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知事記者会見 令和4年12月5日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年12月13日更新

【質問事項】

1 鳥インフルエンザについて

【記者】
  鳥インフルエンザの関係でお聞きします。現在、消毒作業も終えまして、経過観察中という形だと思いますが、新たな県独自の支援策であったり、また、国との協議の上で、出荷可能になる養鶏場があれば伺います。
 
【知事】
  まず、先週、伊達市の養鶏場において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことから、発生農場における鶏の全羽殺処分や埋却、鶏舎の消毒、清掃を行い、11月30日に防疫措置を完了しました。
  現在、半径3キロメートル以内の農場は移動制限区域、3キロメートルから10キロメートル以内の農場には搬出制限区域を設置し、区域内農場の鶏に異常がないことを確認しています。
  また、県内の養鶏場に対して異常の有無を聞き取るとともに、発生防止に向けた取組の徹底を注意喚起しています。
  今後、制限区域内の農場については、清浄性を確認する検査を実施し、国と協議を行いながら、制限区域を解除していく考えであります。
  その上で、農家に対する支援についてであります。発生農家への支援策としては、殺処分した家畜の評価額の全額が手当金として支給されます。また、新たな鶏などの導入や経営再開に際しては、経営支援補助金が交付されます。制限区域内の農家に対しては、売上減少額、または飼料費保管費の増加額について、国と県で全額助成をします。また、県内の養鶏農家に対しては、経営継続に必要な経費に対する融資が準備されています。
  県として、生産者や関係の皆さんが安定的に経営を維持することができるよう、しっかり支援してまいります。
 
【記者】
  現段階で、この前の副大臣もいらっしゃって、国としても支援していくということだったのですが、県独自の部分の支援策とかそういった検討はあるか伺います。
 
【知事】
  現在、この鳥インフルエンザの発生、また、その後の終息に向けて、正に県が当事者として対応しているところであります。今後の状況を見極めながら適時適切に対応してまいります。

【記者】
  鳥インフルエンザに関して、まず初動対応がどうだったか総括をお願いしますというのが1点と、あと、国になるかもしれませんが、今、行っている原因分析について、現状どうなっているかについて伺います。

【知事】
  まず、後半の原因分析については、現在、(国において)具体的な状況調査をしていただいているところかと思いますので、まだ報告を頂いておりません。
  ただ原因分析は非常に重要だと思いますし、今後の対応、あるいは水平展開する上でも大切な要素だと思いますので、その点を注視しております。
  そして、初動対応であります。今回、福島県において、初めての養鶏場における鳥インフルエンザの発生でありました。今回のこの鳥インフルエンザの問題は、(全国で見れば)今年が初めてということではなく、ほかの県では既にこれまで幾度も経験されていました。
  特に、今年は本県で発生する前も、(他の自治体では)十数例確認されている状況でしたので、警戒度を高めて、様々な予行演習、訓練といったものも行っていたところでありました。したがって、福島県としての一定の準備はできていたかと思います。
  ただ実際、私自身も含め、県全体で対応に当たりましたが、まず1回目の検査を行い、2回目の検査でも陽性が確認された後、24時間以内に殺処分を完了するという一定の目安が決められており、その後も極めて速やかに埋却まで持っていかなければいけないという時間的制約があります。今回、結果として1万5,000羽弱ということで、比較的他県さんの大規模なものに比べると、中小規模ということだったかと思います。
  ですので、結果として対応ができており、殺処分の際も、多くの人員を、県、あるいは関係の皆さんの支援を受けながら投入をしているのですが、実際の現場では、想定とは違う事態が起き、そのために作業が停滞したり、予定していた羽数の処理がうまくできず、その後追加で人員を派遣するということもありました。
  実際、埋却も、完全に終了ということをどの時点で確定できるかということを、実は当日ぎりぎりまでやっておりまして、場合によってはできないかもしれない、あるいはその前日の殺処分の際も、完了できればということだったのですが、結果として相当長引いてしまったので、24時間以内ということは当然満たしているのですが、我々がこれくらいでできると思ったことが、現場の状況など、作業で頑張っていただいている皆さんの努力をもってしても、少し違う部分がありました。こういったものは、それぞれの養鶏場の状況等があり、いろいろな想定マニュアル等もあるのですが、そのとおりにはいかないなということを正に肌で実感しているところであります。
  今年の鳥インフルエンザですが、環境におけるウイルスの量が例年より相当多いという専門家の分析も出ています。
  したがって、今、一旦落ち着いた状態にありますが、今後も発生する可能性は十分にあります。その際、規模が大きな養鶏場も対象になる可能性はもちろんあり得るわけですので、今回の経験というものを、早期に我々自身がしっかり見た上で、今後様々な事象が起きても安定的に対応できるよう、より内容を精緻に分析して、次の対応に備えて準備をしていかなければいけない、こういう強い危機意識を持っています。

【記者】
  鳥インフルエンザに関して、県で相談窓口を各分野で設置しましたが、どんな相談が寄せられているかということについて伺います。また、知事は風評についても心配していましたが、風評が生じるような事態が起きているのかについて併せて伺います。

【知事】
  まず、前段は窓口の関係であります。11月29日から、関係部局に窓口を設置して、鳥インフルエンザに関する一般的な内容から、人の健康や野鳥に関する事項についても幅広く相談を受け付けています。先週末、12月2日時点でありますが、この時点で、主に人の健康相談として、鶏卵の安全性に関する問合せを中心に合計15件の相談が寄せられています。
  引き続き、鳥インフルエンザに対する県民の皆さんからの御質問に対して、県として丁寧に対応してまいります。
  また次は、風評被害に対する対応であります。現時点において、福島県内から風評の発生が疑われるような情報等は確認されておりません。今回の事案は、生産者に限らず影響が多岐にわたることが想定されることから、発生直後から正確な情報について、県のホームページに掲載しています。
  あわせて、県内の流通販売から消費に至るまで、幅広い関係団体等を通じて発信をしています。
また、小売店等に対しては、職員が巡回して啓発活動を行っています。例えば「福島県産の鶏肉は取り扱っておりません」といったような不適切な表示などが、仮に確認された場合には、丁寧な説明によって改善を求めるなど、風評の未然防止に向けて対応してまいります。ただ当然、今のような表現は(現時点において、)確認されておりませんので、皆さんが一定の冷静な対応をしていただいていると考えております。

 

2 新型コロナウイルス感染症について

【記者】
  新型コロナウイルス感染症について、今、第8波の中にありまして、確保病床については昨日の時点で58.7%ということで、週末は比較的落ち着いて見えるのですが、先週は60%に迫るような状況が続いておりました。
  宣言を出す目安として、確保病床だけではないということは把握しているのですが、現時点でレベル2というような状況にあるのかについて伺います。あるいは、発出する目安についてどのようにお考えか、併せて伺います。

【知事】
  大事な御質問だと思います。少し丁寧に御説明をさせてください。
  先般、国のひっ迫防止対策強化宣言等についての説明会が開催されました。その際、医療ひっ迫防止対策強化宣言等を発出するに当たっては、保健医療への負荷の状況、社会経済活動の状況、感染の状況等を総合的に勘案して判断することという方向性が示されています。
  したがって、この三つの柱を一つ一つ、今の福島県の状況と照らし合わせてお話をしたいと思います。
  まず一つ目、保健医療の負荷の状況についてです。現在、確保病床使用率ですが、6割に近づいています。具体的な数字、最新値ですと、直近は56.0%、最大の59.7%よりは若干いい状況でありますが、いずれにしても50%台後半でありますので、保健医療への負荷が高まっている状況にあります。また一方で、重症者用病床の使用率は低い水準にありますので、現時点で医療の提供に直ちに支障を来すような深刻な事態までには至っておりません。
  次は、二つ目の社会経済活動の状況です。現時点で、商工団体等から、感染に伴う事業継続に対する不安の声等は上がっておらず、また、県庁においても、業務の継続に影響が生じるような状況はありません。
  次は、三つ目の感染状況についてです。新規陽性者数が第7波のピーク時の約8割となっており、高い水準で推移していることから、引き続き注視していく必要があると考えています。
  以上、政府が言っております重要な三点についてお話をしましたが、こういったことを総合的に勘案しますと、現時点で医療ひっ迫防止対策強化宣言等を発出する状況までには至っていないものと考えています。
  しかし、先ほど御指摘もありましたが、保健医療への負荷の状況は日に日に厳しさを増してきています。また、感染状況も第7波のピーク時に迫る勢いにあるなど、予断を許さない状況にあります。このため、引き続き、こういった状況を注視して、適時適切に対応を検討してまいります。
  また、我々自身、とにかく大事なことは、一日一日の新規陽性者数の数を減らしていくこと、抑えていくことだと考えておりますので、県民の皆さん、事業者の皆さんに対して、皆さんのお力をお借りしながら、基本的な感染対策の徹底、これを強く訴えていきたいと思います。
  特に、これから年末年始を迎え、例えば旅行や帰省というものが想定され、県民の皆さんも、忘年会など、普段会わない方々と交流される機会も増えてくるかと思います。
  だからこそ、基本的な感染対策をしっかり励行していただいて、その中で、日々の新規陽性者数を抑えていくことが、私どもが一番心配している医療に対する負荷の低減につながりますので、この点に力を入れていきたいと考えています。

【記者】
  その場合、念のため確認ですけれども、国が示しているそのオミクロン株の新レベルについては、本県は今、レベル2という認識でよろしいですか。

【知事】
  レベルの判断であります。新たなレベル分類について、先般の(国における)感染症対策分科会での議論を踏まえて、その後、政府対策本部会議で正式に決定されました。この新たな分類に基づく本県のレベルについては、その内容を踏まえて、現在調整しておりますので、こういったものが整理できた後に、お示しできる段階になるかと思います。ただ、先ほど言ったとおり宣言を直ちに発出する状況にはないというのが、まず前段としてあります。

【記者】
  他県の場合は、国の強化宣言以外にも県独自のものをつくって、いろいろな注意事項を県民に独自に呼び掛けたり、そういうリーダーシップを発揮されている県もあるかと思うのですけど、本県については、そういったことも含め、どのように展開されていく予定でしょうか。

【知事】
  まず、政府によって設定されている医療ひっ迫防止対策強化宣言、これをどうするかというものが一つ核としてあると思います。
  また、その前段というのでしょうか、各県独自の宣言というものを幾つかの県で出ております。こういったものも、当然可能性としてはあります。
  ただ、各県独自の宣言について、内容を拝見しているのですが、現在、福島県が県民の皆さんにお願いしている内容と変わらないというのが率直なところです。こういう(感染が広がっている)状況ですので、宣言という形で発出するのもやり方としてはあるのですが、(現在、福島県が県民や事業者の皆さんにお願いしている内容と県独自宣言の)内容が変わるものがあるかというと、他県の独自宣言の内容を見ますと、今、私どもがお願いしていることとそれほど変わりはありません。
  そうすると(仮定の話ですが、)県独自の宣言を出し、さらにその後、(感染状況が)悪化した場合において国の宣言(を行うの)がいいのか、あるいは現在行っていることを継続し、(感染状況が)悪化した場合に国の宣言(を行うの)がいいのか、ここは様々模索しているところであります。ただ、現時点において、選択肢を限定するつもりはありませんので、それぞれあり得ると考えております。

 

3 ALPS処理水の処分について

【記者】
  処理水の放出に関して、先日報道で、来年夏以降にずれ込むというような報道がありましたが、県にこの連絡が来ているかということについて伺います。また、(放出の時期が)後にずれ込むとすると、メリット、デメリット両方あり得ると思いますが、その点について、どのように考えるか併せて伺います。

【知事】
  まず前提としてですが、そういったお話は伺っておりません。
  したがって、政府自身、現在は来春に向けてという方針が変わっていないと捉えておりますので、その状況を注視しております。

4 水素を活用した地域におけるグリーントランスフォーメーションの先進モデル構築に向けた基本合意書締結について

【記者】
  先週、山梨県の長崎知事と、水素社会に係る協定がありましたが、どういった波及効果を期待しているかについて伺います。

【知事】
  先週、水素に係るグリーントランスフォーメーション、いわゆるGX、これに関わる基本合意書を、山梨県の長崎知事と共に締結したところであります。こうやって両県の知事同士が、しかも、距離的に離れている山梨と福島のような県が、水素についてお互い一緒に力を入れてやっていこうと締結する例は珍しいと思います。
  この件は、山梨県さんからから非常に熱心な働き掛けを頂きまして、我々も同じ思いで快諾しているところでありますが、今後、田村市において、新しいタイプの水素の製造拠点というものが想定されております。
  御承知のとおり、浪江町には世界有数の水素の製造拠点が既に出来上がっておりますが、(これから予定されている田村の拠点における水素のつくり方は、)その(浪江町での)つくり方とは異なる方法であります。ポイントは「できる限り再生可能エネルギーをいかして水素をつくる」ということで、グリーン水素という言い方でありますが、それがキーワードになろうかと思います。
  実は、既に浪江のものが最大拠点レベル、そして、そこにまた田村市の新たなものが付加されますと、福島県の中に二つの2大拠点ができ上がり、恐らく世界でもトップレベルの製造拠点が浜通りと中通りにそれぞれできる(ことになります)。
  そして、中通りのほうを運営されるのが山梨県さんの団体ということでありますので、グリーン水素、再生可能エネルギーによってつくられた水素を、実際にその地域で、モデル的に使って、今後の水素社会を実現するためのトップランナーになる取組を、両県で一緒にできるということに大きな意義があると考えております。
  特に、本県の場合は、福島第一原発の苛酷な事故を経験し、再生可能エネルギー100%というものを明確な目標にしていますが、その中でも、未来のエネルギーの水素、これが今のままでは実用、実装という段階になっておりませんので、今後の実装化、実用化に向けて、こういったGXのモデル拠点を山梨県さんと力を合わせてつくることには、大きな意義があると捉えております。

【記者】
  今出たお話、水素をつくるに当たって、いわゆるグリーン電力じゃないと意味がないわけです。火力発電所の電気を使って、水素をつくっても何も意味がないので、そこで結局、今FH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)の話も出ましたけども、敷地内に同じ10メガワット級の太陽光パネルをつくれども、不足分が出るわけです。田村につくるものだと6メガワットですので、中規模以上の太陽光パネル施設の最大出力分っていうことになるのではないでしょうか。
  そこで、お聞きしたいのですが、結局、太陽光パネルは、福島県の再エネの主力ではあるのですが、いわゆる太陽光パネルの寿命は20年から30年です。そうすると、震災と原発事故直後、2012年、2013年からつくったとして、もう(寿命が)折り返しになっている。そうすると、仮に2040年に(再生可能エネルギー)100%という時に、そのリプレースは必ず必要になってくる。このあたりの見通しについて、どのように考えているか伺います。

【知事】
  今ほど大事な御質問を頂きました。二つ内容があるかと思います。
  まず、グリーン水素というのは、理念は非常に大事なのですが、簡単ではありません。FH2Rも、今ほど御指摘があったとおり、全て(再生可能エネルギーで)賄えているわけではありませんし、火力発電などの、いわゆる一般の電力をそのまま使った水素製造というものは、本物の再生可能エネルギー、グリーン水素ということにはならないと思います。ただ、できる限りグリーン水素に近づける努力をしているというところに意味があると思います。加えて、そもそも「水素を使って、それをつくる・ためる・運ぶ・使う」ということを、浪江町、あるいは他のエリアも含めて行っておりますが、これをまず先行してやるということには意義がありますので、グリーン水素を生産するところに近づける努力をしつつ、実際にまず(水素を)使って、皆さんに水素が身近なエネルギーなのだということを感じていただくというところは、いずれにしても重要だと思います。
  それから今後の見通しでありますが、おっしゃるとおり、太陽光パネルの耐用年数の問題がありますし、福島県の場合、今、再エネの主力は太陽光エネルギーと、もう一つ、風力があります。再生可能エネルギーは非常にそれぞれのエネルギーに分散、むらがありますので、こういったものをどうやってミックスして使っていくかというところがポイントです。
  また、耐用年数の問題も含めて、現時点で10年後、20年後について明確な見通しが直ちにあるわけではありません。再エネ100%というのは、ものすごく大胆なチャレンジです。(この目標を)最初に導入する際、(当時私は)副知事でありましたが、「本当に2040年できるのか」という不安がありました。
  ただ、今10年間やってきて、我々が想定した以上に、ここまで前に進んでいる。したがってこの先も、今ほど頂いた御指摘も含めて課題はあるのですが、「課題があるからやらない」のではなく、「課題があるからこそ挑戦する意義がある」と考えていますので、御指摘の点も含めて、どうやったら解決できるかということ(を考えながら)、福島県は「原発に依存しない社会をつくる福島」として、再エネ100%に挑戦していきたいと考えています。

(終了)

 

【問合せ先】

○質問事項

1 鳥インフルエンザについて
→農林水産部畜産課  電話024-521-7365
→農林水産部農林企画課  電話024-521-8027

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 ALPS処理水の処分について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

4 水素を活用した地域におけるグリーントランスフォーメーションの先進モデル構築に向けた基本合意書締結について
→商工労働部次世代産業課 電話024-521-8286
(再生可能エネルギーについて)
→企画調整部エネルギー課 電話024-521-8417