ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 「チャレンジ県ふくしま! ~ 福島県知事 内堀雅雄のページ ~」 > 定例記者会見 > 令和2年度 > 知事記者会見 令和3年3月29日(月)

知事記者会見 令和3年3月29日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月31日更新

【質問事項】

1  東京五輪 聖火リレーを終えて

【記者】
 聖火リレーが福島県からスタートし、終了しました。スタート前に、知事から「終わったらほっとするかもしれないが、今は緊張している」というお話がありましたが、無事に終わったことについての所感を伺います。また、福島市、郡山市を中心に、密対策が不十分である場面が見受けられましたが、どのように感じているのかということ、これから他県で聖火リレーが進んでいきますが、他県ではどのように対応して欲しいと考えているか伺います。

【知事】
 福島県で3日間、聖火リレーが行われました。Jヴィレッジでのグランドスタートに始まり、浜通り、中通り、会津地方の26市町村を巡り、一昨日、無事に郡山に聖火が到着し、栃木県に引き継ぐことが出来たことをうれしく思いますし、安堵しているところです。
 今回、聖火リレーで、私が印象に残った点が、二つあります。一つ目は、聖火ランナーの方が本当に晴れ晴れとした笑顔でトーチを高く掲げて、沿道の方に手を振りながら走っておられた姿が印象的でした。本来であれば1年前に走っておられた方ですが、1年間、新型感染症の影響の中で、様々な複雑な思いを抱きながら、本番をどのような思いで迎えるかを考えてこられたと思います。走り終わった後のコメント等を拝見しますと、「走ることができて良かった」といった感謝の思い、あるいは、「これから頑張っていこう」、「全国で(猛威を振るっている)新型感染症、あるいは、災害からの復旧・復興が早く収まるように」との思いを持って走っていただいたことが印象に残りました。
 二つ目は、沿道の皆さんの応援です。今回、新型感染症の中での観戦となり、大きな声を出すことができず、多くの方が集まることもしづらい環境下であったことから、皆さん、マスクをしっかりつけて一定の距離を取っていただき、拍手や旗を振っていただく、あるいは、横断幕を掲げるといった静かな温かい応援になりました。
 特に、横断幕はいくつも掲げられ、これまでの御支援に対する「ありがとう」という感謝のメッセージや、「復興を頑張って進める」、あるいは、「新型感染症が早く収束するように」といった願いもありました。こういった沿道の皆さんの思いも、今後、全国につながっていくことを期待しております。
 一方で、一部で密集が発生していたのではないかという御指摘ですが、本県では、福島市や郡山市などの都市部において、多くの方々が集まっておられました。現場でスタッフが積極的に呼び掛けを行い、できる限り密集の回避に努めたところです。混雑はしておりましたが、リレーをスキップするほどの状況ではなかったという認識を組織委員会と共有しております。実際に3日間の経験を通じて感じたことは、警察本部の皆さん、あるいはスタッフの皆さんがその場におられる方々に、できるだけ早めに積極的に声掛けすることが重要だと思います。
 また、初期段階で、ランナーと並んで走る方が見受けられましたが、その点についても声掛けして、一緒に走ってはいけないという認識が沿道の皆さんに伝わり、本番の際には一定の落ち着きを見せていたという部分があります。ある程度の密集が発生する場面は、事前に想定されると思いますので、今後、各県で取り組まれる際は、その場にいる方にできるだけ早めに声を掛けること。また、直前まで注意喚起をし続けることが何よりも重要だということを現場で感じたところです。

2  新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 コロナウイルスについて、福島県内は全国的に見ても(感染者が)高いレベルにあり、下げ止まらない。重点対策を延長しましたが、何か具体的な対策を検討しているのか教えてください。

【知事】
 大切なことは、「新しい生活様式」の基本を徹底することであり、この年度末・年度初めにおける感染対策を、県民、事業者の皆さんに改めてお願いしたいと考えています。
 まず、飲食を伴う大人数での歓迎会、送別会を自粛していただくこと。特に、今年は桜前線が早く、福島市内でも相当咲いておりますが、飲食を伴う花見は自粛していただきたい。
 また、感染拡大地域、隣県の宮城県、山形県においても非常に厳しい状況にあることから、こういった地域への旅行は自粛、あるいは、不要不急の往来を控えていくことが大事だと思います。
 今後、入学式や入社式等の節目の行事もあると思いますが、為すべき感染対策は、この1年間の経験で分かっておりますので、それを徹底していただくことが大事だと思います。昨年、年度末から年度初めにかけて、第1波に襲われたこともあり、現在は予断を許さない状況にあることから、こういった点について県民の皆さんに訴えていきたいと思います。
 また、ゴールデンウィークに向けて、様々な形で人の移動や交流がありますが、今後の状況を見ながら、ゴールデンウィークにどう臨むべきか、県として明確なメッセージを打ち出していきたいと考えております。

【記者】
 確認ですが、飲食店等への(営業時間短縮の)要請等は、今のところは考えていないということですか。

【知事】
 現時点では、県民の皆さん、事業者の皆さんに県の重点対策を徹底していただくようお願いすることを考えており、直ちに緊急対策を行うということはありません。

【記者】
 宮城県、山形県が非常に厳しいと知事も繰り返しおっしゃっていますが、この4月に宮城県の大学を卒業し(県庁に)入庁される職員も多いと思います。県としての対策を考えていましたら教えてください。

【知事】
 県職員も異動の時期で、年度替わりを迎えます。異動する場合、2週間程度、会食などの一定のリスクを伴う行為はできる限り気をつけていただくことが基本だと思います。特に、体調に変化が見られる場合には、早めに休むことが重要です。皆さんに報道していただきたいのが、ここ1か月ほどの感染事例を見ますと、花粉症の症状などを持っておられる方が、例年と同じように花粉症のような症状が始まり、花粉症かコロナの影響かを見極めることができず、結果として(コロナウイルスの)陽性者として診断されるという事例があります。
 第2波、第3波の頃に比べると、少し体調が悪い時に、早めに病院に行くという傾向が若干薄らいでいるのではないかとの懸念も持っております。例えば、朝、体温を計って平熱かを確認していただく、少し体調が良くない場合は早めに休んでいただく、病院に行っていただくということを、昨年から幾度も呼び掛けておりますが、1年が経ち、それが緩んでいるのではないかと感じます。さらに、花粉症の方はどうしても(症状が)分かりづらいという側面もあると思います。県職員も当然ですが、報道の皆さんのお力も借りて、県民の皆さんに改めて注意喚起できればありがたいと考えております。

3  東京オリンピック・パラリンピックについて、新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 聖火リレーが終わり、今後、本番への機運も高まったという県民の声もありますが、改めて、福島から復興五輪というメッセージをどういった形で発信し、取り組み、評価していくのか伺います。
 もう一点は、密対策で、実際に(県内の)感染状況や指標などが悪化している傾向の中で、首都圏、また隣県の感染拡大も踏まえ、第4波について、県内の状況をどのように認識しているか伺います。

【知事】
 福島県における3日間の聖火リレーが無事終わりました。大切なことは、福島をグランドスタートの地として選んでいただいたということであり、聖火リレーの最初の場面は、世界的にも注目されます。ローマ字の「FUKUSHIMA」の地でスタートしたということが、いろいろな意味で皆さんに届く、非常に貴重な機会であったと思います。
 福島の場合は、この10年間で復興が完了した訳ではなく、これからも、復興に向けて長い戦いが継続します。この10年間の支援に対する感謝の思い、あるいは、復興に向けてこれからも長い戦いではあるけれど頑張っていくというメッセージを、国内外に伝えるチャンスを頂いたことに、改めて関係の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。
 7月には、福島県において、東京オリンピック全体の試合の中で最初となるソフトボールの試合があります。開会式より前に開催されますので、注目される試合になると思います。
 福島県、そして国内において、新型感染症対策を徹底し、安心して皆さんが観戦できる環境を整えていくことが何よりも重要であり、必要不可欠だと考えております。今、正に第4波に見舞われるのではないかという状況や、リバウンドも含め、全国で警戒状態にあります。福島県も自分事であり、そういった緊張感を今後もしっかり持ち続け、ワクチンの接種も並行して進めていきます。
 まず、医療関係者、高齢者のワクチンを6月頃までにしっかり終わらせていくことが、当面の大事なコロナ対策となり、その後のワクチン接種も速やかに行っていく中で、感染症対策と並行して、オリンピック・パラリンピックを安心して開催できるように力を尽くしていきたいと考えています。
 また、今後の第4波に向けての対策として、大切なことは、県民の皆さんが安心して入院できる体制を整えることです。これについては、第3波の段階で相当力を入れており、今も病床利用率が5割程度と厳しい状況にありますが、1月段階と大きく違うのは、即応病床が100床増えておりますので、そういう中で一定程度の対応ができております。また、福島県は非常に広い県ですが、これまでの経験を通じて広域調整がスムーズにできるようになっており、感染された方を速やかに病院で受け入れる体制を整えています。
 本県の場合、基本は病院に入院していただいており、ホテル療養は他県に比べると利用率が低いのですが、200室を用意しておりますので、ホテル療養も十分対応ができると思います。
 一番大切なことは、日々発生する新規感染者の数をできるだけ抑え込んでいくことです。今日は比較的、少ない人数となっておりますが、いずれにしても、日々の感染者数が増えていくと、当然、病床のひっ迫度合いが増えていきますので、そうならないよう、「新しい生活様式」と、「年度末・年度初めの留意点」、こういった点を幾度も幾度も県民の皆さんに伝えていくことに力を入れてまいります。
 先ほど、1年経って少し慣れが出てきて、(気持ちが)緩んでいるのではないかというお話をしました。事業者の皆さんに改めてお願いしたいのは、それぞれの業界のガイドラインに基づく対応を、絶対に緩めることなく、続けていただくことが重要だと思います。これを続けていくことで、間違いなくクラスターの発生を抑え込むことにつながります。そういった当事者意識を持って臨んでいただけるよう、県としても、広報、情報の使い方に配慮していきたいと思います。

【記者】
 福島県内の現状として、第4波という認識はありますか。

【知事】
 第4波という状況にはないと考えております。

【知事】
 今回、故障していた3号機の地震計については、原子力規制庁の指示により、事故を起こした原子炉建屋の耐震性を確認するために試験的に設置されたものです。故障した地震計が修理されていなかったことは問題であると考えております。先月末、東京電力に対し、地震計の故障を放置し、情報提供が遅れたことについて、緊張感を持って対応し、迅速かつ正確な情報発信を行うよう求めたところです。引き続き、現地駐在職員や廃炉安全監視協議会等を通じ、福島第一原発の状況をしっかり監視してまいります。

4 第2期復興・創生期間のスタートについて

【記者】
 今日は年度最後の定例会見であり、今週後半から新年度に入ります。コロナ対策で今年度は復興事業が中止となったりしましたが、新年度における、コロナ対策と並行した復興の加速化について、改めてどのように進めていくのか教えてください。

【知事】
 今週で第1期復興・創生期間が終了します。集中復興期間と、第1期の復興・創生期間の10年間で、福島の復興は着実に前進していると考えております。特に、地震・津波といった自然災害によるハードの復旧は、ほぼ完了しています。また、避難地域についても、ピーク時は(県全体に占める面積割合が)約12%ありましたが、現在、2.4%に縮小し、避難指示解除が段階的に進み、避難者の方々が古里に戻れる環境が少しずつ整ってきていることは前進だと受け止めております。
 一方、福島県の場合は地震・津波に加え、原子力災害、さらには、全県的な風評被害があります。加えて、東日本台風や先月の福島県沖地震による被害があり、さらに、この1年間の新型コロナウイルス感染症対策もありますので、率直に言って、(復興を進める中で)後戻りせざるを得ない場面があったと思います。
 今週後半から第2期復興・創生期間が始まりますが、これからの5年間で、福島の復興が前進したと(県民の皆さんが)実感できるような施策を進めていくことが重要だと考えています。その中で最も重要なことは、避難地域の復興・再生です。先ほど避難指示が解除されてきたというお話をしましたが、住民の居住率がそれぞれの地域で8割となっているかと問われると、そうはなっていません。
 ある程度住民が戻っている地域でも、年配の方が多く、若い方が少ないという悩みを持っておられますし、双葉町、大熊町、浪江町のように、まだスタートラインに立ったばかり、あるいは立つことができているかという厳しい状況にある自治体もあります。そういう状況にあることから、第2期復興・創生期間においては、避難地域の復興・再生が基軸となります。もともと住んでおられた皆さんが安心して戻ることができる環境づくり、例えば、床屋一つとっても、それが無い自治体もあります。したがって、震災前に当たり前にあった、きめ細かな環境整備に一つ一つ取り組んでいくことが重要だと思います。
 こういったきめ細かな対策と併せて、福島イノベーション・コースト構想のような非常に積極的で大胆な施策により、外から人を呼び込んで、新しい地域づくり、地域活性化を図っていくことも重要だと考えており、雇用の確保にもつながってまいります。第2期復興・創生期間において、きめ細かな施策と、大胆で積極的な施策の両輪に、国、地方自治体、関係機関と連携をして取り組んでいきたいと思います。

5 自民党復興加速化本部による食品等の出荷制限に関する提言について

【記者】
 食品の放射性物質の安全基準について、自民党の復興加速化本部が基準の見直しを行い、生業の再生につなげたいといった提言をされていますが、一方で、風評被害の関係もあり、反対意見もあります。知事は、規制緩和することについてどのように考えますか。

【知事】
 科学的、客観的に見てどういった在り方が正しいかを議論していくことが重要だと考えています。私自身、各地で講演をしておりますが、御承知のとおり、食品中の放射性物質の基準は、日本では100ベクレル以下となっている一方で、例えば、EU、アメリカ等では、1,000ベクレルまたは1,250ベクレルというのが一般的です。
 したがって、震災・原発事故直後の福島の状況と、今の福島の食品中の放射性物質の状況を勘案して、今後、どういった放射性物質の基準の在り方がいいのかという議論を丁寧に進めていくことは意義があると考えております。
 一方で、私自身、この10年間ずっと、風評払拭の問題に向き合っていますが、先ほど申し上げたとおり、福島県は厳しい基準で例えば、お米の場合、6年以上も基準を超えていない、野菜やフルーツは、もっと長い期間(基準を超過してい)ないといった話をし、理解して、納得していただける方もいるし、一方で、それでも福島産の物を敬遠する方がおられるのは事実であり、世界においては、日本がそういった対策をしていることそのものを知らない、あるいは、「福島」という地名だけで敬遠する方もおられると思います。その結果、諸外国において、輸入規制の基準が緩和されていない15の国と地域が残っているという実情もあります。
 科学的な安全論と社会的な安心論は別物であってイコールにならないという現実がありますので、いわゆるリスクコミュニケーションや、基準の考え方についてコミュニケーションを丁寧にとらないと、中々理解が進まないこともあろうかと思います。
 科学的な安全論の検討は議論を進める一方で、その基準の在り方は、それを受け止める側、例えば国民や世界の方々の見方ということもありますので、相当広く視点を持って、丁寧に検討していただくことが重要だと考えております。

【記者】
 (検討することについて、)時期早尚という考えはありますか。

【知事】
 ただ今申し上げたとおりです。

 (終了)

【問合せ先】                                                                    
○質問事項
1 東京五輪聖火リレーを終えて
→文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-7312

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 東京オリンピック・パラリンピックについて
→文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-7437
  新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

4 第2期復興・創生期間のスタートについて
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
(避難地域の復興に関すること)
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434

5 自民党復興加速化本部による食品等の出荷制限に関する提言について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110