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知事記者会見 令和5年8月29日(火)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年9月1日更新

【発表事項】

1 令和5年度9月補正予算の概要について

 令和5年度9月補正予算の概要を発表いたします。
 今回の補正予算は、ALPS処理水の海洋放出により懸念される風評への対策や自然災害に備えた防災力の強化など、緊急に措置すべき経費について計上いたしました。
 その主な内容といたしましては、風評対策として、本県への更なる理解を促進するための正確な情報と魅力の発信、モニターツアーを通じたホープツーリズムの一層の推進、「常磐もの」を始めとする県産農林水産物の魅力発信の強化や更なる販売促進、自然災害への備えとして、河川の改良復旧による防災力の強化であり、これらに要する経費を計上いたしました。
 以上により、一般会計における補正予算の総額は、54億1千5百万円、本年度予算の累計額は、1兆3,533億9千万円となります。

2 新型コロナウイルス感染拡大に伴う注意喚起について

 次に、新型コロナウイルス感染症についてです。
 本県では、定点当たりの報告数が25.27人と、前週と比較して2倍近く増加し、入院者数も急増しました。
 感染の拡大が続けば、医療機関への負荷が高まるとともに、高齢者や基礎疾患のある方への感染による重症化も懸念されます。
 そこで、改めて県民の皆さんにお願いです。
 御自身はもとより、周りの方、そして、大切な方への感染を防ぐため、熱中症にも注意しながら、換気や場面に応じたマスクの着用、手洗い・手指消毒などの基本的な感染対策をお願いします。
 また、発熱やのどの痛みがあるなど、普段の体調と異なる場合は、出勤や登校を控えるなど外出に留意するとともに、検査キットによる自主的な検査を行うなど、「うつさない」行動を心掛けていただくようお願いします。
 感染を抑え込むためには、感染の連鎖を断ち切らなければなりません。
 そのためには、お一人お一人の「基本的感染対策」と「うつさない行動」が極めて重要です。
 県民の皆さん、事業者の皆さんの御理解と御協力をよろしくお願いします。

【質問事項】

1 令和5年度9月補正予算の概要について

【記者】
 補正予算についてお聞きいたします。
 処理水に関しまして、県としての新たな対策というところで予算を計上されたと思います。
 今回、情報発信の強化という、中国などを始めとした誤った認識による妨害行為みたいなものが見られる中で、正確な情報発信をすることが重要だと思います。
 今回、特に措置した中身の狙いを伺います。

【知事】
 ALPS処理水の海洋放出に伴う影響については、まず当事者である国及び東京電力が前面に立ち、全責任を持って対応すべきものと考えています。
 その上で、福島県としても、震災以降、根強い風評の払拭に継続して取り組んできました。
 そうしたこれまでの取組に加え、新たな風評への懸念にも対応する必要があることから、今回、喫緊の対策を講じようとするものであります。
 具体的には、大消費地に向けた福島県産品のきめ細かな情報発信やモニターツアーを通じて、実際に「福島の今」を体感していただく取組を強化してまいります。
 また、私自身が先頭に立ち、「常盤もの」を始めとした県産農林水産物の魅力、品質の高さ、おいしさを県内外の事業者の皆さんに直接お伝えするなど、より効果的な手法や対象地域の拡充を図ってまいります。
 当初予算で計上している風評対策の事業との効果的な連携も図りながら、福島県としての取組を進めてまいります。

【記者】
 もう一点確認です。放出が始まったということで、状況が変わってきているということを踏まえての対策と受け止めについてよろしいでしょうか。

【知事】
 先週、24日にALPS処理水が海洋放出されました。
 そしてその後、モニタリング検査が日々行われ、またその結果も出てきております。
 検出限界値未満というデータが蓄積されていくというこのエビデンスも非常に重要だと思います。
 こういった科学的な事実や今回の海洋放出のシステム、それに対し、IAEAを始め、世界の多くの国々にしっかり評価していただいているということも含め、これを大前提として、福島県産の水産物、安心しておいしく食べていただけるんだということをしっかり発信していくことが重要です。
 特に、これまで取り組んできた事業に加え、大切なのは大消費地に対するメッセージだと思います。
 首都圏、関西圏、また新たに中部圏等も含めてでありますが、人口の多い地域の皆さんに、より福島県の情報が届くような工夫を、今回の9月補正予算によって講じていきたいと考えています。

【記者】
 9月補正の方で、風評対策のお話がありましたが、基本的にこれまでの施策の強化ということになるかと思います。新しいところでいうと愛知県でのイベントの参加ということがありますが、新しくやるということで他にどういったことがあるのか伺います。

【知事】
 例えば、「チャレンジふくしま戦略的情報発信事業」ですが、新しい媒体を活用した映像による情報発信ということで、関東地方のテレビキー局におけるCMの放映及びTVerにおける広告の配信、「ふくしまの魅力情報発信連携事業」として、首都圏を一か所追加します。また、関西圏は三か所追加をします。そして東海地方、これまで対象になっておりませんでしたが、新たに対象地域としています。
 また、ホープツーリズムの関係ですが、分野別のモニターツアーを開始します。それによって、ツアー参加者が実際に浜通りを訪問して、彼ら自身に正確な情報発信をしていただきます。
 例えば、国、東京電力、県の情報発信ももちろん大事ですが、実際に「来て」、「見て」、「食べて」、「感じて」いただいたことをSNS等で発信していただく。これが非常に共感を呼ぶということを、我々はこの12年余りの経験で実感しておりますので、このモニターツアーに力を入れていきたいと思います。
 また、県内の消費者の関係で言いますと、情報発信の強化ということで、産地市場の見学会を開催して、実際に、県民の皆さんに見ていただくという取組も新たに行います。
 実際に、普段なかなか行くことがない市場に行って、こういう努力をしているんだな、活気があるんだな、新鮮な魚はこういうところから届くのかということを知っていただくことで、より魚を食べてみようという思いにつながる部分もあろうかと思います。
 例えば、先ほど言ったような大消費地に向けたエリアの拡大も重要ですし、ホープツーリズムであったり、県内市場を見ていただくといったきめ細かいところを、今回の9月補正予算で重点的に、新たに力を入れていきたいと考えています。

2 ALPS処理水の海洋放出について

【記者】
 二点あります。
 まず処理水についてなのですが、中国が全面禁輸したことにより、九州や北海道で取引が多かった地域にも影響が出ています。そうすると、今知事がおっしゃったように大消費地でも、他県の魚、海産物もだぶついている状況になり得ますので、総体的に福島の魚が選ばれにくくなるのではないかという懸念がおありなのかという点と、政府が用意していた300億円の基金について、他県でも手が挙がっているということで、これも総体的に福島県の漁業者への支援が少なくなる可能性もあるかと思うのですが、その辺り政府に求めたいことを伺います。

【知事】
 まず今回のALPS処理水の放出によって、福島県は当然でありますが、それ以外の近県であったり、あるいは北海道から九州まで、様々な形で影響が及んでいるというのが、今の国内の現状であります。
 私自身は福島だけということではなく、日本全体でこの問題に取り組んでいくことが非常に重要だと思います。
 例えば、今回、中国あるいは香港、マカオ、水産物の輸入停止という問題は、オールジャパンでの深刻な問題であり、これは正に福島プロブレムではなく、ジャパンプロブレムだということの一つの象徴だと思います。この問題には、国を挙げて、日本全体でしっかり取り組んでいくことが重要だと思います。
 したがって、どこの地域がどうということだけではなく、みんなでこの苦境を乗り越えていこうという思い、ムーブメントがとても重要だと思います。
 24日に放出が開始されて以降、大阪府の吉村知事、また東京都の小池知事、そして宮城県の村井知事など、多くの知事が自分の庁舎の食堂で、福島の海産物を是非使って、多くの方に食べてもらう、また自分も食べるよという笑顔でのメッセージを頂いています。
 また、昨日、いわき市の内田市長からお話がありましたが、いわき市のふるさと納税です。いわきの海産物を応援したいということで、非常に多くの方々から、あっという間に1,700万円を超える寄附をしていただいているという事例もあります。
 また、食品を扱っていただいている方々や飲食店も、福島県のものを応援する、これは非常にうれしく思いますし、また一方で、北海道でも九州でも各地で御苦労されている以上、お互いに支え合っていく。
 2011年の東日本大震災直後の「日本全体で頑張ろう」というあの雰囲気が、今また必要なのではないかなと考えていますし、私自身、肌感覚として、その盛り上がりが出てきているのかなという希望も感じています。
 また、福島県庁の取組でありますが、今、県庁の議会食堂、あるいは杉妻会館、県立の美術館、博物館、アクアマリンふくしまにも食堂があり、多くの方々に利用していただいていますが、そこでも当然福島県産の魚を使いたいと思いますし、また、各県、御苦労されているホタテ、そういったものを、お互いに助け合うということで、使っていくことも非常に意味があると思い、現在、調整しています。
 実は、各県から非常に引き合いが多く、福島県産の魚をどのようにして新鮮なおいしい状態で届けるかなど、いい意味で忙しい状況になっておりますので、これはお互いに助け合う、福島のものだけではなくて、オールジャパンで一緒に支え合うという取組を是非やっていきたいと思います。
 また基金のお話がありました。
 やはり、国において300億、500億の基金を有効に活用していただいて、今一番苦しんでいる漁業者の皆さん等をしっかり支えていただきたいと思います。また逆に言えば、品質の高い日本産の水産物を、国民の皆さん同士でおいしく笑顔で食べて応援できるチャンスでもありますので、私自身も発信しますし、また政府においても、是非オールジャパンで、この困難を乗り越えていこう、こういうメッセージを出していただければありがたいと考えています。

【記者】
 もう一点、処理水の海洋放出に伴う中国からと思われる迷惑電話について、昨日の段階で県内の状況、現状把握を進めているということでしたが、進捗について伺います。また、改めて認識もあわせて伺います。

【知事】
 先週、ALPS処理水が海洋放出されて以降、福島県内の飲食店や旅館、自治体や学校などに中国からと思われる電話や非通知の電話が相次いでいます。その結果、業務に支障をきたしているとの相談が福島県警に寄せられているという報告を受けています。こういった行為は大変遺憾であります。
 また、中国の日本人学校等に対して、投石などの嫌がらせ行為が行われているとの報道も拝見しており、こうした状況を非常に憂慮しております。迷惑電話については、実態の把握に努めるとともに、県警と連携し、海外からの迷惑電話を遮断する方法などについて、ホームページ、メール等を通じて、引き続き周知を図ってまいります。
 また、昨日、私から西村経済産業大臣に対し、政府が一丸となってこの問題の早期鎮静化に努めていただくよう求めたところであります。昨日時点でありますが、福島県庁の代表電話に約1,000件、市町村に対しては約1,500件の迷惑電話があったことを確認しております。
 その内訳を見てみますと、市町村にかかってきた電話のうち、約半数の770件が福島市にかかってきたものであります。これは突出しています。このため、こうした迷惑電話の多くは、「福島」というキーワードを探して行っているのではないかと考えております。
 また、飲食店、旅館、病院、薬局などにおいては、業務の円滑な運営に支障が生じているという苦労を伺っておりますので、関係団体のお力を借りながら、引き続き実態の把握に努めてまいります。
 また、福島県庁における、その後の迷惑電話の状況を確認しました。本日の12時時点の集計ですが、昨日の1,000件から、500件余り増えまして、1,576件の迷惑電話の確認をしております。
 こういった状況を踏まえ、今後、政府において、やはり一丸となって対策を講じていただきたいと思いますし、早期に鎮静化をしていただくよう、私自身も今後機会を捉え、政権幹部に対し強く求めていきたいと考えています。

3 双葉町の避難指示解除から1年について

【記者】
 双葉町の避難指示解除から1年になります。
 今、移住者の方も含めて90人程度お住まいになっているというふうに伺っていますが、それの受け止めと、県内で他の自治体でもまだ避難を続けている方がいらっしゃって、12年間避難を続けるという意味も世の中で分かりづらくなってきているかと思うのですが、現状を踏まえて知事として社会の人々に伝えたいことと、政府に求めることを伺います。

【知事】
 双葉町の特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されてから、明日で1年が経過します。
 この間、町民の皆さんの懸命な努力と国内外からの温かい応援を頂く中で、双葉町は、復興に向けた新たな歩みを進めています。心から敬意を表したいと思います。
 解除後、JR双葉駅西側に整備された町営住宅では、町民の皆さんの入居が開始され、近隣には町の診療所が開設されました。また、中野地区産業拠点においては、企業誘致が進むなど、この1年の間に復興・再生に向けた様々な取組が進められています。
 また、フタバスーパーゼロミルは、今非常に珍しい光景だということで、テレビでも取り上げていただいているところであります。
 一方で、いまだに町の面積の約9割を占める帰還困難区域では、避難指示が続いています。
 医療、介護、子育て、教育、買い物などの環境整備、住まい、働く場の確保など、多くの困難な課題を抱えています。
 県としては、双葉町の更なる復興に向けた力強い後押しとなるよう、引き続き、双葉の町民の皆さんが安心して暮らせる環境づくりに取り組んでまいります。
 特に重要なことは二つございます。
 一つ目は、元々双葉町に住んでいただいていた皆さんが安心して古里に帰れる状況をつくること。そのためにやるべきこと、今ほど申し上げたようにまだまだたくさんあります。
 二つ目は、移住される方が増えていることです。今でも、双葉町に居住されている方は(町内全体で)86名程度かと思いますが、その内の6割、7割が移住者の方々です。
 先週お会いしてきましたが、非常に意欲を持っておられます。しかも若い方が多い。逆に、この双葉町はこれからスタートなんだということを非常にポジティブに捉えておられて、自分自身がその復興に関わって、成果を出していくことができるという自信を持ち、いろいろなチャレンジを続けてくれています。
 元の古里に帰る住民の皆さん、そしてまた、移住される方が一緒になって新しいコミュニティーをつくって、双葉町のこれからの未来を築いていく。
 1年経ったところで、ここが一番の勝負どころ、ポイントかなと考えています。

4 新型コロナウイルス感染症対策について

【記者】
 コロナ対策について伺います。先ほど急増しているというお話がありました。医師会は県内が第9波に入った可能性もあるとの認識を示していますが、県内の感染状況の認識についてどう思っていらっしゃるか、また新たな対策や支援策が必要な段階と捉えているかについて伺います。

【知事】
 まず、現在は、新型コロナウイルス感染症が従来の2類相当から5類に移行しています。2類相当当時と今とでは、基本的な状況が全国で異なるということを心に置いていただきたいと思います。
 したがって、後半の御質問ですが、福島県としては、まずこういった注意喚起を行い、県民の皆さんにしっかり基本的な感染対策を行っていただくこと。例えば、ちょっと熱っぽいなとか、のどががらがらする、いがらっぽい、こういう症状のある方がいつもどおり学校に行ったり、仕事に行ったり、あるいは飲みに行ってしまうと、周りの方に結果として感染させてしまう可能性が非常に高いです。
 今回、夏休みのちょうどお盆の期間を経て倍増に近いぐらい増えていますが、人と人との交流がある中、若干症状のある方が交流に加わり、結果、その方が陽性だった場合に、周りの方にどうしても感染が広がってしまいます。
 したがって、そうしたことに関する注意喚起、私自身も先ほど申し上げましたが、是非今日集まっていただいている記者クラブの皆さんの力も借りて、基本的な感染対策を改めて申し上げたいと思います。
 そして、認識であります。福島県の感染状況を踏まえると、第9波の状況にあると考えております。新規感染者数、入院者数が高い水準にありますので、この状況を注視しながら、先ほど言ったようなことも含めて、県民の皆さんに注意喚起し、意識の醸成に努めていきたいと思います。
 一方で、夏休みで一番人が動く時期はもう過ぎて、子どもたちの夏休みが終わって通常の活動になっておりますので、急激な人流の激しさは、今いい意味で落ちついてきたと思います。基本的な感染対策を徹底することによって、ある程度平準化していき、社会活動・経済活動・交流活動、こういったものをしっかりと持続できるように、感染対策も続けていきたいと考えております。

5 猛暑による県産農産物への影響について

【記者】
 猛暑日が続いておりまして、県産の農産物への影響に対する懸念とその支援策というところ何か考えていらっしゃるところがあれば伺います。

【知事】
 今年は異例の猛暑であり、国連においても「沸騰している」というワードが出るぐらいでありますが、県民の皆さん、この猛暑を実感し、熱中症対応など、非常に気を配っていただいていることと思います。
 農家の皆さん、特に農業用ダムの関係が、春先からかなり厳しい状況にありました。そのため、特にお米の出穂期、穂が出る時期等も含めて、できる限り計画的に農業用水の配分を行った結果、現時点では、多くの地域において、何とか対応はできているかと思います。
 ただ、やはり品質の確保という面で、これだけの異常な高温ということになりますと、農産物に一定の影響が出る可能性はあるかと思います。私自身、いろいろなお話を聞き、特にJAの関係者とも話しておりますが、今、例えば果物であったり、お米の生育状況であったり、暑い中、一生懸命手をかけてやっていただく中で、何とかそういった猛暑による影響も最小限に抑えていければと考えております。
 現時点では、まずはこの猛暑対応を、農林水産部を通じて、極力、きめ細かく地域ごとに指導を行って、アドバイスをしながら、この後の実りの秋を迎えたいと思いますし、今後の事態を注視し続けていきたいと思います。

 

(終了)

○質問事項
1 令和5年度9月補正予算の概要について
 →総務部財政課 電話024-521-7027
 →企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129

2 ALPS処理水の海洋放出について
 →危機管理部危機管理課 電話024-521-7302
 →危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
 →企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
 →農林水産部農林企画課 電話024-521-7315
 →農林水産部水産課 電話024-521-7375

3 双葉町の避難指示解除から1年について
 →企画調整部避難地域復興局 避難地域復興課 電話 024-521-1178

4 新型コロナウイルス感染症対策について
 →新型コロナウイルス感染症対策事務局(総括班) 電話024-521-7262

5 猛暑による県産農産物への影響について
 →農林水産部農業振興課 電話024-521-7337