグリーン復興の取組を推進するなど、交流人口の拡大や移住の促進につなげてまいります。
 また、少子化対策につきましては、結婚から出産、子育てまでライフステージに応じた切れ目のない支援を行うことにより、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを進めてまいります。また、保育所等の待機児童解消に向け、市町村とも連携しながら取り組んでまいります。
 次に、子ども・若者の育成についてであります。今般の新型感染症への対応や学力向上のため、学校におけるICT環境の早期整備が求められております。子どもたちが確かな学力を身に付け、多くの学びを通じて人間的にも成長できるよう、充実した教育環境の整備に努めてまいります。
 また、県立高等学校改革につきましても、引き続き、教育委員会と連携しながら、子どもたちにとってより良い教育環境づくりに取り組んでまいります。
 県民の健康づくりの推進につきましては、県民の命と健康を守るため、引き続き、食、運動、社会参加を三本柱とした県民運動の普及を図ってまいります。
 また、医療・福祉・介護を担う人材確保につきましては、4月に県立医科大学保健科学部が新たに開設され、高度な知識と技術を備えた医療技術者の養成が始まります。引き続き、あらゆる対策を講じながら、健康長寿県の実現を目指してまいります。
 公共インフラにつきましては、本県の復興と地方創生を支える東北中央自動車道の相馬・福島間や、ふくしま復興再生道路等の道路網、さらには、小名浜港・相馬港の整備を着実に進めてまいります。
 また、昨年、浜通りの大動脈であるJR常磐線が全線運行再開したことから、首都圏や仙台との交流人口の拡大などを通じて、浜通り地域の振興を図るほか、JR只見線の早期復旧と利活用促進により、奥会津地域の活性化に努めるなど、市町村や関係団体の皆さんと一丸となって取り組んでまいります。
 以上、新年の県政運営に関し、所信の一端を申し上げました。
 今後とも、新型感染症対策にしっかりと取り組みながら、引き続き、直面する様々な課題に果敢にチャレンジし、未曽有の複合災害からの復興・再生と福島ならではの地方創生に全力を尽くしてまいります。
 皆さんの一層の御支援と御協力をお願い申し上げまして、新年の御挨拶といたします。

【質問事項】

1  新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 年末年始に2桁の感染が続きましたが、年末年始の感染状況をどのように捉えていらっしゃるのか。併せて、(福島市の)1月11日までの自粛期間中に、何としても(感染を)抑えたいというお考えでしたが、今の現状をどう考えておられるのか。
 もう一点は、現在、首都圏に緊急事態宣言を発令するという検討を政府がしているようですが、発令された場合にどのような対応を行うのか、あるいは、どういう影響があるのかについて教えてください。

【知事】
 まず、年末の新型感染症の状況については、福島県の昨年10月の感染者数が135名であり、その時点で過去最多でしたが、11月に113名、12月には感染者が急増して455名となり、(12月は)これまで最多だった10月の135名の3倍を優に上回る感染者数でした。昨年の福島県全体の感染者数が956名ですが、12月の1か月間だけで、ほぼ5割(48%)を占めるといった急激な増加でありました。中でも、福島市が非常に深刻な状況であり、12月の福島市の感染者数は294名で、県全体の(感染者数の)約3分の2(65%)を占めるという状況となりました。
 こうした状況の中で、福島市長から市内における飲食店等の営業時間短縮の要請を頂きました。県として、それを受け、福島市のお店に営業時間の短縮をお願いすることとし、一定の協力金を支給することといたしました。
 一番の問題は、入院受入体制がひっ迫していることです。福島市の患者数が急増することによって、福島市内、県北地域の病院だけでなく、広域調整が必要となり、県中、県南、会津、いわき、相双など県内各地の病院に入院受入れをお願いし、県全体として入院病床に占める感染者数の割合の高止まりが続くという状況になっておりました。
 こういった中で、年末年始に、福島市民の皆さんには外出の自粛をお願いし、また、県民の皆さんに対しても、例えば、帰省や初詣、会食などに慎重な対応をお願いしたところであります。今年の年末年始休暇の6日間の報道等を拝見しますと、初詣も例年に比べて相当、人出が減っている状況で、おそらく会食の機会もかなり少なく、静かに御家族で新年を迎えていただいたことかと思います。
 年末年始も一定の感染が続いています。そういう中で、福島市内における感染者の数が12月に比べると相当落ち着いていることが、明るいニュースであるかと思います。ただし、クラスターの状況を見ると、先月は9件ありましたが、これまでの県全体のクラスターの数は22件であり、1か月で9件は非常に厳しい状況です。しかも、その中で福島市のクラスターが7件、うち2件が院内感染と、地域の中枢を担っていただいている医療機関でもクラスターが発生するという状況がありました。したがって、まだまだ福島市も含めて予断を許さない状況であります。
 一方で、二つ懸念していることがあります。一つは、福島市内はある程度(感染が)落ち着いてきたとお話しましたが、県全体で見ると、この年末年始も十数名の感染確認が続いており、例えば、いわき市、白河市、あるいは会津地域も含めて、これまで比較的落ち着いていた地域でも、少しずつ感染者数が増えている状況にあります。この状況の中で、新たなクラスターの発生もあり得ると思います。したがって、県全体で慎重な行動を取る必要がある厳しい状況が今なお続いていると考えております。
 また、入院状況ですが、現時点で入院されている方が188名おられ、(確保病床の)469床に対する約4割を占めております。これはかなり厳しい状況であり、今後とも入院者の広域調整を積極的に行っていかなければなりません。
 また、年末年始に感染がある程度落ち着いてきたという傾向もあり、宿泊療養施設は、160室(の受入可能数)に対して現時点で14名の入所であり、1割を切っている状況です。したがって、県全体の入院受入体制は、一定の対応が十分可能だと思っておりますが、ただ、12月のように、1か月に400人を超える感染者や、クラスターが9件(発生する)、こういったことがまた1月、2月に発生すれば、同じ状況になり得ると思いますので、強い危機意識を持って対応しております。
 また、首都圏の緊急事態宣言については、全国における感染状況が、この年末年始の期間中、連日3,000人を超えるといった感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。特に、東京都では、12月31日に1日当たり1,300人を超える感染者が確認されるなど、急激な感染者の増加が見られており、これに伴い、医療提供体制が極めて深刻な状況にあると考えています。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の4都県知事においては、こうした厳しい感染状況、入院の受入体制を踏まえ、政府に対して緊急事態宣言の再発令を要請されたものと受け止めています。福島県としては、今回の1都3県による要請への対応や、全国への影響等について注視してまいります。

【記者】
 感染状況だけを見ると、4月に緊急事態宣言が出された時よりも全国的に感染状況が悪いという印象ですが、首都圏だけでなく、全国一斉の緊急事態宣言の必要性について、知事はどのように考えますか。

【知事】
 まず、緊急事態宣言は、国全体にとって極めて重要な取組だと考えています。現在、日本全体で感染者数が増えています。この年末年始期間は、例年に比べて帰省などはある程度減っていると思いますが、旅行も含めた人の移動は相当あったと思います。年末年始の時期においては、都市圏と地方部の間で人の行き来があり、今後は、仕事が本格的にスタートすることで、残念ながら、また感染が急拡大していく可能性があると思います。
 そういう状況の中で、1都3県からの緊急事態宣言の要請を受け、政府がこの新年の休み中においても検討を進めておられると思います。当面は店舗の営業時間の短縮を先行させながら、緊急事態宣言をどういった形で出すかについて模索されていると思います。
 昨年の3月から4月の段階では、新型コロナウイルスは未知のウイルスでしたが、1年弱の経験の中で、一定の対応策が確立されてきており、今後、ワクチン(による効果)などの可能性もあろうかと思います。そういう中で、ぎりぎりのバランスをどう取って、実効性のある緊急事態宣言を発動するかについて、政府で真剣に考えておられると思います。
 そのような中で大切なことは、政府と広域自治体である都道府県あるいは市町村といった地方公共団体が、しっかり連携していくことだと思います。緊急事態宣言の発出は、非常に重要な要素です。福島県に置き換えると、先月、福島市のお店に対して時間短縮の要請をいたしましたが、これは特措法第24条第9項に基づく法律上の時短要請であり、これについては国と入念に整理をし、内閣府からも御理解を頂き、実施しました。福島県全体としては、今なお「ステージ2」です。ステージ2の指標は6つありますが、その中で、今、ステージ2の指標を超えているのは「入院病床の受入れの割合」だけで、それ以外の指標はステージ2であります。ステージ2の中で、あえて福島県が特措法に基づく時短要請を行うことについては、政府と連携し、非常にスムーズに対応が図れました。
 また、国からは、厚生労働省のクラスター班の福島市への派遣という大きな協力を頂いております。クラスター班に来ていただき、長期間にわたって福島市のクラスターの分析をしていただきました。詳細を伺っておりますが、非常に丁寧に(分析していただき)、県と福島市にとって、あるいは県内の市町村にとって有益な分析をしていただきました。やはり、国と県が綿密に連携すること、お互いに呼吸を合わせながら取り組むことが、緊急事態宣言においても非常に重要だと思います。今、1都3県が連携しながら、政府と綿密な協議を日々続けておられると思います。この状況の中で、実効性のある緊急事態宣言をどう打ち出すのか(を模索していると思います)。また、現在、1都3県のみならず、他の地域においても感染の急拡大があり得る状況にあり、事態の推移に応じて臨機応変に政府としての政策を打っていただくことを、今後とも全国知事会等を通じて訴えていきたいと思います。

2  ふくしま医療機器開発支援センターの運営について

【記者】
 今年は震災から10年という節目の年ですが、いわゆる産業の復興もかなり重要なウエートを占めてくると思います。その中で、医療機器開発支援センターについては、当初の計画を達成したことが(これまで)一度もないという状況の中、今後、施設や機材の更新等にも費用がかかってくると思います。知事は施設の現状についてどのように捉えているのかという点と、国が建設し、県が管理運営をしていくというスタイルの(施設の)例が他にもあると思いますが、そうした施設の今後の運営についてどうしていくのかという点を伺います。

【知事】
 医療機器開発支援センターが開設されてから数年が経過しました。お話がありましたとおり、まず計画を策定し、それに基づく様々な施策に一生懸命に取り組んでいただいておりますが、必ずしも計画どおりに進んでいないという側面があります。
 特に、医療機器開発支援センターは、様々な公的認証制度を取得した上で、民間企業や研究者等が、認証を受けたベースの中で研究開発を行うといった拠点であるため、認証を取るのに一定の時間がかかり、スタートダッシュ段階での遅れにつながっていると思います。
 その後、こういった認証は、正に全国でもトップクラスのものを取得し、セールスを全国展開しながら、着実にお客さんが増え、リピーターとなって定着しつつあると思います。実は、ここ1年ほどは非常にいい形で進んできたのですが、センターは、福島県内の人材のほか、東京や海外などの各地から研究者の方が集まって、試験、研究を行う場でもあります。それが新型コロナウイルス感染症の影響で、県を越える移動が難しい部分もあり、残念ながら良い流れにブレーキがかかってしまったという側面もあるかと思います。
 この2、3年の状況を見ますと、「福島の医療機器開発支援センターは非常に良い拠点だな」、「ここで試験研究開発してみよう」という動きが徐々に起こっておりますので、新型感染症の逆境を乗り越えて、現行の計画に沿った事業を発展させていくことは、ある程度可能ではないかと思います。
 一方で、国との関わりについては、医療機器開発支援センター、ロボットテストフィールドなど、県の復興に関わる拠点施設が、国の支援を受けて開設されました。県が運営するもの、あるいは、郡山市にある福島再生可能エネルギー研究所のような国直営のものもありますが、それぞれの立場に沿って運営がなされています。ただ、収益をどんどん出すということは必ずしも簡単ではありません。運営経費の工面をどうするかは、我々も非常に意を砕いており、毎年行っている政府への要請においても、安定的な財源確保について、私自身が幾度も各省の大臣、副大臣などと協議をしているところです。 
 今年の4月から5年間の第2期復興・創生期間という新たなステージに入りますが、その中においても、各地域で復興の拠点として、「これから正に芽吹こう」、「新しい動きを創り出そう」という施設に対し、国の一定の支援を頂きつつ、一方で、それぞれが持つ計画に沿って事業を発展させていくといった両立に、県として取り組んでいきたいと思います。

 (終了)

【問合せ先】                                                                    
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

2 ふくしま医療機器開発支援センターの運営について
→商工労働部医療関連産業集積推進室 電話024-521-8536