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放射線・放射性物質のQ&A

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年8月2日更新

回答者

高村昇さんの写真

高村 昇さん
福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
長崎大学原爆後障害医療研究所
国際保健医療福祉学研究分野
教授

専門分野:国際放射線保健学、放射線影響学、分子疫学、衛生学、内分泌学、内科

Q.「人工」と「自然」、健康影響への違いは?

頬杖をつく女性のイラスト

A.どちらも性質は同じ、重要なのは被ばく線量です。

放射性物質には、カリウム40、炭素14のように自然界にもともと存在する自然放射性物質と、ヨウ素131、セシウム137、セシウム134のように自然界に存在しない人工放射性物質があります。自然放射性物質、人工放射性物質いずれの場合であっても、そこから出ている放射線の種類はアルファ線やベータ線、ガンマ線といった同じ放射線です。放射性物質から出ている放射線による被ばくの健康影響を考える場合、大切なことはどのくらい被ばくをしたか、つまり被ばく線量ということになります。

Q.基準になる「1mSv」の意味は?

細胞の遺伝子に傷がつくイメージイラスト

A.細胞の遺伝子に1つ傷がつくこと。短時間で修復されます。

国際放射線防護委員会(ICRP)は「平常時における一般公衆の線量限度を年間1mSv以内とすること」と勧告しています。その一方で、放射線災害が発生した際は、「年間100mSvから20mSvの範囲のなるべく低い被ばく線量で抑える」とも勧告しています。ヒトの細胞が1mSvの放射線を被ばくすると、細胞の中にある遺伝子に1つ傷がつくと言われています。しかし、その傷がすぐに健康に影響を及ぼすわけではありません。ヒトの細胞には傷ついた遺伝子を修復する機能がもともと備わっており、1mSvの被ばくでついた傷は、短時間で修復されます。

Q.被ばくの時間による遺伝子への影響に違いは?

地球のイラスト

A.急性と慢性では、人体への影響が異なります。

世界には環境から受ける放射線量が多い地域があり、例えばインドのケララ地方は海底から打ち上げられた天然の放射性物質により、比較的高い放射線量を被ばくします。平均で年間7mSv、最も高い人は年間14mSvで、年間7mSvでも15年で100mSvを超えてしまいます。このケララ地方では、現在のところ特にがんなどの発生率が高かったり、寿命が短かったりといったことは証明されていません。この事実は急性被ばくと慢性被ばくの人体への影響が異なる可能性があることを示しています。慢性被ばくのように、少しずつ放射線を浴びて遺伝子が傷ついた場合、その都度、人体に備わっている修復機能が働き、傷を修復できているのではないかと考えられています。

Q.飲み水にセシウムは含まれていますか?

蛇口のイラスト

A.水道水からはほとんど検出されません。

放射性セシウムは放射性ヨウ素と同様に、原発事故発生当時に大気中に放出されましたが、ヨウ素が原発事故直後に水道水から検出されたのに対し、放射性セシウムはこれまであまり水道水から検出されていません。これはセシウムが土に吸収されやすい物質であることが関係しているのです。一般的な国内の上水道は、浄水場で水をさまざまな方法によってろ過し、それを消毒してから水道水として使用しています。セシウムはこのろ過の過程でほとんど取り除かれてしまうため、水道水から検出されるのは少ないのです。なお、井戸水などの水源からも現在は検出されていません。

Q.雪の季節、生活やスポーツに影響は?

スキーをする人のイラスト

A.降雪を原因とする被ばくの心配はありません。

現在、空気中に存在する放射性物質はほぼゼロです。原発事故以来、毎日、福島県内の空間放射線量が発表されていますが、これは地表や建物などに付着した放射性物質から出される放射線を測定しています。このため、空から降ってくる雨や雪にも放射性物質は含まれていません。雪が体に付いたりしても被ばくの心配はありません。雪が積もれば放射性物質が付着した地面を遮蔽することにもなるので、少なくとも空間放射線量が上がることは考えにくいでしょう。

Q.子どもと大人で被ばくの影響はどう違う?

お母さんと子どものイラスト

A.子どもは影響を受けやすいので、リスクを最低限に。

チェルノブイリ原発事故では、大量に放出された放射性物質によって周辺住民の内部被ばくを引き起こし、特に事故当時、子どもだった世代に甲状腺がんが多発したことが知られています。大人に比べて子どもの方ががんの発症が多かったのは、放射線の影響は活発に分裂している細胞に影響が出やすいことが原因の一つと考えられます。しかし、福島県の居住空間の空間線量率では、子どもでも外部被ばくのリスクは考えられません。原発事故以後、放射性ヨウ素や放射性セシウムについて「基準値」を設定し、基準を上回る食品、水に対して出荷や摂取を制限しました。放射線の影響を受けやすい子どもの内部被ばくを最低限に抑えることを主眼とした措置をしています。


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