ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 「チャレンジ県ふくしま! ~ 福島県知事 内堀雅雄のページ ~」 > 定例記者会見 > 令和2年度 > 知事記者会見 令和2年12月28日(月)

知事記者会見 令和2年12月28日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年12月28日更新

知事定例記者会見

■日時 令和2年12月28日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室

【発表事項】
県民の皆さんへ

【質問事項】
1 復興拠点外の新たな避難指示解除要件について
2 新型コロナウイルス感染症について
3 原子力損害賠償請求権の消滅時効について
4 トリチウム水の処分方法について

令和2年12月28日 福島県 知事   動画を再生する

 

【発表事項】

 県民の皆さんへ

 令和2年の年の瀬を迎えました。今年は、新型コロナウイルス感染症が世界各国で猛威を振るい、福島県においても、県民の皆さんの命と生活を守るため、感染症対応に総力を挙げて取り組んだ一年でありました。
 そのような中、県民の皆さんの懸命な御努力と国内外からの温かい御支援により、双葉町や大熊町、富岡町の帰還困難区域の一部地域で避難指示が解除されたほか、JR常磐線が全線で運転を再開し、福島ロボットテストフィールドや東日本大震災・原子力災害伝承館等の新たな拠点施設が完成するなど、本県の復興は着実に進展しております。
 一方で、今もなお多くの方々がふるさとを離れ、震災から10度目となる年末年始を迎えようとしておられます。 また、復興の途上にある中、昨年の東日本台風等による甚大な被害や、今般の新型感染症による深刻な影響など、本県は三重四重の困難を抱えております。
 引き続き、急速な感染拡大を見せている新型感染症に対して、これまで以上に強い危機意識を持って臨み、県民の皆さんの安全・安心を確保するため、感染拡大防止を図りながら、社会・経済活動の維持、再生に全力を尽くしてまいります。
 さらに、県民の皆さんを始め、本県に思いを寄せてくださる方々と共に、未曽有の複合災害からの復興・再生と福島ならではの地方創生を両輪で進め、福島の新しい未来を形作るための挑戦を続けてまいります。
 日々、寒さが厳しくなってまいりました。皆さんには、お体を大切にされ、健やかに新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げ、年末の挨拶といたします。

【質問事項】

1  復興拠点外の新たな避難指示解除要件について

【記者】
 先日、原子力災害対策本部で避難指示解除の新しい要件が決定されました。その中で、「除染」という文言がなくなるということと、土地活用を行う場合の環境整備を行う主体について書かれていました。これまで避難区域の除染は、実質的に国が進めてきており、原状回復という意味合いが含まれていたと思いますが、除染は原状回復であるという地元の思いが届いていないと思う面と、これから先、(震災から)10年が過ぎた後に国の関与がどうなっていくのかが懸念されます。知事の受け止めを伺います。

【知事】
 先日、国の原子力災害対策本部で決定された新たな避難指示解除の仕組みについては、土地活用を主な目的として、地元自治体に強い意向がある場合に限り、特例的に適用されるものと考えております。特定復興再生拠点区域外については、国に対して、各自治体の意見を尊重しながら、丁寧に協議を重ね、除染を含めた具体的な方針を早急に示し、帰還困難区域全ての避難指示解除について責任を持って対応するよう、様々な機会を捉えて、私自身が訴えているところであります。引き続き、国や地元自治体と連携をしながら、帰還困難区域の復興・再生に向けてしっかり取り組んでまいります。

【記者】
 知事も以前から「特例」とおっしゃっていると思いますが、「土地活用を行う者等」と国以外の主体が書かれていることに対する懸念はありますでしょうか。

【知事】
 今回の新しい措置は、県内のある自治体からの強い要請を受けて特例的に対応が講じられたものと考えております。私自身、帰還困難区域を含む町長、村長と幾度も意見交換を行っております。皆さんからは、これまでの原則どおり、しっかりと除染を行い、さらに、生活インフラを再生しながら、地元の皆さんが安心して古里に帰ることが出来る環境づくりを進めた上で避難指示を解除して欲しい、すなわち、従来どおりの原則を徹底して欲しいという強い訴えを伺っております。
 こうした声を私自身の根幹に据えながら、先ほど申し上げたとおり、自治体の意向を尊重して、また、早急に区域外の方向性を示すよう、国に対して訴えているところでございます。
 これからもこういった自治体の強い意向を、私自身が尊重しながら、また、国においてもそういったものを踏まえながら、従来の原則を大事にして対応していくことを求めてまいります。

2  新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 今日から福島市では、時短営業と、市民の方への外出自粛の要請が始まります。改めて、知事から、福島市あるいは県全体に向けて、年末年始どのように過ごして欲しいかお伺いします。

【知事】
 今年1年は、新型コロナウイルス感染症によって、私たち自身が翻弄された1年だったと考えています。
 特に、3月24日に東京オリンピック・パラリンピックが1年延期することが急きょ決定されました。26日からの聖火リレーグランドスタートの1日半前という非常に急な決定でした。私自身は、この日を境に、新型感染症との闘いの1年に切り替わるタイミングだったと考えております。その後、福島県は、第1波、第2波、現在は第3波に真正面から向き合う日々が続いています。
 そういう中で、福島市の感染状況を重く捉えております。具体的な数値を申し上げますと、今年の10月は福島県全体の感染者が135名でした。そのうち福島市が6名、したがって割合は4.4%です。そして、先月11月は県全体が113名、そのうち福島市分が35名ですので31.0%と割合が上がってきています。そして、今月は現時点で、全体で385名に対し、福島市分が263名ということで68.3%と、急激に感染が拡大している状況にあります。こうした状況の中で、先週、事業者の皆さんに特措法に基づく時短要請を行う事態になりました。福島市内の事業者の皆さんには、年末年始の12月28日から1月11日まで、大変な御負担を掛けることになりますが、何とか今の窮状を御理解いただき、御協力を頂ければと思います。また、福島市長からの要請もあり、福島市の皆さんに対しては、年末年始の会合、帰省あるいは初詣等も含めて、出来る限り自粛していただくように、県としてもお願いをしているところです。
 また、福島県全体については、先ほど、県全体の感染者に占める福島市の割合が増えてきたという話をしました。今月、福島市(の感染者)は、現時点で263名です。これは、これまで県全体の過去最大値だった10月の135名に対して、福島市だけで(県全体の)過去最大値の倍という水準になっています。もう一つ見過ごしてはいけないのが、今月の(県全体の新規感染者)385名のうち、福島市分の263名を除くと、120名余が福島市以外のエリアで感染しているということです。県内(の他の地域)では、「福島市は大変だな」、「営業の時短要請が出るような厳しい状況なんだ」という思いで、客観的に御覧になっているかもしれませんが、福島市を除いても(感染者は)120名以上おります。したがって、12月の1か月はまだ終了しておりませんが、郡山市、いわき市、伊達市など、浜・中・会津全体で、過去最高水準に近い数値、120名を上回る方が県内全域で感染しているということを、是非県民の皆さんに御理解いただきたいと思います。
 その結果、最も影響を受けているのは、病院の受入れ体制です。今、入院患者の受入れはひっ迫しており、極めて厳しい状況にあります。先週は、(病床使用率が)40%を優に超えました。今日の時点では、469床に対して入院者数が181名、38.6%ですので、40%を切った状況になっておりますが、ステージ3の6つの指標の一つとして、(病床使用率)25%を超えるとステージ3相当ということがありますので、38%というのは、非常に重い数値です。そして、ここ数日間の広域的な入院調整の状況を聞きましたが、やはり非常に難しい状況です。福島市、県北地域の病院だけでは、連日の20人、40人という新規感染者数を受入れることができず、県中、県南、会津、いわき、相双など、各地域の皆さんに受入れをお願いしています。
 さらに、ホテルの運用についても、福島駅前のホテルに、今、一生懸命対応していただいておりますが、これまで累計で一室しか使ってこなかったいわき市のホテルにおいても、現在、十数名(の受入れ)をお願いするという状況になっています。正に県全体で総力を挙げて、患者の受入れ体制について何とか持ち堪えているという状況であります。
 福島市民の皆さん、福島県民の皆さんには、是非、こういった県全体の入院の窮状を理解していただき、特に、これからの年末年始は、医療がどうしても手薄になる時期になりますので、こういった時期において、医療機関に負担を出来る限り掛けないことが、ひいては、県民の皆さんの命を守るための重要な行動だということを頭に置いて、慎重に対応していただく。福島市民の皆さんには申し訳ありませんが、出来る限り自粛していただくことをお願いしたいと思います。
 一方で、県内の様々な医療機関から、今の医療の窮状を御理解いただいて、何とかサポートしたいというお声を頂いております。医療機関の皆さんに、年末年始を返上し、この厳しい状況に協力したいという声を上げていただくことが、非常に大きな力になっております。改めて、現在、感染された方の命と健康を守るために、最前線で、本当に一生懸命に頑張っていただいている医師、看護師、保健師を始め、医療スタッフの皆さんに心から感謝を申し上げます。

【記者】
 今、県内は第3波の真っ只中にあるという認識でよろしいですか。

【知事】
 第3波の定義は、また歴史的に振り返っていただくしかないと思いますが、私自身は、第3波の真っ只中にあると考えております。

【記者】
 先ほど、年末年始を返上して協力したいという医療機関も増えてきているというお話がありましたが、医療機関の数はどの程度確保できているのか。年末年始を乗り切れるだけ十分に確保できると見ているのかについて伺います。

【知事】
 現時点では、今の感染状況との相関関係になると思います。43名がこれまで(1日当たりの)最大の感染者数ですが、その後、21名、21名と感染が継続し、今日これから発表する数値もございます。そういった中で、一定の落ち着きが見られれば、今確保している病床数での対応はある程度可能になるかと思います。ただ、この年末年始に、30名、40名と感染する、いわゆるクラスターが2つ、3つと継続することになりますと、相当厳しい状況になってまいりますので、そこは改めて、医療関係機関の皆さんと御相談してということも十分あり得るかと思います。
 県としては、今、予断を許さない状況であるという認識であり、大切なことは、県民の皆さん、福島市民の皆さんに、自分の大切な御家族や友人、職場の仲間が感染することがないよう、「新しい生活様式」の基本を徹底していただくことで、感染リスクを大きく下げることが出来ますので、これを是非皆さんが守っていただくことを強くお願いしていきたいと思います。

3  原子力損害賠償請求権の消滅時効について

【記者】
 損害賠償の消滅時効について伺います。先日、国が、法改正により、時効の10年以降の再延長をしない方針を固めました。知事の考えをお聞かせください。

【知事】
 新聞報道を拝見しております。県としては、今月12月1日の原子力損害対策協議会の要望において、国に対し、東京電力の指導強化とともに、ADRの周知や法制度の更なる見直しを含め、必要な対応を講じるよう要請したところであります。一方、実態として、東京電力が時効の援用をしないということを担保することも重要であると考えています。
 原子力損害対策協議会の要求に対し、東京電力の小早川社長からは、「実質的に時効を援用し、請求を断ることはない」との明言があり、時効に関する考え方について、次期総合特別事業計画に明記するとの回答があったことで、一定の担保が出来ました。いずれにしても、全ての被害者が請求の機会を失うことがないよう、引き続き、県として、東京電力、国に対し、必要な対応を強く求めてまいります。

【記者】
 事業計画というお話がありましたが、事業計画の内容として、「時効を理由に一律にお断りはせず、個々の事情に十分配慮して真摯に対応する」という書き方で検討しているということです。いかにも抽象的で明言はしてないのですが、これに対して、一定の担保が出来たと考えますか。

【知事】
 まだ、具体的に記載の内容を確認しておりません。ただ今お話を頂きましたので、そういった表現も含めて、どのような状況になっているかを県としてしっかりと精査し、今後とも申し上げるべきことは申し上げてまいります。

4  トリチウム水の処分方法について

【記者】 
 トリチウム水の処分について、政府の方針決定が越年することになりました。これに対する受け止めを教えてください。

【知事】
 トリチウム水、処理水の取扱いについては、県の内外で開催された関係者からの意見を伺う場や書面による意見募集において、海洋放出に反対する意見、タンク保管の継続を求める意見、風評に対する懸念などの意見が出されております。一方で、福島第一原発の立地町からは、保管継続による復興や住民帰還への影響を強く危惧する意見もございます。
 この処理水の問題は、福島県民のみならず、国民の理解が十分に深まるよう、国及び東京電力において正確な情報発信に取り組む必要があります。最も重要なことは、風評対策です。処理水の取扱いによって、福島県の農林水産業や観光業に影響を与えることがないよう、万全な対策を講じる必要があると考えております。国に対して、これまで慎重に検討を重ねるよう、知事として、県として、幾度も要請をしてまいりました。様々な意見も踏まえながら、国において慎重に対応方針を検討しておられるところと受け止めております。

【記者】
 決定に一定の時間がかかっているのは、慎重さの現れという受け止めでしょうか。

【知事】                                                      
 今、様々な意見があります。その意見を全て解決するような正解を中々簡単につくり上げることが出来ないという中で、政府自身が模索し、検討を深められているものと受け止めています。

【記者】
 知事は、常々風評の問題が極めて重要だと言っておられて、国にも要求していると思いますが、国に対する姿勢は、基本的に「待ち」の姿勢なのでしょうか。決定時期が遅れるほど、処分をするまでの時間がなくなり、県としての反論の機会がどんどん短くなってしまうという懸念があると思いますが、それについてはどのように考えますか。

【知事】
 福島県は、震災前も含めてですが、原子力政策に対して、政府に対して言うべきことを言うという姿勢を貫いております。特に原発事故以降、この処理水の問題も含め、廃炉対策について、私どもはその時点時点で、政府に対して意見を申し上げるということを継続しています。
 処理水についても、私自身、東京電力にも、国に対しても、その時点時点で言うべきことを言ってまいりました。そしてまた今後、政府が一定の方針をどのようにされるか、そういったことを見極めながら、また、私どもとして対応すべきことをしっかりとしていきたいと考えております。

 (終了)

【問合せ先】                                                                    
○質問事項
1 復興拠点外の新たな避難指示解除要件について
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 原子力損害賠償請求権の消滅時効について
→避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-8073

4 トリチウム水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252