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知事記者会見 令和4年12月19日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年12月27日更新

知事定例記者会見

■日時 令和4年12月19日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室

【質問事項】
1 復興特別所得税と防衛費増額について
2 ALPS処理水の処分について
3 県外での除去土壌の再生利用実証事業について
4 原子力政策について

令和4年12月19日 福島県知事  動画を再生する

 

 

【質問事項】

1 復興特別所得税と防衛費増額について

【記者】
  防衛費の増額について伺います。
  防衛費増額に伴い、復興特別所得税の税率の引下げの方針が示されました。福島民報社と福島テレビが共同で行った世論調査においても、6割を超す県民の方が、この流れについて大変疑念を抱いております。
  知事として、この政府の対応や説明というのが十分だとお考えか、また今後どういった在り方が必要か、考えを伺います。

【知事】
  現在、防衛費増額のための財源の在り方と、復興特別所得税の枠組みについて、様々な検討がなされています。こうした状況を受け、県民の皆さんにおいては、「復興に影響が出ないのか」、「復興のための財源が削られるのではないか」といった大きな不安や懸念が広がっています。また、本日の調査結果も、そういった思いを表していると感じております。
  このため、私自身、この件が報道され始めた直後から、秋葉復興大臣を始め、関係の幹部の皆さんと連絡を取り合いながら、この件に対する懸念などをお伝えし、県民の皆さんの不安の声に真摯に対応するよう、強く要請してきたところであります。
  先週16日に公表された与党税制改正大綱において、「息の長い取組をしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き、責任を持って確実に確保することとする」との文言が記載され、一連の要請が反映されたものと受け止めております。
  震災と原発事故という未曽有の複合災害によって、福島県は、避難地域の復興・再生や被災者の生活再建、産業・生業の再生、根強く残る風評、廃炉と汚染水・処理水対策など、様々な課題に直面しており、今後も復興に向けた長い闘いが続きます。このため、第2期復興・創生期間における復興財源総額の堅持はもとより、それ以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、中長期にわたり必要な財源が確保されることが不可欠であります。
  今後も、あらゆる機会を通じて、国が福島の復興に最後まで責任を持って対応するよう、強く求めてまいります。

【記者】
  今回、その懸念の根本というか、復興税の方には手をつけないという説明でしたが、そういった仕組みも大変分かりづらく、議論が尽くされているのかというのも不透明だと思います。
  その辺りについての考えを伺います。

【知事】
  今回、1週間ほどの間に二つの段階があったかと捉えております。
  まず第1段階は、12月10日から11日にかけて、一連の報道が出始めました。その中では、防衛費の財源として、復興特別所得税の一部を活用する案が浮上、あるいは防衛費増額の財源として、復興特別所得税の一部を転用する案の検討、こういった報道がなされたところであります。
  これは正に、復興財源を削って防衛費に転用するという趣旨に受け止められかねないものでありました。したがって、直ちに復興大臣を始め、与党の幹部に直接電話をして、これはどういう趣旨であるかということを質したところ、「復興財源総額を削ることは一切ない」ということを明確に、その関係の皆さんはお話されました。
  ただ、私(知事)は電話をしていますから、直接(その話を)聞くことができますが、報道が先行する中で、県民の皆さんからすると、私が感じたような、正に心配、懸念、不安を持たれることは当然だと思います。
  そこで、特に復興大臣に申し上げたのは、ちょうど(12月11日の)日曜日に福島県の浜通りに来られており、大臣自身が「それはないんだ」ということを非常に強く私にお話をされたので、私に言うのではなく、県民に届くようにその思いを届けてほしいというお話を伝えました。
  その結果、12月11日、楢葉町でのぶら下がり会見において、復興庁としては「復興財源が防衛費に使われるということは断じてないと理解しており、復興財源の確保が大前提であり、一部誤ったミスリードがある」ということをおっしゃられ、また、その後、ツイッターにも同種の内容を掲載しておられましたが、まず復興大臣として、復興財源の総額確保は大前提なのだということを明確にされました。
  そして、その翌日、先週の月曜日でありますが、松野官房長官自身から、復興のための財源を損なうようなことは考えていないということで、一定の方向性を示していただきました。官房長官、あるいは復興大臣が、今回の様々な議論の大前提について明示していただいたこと、これは重要だと思います。
  ただ一方で、また第2段階として、その後、このフレームの転用案については、与党の中でも、国民、今回の世論調査にも出ているように県民の皆さんの中でもいろいろな御意見がある、これが現実であります。
  今回のこの議論は、国が引き続き、継続されていくものと受け止めております。県としては、あらゆる機会を通じて、福島の復興がいまだ途上であること、また復興を進めるためには、復興財源の確保が大前提であることを訴えていきます。
  特に、先ほど第1段階、第2段階と言いましたが、今用意されている復興財源総額というのは32.9兆円、その一部にこういった税源が使われているわけでありますが、これはもう、おおむね使用が終わりつつある財源でありますので、この確保は当然でありますが、先ほど冒頭の説明でもお話したとおり、第2期復興・創生期間以降の中長期にわたる財源確保、これが極めて重要であるということを、先週の後半、先ほど言ったような政府与党の幹部に強くお話を申し上げました。そういった流れの中で、結果、与党の税調の税制改正大綱の中に、将来にわたる財源についての記載が明記されたということは、大事な前進であったかと思います。
  ただ、いずれにしてもこの1週間余り、報道をきっかけとした議論に始まって、県民の皆さん、あるいは国民の皆さんの中に様々な誤解、懸念も残っているかと思います。今後、来年に向けて、こういった議論が続いていくかと思いますが、政府として、明確に前提条件を明らかにして説明をしていくこと、これがまず非常に重要だと、私自身、今回の一連の経過を見ていて感じているところであります。

【記者】
  復興所得税の問題でお伺いします。
  そもそも、復興所得税というのは、東日本大震災の甚大な被害に対して、国が全額復興の費用を持つということに国民が共感を持って、一定の税金を長期間にわたって許容するということで決着しました。知事は先ほど、その財源の確保は安心材料だということを言われましたが、本来、財源が確保されるかどうかは別にしてでも、手をつけるべき代物ではないと思うのです。
  もともと、復興に対して理解を得て、所得税を集めるという話なので、それ自体、手をつけるというのは、国民に対する背信であるし、知事も実際感じてらっしゃると思いますが、風化も進んでいるわけです。その復興所得税自体に対する理解というのも、どのくらい得られるのかという問題も出てきている中で、手をつけるべきではなかったと思いますが、この点について考えを伺います。

【知事】
  今、記者さんからお話があったような御意見、正に与党内、あるいは国民の中でもそういった声が上がっているという状況は理解しております。
  また、私は先ほど、第1段階、第2段階が1週間の中であったというお話をしましたが、特に第2段階において、県民の皆さんの中に、この防衛費と復興特別所得税の関係について疑問の声があるということを、率直に復興大臣あるいは与党の幹部の皆さんにお伝えをしているところであります。そういったもの全体を受けて、正に防衛費の確保については、国として、引き続き議論されていくものと受け止めております。
  また、福島県としては、先ほどからお話をしておりますが、あらゆる機会を通じて、福島県の復興がいまだ途上にあること、そして復興を進めていくためには、復興財源の確保が大前提であることを、繰り返し強く訴えてまいります。

 

2 ALPS処理水の処分について

【記者】
  県民世論調査の結果についてお尋ねいたします。
  処理水の海洋放出についてですが、今回の調査でも、およそ半数の県民の方が、「海洋放出について理解が広がっていない」という結果が出ました。
  前回調査ともほぼ横ばいの状況でして、この調査結果について、まず知事としてどのように受け止められているのかという点と、あわせて、国と東京電力の理解を得るための取組について、どのように評価されているのか伺います。

【知事】
  ALPS処理水の取扱いについては、今なお海洋放出に反対される意見や、新たな風評の発生を懸念される声、陸上保管による復興への影響を危惧される意見など、様々な意見が示されております。
  ALPS処理水の問題は、福島県だけではなく日本全体の問題であり、県民、国民の皆さんの理解を深めていくことが重要であります。
  国においては、丁寧かつ十分な説明を重ねるとともに、関係者の声にしっかり耳を傾け、その思いを真摯に受け止めながら、信頼関係を構築し、理解が得られるよう取り組んでいただきたいと考えております。
  その上で、行動計画に基づき、政府一丸となって、万全な風評対策に責任を持って取り組むべきであると考えております。

【記者】
  正に春頃、来年春頃の海洋放出の方針が示されてから、弊社と福島民報さんでも、同じような調査を続けていますが、理解というところが、結果としてなかなか広まっていないという、その変化が出ていないという状況で、県としての取組の必要性ですとか、これまでの国・東電の取組の不十分さであるとか、その辺りの評価について、知事の考えを伺います。

【知事】
  今回のこういった世論調査の結果を政府あるいは東京電力も踏まえた上で、行動計画に基づく次の対応というものに、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
  また、県としては、機会あるごとに、この処理水の問題については、万全な風評対策をしっかり行っていくことと、正確な情報発信を国内外に対して理解が得られるよう、理解を深めるよう取り組むべきということを、お会いするたびに訴えているところであります。今後とも、こういった取組を知事として継続してまいります。

【記者】
  処理水について、経済産業省で、全国に理解醸成を深めるためのCM、あるいは広告等の取組を始めました。これについて、知事自身の感じている効果について伺います。
  また一方で、県民の方からは、(広報について、)お金がかかる割に「なかなかどの程度理解してもらえたか」のフィードバックが分かりづらいというような声も聞かれましたが、その点も踏まえて、考えを伺います。

【知事】
  先週から、ALPS処理水について、国が全国地上波のテレビCMや新聞広告などで広報活動を実施しています。国においては、行動計画に基づき、様々な媒体を活用した情報発信に取り組んでいるところであります。
  ALPS処理水の問題は、先ほども申し上げたように、福島県だけでなく日本全体の問題であり、国民や県民の皆さんの理解を深めていくことが重要であります。引き続き、国が責任を持って、正確な情報を分かりやすく国民や県民の皆さんに発信していくとともに、行動計画に基づいて、政府が一丸となって万全な風評対策を講じていくよう求めてまいります。

【記者】
  一定効果はあるものと期待している、ということでよろしいですか。

【知事】
  今、正にスタートしたところであります。
  今後、どういった効果が出ているのか、(広報を)御覧になった方々、そういった方々の受け止め方等も政府において分析し、その次の情報発信の在り方について検討されるものと考えております。

 

3 県外での除去土壌の再生利用実証事業について

【記者】
  先週の金曜日、16日に埼玉県所沢市で行われました除染土の再生利用実証事業住民説明会についてですが、風評について、県外の方々が懸念されている声があるということが今回、改めて分かったと思います。
  (事業に)賛成する声はなかったようで、主に反対するような声が多かったとお聞きしていますが、知事としての受け止め、それから、今後どのような発信が必要になってくるとお考えでしょうか。

【知事】
  県外における除去土壌の再生利用実証事業については、国の責務である県外での最終処分の実施に向けた具体的な取組の一つであると受け止めています。
  事業の実施に当たっては、地域の理解が何よりも重要であります。このため、放射線に関する安全性等を事前に分かりやすく説明するなど、新たな風評や不安が生じることがないよう、丁寧な対応を行う必要があります。
  また、国においては、この実証事業を通じて、科学的データに基づく正確な情報発信と丁寧な対話を行うなど、全国民的な理解の醸成にしっかり取り組んでいただきたい、このように考えております。

【記者】
  現実として、住民説明会開くと反対の声が多いということについては、率直にどのように受け止めていますか。

【知事】
  今(事業への取組は)、正にスタートしたところかと思います。
  今回の説明会の状況等も踏まえながら、先ほど申し上げたように、政府自身が、国の約束として、県外最終処分というものがありますので、これに向けて、丁寧に着実に取り組んでいくことが重要だと考えております。

【記者】
  除去土壌の関係ですが、先ほどの質問にもあったように、福島を応援したい気持ちはあるのだけれども、自分の近くに(除去土壌が)来ると心配だというのは、知事が今おっしゃったように、日本全体の問題であるにも関わらず、「風評の前に安全性」というところで、国民全体の理解というのがまだまだ深まっていない、課題があるということの象徴かと思うのですけれども、この点について、改めて受け止めを伺います。また、何が必要かということについても、併せて伺います。

【知事】
  震災、原発事故から11年余りが経過しています。この間、我々は、例えば県産農林水産物の風評の問題に、正に真正面から取り組んできました。
  特に、原発事故以降、数年間の間に、農産物の安全体制を確立して、科学的に見て安全で安心ということが証明できる農林水産物を国内あるいは海外に対して提供し、是非、笑顔で食べてほしい、これが我々福島県民の強い願いであります。
  ただ、残念ながら、一定の風評というものは国内外において、簡単に取り除くことはできなかった。あと、海外の規制も御承知のとおり、まだ12の国・地域で残っているところであります。また、今回の問題は、ノットインマイバックヤード、NINBYの問題も含んでおりますので、こういった部分というもの、科学的安全と社会的安心の問題は、直ちにイコールにはならないというジレンマがあろうかと思います。
  我々自身、正に当事者として、この12年近く苦労に苦労を重ねてきておりますが、政府も、今回の原子力災害は、正に当事者であり、責任を持つ立場でありますので、この問題に真摯に向き合い、一つ一つ成果を上げていただきたいと考えております。

 

4 原子力政策について

 

【記者】
  国の原発政策について伺います。
  先週、経済産業省の審議会では、国が今後、前面に立って再稼働を加速させることですとか、次世代原子炉の開発・建設、そして実質60年以上の運転期間の延長など、こうした方針が取りまとめられ、今週にも政府の方で正式決定をする見通しというようなことを聞いています。
  原発事故を経験した福島県として、こうした方針に多くの県民の方が違和感を持って見られる方もいらっしゃるかもしれません。
  福島県として、しっかりと情報、考えを発信していくことが非常に重要ではないかと思いますが、この点、知事はどのような考えか伺います。

【知事】
  今、お話しいただいた思い、特に県民の皆さんの思いとしては、今日の世論調査の結果の一つにも表れているかと考えております。
  原子力政策については、福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国自身が責任を持って対応していくべき重要な案件だと考えております。
  福島県は、2011年3月の原発事故以降、原子力に依存しない社会づくり、これを本県復興の基本理念に掲げて、様々な具体的な取組を進めています。
  県としては、2040年までに県内エネルギー需要の100%以上を再生可能エネルギーから生み出すという目標に向けて、これからも様々な取組を継続していきます。
  福島県民の皆さんは、12年前のあの苛酷な事故を経験されています。二度と繰り返してはいけない、二度と私たちのような体験をしてほしくないという強い思いを持っておられます。私自身、県民のこうした強い思いを国内外に対して、また政府に対して発信し続けてまいります。

 

(終了)

 

【問合せ先】

○質問事項

1 復興特別所得税と防衛費増額について
→企画調整部企画調整課  電話024-521-7129

2 ALPS処理水の処分について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

3 県外での除去土壌の再生利用実証事業について
→生活環境部中間貯蔵・除染対策課  電話024-521-7276

4 原子力政策について
→企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116